アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : あおぼうず。

Reviewer:避1st. 80-82 名無しさん2009.08.07.

1.桜の足跡 ★★★★☆
先行シングル。一曲目に相応しく、ポップで爽やかな曲。
高音のボーカル、綺麗なメロディ、疾走感のあるバンドサウンドと、藍坊主の持ち味が存分に発揮されている。
抽象的で独特の歌詞が面白い。恋愛っぽい曲だけど、聴く人によって色々な情景が見えそう。
曲構成が秀逸で、途中でダレたり、飽きが来たりしない良曲。アルバムが名盤であることを予感させる。
2.テールランプ ★★★☆
BUMPとかがやる物語風の曲を、藍坊主がやってみた、という感じ。
でもBUMPのそれに比べ明るい曲調で、前曲の流れを汲みポップ爽やか路線。藍坊主のこういう曲には外れが無い。十分に一般受けしそうな感じ。
Cメロ~ギターソロの流れは完璧。アレンジの上手いバンドだと思った。そして、この曲も歌詞のセンスが随所で光ってる。
3.スプーン ★★★☆
シングル曲。以後このアルバムにシングル曲は入っていない。(カップリング除く)
爽やかで疾走感があるのは変わらないが、この中ではパンク時代の面影が垣間見える曲。
そうは言ってもアクの強さは全く無く、キレの良いメロディセンスが光る秀曲。
家族愛を歌う歌詞も、素朴で地味っちゃ地味だけど、良くまとまっていると思う。
「食器ドラム」っていつ思いついたんだろうか。
4.ハニービースマイル ★★
こちらも爽やかなナンバー。歌詞は理解不能。多分、理解されることを目的にしていないんだろう。
でも楽しさは伝わってくる。南米っぽいパーカッションがアクセント。
ただ、アウトロがややグダグダで、短い曲なのにダレた終わり方をしてしまう。実験的な要素や、遊び的な要素もあるのだろうが、ちょっと良くないかな。
サビは相変わらずメロディアスなので、悪い、ってほどでもないが。
5.コーヒーカップと僕の部屋 ★★★
ここでミディアムテンポの曲。イントロのギターが良い感じ。
M-2と同じく物語風の歌詞だが、こちらは恋愛~失恋の過程をショートムービーのように表現した感じ。
ちょっと捻って、Bメロが1番には出てこない構成になっている。歌詞の構成上、それが正しいと思う。
流れで聴くと良い感じだが、曲単体だと地味で印象に残り辛いかも。
このバンドは間違いなく良いバンドだとここまで思ったけど、地味なのが欠点かな。
6.0 ★★★★
異色の曲。打ち込みを前面に押し出した無機質なトラックが、多曲とは一線を画す。
ライブとかで大丈夫なんだろうか、と心配になるくらい無機質なAメロから、お得意の高音サビに持っていく所はやられた。
歌詞はどこまでも抽象的で、比喩的で、まるで抽象画を見ているよう。
淡々とした、機械のような印象を受ける曲。人によってはツボにはまるんだろうな。
何はともあれ、この流れもあいまって、凄く衝撃的な一曲。
7.ジムノペディック ★★★★★
文句なしの名曲。ピアノの不安定で焦燥感を煽るイントロから、切なさと激しさを感じる美しいメロディ。
サビではボーカルの高音が炸裂。メロディ、グルーヴ、歌詞、何から何まで今作ベストトラック。
本当に群を抜いてる曲だから、藍坊主を知らない人でも聞いてみる価値が十分にある。
歌詞が凄い。まさしく抽象画のようだ。最近の曲だと、「ハローグッバイ」に繋がる物がある。音楽って芸術だよな、と思う一曲。
8.泣いて ★★★★
ここでバラード。タイトルの通り泣ける曲。ピアノを強く出した失恋の曲。
アレンジも曲を通して「泣き」を意識した感じで、凄く切ない仕上がり。前曲ほどのインパクトは無いが、単体としては十分な出来。
このボーカルはバラードの適性が高いと思った。(後の「マザー」、「沈黙」に続く)
狙った感がしないでもないが、それはそれで良い曲。
9.ベンチで手紙を読む老人 ★★★
バラードの後で待ってましたと言うばかりの曲。アルバムで一番ロック。
歌詞はまたしても抽象的で、内側から吐き出している感じがする。どっかの外国の民謡とかでありそうなメロディーで構成された、またしても異色な曲。
このアルバムは何というか、挑戦的、実験的な要素が強いアルバムだと思う。
だからこそ「らしさ」が出ているんだろうな。この曲も好き嫌いありそう。ライブ向き。
10.柔らかいローウィン ★★★★
よく意味の分からない、抽象的な歌詞がまたしても登場する、ミディアムテンポのポップソング。
「イグノフォン」、と本人達が言う、歌詞の中でしか意味を持たない、造語のようなものが登場する。
それが、タイトルにもある「ローウィン」で、意味は確か「光の揺れ」みたいな感じだったはず。
曲自体は聴きやすく、メロディの綺麗な爽やか路線。ラスサビの裏声は相当高い。ボーカル出るなあ。M-1のカップリング。
11.マイホームタウン ★★☆
アルバムを締めるのは、フォークソングっぽい三拍子のポップソング。子供達のコーラスが入っている、カントリーチックな曲。
タイトル通り、彼らの故郷小田原を歌った歌。
悪い歌ではないし、彼らがこれまでのアルバムで最後に持ってきた曲もこんな感じだった。
でも、ここまでの流れを考えると、少しもったいないかな。
総評.★★★★
藍坊主の中でも名盤とされている「ハナミドリ」
過去のパンク路線はどこへやら、爽やかでポップに開けたアルバムである。この路線は向いていると思うけど、ここから迷走が始まるんだよなあ、と思うと・・・。
実際、名盤だと思うし、全曲水準が高く、特にM-7はロキノン好きなら絶対はまる。一聴の価値あり。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:17th. 442~446 名無しのエリー2008.04.16.

1.Esto ★★★
エスペラント語で「存在」という意味。爽やかな楽曲でアルバムの世界観に入りやすいように仕上がっている。
タイトル通り「存在」がテーマとなっていて、なぜ在るという言葉ができたのか、なぜ無いという言葉があるのか、に着目している。
爽やかな曲だけあって地球上に在るあらゆる物体(空、風、鳥、スズラン、光、闇、など)と、
人間の持つあらゆる感情(焦燥、混乱、不安定、破壊、放心、絶望、喪失、嫌悪、など)をひっくるめて世界としている。
存在という言葉がなければ、バランスを取る必要はないし、壊し壊されもないと。
疾走感はあるが歌っていることはある意味堅苦しい。好みは人によるか。
2.ハローグッバイ ★★★
4thシングル曲。正統派ギターポップという感じの一曲。ピアノの使い方がうまく、雨っぽいイントロの表現に一役かっている。
秋の夕暮れを思わせる風景描写と、「僕」を「僕」として捉えられない自分にサヨナラを告げる曲。
自分の心にポッカリと空いた穴をドーナツの穴に喩え、心の穴は意味のある存在なのかと自問自答する歌詞は藍坊主らしい表現で感心した。
リアレンジされていてシングル版よりもドラム音が響くようになっている一方、ギター音が小さく聞こえるために、
曲が本来持っている疾走感が失われているように感じたので評価を1つ落とした。
3.コイントス ★★★
5thシングル曲。ドラムとギターが攻撃的な爽快感溢れるロックナンバー。
うねるようなベースとの掛け合いはドラムの渡辺とベースの藤森との共作ならではの完成度。結構このイントロは中毒性があるように思える。
歌詞は、フラフープの輪が4分の1回転するだけで棒に見えるように、距離感を感じる君と僕も「僕ら」になるといった感じのことを歌っている。
指で弾いたコインのように、視野や考え方を広げていけば、個性が立体になる。
この個性(≒感性)については後のアルバム曲で再認識される為にアルバムのこの位置になっている。
4.ピースサイン ★★☆
一転可愛らしく明るいポッフなイントロが流れる。歌詞も可能性や英雄などポジティブな言葉が選ばれている。
ザビでは少しテンポが変わりアップテンポになる。割とライブ化けする曲かもしれない。
あかぎれや豆だらけの手や鉛筆色した手でも何かを作って、掴んで、守って、拾ったりできる。そんな可能性を持っているんだよと諭すように歌っている曲。
アルバム「ハナミドリ」や「ソーダ」のポップな曲が好きな人にオススメ。
5.僕は狂ってなどいない ★★★★☆
かなり歪んだギター音が印象的なパンクっぽいロックソング。イントロからネジが一本外れたかのような変な感覚に陥れる。
歌詞も冒頭からイグノフォン(造語みたいな物)を使い不思議な世界観を描く。
イグノフォンを使ったかと思えば「こんな造語、意味など無いのです。」と真っ向から否定するあまのじゃくな歌詞。
リンゴという言葉は人が付けた名前でありその物体が何であるかは味や色や情感、そして自分の感性で分別しなければならない。
でもそんなことを考える「僕」はこの世界から見たら狂いである。
間違いなく、メロディも歌詞も狂っている。カオスである。でも、このちょっと引くぐらいの壊れ方が結構癖になる。
「良いぞ!もっとやれ!」と思ってしまった自分は間違いなく狂っているのだろう。
6.空を作りたくなかった ★★★★
6thシングル曲。「僕は狂ってなどいない」の後だとカオスに感じるから不思議。
イントロはキーボードとアコギ(だと思う)、そしてドラムがループしている。
夢から覚めたときのような意識のはっきりしない気分に誘われる。浮遊感とも言える。
そのままAメロが展開しサビに入る前にエレキギターが入る。そしてサビが終わればまたイントロの状態に戻る。
またAメロ、サビ、戻る。とてもシンプルな展開である。
だかこのメロディはとても複雑であり、歌詞も含めとてもシリアスなアレンジとなっている。
歌詞は、形も存在すらもわからないものを人は輝きを壊すことによって、意味を与えている。例えば空気。
息をして、心臓が動く内はその存在すらも忘れているが、それが破壊されることにより存在に気づく。
7.羽化の月(FORESTONE ver.) ★★☆
4thシングルカップリング曲。オーケストラアレンジが施された曲。
イントロから虫のさえずりが始まり、弦楽器が増えている。ギターなどの演奏はさほど変わらない。
この曲の特徴は中盤の転調である。そして間奏のギターソロは今までの藍坊主の中でも1、2を争うぐらいできがいい。
物語調の歌詞は主人公のルノという生物が風に乗って空を飛ぶと言うもの。飛ぶ辺りで転調しテンポアップ。
最後はイントロのテンポに戻り静かに終わる。
空を飛び回っているときの風景描写を擬態語や擬音語を多用することにより詞のイメージが幅広くなっている。
アルバムのコンセプト的には★4つをあげたいが、カップリング版の方が曲として聴きやすい。カップリング版と聴き比べしてみると面白いと思う。
8.不滅の太陽 ★★★☆
「羽化の月」の続編的位置付けの曲。2曲セットで聴くととても切ない物語だということがわかる。
ピアノのイントロが不思議な世界感を引き出す。メロディが綺麗でボーカルものびのびと歌っている。
ルノは風に乗り太陽を目指す。でも太陽にたどり着く前に力尽きてしまう。ルノは逝ってしまうが、卵には新たな生命が宿っている。ルノの命は続いている。
この曲も擬態語や擬音語が多く解釈が少し難しい。
カップリング曲の持つ物語を上手く受け継ぎ、世界観を壊さずに終息させた。2部作としても良くできている。
9.深く潜れ ★★★★★
ギターロックナンバー。先ほどまでとはうって変わって削ぐような荒々しさのある爽快感のあるアレンジが成されている。
サビのキーがとても高くファルセットを使いとても綺麗なメロディになっている。
心を樹に喩え、たくさんの言の葉とたくさんの実を付けた樹になるため深く根を張るんだと歌うメッセージソング。
歌の構成、歌詞、メロディが突き出す訴えはかなりパワフル。藤森らしい名曲である。
強い人になるため、地位や感情を持つようになるため、そしてなにより「僕は今、僕のこと、好きだ。」と言い切れるように、
太い枝や幹をつけ、太陽に当たるために、深く潜れ。
アルバムの結論でもあり、感性を形作るために必要なプロセスを歌っている重要な曲。
10.言葉の森 ★★★☆
7thシングル曲。エッジの効いたギターから始まる明るいポップソング。
後半辺りのアレンジが素晴らしい。大サビではコーラスをいれ、ギターソロ。ハードロック的なソロだと思った。
本能と理性について書かれた歌詞は、嘘を本当として教えられたら本当になるし、その逆にもなり得る。
理性と向き合うことにより本能とのバランスがとれる。言葉においても必要だから存在するし、要らないと思われるモノも必要だから存在する。
だから人々は数ある中から本当を選ぼうとするし、理性を重視する。存在を肯定することから始まる歌だ。
アルバム全体のまとめとして素晴らしい働きをしている。
そしてこの曲を先行シングルとして発売することによりアルバムの世界観に入りやすくする要素となっている。
11.アジサイ ★★☆
フォークソングのような切り口で展開するポップソング。ラストを飾るにふさわしい曲調は、今までのアルバムにも通ずる。
何も特別な事をしないで、ありのままの自分で居ることの大事さを歌った曲。詞の通り、飾らない音を自分たちらしく鳴らしている印象がある。
よく言えばそうなるが、悪く言えばありきたり。
藍坊主でなくてもかけそうな歌ではあるが、詞の切り口はとても藍坊主らしいし、ラストっぽさも藍坊主らしい。
良くも悪くも、彼ららしくありがちなJ-POPな楽曲に仕上がっている。
総評.★★★★
アルバムの構成、詞の構成、メロディの構成、全てが安定している。
必要なポジションでアクセルを踏み込み、丁度良いタイミングでスピードを緩めている。
11曲入りで45分と、とてもコンパクトにまとめている。5分を超える曲がないので、聴きやすい。
メロディも覚えやすく、ライブ受け良さそうな曲が多いので(ノリは別として)、良いアルバムだと思う。
ただ、詞については少し癖があり、とても難解であり、迷走しているようにも思える。哲学的な詞を持ってくると、思想に左右される為、万人の共感が得られづらい。
さらに難解な詞なので、解釈の誤解もあり得る。
このレビューの詞の解釈も私のもので、メンバーの意図とズレているかも知れない。
ありとあらゆる「存在」について深く考えるというテーマは良いが、深く考えすぎて、聞き手とのズレが生じる可能性も否定できない。
このアルバムの結論は出たが、正解・不正解のない哲学的な詞。なかなか抜け出せない森に迷い込んでしまったようにも思える。
その森を抜け出せるかどうか。さらに迷い続けるか。
個人的には今の方向性は嫌いじゃないし、「05. 僕は狂ってなどいない」のような曲は好きなので、
もうちょっと迷っても良いんじゃないかと思う。そう思う私も狂っているわけだが…。
いろんな意味で今後の活動を期待している。
シングル曲を試聴して良いと思ったら、このアルバムはとてもオススメ。前作「ハナミドリ」風を期待しているのなら、あまりオススメできない。
難解な音楽に方向転換しつつあるので、違うアーティストとして割り切るぐらいの気持ちが必要かも。
ジャケ写はhozzy作。とてもきれい。歌詞カードは手書き。
悪くはないが、読み辛いのと、書き直しを線で消すのが(間違えても書き直さない)、不満点だった。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。作詞・作曲者情報は表略しました。)

Reviewer:25th. 69-73,75-78 名無しのエリー2011.03.25.

1.低迷宮の月 ★★★
オープニングは幻想的なスローチューン。これまで藍坊主のアルバムの一曲目は疾走感のある曲ばかりだっただけにちょっと意外。
曲としてはまあ普通にいい曲だが、あまりこのボーカルにあまり合ってない気がする。
はっきり言葉が聞こえるだけ、滑舌にところどころ違和感が目立つし、もともとボーカルは高音が武器なのに、ちょっとキーが低すぎる感じもある。
とはいえ、サビの突き抜け具合はさすがという感じ。このバンドは(?)という曲も多いのだが、何だかんだサビではまとめてくる力を持っている。
歌詞は幻想的で寓話的な感じ。静かな湖に満月が写っている情景が浮かぶ。
ちなみに、この曲は藤森(Ba)作だが、歌詞はなんだかhozzy(Vo)みたいな感じだなと思い調べてみたらエピソードあり。
ここでは割愛するので興味もったら調べてみてください。
2.ラストソング ★★★★☆
かなりキターな曲。アップテンポで飛ばしてく疾走感満点なロックチューン。
棘々で文字量の多い歌詞がしっかりとメロディーに乗っている。
最近のロキノンのバンドには、歌詞に偏重するあまりメロディーが死んでいる印象があるが、このバンドはうまく両立していて、頭一つ抜けた印象。
またアレンジがうまい。カッティングの掛け合いのAメロからふわっとサビに抜けていく展開はさすが。ギターソロの出来もよい。
「ハロー、ハロー」と繰り返す裏声のサビも心に残りやすい。
ただ難を言えば曲自体が長い。勿論長さを感じさせないよう展開が多く、とても秀逸な作りではあるが、アップテンポで長いと敬遠する人もいるだろう。
ということで★を0.5マイナス。
3.オレンジテトラポット ★★★★☆
彼らは曲調が多彩なバンドだが、この曲は前々作のジムノペティックや前作のハローグッバイの系譜の曲である。
彼らの十八番にあたる疾走感のあるギターロックの秀曲。4つ打ちの淡々としたAメロから、サビの感情の昂ぶりまで持っていく展開が素晴らしい。
さらに二番のサビの前のフレーズは圧倒される。最後はイントロのシンセ系のフレーズを歌メロに落として曲全体を回収して終わる。
一般的に色々な曲想を見せることは、曲に散らかった印象を持たせてしまうというリスクがあるのだが、このバンドについては一曲ごとによくまとめている印象を受けた。
歌詞も抽象度の高いテーマを分かりやすく書き上げている。ボーカルが哲学大好きなんだよね。
4.ポルツ ★★★☆
火葬の様子を歌った歌である。
といっても葬式行進曲の悲しく重い曲調ではなく、どちらかといえば能天気な感じ。これもアップテンポの曲である。歌詞に注意しなければ火葬の曲だとは気付かない。
曲自体は意味不明な感じ。もちろん狙っているのだが、まるでミスってるような変則的なコード進行、複雑なリズム、歌メロももちろん複雑怪奇である。
しかし、サビではうまく突き抜けたキャッチーなメロディに落とし込んでいる。
また、曲中ではhozzyのラップが披露されている。
誤解を招かないように言うと、ラップといっても意味のある文章のフレーズや、韻を踏んだフレーズを歌うわけではなく、数字を喋ってる感じ。
トリッキーな曲はどうしても好みが分かれるところではあるが、この曲に関してはポップさをも獲得しているため少し高評価。
5.おいしいパン食べたい ★★★
ギアを落としてマターリなバラード。
内容的には前曲の続きという感じで、亡くなった人への思いを歌っている歌である。タイトルに似合わず切ない系の真面目な曲である。
日常的な風景になぞらえて、うまく悲しみや切なさを表現している文学的な歌詞と、ちょっと前に出てるピアノの音色がかみ合っている。
ただ、曲としては若干冗長なイメージで、マターリしすぎた印象。もしかしてボーカルがそもそもまったり系バラード向いてないのかも。
サビは相変わらずキャッチー。メロディには困ってなさそう。
好き嫌い分かれそうだから星3つ。個人的にはスルメな曲。
6.グッドパエリア ★★★★
だんだん意味が分からなくなってくるカオスゾーン突入。
この曲は物語チックだけど、歌詞の言葉は気取った感じではなく、「ヘイ、ババァ」とか言っちゃう。
それでも最後はなんとなく切ない感じで終わる。このアルバムはなんとなくツンデレっていうかそういう裏表な曲多い気がする。ひねくれてるなあ(いい意味で)。
曲はどこから説明したらいいやら・・・
アコーディオンみたいな音色とコーラスが前に出たイントロから、のどかで牧歌的な感じでAメロが流れる。そこからなんかメロコアっぽくなる。
しかしシンセ系のカオスなメロディが曲を引っ張っていって、疾走感に引っ張られてギターソロやら何やら色々入ってきて3分くらいで曲が終わる。
メロディのセンスとアレンジの構成力が高すぎる。曲としては非凡な才能が発揮されまくってるのだが、ついて来れない人も出始める頃だろうか。
7.氷に似た感応 ★★★☆
前々々作の「水に似た感情」の続編?派生物?みたいな立ち位置の曲。ベースだけ似てる。
今作から現れたラップ炸裂。さらにそれも裏声でラップしてるから気持ち悪い(いい意味で)。
演奏隊がかなり頑張っている。ドラムいいね。ボーカルはほぼ常時裏声だから本当に気持ち悪い(いい意味で)。
なんていうか、よく作ったなって感じの曲。実験的とかそういう次元を超えている。
歌詞もまた凄い。ほんとにぶっ飛んでる。二番のメロとか「あなた」って左右から連呼してるだけ。
最後のサビで轟音投入。カオスな感じのまま特に回収されず終わっていく。
こういう曲は受け付けない人いるだろうよ。個人的には大好きだけど。Peopleとか好きなら気に入るのでは?
8.創造的進化 ★★★
これは以前カップリングであった「シータムン」という曲の続編?派生物?の立ち位置の曲。こちらはメロディーが似てる。
単調な4つ打ちに、わけわからん歌詞をひたすら唱え続けるボーカルが乗るカオスで怖い曲。洗脳されそうな感じ。
コーラスが入るとさらに気持ち悪くなる(よくもわるくも)。
サビではきちんとキャッチーなロックて感じになる。こういう曲をメジャーシーンできるのは凄いと思う。
だが、いかんせんプロは大衆を相手取るわけで、これは受け入れられないよな・・・って感じ。完全にヲタ向けな曲。
個人的には好きだけど、これは一般的な観点からいくと平均切るんだろう。
ドラムが頑張ってたり、ギターアレンジが秀逸だったり、聞き所は多いし、最後に曲全体をぐちゃぐちゃにして終わる辺りもかっこいい。
これが気に入らなくても藍坊主ファンにはなれるという一曲。ちなみに曲が終わってからピアノのつなぎインストが入る。
9.マザー ★★★★★
これは文句なしでしょう。ここまで来て初めてのシングルナンバー。
シングルで出たときから神曲と名高い優しいバラード。hozzyがファザーになった時に作った曲。
全ての人を生み育むのは「愛」という意味で、ここでの「マザー」は「愛」のこと。
歌詞、メロディ、どこを取っても素晴らしい曲。これが嫌いという人はあまりいないんじゃないかな。
ただ優しく綺麗事を歌うのではなく、深い考察と思考や、歌手として、人間としての経験を得たhozzyにこそ歌える曲という感じ。
バラードは合わない、と序盤で言ったが、この曲に関してはとても活き活きとしたボーカルが聞ける。
気持ちが入っているからというのもあるだろうし、歌詞を詰め込んだことで歌いやすくなったのかもしれない。
曲調は割と定番な感じだけど、ストリングスを使い大きく広げるようなことをせず、バンドの音だけで仕上げたのは正解だと思う。
とても小さなところ、個人的なレベルから普遍的なレベルへ繋がっていくような曲。
10.伝言 ★★★★☆
実はこのアルバム、このシングルゾーンはかなり神がかりゾーンです。
この曲は前作の愛というテーマに対し、hozzyでなく藤森が出した答え。
hozzyのひねくれた歌詞もいいですが、藤森の素直な歌詞もいいのですよ。曲の最後でしっかりした答えが出ている。
疾走感のある爽やかな曲調は藍坊主の代名詞。といってもこのアルバムでは初めてか。ちょっと違うけど、「桜の足あと」とかそっちの曲調。
滅多に使わないストリングスが結構前に出ている。「雨の強い日に」を思い出した。
とても爽快ですっきり聞けるので、初めて藍坊主聞く人にいいかも。
11.沈黙(月まで響くような彼らの幻灯) ★★★★★
この曲は「名前の無い色」のカップリングだった曲。それのストリングスアレンジバージョン。今回ストリングス出てくるね。
ピアノが前面に出たバラード。これもまた神がかってる。どんな人生送ればこんな曲書けるのかと思った。
またしてもテーマに「愛」を据えていて、歌詞は愛シリーズの決定版とも言うべき内容。
hozzyの個人的な思考が曲になった感じ。だからそれだけ感情移入もしやすいし、順を追ってhozzyの思考を辿っていくような印象を受けた。
初聴だとサビが少し弱いかなあ、と感じるけれど、実は一番最後に別メロの大サビが控えているという構成。そこが持つ引力が尋常じゃない。
hozzyはノルウェイの森好きみたいだけど、世界観はそれに近いかも。
12.名前の無い色 ★★★★
これもシングルナンバー。アップテンポで爽やか、ポップでキャッチーな曲。
つばき(バンド)の一色さんに向けて書いた曲らしい。歌詞は一色って名前から引っ掛けたのか色の話。
表現できない感情、みたいなのがテーマになっている。
「たった一枚のキャンバスに零れた涙が花の形になるかもしれない」っていいフレーズだなあと思う。
曲自体もどことなくつばきっぽい。少なからず意識しているんだろうな。
ちなみにこの曲はとてもボーカルに合ってるなあというイメージ。軽やかに歌えてる。個人的にPVも好き。
これも初聴に向いた曲だと思う。ただ、自分の好みとしてはギターリフをもう少し前に出して欲しかった。
13.いわし雲 ★★★★
ラストは元気の出そうな、爽やかなミディアムバラード。
サビの突き抜け具合がいいね。とても元気にはきはきしてる感じ。これ聞いてたらなんでも出来そうな気がしてくる。
明るくていい曲。ラストじゃなかったら埋もれたかもしれないが、ラストにあってこそな感じで、しっかりと役目を果たしている。
歌詞はよく読むとニート賛歌なんだけどねwww
これまでのアルバムのラストナンバーは、やや地味な郷愁ものバラードが多く、若干尻すぼみというか、終わり方が微妙なものもあったが、
今作についてはぴったり終わっている感じ。アルバムを爽やかな印象とともに聞き終えることができる。
総評.★★★★☆
小田原発、藍坊主(あおぼうず)の自信作、過去最高傑作と銘打たれたアルバム。
このバンドの特長は疾走感だったり、爽やかなポップさだったり、歌詞だったり、メロディやアレンジのセンスだったり、結構いっぱいある。
だから誰が何を聞いてもどこかしら引っ掛かって「おっ?」と思うものはあるはず。
(ただし時期によりジャンルが違うので注意。初期はパンク寄り、中期はポップロック寄り、今はギターロック寄りである)
ボーカルは高音が特徴で、ギターはアレンジや音作りのセンスがあり、ベースは安定しているバンドの要、ドラムは手数が多く疾走感に一役買っている。
某弱者の反撃のように、キャラ意外は立たないようなメンバーがおらず、ワンマンじゃないのも魅力。(個人的にはどっちのバンドも好きです)
さて、今作については、本人達の自信も頷ける内容。マジョリティーからマイノリティーまで、誰が聞いても納得できる仕様になっている。
作曲の力もさることながら、それをアレンジして詰めていくのが上手いバンドだから、全曲それなりの水準にある。
だがそれだけ、これまでは「これ」という曲がなかった。しかし、今作では明らかに頭一つ抜けたような曲がある。
よって、これからの成長や展開に期待を込め、満点はつけなかった。だがもちろん、十分好評価に値する作品である。
誰でも聞ける作品。特にロキノン好きでチェックしてない人は是非。
(★:1点,☆:0.5点の計5点満点。)