アルバムレビュータイトル
* アーティスト名:ざ・いえろー・もんきー。(最終更新日:2008年12月1日)
THE YELLOW MONKEYとしての記念すべきCDデビュー作品。
D・ボウイの「ダイヤモンドの犬」を完璧にパロったM1〜M2の流れで分かるように、70年代グラムロックの影響をモロに受けた7曲入りミニアルバム。
歌詞も曲も中期以降とは全く空気が違い、初心者がこのアルバムから聴き始めると完全に面食らう。
しかし、メジャーデビュー以降にレコーディングし直される「LOVERS ON BACKSTREET」や、全期にわたってライブで演奏され、
定番曲となる「WELCOME TO MY DOGHOUSE」などの名曲が収録されていたり、イエモンの根源を知る上には欠かせない作品。
メジャーデビューしてもグラム路線は変わらず、長ったらしいアルバムタイトルや「アラジン・セイン」みたいなジャケットで、
とても一般受けは出来そうにないが、本人達はこれで売れる気マンマンだったらしい。
英語と日本語が混じり飛び、これでもかと言うぐらい抽象的で比喩的表現に固められた詞世界は、「古臭い」を通り越して逆に新しささえ感じる。
曲のノリの良さは逸品で、1stシングル「Romantist Taste」や「Neurotic Celebration」は踊れる楽しい曲。
その反面で「This Is For You」などのしっとりとした曲の素晴らしさが目立つ。
特に「真珠色の革命時代 (Pearl Light Of Revolution)」は究極的におセンチで、退廃的な歌詞と美しいメロディが印象的な初期の大名曲。
これと言って「名盤」と言えるような突出した部分はないものの、原石のような鈍い光を感じる。
ベートーヴェンの「月光」が流れ、静かに始まったと思ったら不気味な吉井の逆再生ボイスが混じり、
突然それをぶち壊すように鳴り響く妖艶な怪曲「MORALITY SLAVE」のインパクトが強烈な2nd。
『1stのように明るく華やかな曲や、どん底に暗い曲、エロティックで怪しげな曲などが混在したりしてエンターテイメント性が高く、
アルバムそのものが古いフランス映画のような空気感を持つ。
前作が音楽誌などで大した評価を得られなかった怒りを曲にぶつけた「審美眼ブギ」や、
吉井本人が「恋に敗れたオカマの唄」と称した8分越えの大曲「4000粒の恋の唄」、
同性愛を感じさせる歌詞をグラムテイスト全開のビートに乗せたライブ定番曲「SUCK OF LIFE」などがオススメ。
そしてなんと言っても最大の聴き所は続く3rdアルバムへの布石とも言える「シルクスカーフに帽子のマダム」。
この曲では吉井が「マリー」と言う女性に扮し(アルバムジャケットやライブでほんとに女装してる)、
鬼気迫る迫力で恋人を失った哀しみを歌っている。
ボウイの「ジギー・スターダスト」の影響を強く受けている3rd。
前作の「シルクスカーフ〜」の歌詞中に名前が登場した「ジャガー」の物語を描く。
敵国の戦場で死に、50年後に魂だけで復活したジャガーが祖国に残してきた恋人マリーを求め現世を彷徨う、
というストーリーを掲げたコンセプトアルバムで、イエモンの中でも最もヘビーなアルバムになっている。
「僕はジャガー 確か殺された」と言う歌詞が衝撃的な「SECOND CRY」に始まり、
フラメンコ風味の強いハードロック「薔薇娼婦麗奈」、痛々しい歌詞表現が耳をえぐる「遥かな世界」などを経て、
ジャガーとマリーの顛末は「ロックンロール・スーサイド」をオマージュした壮大なウィンターソング「MERRY X'MAS」で締めくくられる。
また、「ROCK STAR」や「悲しきASIAN BOY」は今作中の数少ない明るい曲であり、必ずと言っていいほどライブで演奏されるイエモンの代表曲である。
一曲一曲の密度が濃く、気楽に聴けるような代物ではないが、コンセプトアルバムならではのまとまり感や、演劇のような世界観が魅力的な名盤。
そろそろ商業的に全く成功してない事を気にしはじめたメンバーが、それまでのアングラ感を抑えてポップでキャッチーなアルバムを作り、
結果オリコン4位に食い込ませ賛否両論を巻き起こした4th。
オルガンの旋律が荘厳なOPナンバー「Smile」から、
前作のシリアスさを全く感じさせないポップロック「マリーにくちづけ」へのライブを意識した繋ぎ方が見事。
全体的に明るく、ノリの良い曲が多く収録されている中、ジャガーの匂いを漂わせるバラード「争いの街」などがあったり、
吉井が亡き親友に贈ったという「Hard Rain」にはイエモンが「歌謡ロック」と呼ばれる由縁が見え隠れする。
smileは初期のアングラ志向から、人気ロックバンドとなり世間に認められるまでの過渡期的な時期の作品であり、
アルバムとしての完成度はけっして高いとは言えない。
また、5人目のメンバーと言われることもあるキーボード・三国義貴の初参加アルバムでもある。
THE YELLOW MONKEY史上初オリコン1位となり、人気アーティストの仲間入りを果たした5th。
ロンドンでレコーディングされた今作は、前作以上に爽やかで聴きやすいロックアルバム。
一曲目で、タイトルトラックでもある「FOUR SEASONS」の詞は圧倒的な完成度を誇り、新しいTHE YELLOW MONKEYの始まりを予感させる。
ソリッドでシンプルなリフが痺れる「I Love You Baby」、ロマンティックな泣きメロが美しい「ピリオドの雨」、
代表曲でもあるスタンダードなロックナンバー「太陽が燃えている」など、粒揃いの名曲が収録されていて、
特にラストの2曲、吉井が幼い頃に亡くなった父親を歌った、爽快感と切なさを見事に融合させた「Father」と、
ギターの音色が爽やかで心地良い「空の青と本当の気持ち」は必聴。
イエモンを初めて聴くならこのアルバムからがオススメ。
「FOUR SEASONS」の後、シングル「JAM」と「SPARK」をリリースし、トライアドからファンハウスへと移籍したイエモンの6thアルバム。
UKロックに影響されたようなシンプルかつ濃密な音作りが高い完成度を持つ傑作。
一曲目の「RAINBOW MAN」は8分近くある長い曲だが、タイトルの通り曲調がコロコロ変化し、何度聴いても飽きさせない。
重厚なバンドサウンドと、3rdの「ROCK STAR」と対になるような歌詞の「TVのシンガー」、狂気あふれるグルーヴに人間の二面性を歌った「創世児」、
和風ロックの一つの到達点、とも言える「花吹雪」など佳曲揃いで、当時のバンドの勢いがよく分かる。
三国のキーボードが冴え渡る「天国旅行」や、吉井の祖母に宛てた「人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)」と言ったファン人気の高い曲、
さらには一般知名度も高いシングル曲「楽園」も収録している非の打ち所のない作品。
「SICKS」で成功を収めてからも、シングル「LOVE LOVE SHOW」、「球根」、「BURN」などをヒットさせノリにノッていたイエモンが、
これらのシングルを収録し世に放った7thアルバムは、およそ一般受けしそうにない重厚で暴力的なアルバムだった。
豪快なドラムから始まる「パンチドランカー」はこのアルバムを象徴した派手なオープニングであり、
続く「球根」はシングルとしては最初で最後のオリコン一位を達成した曲で、生死についてシリアスに歌った名曲。
煌びやかなバンドアレンジに、ユーモラスでシニカルな歌詞の「ゴージャス」、
意味深な詞の朗読曲「SEA」から繋がる「BURN」の圧倒的なイントロは聴き所のひとつ。
ラストは今作一ノリの良い「LOVE LOVE SHOW」のアルバムVerで、シングルVerよりも格段にアップテンポで荒々しい良アレンジ。
全体的にライブを意識したアルバムで、ポップさは影を潜めたあまり聴きやすくはないアルバム。
 年間113本ツアーや、コラボプロデュースシングルなどをリリースし、バンドとして迷走しきっていたTHE YELLOW MONKEYの8thであり、ラストアルバム。
サウンドとしてはそれまでの派手なアレンジが、より洗練されたスマートなロックサウンドになった。
アンドロイドの女性に陶酔する男を歌った、低音の響くハードロック風な一曲目「ジュディ」や、SMな歌詞の「GIRLIE」。
シングルVerとは打って変わってしんみりとしたアルバムアレンジの「聖なる海とサンシャイン」。
ピアノやストリングスを前面に押し出した「メロメ」など、これまでにないほど退廃的な曲が多い。
そんな中で「人類最後の日」のような怪曲もあり、「カナリヤ」や「SHOCK HEARTS」などポップな曲も高いクオリティを持っている。
特に「パール」、「バラ色の日々」は全シングル中でも屈指の出来。
ラストトラック「峠」ではギターの不気味なアルペジオから始まり、ドラム、ベースと、ゆっくりとバンドが絡んでいく。
THE YELLOW MONKEY自身を暗喩していると思われる歌詞も印象的な大名曲。
シングル曲は多いが全体的な雰囲気は重々しい、初心者には不向きなアルバム。ちなみにタイトルの読みは「ハチ」。

総評.
アルバムごとにカラーが大分違うので一枚だけ聴いて判断してしまうのはもったいない。
「JAM」など、アルバムに収録されていないヒット曲・有名曲がいくつかあるが、それらは編集盤で保管できる。
編集盤から入るなら解散後に発売されたメンバー選曲の「MOTHER OF ALL THE BEST」や、トライアド時代の2枚のベスト盤などがオススメ。
(★:2点,☆:1点の計10点満点)