アルバムレビュータイトル
* アーティスト名:あじあん・かんふー・じぇねれーしょん。(最終更新日:2008年12月1日)
アマチュア時代に書き溜めた中から選曲されたアルバム。
各楽曲から才能の片鱗は感じさせるが、まだまだ未完成で自身の個性も確立されていないという印象。
自作詞も10曲中3曲だけなので、後の個性的な詞世界から考えると、他人の書いた薄味で妙に洒落た歌詞を歌っているのはちょっと違和感がある。
打ち込み色が目立っていた前作から半年、この2ndではジャズやボサノバなどを取り入れて"カフェバー音楽"的な方向性をとっている。
1stより洗練度は増したが、依然として手探り段階。自作詞もまだまだ少ない。
自作詞が10曲中8曲にまで増加、音楽的にも"らしさ"が確立されてきて、詞・曲合わせての"KANワールド"が一気に完成に近づいた。
初期の傑作との呼び声も高く、本人の満足度も高いようだが、個人的にはまだまだかな、と思う。
全体的にポップで可愛らしい雰囲気があり、女性受けが良さそうな感じ。
セールス的な不振がたたってか陰のある歌詞が多少目立つが、
全曲自作詞になることによって個性はより強固に、音楽性も含めた世界観の"深化"が着実に進んでいるように見える。
10曲中6曲のアレンジを他者に丸投げしてしまっていることも含めて、KAN自身に低迷期・迷走期扱いされているが、
そういった本人の思惑とは裏腹に完成度は高い。
個性の確立という意味でも、一曲一曲の出来という意味でも、ここで一つの"完成形"に到達する。
後にシングルカットされて国民的ヒットとなった「愛は勝つ」を収録し、本アルバムもヒット。
最も敬愛するアーティスト、ビリー・ジョエルの影響がより強く表れるようになったが、
「Scenes From An Italian Restaurant」を大胆にパロった大作「1989」は、本家に並ぶほどの完成度だと思う。
中古で安く手に入るので、入門用にも適している。
前作がヒットしたこともあって、肩の力が抜けたような奔放さが感じられるアルバム。
彼の持つコミカルサイドとシリアスサイドの振り幅がそれまでにないほど大きいが、両サイドが交互に表れるかのような曲順にはやや不満が残る。
名バラード「永遠」が2つのおちゃらけ曲に挟まれてしまってるのはちょっともったいない。
更なる成熟ぶりを見せる内容で、「まゆみ」をはじめとした名曲、佳曲のオンパレード。
バラードの比率がやや高いが、各曲のキャラが立っていて、バランスの悪さなど微塵も感じさせない。
本人の納得度、ファン人気共に高い、最高傑作候補の一つ。
ストリングスを使った曲が多く、落ち着いた曲調・しんみりとした歌詞の多いアルバム。
はっきり言って地味。だが、それなりの出来だ。
マイケル・ジャクソンの物真似に走ったダンスチューン「甘海老」が一際異彩を放つ。
前作がストリングスなら、今作はギターというイメージがある。
大々的にギターがフィーチュアされているというわけではないが、初期ビートルズ的な「東京に来い」、
ロック的なギターで盛り上げるバラード「すべての悲しみにさよならするために」、アルペジオで聴かせる「星屑の帰り道」といった曲がそう思わせる。
全体的に、遊び心が強く感じられる内容のアルバム。
詞・曲共に非常にバラエティ豊かな内容で、彼の人柄、音楽性、影響を受けた音楽などが誤解なく伝わるような、そんな性格を持ったアルバム。
タイトル曲「MAN」は、彼を敬愛する平井堅、桜井和寿らに特に強く支持されているという名バラードである。
コミカルサイドとシリアスサイドの振り幅の大きさは同じく9曲入りだった『ゆっくり風呂につかりたい』を思い出させるが、
今作はそれよりも一曲一曲が濃厚であり、聴き手を強引に捻じ伏せるほどの力がある。
音楽家としての自身をリアルに描いた必殺曲「Songwriter」で幕を開け、滑稽さと切なさのブレンドが絶妙な「サンクト・ペテルブルグ」、
平和への願いを押し付けがましくなく歌った「SAIGON」、偽名で参加のミスチル桜井と共に「奥さ〜ん♪」と歌う軽快・軽薄な「Oxanne」、
詩的な描写が冴え渡る美しいバラード「月海」、カントリー調の愉快な脱力ソング「ドラ・ドラ・ドライブ大作戦」etc.。
ビリー・ジョエル、ポール・マッカートニー、スティーヴィー・ワンダーらからの影響を時に露骨に見せつつも、
あくまで自分の色に染め上げて放出する彼のセンスが冴えに冴え渡った、まさに真骨頂と言うべき内容の傑作。
初のロシア渡航でロシアかぶれになってしまったのを背景に生み出されたアルバム。
ロックテイストの強い曲が3曲も入っていたり、ビリー・ジョエル色が他のアルバムに比べて薄かったりと、
若干の毛色の違いは感じさせるかもしれないが、KAN以外の何者でもない内容なのは確か。
尊敬する同業者・槇原敬之の作風や歌い方を模した「車は走る」なんてのが入っているが、ちょっと遊びが過ぎる気がして引いてしまう。
1曲目でいきなりラップ曲をかましてファンを不安にさせるが、
次の痛快・爽快なピアノロック「Superfaker」でその不安を一気に吹き飛ばし、以降、安心の(?)KANワールドが繰り広げられる。
自身の結婚等を経ての、より深まった人生観が表れた詞が多い。
2年5ヶ月のパリ留学を挟んで約5年ぶりに発表されたアルバムだが、基本的に何も変わっていない。
前々作の槇原に続いて今度は浜田省吾をやってしまったりと、相変わらず遊びが過ぎる面があるが、
バラエティ豊かでバランス感のある仕上がりにはなっている。
ただ、手放しで絶賛したくなるような曲が無いのが個人的に残念だ。

番外:ベストアルバム
  ◆めずらしい人生 (1992年)
  ◆The Best Singles FIRST DECADE (1997年)
  ◆IDEAS 〜 the very best of KAN 〜 (2007年)
 本人公認のベストは上記の3枚。
 シングル曲を集めた『FIRST DECADE』が一番無難な選曲だが、『IDEAS』から入っていっても特に問題はないと思う。
(★:2点,☆:1点の計10点満点)