Reviewer:22nd. 412-417 名無しのエリー2009.11.18.
1.Stairway Generation ★★★
シングル曲。とあるアニメのオープニング曲。
前作「十七歳」の幾つかの曲で示されていた「繋がりたい」という願望が前面に押し出された詞。
その「繋がりたい」という願望は恐らくこの作品の核を成すものでもあると思うので、この位置は多分必然。
曲はシングル曲の中では一番ロックというか、荒々しい(質がではなく、曲の持つ雰囲気が、という意味で)。
2.SOSOS ★★☆
アジカンの「リライト」にイントロとかが激似。もしかして意図的に似せてる?それはないか…。
とりあえず彼らには合わない曲調だと思う。歌詞はタイトルの通り。
ところで「積乱雲の向こうに城は浮いてない」っていうのは…ラピュタ、ではなくあの曲のことでしょう。
この文章じゃ分からない人も、歌詞カードを見ていただければ分かって頂けるかと…
3.changes(Album ver.) ★★★★
シングル曲。とあるアニメのオープニング曲だった。
「変化」について前向きに、かつ高らかに歌われたこの曲はこのアルバムに収録されるにあたって音に改良が施されている。
サビでドラムが強調される形となったのが一番分かりやすい改良点かな。シングル盤よりもマイルドな質感。(結構賛否分かれてるみたいね、これ)
そしてもう一つ重要な追加点。本編終了後、インタールードが挟み込まれている。雑踏の中で弾き語られる「神々 LOOKS YOU」。
しかしその歌詞は…。このインタールードはこの曲と「神々~」に小出が抱いていたとある感情を解消させるために挟み込まれたものだという。
…その感情については第三者が語っても無意味だと思うので、公式サイトのブログの過去記事を参照してください。
4.神々LOOKS YOU ★★★☆
というわけでシングル曲。とある映画の主題歌だった。
うららかでポップ。サビのコーラスの伸びが気持ちいい。歌詞は良い意味でのダサさと文学性の入り混じった独自の感性が満載。
あとタイトルは間違ってないんだよ。文法的には間違ってても本人が意図してやってることらしいんだよ。
余談ですが、シングル盤のジャケットが「小出こっち見んな」でしたがアルバムの歌詞カードのアートワークも「小出こっち見んな」です。
5.LOVE LETTER FROM HEART BEAT ★★★★★
いきなりイントロからとんでもないものがw(でも多くは語れないが実はこれ後半で化ける)
で、曲はというとポップな中にも切なさ漂うメロディはこのアルバム中でも特筆モノの出来。
そして歌詞。不可抗力によって互いの重いとは裏腹に断ち切られてしまう恋と、
それでも「あなたにこの気持ちを伝えたい」という想いが生み出す悲しみを描いたものでかなり悲しい。
(歌詞の特性上、実際の題材は違うものの、歌詞の所々は二次元のキャラに恋をする人にもグッと来るものがあるはず)
この悲しい詞がよりメロディの切なさを倍増させる。詞と曲の理想的な関係が築かれた素晴らしい曲。
6.ホワイトワイライト ★★★★
元はアマチュア時代に書かれた曲。なのでどことなく「HIGH COLOR TIMES」のころを思い出させる感触。
曲、詞ともに希望に満ち溢れている。あまりにも抽象的な表現だけれどそう形容するしかない。
歌詞カードでは(恐らく)オリジナルバージョンの歌詞とこのバージョンの歌詞を見比べることが出来る構造になっている。
バンドの成長を実感できる仕掛けであり、また曲が希望に満ち溢れたものであることも重なり何とも感慨深い気持ちになる。
7.BREEEEZE GIRL ★★★
シングル曲。とある制汗スプレーのCMソングだったがCMではよく聞こえなかった。
いかにもBaseBallBearな爽快なポップ・チューンなのだが、過去の「Electric Summer」や「ドラマチック」等、同系列のナンバーを思い出させてしまう要素が多分にある。
この路線はもう食傷気味かな…でもメロディの質と流れの自然さを買ってこの評価。
8.LOVE MATHEMATICS ★★
シングル曲。多分シングル曲で唯一のタイアップ無し。
悪い曲じゃないけれど正直シングルで出たときから超影薄い。曲の主人公のダメっぷりは好きだが。
9.SIMAITAI ★★★☆
最初にアルバムの曲目が発表された際に、「しまいたいって、何を…」と一番疑問に思ったタイトル。
疾走感のあるロキノン系っぽいナンバー。と書くと何か質の悪い曲を想像されそうで怖いけれどメロディの質は相変わらず良い。
歌詞はとにかく言葉遊びに徹していて、読んでいて面白い。あと「しまい太陽」の解説がわざわざ載っているのには噴いたw
10.海になりたいpart.2 ★★★★★
「海になりたい」というのは「HIGH COLOR TIMES」に収録されていた曲…だが、この曲は全くの別曲。
そして「海になりたい」の意味も両者の間では全く違っている。更にこの二つの曲の歌詞は、全く相反するものになっている。
前者では「海になりたい」とは否定的な歌詞の中で繰り出される、どこか逃避願望的な言葉だった。
しかし、この曲の「海になりたい」という言葉は、失意と悲しみの底にある対象を救いたいがために発せられる言葉だ。
疾走感のあるロック的なメロを経て優しい旋律が奏でられるサビへと向かい、そしてアウトロではこう歌われる。
「愛は与えるものじゃなく包み込むものだと/あなたが笑ったときに僕は気づいたんだよ」
…「ホワイトワイライト」に続き、バンドの成長を強烈に感じる名曲。そしてここから怒涛の展開。
11.レモンスカッシュ感覚 ★★★★☆
もうタイトルがダサいw…が、BaseBallBearだとダサく感じない!ふしぎ!むしろ抱いて!
BaseBallBearというバンドが持つ個性をこれ以上無いほど発揮した素晴らしいナンバー。
これが嫌いなら逆にBaseBallBearというバンド自体が受け入れられないだろう。そのぐらい彼らの個性が凝縮されている。
しかし、だからこその既視感があるのが少し残念。なので0.5点だけ引いた。本当は満点付けようか凄く迷ったんだけれど…。
歌詞も勿論小出祐介の個性が爆発というか最早小出以外には書けないような歌詞。もう、なんというか壮絶。一部分抜粋することすらままならない。
そういえば「セックス」っていう直接的な語が出てきたのはこれが始めてかな。歌詞の中では否定されてるが。
曲の終了後、またインタールードが挟み込まれる。爪弾かれるギターの音を背景に、誰かが走っている。どこに向かって走ってるのかは分からない。
とにかく走り続ける。そして扉の閉まる音がして…
12.ラブ&ポップ ★★★★★
…この曲が始まるわけです。電気グルーヴで言えば「虹」、くるりで言えば「東京」。
つまりは現時点でこのバンドが作れる最高の曲ではないだろうか。いや、そう思ってるのは案外自分だけなのかもしれないけれど。
それを抜きにしても相当良い曲。というか名曲。この曲は他のバンドには作れない曲だと思う。それでいて新境地でもあると思う。
そして歌詞の中ではこのアルバムで曲が過ぎ行く中でずっと探られていた問いの答えが出ている。それは是非とも曲とともに耳にして欲しい。
名曲だともの凄く推した割にはレビューが短いですが、正直「とてつもなく良い曲」について多くを語るだけの語彙力が無いです…、
12.5.明日は明日の雨が降る ★★★★
前曲からトラック分けされずに数分の空白の後収録されている。
性格に分類すればシークレット・トラックになるのかもしれないが、アルバムでの表記がこうなので12.5曲目。
透明感と哀愁のあるメロディに乗せてなんかものすごく暗い内容の詞が歌われている。答えは出ても暗い思いは消えないってことですか…。
アルバムを完成させるにはこの曲が必要不可欠であるのはわかる、わかるけど…最後の最後でどうしてもやりきれない気持ちになってしまう。
総評.★★★★★
(現時点での)BaseBallBearの最高傑作だし、今年度ベストのトップ3には確実に入る。
これ聴くまでずっとBaseBallBearの最高傑作は「GIRL FIREND」だと思ってたけれどそれが簡単に覆った。
曲の完成度は勿論のこと、アルバム全体の纏まりが凄まじく、まるでコンセプト・アルバム。
というかもしかしたら当人にとってはコンセプト・アルバムなのか?ブログの文章とか読む限り、多分そうなんだろう。
こういう傑作が出るとちょっと次作がどうなるのかも心配だけれど、とりあえずこのバンドはずっと追い駆けていきたいと思える一枚。
途中レビューが音楽雑誌のレビューみたいになりかけて焦ったが、それだけ人を酔わせ、感動させる力がこのアルバムにはあるんじゃないでしょうか。
このアルバムは絶対にCDで入手して欲しい。勿論通しで聴く以外はiPodに入れるなり携帯に入れるなりして聴くのはいいけれど。
一回は歌詞カードを手にとってCDプレイヤーで通しで聴いて欲しい。ついでに言えばこの作品はアートワークも含めて一つのアルバムだと思う。
更にDL版だと12.5曲目が収録されてないという不完全な仕様になっているので絶対にCDで入手して欲しい(大事なことなので2回言いました)。
あと、このアルバムは関連シングルのカップリング曲の出来もアルバム曲並に良いので興味があったら是非。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)