アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : あんにな。

Reviewer:21st. 369-371 名無しのエリー2009.05.01.

1.initial ★★★☆
ピアノとヴァイオリンによる1分強のアルバム導入的なインスト。
後ろの方でかすかに鳴る風鈴の音がどこか清涼な寂しさを感じさせる。
後になって出来ただけあってかなりアルバムの性格が出た曲。
2.子午線 ★★★★☆
ピアノのコード音とAnnabelの歌に徐々にパーカッションと笛と思われるちょっと間抜けな音がかぶさる。
サビに突入するとともにエレクトロニクスも入るが静かな印象はそのまま。
歌詞はAnnabelのアルゼンチンと日本という二国間を行き来しながら幼少期を過ごしたことに起因するノスタルジーが良く表現されてると思う。
3.うわのそら ★★★☆
相変わらずピアノが主役。でもちょっとニカ色強めかな。
ダウンテンポというか速度を落としたブレイクビーツと淡々としたAnnabelの歌が独特の浮遊感を生み出す。
サビのコーラス/掛け合いは中々面白いけどライヴでの再現度外視だなぁ。
4.肥えた太陽 ★★★★☆
一転して激しめのナンバーだけど相変わらずダウナーです。
ピアノがかなり強めに出ておりイントロ/Aメロはメローなジャズ風味。サビでのヴォーカルはかなり演劇的、演技的でこのあたり好き嫌いが強く出そうではある。
演奏の方は眩暈を覚えそうな、倒錯した激しさに溢れてます。
5.目蓋 ★★★
ちょっと妖しげな呟きで導入し、ピアノとコントラバス、エレクトロニクスが入ると霞がかったような夢見心地な世界を作り出す(相変わらず呟きは続いてます)。
サビはちょっとビート強めに、ハープらしき楽器も加えながらとても綺麗に進行。
使用楽器/音色がそこそこ多いわりに、全体的に静かな雰囲気が保たれていると思う。
6.シメオンの海 ★★★★★
水とか波紋を想起させるような浮遊感あるエレクトロニクスで導入。
扇情的なヴァイオリン、7thあたりだと思うがやや不安定なコードを使い不安を煽るピアノが象的なAメロから徐々に盛り上がっていく…がBメロで一端収束。
Annabelのコーラスから徐々にサビへと入るが歌詞と荒れ狂う波のような演奏のためかなり幻想的。
7.対象a(adonde vuelvo) ★★★★★
「ひぐらしのなく頃に 解」ED曲のリアレンジ/リミックス。少しボサノヴァっぽいコードを使うギターが全編的に鳴らされている。
原曲の6/8が5/4に変更されているものの(inazawaは6/8→5/8と言っていたが明らかに5/4の方がとりやすいと思う)、
少し崩したヴォーカル(再録)により初聴時には一瞬混乱するかもしれない。
全体的に生演奏で原曲以上にジャズ要素を感じる。リミックス、というよりは少々ダブ要素がある気も。
総評.★★★★★
「対象a(アー)」でデビューを飾ったanNinaの1stミニアルバム。
「対象a」が好きでそのリミックス、ということでちょっと興味持って試聴したら異常な完成度にビビったので買ったら他の曲も良くてびっくり。
本人達も言っている通り「ノスタルジー」を主たるテーマとして全体的な雰囲気が統一されていて聴きやすい。
しかしながら変拍子の多様や、かなり凝った進行など、実験的/テクニカルな要素も多いのでそういうのが好きな方にもオススメできる。
フルアルバムの完成に十分期待を寄せれる出来。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:22nd. 594-596 名無しのエリー2009.12.16.

1.inicial ★★
1分半程のインスト。午後の少し気だるいような雰囲気。
少しこもった感じのピアノの和音とバイオリンの旋律が帯の売り文句となっている憂愁の世界へ誘う。
2.子午線 ★★★
どこまでも透明。
人声、鳥の鳴き声のようね笛の音、生活音のように自然なパーカション。アンビエント的要素も感じられる。
ボーカルは歌うのではなく、話しかけるような感じ。過去の自分へ帰っておいでと訴える。ただその自分には声が届かないらしい。
自分に対して自分で訴えるが、自分はもう(まだ?)気づかないというテーマを自分が歌っている。
書いててややこしくなってきた。
3.うわのそら ★★★★
生楽器と電子音が交錯するように流れ、タイトル通りなんとも落ち着きのないメロディが続く。
ウィスパーボイスどころの話ではない。声出せ、声を!と言ってしまいそうな程のボーカル。
あんまり歌詞とか耳に入ってこない。というか気だるいので、頭が認識しない。
でもそんな雰囲気は平日の午後のふとした瞬間に感じる、何とも形容し難い変な気持ちに通じる。
なんか気だるくなりつつ、歌詞カードをふと見たら、うわのそらは『上の空』という意味だった。
なにそれこわい。
4.肥えた太陽 ★★★
ジャズBARで流れてそうなマイナーで大人なピアノから始まり、そのままジャズテイストなままで進むと思いきや、なにやら不穏なベースが…。
雰囲気が変わる。なんかスキャットみたいな事やってる。打ち込みのスネアがダダダダダダと鳴り続き、シンセが音階を駆け上がってくる。
そんな中、シャーンとシンバルが鳴らされると暗黒ミュージカル開幕。切迫したセリフ調のボーカル。曲を通して、不穏な和音を鳴らし続けるピアノ。
最後は変な吐息で終わる。ホラー。
5.目蓋 ★★★★
あぁ…前曲のスキャットが続いてる…こわい
と思いきや、先程までの狂気はなくて静かに呟き続けてる。まぁそれも怖いけどw
例外なく序盤は落ち着いた感じで進行していく。
進んでいくうちにハープやら電子音やらが静かに入り乱れ、優しげな音の洪水状態になる。
展開も何もないのだけど、4分半がいつの間にか終わるつかみどころのない不思議な曲。
6.シメオンの海 ★★★★
波紋のような音が終始続いて、深海を漂うような印象を受ける。
歌詞と音楽が非常にリンクしていて、「波紋」や「深海」という言葉は歌詞中にあるし、
「広がる」という歌詞と同時にストリングスが入ってきて、ぶわっと視界が広がっていく感じに。
サビはコーラスをメインに持ってきて、スラーッと流れるような印象を与えるのが、曲の盛り上がりを良い意味で抑制している。
まさに深海のような静けさとほの暗さがある。
7.対象a(adonde vuelvo) ★★★★★
ひぐらしのなく頃にのEDテーマのリミックス。
ジャジーだった元の曲とは全く違い、変拍子で最初はどこか切羽詰った様な不安感に駆られたけど、
慣れてくるとそのリズムに体を預けるくらいの心地よさに。
ボサノバ的なリズミックなギターと感情を昂らせる様なストリングスは一見、相反して聴こえるけど、何ともいえない不思議な絡みを展開。
鳴っているリズムとはちょっとズレたようなボーカルがまた不思議な気持ちよさ。
因みにサブタイトルの意味は「帰る場所」。今作のアルバムタイトルnatal(故郷)に通じる所がある。
総評.★★★★
annabelとinazawaのユニット、anNinaのアルバム。
対象aでこのユニットを知って、その儚く脆いサウンドと歌謡曲とも言えるようなメロディアスさ、
アクのない澄んだボーカル…と久保田早紀とかあの辺りの面影を見て、ほぼ何も知らないまま購入。
まぁ求めていたものとは違ったが、結果オーライ。
エレクトロニカ的音楽を軸におきながらも、ジャズやボサノバの匂いを漂わせるような楽曲あり、アンビエント的なスパイスありとバラエティに富んだ7曲。
望郷をテーマにしているだけあり、日本昔話のエンディングを観たような胸をキュッと締め付けられるような感情も勿論あるけど、
M6のような無感情のまま海に身を委ねるような浮遊感が全編に漂ってもいる。
annabelのウィスパーボイスは物凄いバックにマッチしているし、演奏も無理に盛り上げない。自然体な音楽。
メロディもキャッチーとは言えないしサラーッとしているが、変哲な物でもないし、耳が疲れない。
ヒーリングミュージックとして最高だが、構築された音世界、変拍子満載でプログレのようにじっくり聴いても面白いという絶妙のバランスをもった作品。
(★5個が満点。)