アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : きゅーみり・ぱらべらむ・ばれっと。

Reviewer:16th. 145-148 名無しのエリー2007.11.26.

1.Psychopolis ★★★★
スカパンク的な裏打ちリズムにグランジ風の重苦しいギターのフレーズが乗るAメロから、ペンタ爆発のメタルなサビへ繋がる曲。
ギターソロは居直り全開のスラッシュ。メロディは懐かしめの歌謡曲。とにかく派手でギチギチ。
演奏のアイデアが豊富なのは頼もしいが、バンドを冷静に客観視できるメンバーがいないのか、全員ひな壇芸人のようにガツガツしているのでスゲエ暑苦しい。
2.Discommunication ★★★★
変なところで息が合うのか、普通のバンドなら誰か1人くらいは反対してボツられるようなキメキメのメタルイントロを採用。
じゃあもうメタルやればいいじゃん…。氣志團よろしく演歌ディスコビートな曲。
盛り上げ方が極端で、いきなりMAXへ持っていってしまう暑苦しさも持ち味かも。
Aメロでザンザカ刻んでいるブリッジミュートはメタルそのものだが、ファッションとしてのメタルという感じで、タイトに鋭く弾く意思はなさそう。
隙を見つけてはギュイーンと上から下へかましてくるギターセンスももはや何が何だか。
3.Heat-Island ★★★
例によって静から動が分かり易すぎる曲。
意外とキャッチーなリフが登場したり、耳馴染みの良いメロディだったりで、聴き易い要素もあるが、
逆に「キマッちゃってる音速ライン」といった感じに思えてしまい、勝手に他バンドの暗部を想像してしまう怖い曲。
4.Sleepwalk ★★★★★
5/8という面倒な拍子を、リフの嵐と、万華鏡のような見せ場の持ち回しでスムーズに仕上げた、技アリの曲。
「覚めても覚めてもまだ夜だよ」というサビが、複雑な曲とバンド自体の持つカオスなイメージにマッチした、個人的に一番しっくり来た曲。
陽水に「起きても起きても朝~」という陽気な曲があったが、まさに真逆。
5.砂の惑星 ★★★
GS色を強めてより歌謡曲チックになり、結果的にGO!GO!7188に接近した曲。
合わせ方がまんますぎるベースがアホっぽくていい味だしてる。
基本的には「その気になれば日本人なら誰でも出来るが普通ボツる曲」という感じなので、純粋にクオリティの高さを求めるとガックリくるかも。
6.Heart-shaped Gear ★★
大まかに言えば「妙にテンポの速いマイナー調歌謡曲」が揃った今作だが、その中でも特にメロディの隙間が気になる曲。
速いテンポで誤魔化してはいるが、普通のテンポならポカンと空いてしまう工夫のない隙間が多すぎるような。
小節数が多い割にメロディの組み方が勿体無い。ボーカルは完全に上モノで、リズムを支える役割は期待していないという事だろうか。
発想としてはテナーの逆、ラルクに近いという印象。
7.Sundome ★★
南国っぽいリズムに、いかにもV系なペンタ臭のするベースが乗り、意味不明な異国情緒を発揮した曲。メロディは変わり映えしない。
たまに入るデス声も、すでに数曲で演っているので飽きが。
盛り上げ、盛り下げも滑らかと言えず、前触れのフィルもなくいきなりガツンと来る。
意外と構成をガチガチに決めて、その通りに演奏するタイプなのかも。
8.Battle March ★★
アルペジオを軸に静かに始まり、今作唯一盛り上げが極端すぎないサビを迎える曲。アウトロはギター爆音だが。
必要な音だけに音数を絞って演奏するのは苦手とみえて、あまり面白味のない演奏。
そういえば音数の多い曲でも短いフレーズの繰り返しが多く、長いサイクルで乗せるリフとかは少ないかも。
9.Butterfly Effect ★★
バンド名もそうだが、こういう曲名とかが今カッコいいんだろうか。今度は重めのメタルを意識した曲。
メタルにも演歌っぽいメロディの曲は多いので、この位になるともうメタルに聞こえてくる。
違いといえばボーカルの軽さと、何だか輪郭がハッキリしないオルタナ風の音作りくらい。
ワイルドハーツとかもこんなノリで数曲ダメにしてた気がする。
10.Termination ★★★★
General Head Mountainが山口百恵の「いい日旅立ち」をカバーしてたのを思い出す曲。
あっちのが歌も迫力あった気がするが、セールス的には…。世間の追い風ってのは吹く時には吹くものらしい。
「明日だけが人間の持ち物」と断言してみせる熱い詞はバンドスタイルさながら。
ブリティッシュロックの美メロを書く才能とかは彼らには無さそうだが、そういうバンドでこそ説得力のある言葉もあることを感じる曲。
11.The World ★★
いつものように速いテンポの歌謡ロック。
もっと曲の幅が広いかと思っていたが、メロディの引出しは浅く、バンドのアレンジにかなり依存している印象。
ポリリズムっぽいサビで一瞬8/8に戻ったように感じる6/8拍子の曲。Aメロのシンバルの刻みが印象的。
12.Punishment ★★★
ついに最後まで長調を拒み続け、ヤケクソのようなカッティングからヤケクソのような2ビートのドラム、ヤケクソのメタルリフと、完全に開き直る曲。
まあバラードで締めるとも思えなかったが、遅い曲なしとは極端な。ここまでやるならツーバスまで行ってもよかった気が。
能力が限られてるんだか実際は自在に弾けるんだか、メタル好きにしては徹底的にメロディアスなギターソロは弾かない印象。
そのため全体的に祭囃子っぽく、妙に明るい。
総評.★★★
メタルバンドが飲んでセッションして、悪ノリでジュリーの曲を演ったような、
ある意味商品になりそうでならなかった歌謡メタルな曲が並ぶ、9mmのメジャー1st。
全体にリバーブ気味で音の輪郭はぼかしてあり、何となく音圧だけ稼いでいる印象で、
本気のメタルのような引き締まったビート感、誰かが足を踏み外したらすぐにバレて台無しになってしまうストイックな緊張感は薄い。
そういう意味ではV系に近い気もするが、あれは声も体も線が細い日本人の特徴を活かす意図があった
(パワフルに破壊を歌う海外メタルと一線を画した、繊細で耽美な日本のV系という独自路線の発掘)と個人的に思っているので、
9mmのそれはちょっと違う印象。
音数が多くテンション上がりっぱなしのバンドサウンドをさらにカオスな感じにするため輪郭を曖昧にしてみた、くらいの意図か。知らないけど。
9mmもV系も単に表層のフレーズをメタルから引用したいだけで、正確さ云々の細かい技術は適当に誤魔化しておきたいという事なのかもしれないけど。
ボーカルの質や詞世界、音作り等はアジカン等のロキノン系に近い。
一昔前にアニメタルというのがあったが、9mmはロキノメタルとでも言うべき印象で、どちらかというと内輪ウケのバンドに思える。
一聴目は面白いので、猛プッシュされると即買いしそうになるが、
彼らは誰もを楽しませるバランスの良いバンドというよりは音楽ライターが面白がる特殊なバンドなので、
よほど短調と速いテンポが好きでない限り数曲は試聴した方が。
売れはしたが、自発的に面白がってる人とうまく買わされた人は半々くらいかも。
メタル好きから見れば安全圏から鳴ってるヌルい音楽かもしれないし、薦め方は難しいが、面白い1枚。
(★5個が満点。)

Reviewer:22nd. 261-263 名無しのエリー2009.10.10.

1.Wanderland ★★★
歌謡メロデス。メロデスというのも言いすぎかもしれないけど。インフレイムス辺りをイモっぽくしたような。
ドラムがカッコイイ一曲。
2.Vampiregirl ★★★☆
リフのノリも良く、サビの「You're Vampiregirl」が頭にこびりつくアッパー曲。
リードギターのフレーズは自分がギター始めたばかりの小僧だったらコピーしたくなるかも。
アルバム中貴重な、まとまりが良い曲。
3.Trigger ★★☆
ベースのループがスリリングな展開を導くのだが、メロが悪い意味でポップでちぐはぐ。
全体的にやかましいドラムがちょっとツボ。
4.Keyword ★★★
V系っぽい歌謡ロック。その分キャッチ―で聞きやすい。
タッピングソロなんかを盛り込んだりとちょっとやりすぎなアレンジは変わらず。このやりすぎ感もなんかメタル寄りのV系っぽい。
5.Hide&Seek ★★
優しいアルペジオがきたかと思いきや、開始3秒で裏切られる。
荒削りなメタルコアっぽい印象だが、この曲はやたら音が悪い。調べたらアナログ録音らしい。
飛び道具的楽曲。
6.The Revenge of Surf Queen ★☆
GSっぽいインスト。
インストだとどんな側面を見せてくれるのかと期待したが、ボーカルがあろうが無かろうがたいして変わらない。
一歩引いて奥にこもったようなサウンドといかにもGSなギターが特徴的ではあるが、終盤になれば結局やかましい。
7.Supernova ★★★☆
このバンド特有の垢抜けなさが良い意味で作用してる曲。ダサさとカッコよさの変なバランスがちょっとクセになる。
サビ以外は軽めのアンサンブルなので聞きやすい。
8.Faust ★☆
このバンドによる5分超の曲はさすがに長い。
長い上にくどい。前曲でも書いたようにアプローチや展開にマンネリしてるのが更に強まるばかり。
90年代のJ-POPのようなメロの雰囲気を活かす訳でもなく、ただダラダラする。短くまとめるだけでも印象はだいぶ変わったと思う。
この曲から酷い中弛みが始まる。
9.悪いクスリ ★★
ダンスビートっぽいアプローチがこのアルバムにおいて新鮮なだけで、どこにでもありそうな曲。
ラストでツーバスを使う辺りが”らしい”仕上がりではあるが蛇足。
10.We are Innocent ★★
例の如くハイスピード歌謡曲。昔々のアイドルの歌をやらかした感じ。
面白いがもうお腹いっぱい。
11.次の駅まで ★★★☆
音の隙間を利用するなんてことはないのかと思ってたところにタイミング良くメロウなミドルテンポ曲。
雰囲気作りもしっかりしていて、終盤で盛り上がるアンサンブルと対照的に一歩退いたボーカルが良いバランスを保っているし、歌詞のハマりも良い。
これができるなら他の曲でもやって欲しい。
ここにくるまでに中弛みしきっているので、この曲順じゃなかったなら☆をもう一つ加えたい。
12.Living Dying Message ★★
これもハイスピード歌謡曲。この手の曲になるとほぼ必ずハットの裏打ちと16分刻みをやっているのでご多分に洩れず、飽きている。
更にハットの音量が大きく、オープンになるとバシャバシャとうるさい。取って付けたような終盤のツーバスも要らん。
どうせ最後の曲なのだからツーバス踏み続けるくらいやってもいい。
総評.★★☆
散々書いたように、面白いけど飽きる。この一点に尽きる。
メタルやハードコアのようなプレイが多いが、音はギターロック系のそれに近くミスもそのまま収録されているため、HR/HMの張りつめた感じはなくだんだん耳障りにもなる。
プレイそのものも似たようなことばかり繰り返されていて、マンネリ感は否めない。
バンドマン的な視点で聞くと「ここでそんなことやるの?」と楽しく聞けるけど、ただのリスナーとして聞くと行き過ぎなアレンジに疑問符が付くこともしばしば。
一聴目のインパクトばかりで、曲そのものが飾りのように思う。
ただこれが垢抜けて変に小奇麗になったらそれこそ本当につまらないから、このバンドは侮れない。次のアルバムに期待。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)