アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : かみきあや。

Reviewer:15th. 714-716 名無しのエリー2007.10.18.

1.世界中の誰もが ★★
良くも悪くもビーイング・ギザの伝統、80'sテイストのロックに歌謡曲なメロディが乗ったオープニングナンバー。
時代をどうしたいんだ…。あらゆるアーティストと被るため強烈なインパクトがあるわけではないが、特定の世代にとっての正義のロックか。
能力で勝負させる方針なのか、他のギザ系に比べ歌に過剰なエフェクトがかかっていない印象。
アウトロのラララが懐かしい。
2.明日のために ★★
歯切れの良いリズミカルなボーカルが印象的なアップテンポの80'sロック。ビート意識の高い彼女にとってはこの手の曲が主力か。
タイトなビートよりもゆらぎが生むうねりが好きな人にとっては今作の曲全般が不向きかも。
サビ前のコーラスが懐かしい。
3.YOU&ME ★★★
浜田麻里的な80'sロック。高音の発声時も声が濁らず、歌が曲の軸として堂々と役割を果たしている印象。
リズムパターンからギターリフまで何もかも懐かしい。
曲自体は今更な感じなのだが、本人の能力を考えると最も適した路線かも。
4.Tears ★★★
年配ギタリスト御用達のアメリカンHR派生リフから始まる80'sロック。
曲自体は美メロとも、珍しいメロディとも思わないのだが、それで勝負できるだけの歌の表現力はあるため普通に聴ける。
歌唱力より楽曲重視のYUIと対照的。というかYUIの曲の大半は上木に歌わせたほうが活きるので、ある意味YUIの歌唱力に疑問符を突きつける天敵。
5.ココロが..もう少し ★★
物々しいシンセと電子音で始まるが、曲が進むにつれいつも通りになる80'sロック。
バスドラ4つ打ちのダンス系とかも全然試していい能力の持ち主だと思うのだが、あくまでロック。
今のシーンでの打込み系女性シンガーは、小洒落た曲に溶け込むように歌う無機質タイプがメインなので、
彼女が熱血ダンスビート路線をオプションで押さえといても面白い気がするが。
6.夢の中にまで ★★★
憂いのあるメロディに挑戦した曲。イントロのSEやジャンジャンと派手なオーケストラヒットがいかにもギザな80'sロック。
BoAのような踊りながら歌うロックというイメージ。トライセラの「踊れるロック」とは無関係。
7.眠っていた気持ち 眠っていたココロ ★★★
演奏のアイデア全般が仰々しい80'sロック。ほんとにこんな曲を何度聴いたか分からない。
歌の音符が密集したアップテンポの曲でこそ彼女の真価が発揮されることが良く分かる曲。
特にサビの歌はアタックがはっきりしていて音粒が良く、強弱の付け方にも意図があるため、曲を牽引するノリが出ている。
大抵のソングライター系バンドのボーカルはそこまで気が回らないことを考えると貴重なのだが、上木は曲が…。
8.もう帰らない ★★★
6/8拍子のゆったりした80'sロック。
曲自体は惰性でいくらでも書けそうな程度の出来という印象だが、歌を前面に出したバラードのため、歌唱力そのものを堪能するには良いかも。
9.Forever More ★★
ビーイング・ギザのマンネリの集大成とでも言うべき既聴感に満ちた80'sロック。
永遠だけでは物足りず、おかわりを要求してしまった凄い曲名だが、楽曲が思いっきり閉塞的なので…。
10.youthful diary ★
もちろん80'sロック。
サビで他人の曲とごっちゃになって、どっちがどっちだか分からなくなる既聴感マジックが発生するほどベタ。
デジャヴ大好きな人を狙い撃ちする意図でもあるのだろうか。
11.見せかけのI LOVE YOU ★★
いわゆるシングル質なイントロで入る80'sロック。サビの「闇に咲いた~」のフレーズでラルクの何かの曲を思い出す。
今作全般でそうだが、サビの導入の仕掛けがベタで大げさすぎるため、各曲の区別がより一層つきにくくなっている印象。
12.叶わないなら ~winter lovers~ ★★
終盤に相応しい、ぐっとポップスに寄ったバラード。
所々で意外に柔らかい声も聴かせる歌い分けぶりでじっくり歌い上げるが、楽曲自体の出来はかなりどうでもな感じ。
13.星の降る夜には A constellation ~2007 ★★★
さらにバラード。ベースが調子に乗って乱発するグリスが面白く、型はまり気味な今作中の冒険要素として効いている。
1曲終わるとさらにさらにバラード。もはや嫌がらせ。
ロック色を廃してピアノとストリングスで仕上げているが、これが今作中でも最高級のパフォーマンスのため、
この手をもっとやらせれば作品がマンネリしなかったのでは、と思わされる。というか全般で能力の割に色々なことを試させてもらえてない印象。
総評.★★
和製アヴリルとして世に出て、実質的に他の和製アヴリルへの刺客となった印象の上木彩矢の2nd。
曲はかなりやり尽くされてきた、ボンジョビよろしく大げさで大味なアメリカン80'sロックという印象で、
詞も何度似たフレーズを聴いたか分からないほどベタなので、一聴目から既聴感満載でウンザリなのだが、
歌唱力も演奏技術もしっかりしているので意外と聴けてしまう。
アタックが強くメリハリのある歌で曲にビート感を与える、ノリ重視の王道ロックシンガー。
実力は充分だが、Salyuや伊藤由奈等に比べ発声に個性がなく、あまたの女性シンガーと区別が難しいのが難点か。
昔から日本の市場ではこの手のシンガーは飽和状態で、中古CD屋の処分コーナーに並ぶアーティストでも
浜田麻里、PEARL、松田樹利亜、久松史奈等ライバルにキリがなく、個性という点では今の所分が悪い。
もっと現役寄りで彼女に近いスタイルのシンガーだと愛内里菜、水樹奈々あたりとなるが、
どっちのライブにも行きたくねえという人は彼女に落ち着くのでは。
ベクトルが真逆のカエラのファンには用なし。
(★5個が満点。)

Reviewer:19th. 526-530 名無しのエリー2008.10.12.

1.Are you happy now? ★★
1曲目はなぜかGARNET CROWのギタリスト、岡本仁志の手によるアッパーなロック。
ガネクロというと中村が作曲してるイメージだったので調べたところ、ガネクロでの岡本の作曲数は実に0曲。いくら同じGIZAとはいえ何故岡本?
曲はいかにも邦楽なビートロックで、ベース・ドラムとも平凡、ギターリフもベタといった具合で聴かせ所に乏しい。
「もう君は今 Are you happy now?」という上木の作詞も、何というか細かいことを気にしなさすぎ。
歌に力はあるが、リードトラックにして1曲目という役割を果たし得る曲なんだろうか。
2.It's a beautiful day ★★
引き続き岡本の手による、ミドルテンポのハネモノロック。
打ち込みドラムが今ひとつ表情に乏しく、お決まりパターン垂れ流し感があるうえ、ベースが3連系の音符をほとんど弾かず、
普通の8ビートのようなプレイのため、肝であるリズムが味気ない。編曲も岡本なんだよな…。
ちなみにガネクロで編曲をしてるのは多分全部古井。そして作詞してるのはAZUKI。岡本もしかして暇なんだろうか。
3.Just take my heart ★★
いつになくハードなイントロで入る岡本曲。メロディはやはり90年代前半の邦ロックっぽく、今更感が強い。
ビーイング系っぽいという意味では会社的には岡本の起用は成功なのかも。
バッキングのギターは歯切れが今ひとつで、あまり曲に合ってない気が。
サビ前のキメが何だかカッコ悪く、メロディの繋ぎも変なので、歌唱力のわりに聴けない。普通の8ビートを弾く時のベースの音粒も良くないような。
手元にクレジットが無いのでwikiで参加ミュージシャンを調べてみたら、どうやら岡本がベースも弾いてる曲があるっぽい。
もしや岡本曲全部じゃ…。
4.いつの日も君だけ I Remember you ★★
岩井勇一郎の作曲によるまったりしたロック。
メロディの出来は変わり映えせず、やたらブリッジミュートが多いギターアレンジ、あまり遊びを持たせない打ち込みドラムと、
ここまでの流れ通りで、誰が作曲してもビー系っぽくなる印象。まあ完全に内輪で固めているので当然か。
簡単な英語を半端に混ぜてくる上木の詞も、ビー系っぽいという意味ではいい仕事ぶりなのかも。
しかし語彙が無いのもさることながら、「誰だって完璧な人などいるはずもない」などのように文章力が…。
細かいことを気にしなさすぎ。
5.SUNDAY MORNING ★★
あんまりGIZAのイメージに無い、9thコード押しの爽やかな大野曲。
上木の歌はアタックが強いのでこの手の曲はあまり向かない気もするが、裏声は意外と綺麗でいい感じ。
メロディは全般的にはベタだが、サビ終盤の流れは良い。
しかしギターソロが退屈だったり、アレンジがあっさりしすぎていたりと、今ひとつ印象が薄い曲。
6.Summer Memories ★
引き続き大野愛果によるベタベタなバラード。コーラスの入れ方も何だかもう。
上木の詞も、確かにGIZAらしいのだが、どうにも分かり易すぎる英語と、夢とか明日とかのポジティブ詞、昔の恋を引きずる話ばかりで、バリエーションが無い。
詩人気取り、メンヘラ要素が無いのが個性とはいえ、まんますぎるのもどうなんだ。歌は強弱織り成して丁寧に歌い上げているが。
7.I'm your side ★★
普通のビートロックという感じの岡本曲。
今作中5曲を作曲、8曲を編曲している仁志岡本だが、やることなすこと特徴が無い。何がウリなんだ仁志。GIZAにとって仁志は次代の主力候補なんだろうか。
上木の歌唱力のお陰でそこそこ聴けるが、普通上木がサポートされる側のような。
ところで曲名は然るべきところにonでも入れると引き締まる気がする。
8.Walking down the street ★★★★
大島こうすけによる、いきなりハードなシャッフルのロック。ウンジャマラミーのきこりのステージの曲みたい。
3連系のギターのフレーズがビシビシ決まるアメリカンな出来で、ここまでの曲とかなり毛色が違う。
ベースの絡ませ方も凝っていて、歌メロとリズムをがっちりリンクさせたサビも迫力がある。エフェクト過剰気味なボーカルもハードな曲調に合っている。
引き出しが増えた感のある曲。
9.Secret Night ★★★★
doa徳永による、寺尾聡のようなムーディーな曲。また妙な路線を…。サビはほとんど男性コーラスが歌ってるようなもんなので面食らう。
正直一聴目の印象は「何だそのワザとらしいピアノは!?」みたいな感じだったが、馴染んでくるとそのピアノのキメが待ち遠しくなる。
くぐもったアンニュイな歌い方も結構こなしている印象。心の底からカッコイイとは思わないが、何だか惹かれるダサカッコイイ曲。
この路線に絞ることはなさそうだが、引き出しは増えたはず。
10.Crash ★★★
川本宗孝によるハードでアッパーな曲。岡本曲に比べるとシンプルで太く、やや洋楽寄りな印象。
倍テンポにしたり戻したりのさじ加減がビートロックの王道を思わせる。ベタで熱い詞も懐かしめの曲調に合っている。
というか上木の詞はこういう曲にしか合わない気も。GIZAに生きるしかないのか。
それでも曲名くらいはもう少し意外性があって良いような。
11.Good-bye my love ★★
他人の曲を数曲挟んだあとに聴くとやはり薄味に感じる、仁志岡本の普通曲。
別にひどい訳でもないが、特に何も無い。どっかが悪いかわりにどっかが良い、みたいなバランスになってる気もしない。
一応他の岡本曲に比べればギターが凝ってるか。
サビやAメロで延々弾いてるネメネメしたフレーズが意外といいような気がしないでもない。別に珍しくもないフレーズだけど。
12.君去りし誘惑 ★★★
大野の手によるアッパーなビートロック。
仁志にも大体同じような曲があるので役割が被る気がするが、この曲は歌メロの音数を詰め込み気味にしてあるところに大野の意図が出てる気がする。
強拍やシンコペーションでのアクセントのつけ方が印象的な上木の特性が色濃く出るのはやはりこうした曲か。
強弱のメリハリをつけながらもリズムはタイトに歌い上げている。根っからのビート系。
13.Best of my life ★★
これも仁志曲かと思ったら川本曲だった。ミドルテンポの割とシンプルな曲。
中盤過ぎにリズムに溜めを作ったりして変化を持たせているが、全般的にはベタで特徴が薄い。終盤の上げ転調がらみのアレンジは凄まじくベタ。
演奏の表情で変化をつけたいところだが、今作はギタリストが7人も参加してる割にはみな特徴的なプレイがなく、どれが誰だかピンとこない。
ちなみにそのうち岡本を含め6人がベースも弾いちゃってるという好き勝手ぶり。お前ら遊び半分か!?
色々試すのはいいと思うが、上木でやらないほうがいいと思う。
14.愛は暗闇の中で ★★★
ZARDのカバーという事でトリに配置されたが、今回この手のアッパーな曲だらけだし、単に流れを変にしただけといった感じの曲。
この曲のみ坂井の作詞なのだが、彼女の半端な英語挿入センスがここまでの流れの中にこの曲を何の違和感もなく溶け込ませている。
文末をちょろっと英語にする上木節は坂井の影響に思える。ある意味上木は来るべくしてGIZAに来たのかも。
曲はともかく本人のキャラはあまりGIZAっぽくないかと思っていたが、実はavexにとってのGIRL NEXT DOORみたいな存在なのかもしれない。
総評.★★
GIZAの切り込み隊長・仁志の新作を集めた作品集。とでも紹介されかねないほど踏み台にされかかってる感のある上木彩矢3rd。
前作より楽曲のバリエーションが増えたが、やはり保守的な曲が多く、
自社スタッフで賄おうとする限りはこの先これといった展望は無いような印象を現時点ですでに受けてしまう。
しかも本人もいかにも昔のビー系好きっぽいので、社内的には今の路線で誰も困らないという、傍目には歯がゆい状況となっている。
カエラのように何でもアリな雰囲気ではないし、外注しても相性の良し悪しが露骨に出そうだが、
取り敢えず色んな人に曲をもらったほうが面白くなりそうに思える。
その新顔が今回の岡本に当たるのだろうが、彼が見事なまでに前作の路線そのままの曲を用意してきてるので、あんまり意味がなかった気がする。
というか普段から曲を書いてる人を使ったほうがいいと思う。
歌は圧倒的とまではいかないまでも充分実力があるので、あとは曲次第。
比較的合いそうな浅倉でも、何から何まで真逆のヤスタカでも、もっと簡単に抑えられるcuneとかその辺の中堅バンドのソングライターでもいいので、
外から曲を貰えば作品は良くなると思う。
ただ、GIZAというブランドイメージを出すことには成功している作品だし、多分これで狙い通りなのだろう。
GIZAが良く分かる1枚。仁志岡本のつまらない曲に興味がある人なら。
(★5個が満点。)