『The Grand Wazoo』制作後、ザッパは録音参加メンバーを中心にしたビッグ・バンドを率いてツアーに出た。
このときのバンド名はずばり「ザ・グランド・ワズー」、ツアー後半はメンバーを若干整理・縮小して「プチ・ワズー」(The Petit Wazoo)と改名した。
レパートリーは必ずしもこの時期の曲だけに限らないが、その代わりビッグ・バンド時代の曲は後のライヴで演奏されることが少なかった。
上記2作が前後の流れから少しだけ切り離されているという趣旨のことを書いたのもそのためである。
この2作の時期は「ワズー期」とでも呼ぶことができるだろう。
ツアー後には再び通常のバンド編成でロックへ回帰してゆく。
1973-74年は人気の高い一時期で、イアン・アンダーウッドやジョージ・デュークなど旧メンバーも数人含む新バンドは、
ファンの間では「73年バンド」なり「74年バンド」なりと呼ばれることが多い。
ツアーの時期ごとに比較したメンバーの異同は
以下の通り。
ザッパのソロ名義と「ザッパ/マザーズ」名義の作品と両方あるが、
上のサイトを見ても分かる通り中核メンバーはほぼ重なっているので、まあ大雑葉に「第3期マザーズ」と呼んでも差し支えないだろう。
第3期マザーズ時代の人気の秘密はどこにあるのか。
単純に優れた楽曲が多いからということもあるだろうが、ザッパの音楽の
「時にアホ、時に下品、時にシュール、時にシニカルでしばしば演奏困難な楽曲を、メンバー個々の高いスキル×鉄壁のアンサンブルにより圧倒的な演奏で弾き倒す」
という特色がとてもよく現れているのが大きな要因として挙げられるだろう(でもこの時期に限った話でもないか……)。
以下の4枚はいずれも代表作に数えられるアルバムで、以降の主要なレパートリーとなった曲も多い。
特に『Roxy & Elsewhere』はこの時期のザッパのエッセンスが煮詰められて収められた重要作。
ちょっと濃ゆいので初心者向けではないかもしれないが、少なくとも他の3作は変テコながらもポップな曲が多く入門者にも優しいので、
これから聴く人はこの時期から入るとよいかもしれない。
やがてザッパのバック・バンドという扱いになる)の記念すべきデビュー・アルバム。
ロック史上初の2枚組みかつロック史上初のコンセプト・アルバム(ということになっている)。
一番有名な作品なので最初にこれを聴いて「?」と思ってしまう人は多い。
いろんな意味で強烈すぎる曲があったりして、判断に困ってしまうためではないかと思われる。
1960年代中盤〜後半の変態サイケ・ポップが好きで耐性のある人なら問題なく聴けるが、
いわゆるロックロックした音楽が聴きたい人は後述する別の作品から入ると良い。
代表曲は「Who Are The Brain Police?」(頭脳警察のバンド名の由来)、
「Trouble Every Day」(長くライヴのレパートリーになる、本作では一番カッコいい曲。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンあたりにカヴァーしてほしかった)など。
「Wowie Zowie」「Any Way the Wind Blows」など聴きやすい曲も少なくないが、
後半に収録されている「Help, I'm a Rock」〜「It Can't Happen Here」の流れからどんどん基地外めいてゆき、
最後の「The Return of the Son of Monster Magnet (Unfinished Ballet in Two Tableaux)」に至って何かもうとんでもないことになる。