アルバムレビュータイトル
* アーティスト名:アンティバラス・アフロビート・オーケストラ。(最終更新日:2009年6月1日)
記念すべき1st。凡庸と呼ぶには優秀すぎ、優秀と呼ぶには凡庸すぎるという印象が拭えません。
埃まみれの暑苦しいダイナミズムは2曲目「Dirt and Blood」や7曲目「El Machete」などで堪能できますが、
荒れ狂うホーンのソロでさえ、どこか計算された、予定調和なファンクネスという印象を受ける。
フェラ・クティほどの煮え滾るセンセーションはあまり認められないかもしれませんが、
ポップさ・取っ付きやすさという面では本家よりもよっぽど手に取りやすい、と言って許されるでしょうか。
インド人も吃驚のサイケデリアを繰り広げる5曲目「Musicawi Silt」は個人的にお気に入り。
1stから僅か一年を隔てただけとは思えないベテランのような風格が備わった2nd。
アルバムの構成は1stとそれほど変わりませんが、こちらのほうが格段にシャープで洗練されてます。
音が良くなったというのも大きいのでしょう、しかしドラマ性、「魅せ方」が前作とはまるで違う。
ヘビロテ必至のキラーっぷりを発揮する歯切れの良い極太アフロ「Talkatif」一曲のために買っても損しないでしょうが、
他にも「World Without Fear」や「Nyash」などを筆頭にドス黒い役者が揃ってます。
彼らを「ニューヨークの頭良さげな白んぼの音楽集団」と捉えるならば2ndのほうが優れているのかもしれません。
しかし彼らがあくまで「フェラ・クティの意志を継ぐ者たち」なのであれば、この3rdに軍配が上がるでしょう。
私の知人で、周囲の人々から構って欲しくて鬱病のフリをし続け、遂には本当に鬱病へと孵化した中年がいますが、
彼らも本作に至って遂に、スタイルだけでなく本質的にもフェラの生き写しと呼べるほどになったと思います。
もう本当にフェラすることだけに集中してるという感じです。
タイトル曲「Who Is This America Dem Speak of Today?」での合衆国的アルファベットの羅列も板に付いてるし、
コーラスとの掛け合いもひたすらアグレッシヴで本家に迫るものがあります。
ほのかにダブい「Pay Back Africa」から攻撃的で憤怒に満ちた「Indictment」への唐突な繋げ方にも首を縦に振らざるを得ないでしょう。
アンティバラスを蔑視する一部の冷ややかで偏屈なフェラ原理主義者たちも、このアルバムばかりは真っ向から否定できないのではないでしょうか。
不謹慎と知りながらこう考える人もいるでしょう。
「確かに9・11とイラク派兵は悲惨な出来事だったが、そこから良質なレベルミュージックが少なからず生み出されたということもまた事実ではないか?」
3rdから4thへの移行に際して必然的に生み落とされたミニアルバム。なんともポップ。
前作の黒焦げ濃厚アフロビートは影を潜め、アフロ寄りのポップなファンクという印象。
4曲目のスペイン語ヴォーカルには不意打ちを食らうし、5曲目のダブさ加減も3rdのそれより洗練されていますが、全体的に印象は薄いでしょう。
しかし聴きやすさという点では遅すぎた入門編と言えるほどのキャッチーさ。1stから順に聴いてきた人なら少し物足りなさを覚えるかも知れません。
国内盤にはボーナストラックが2曲付いてるらしいです。
多くのミュージシャンは3rd〜4thアルバムあたりで、このまま進むか、あるいは別の方向に進んでみるか、という選択を迫られる。
こんな前フリをしておいてアレですが、私には彼らがどちらを選択したかよく判りません。というか、どちらか一つを選んだかどうかすら判らない。
前作までのリスナーには前半の「Beaten Metal」や「Filibuster X」で丁寧に会釈するのを忘れていませんが、
4曲目「Hilo」あたりから徐々にジョン・マッケンタイアの職業上の性癖が明るみに出ます。
一応アフロファンクを機軸としながらも浮遊感のあるポップ(いやもう本当にポップ)なアレンジで、
さらには「I.C.E. 」なんて完全に音響的メランコリアを展開させてしまっていて、
これまでの作品とは明らかに一線を画した異質のオーケストレーション。
さすがに食い合わせが悪いだろうと思いきや「War Hero」なんて意外と美味しく頂けます。
・・・というのはあくまで個人的な感想であって、好き嫌いは分かれると思います。
(各アルバム星評価なし)