アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : ぼーと。

Reviewer:23rd. 51-54 名無しのエリー2010.01.31.

1.Opening 13 ☆
まあ、タイトルどおりオープニングなんですがバカになったボアダムスみたいな感じで既にまともじゃないです。
2.KILL / KILL(I Wanna Quill You, What Do You Want?) ★★★★★
アインちゃんの甘いプリティーボイスと若々しい掛け声と青い歌詞、気の抜けない曲展開、それでいて常にポップでキャッチーなメロディ。
初期BOaTの良さが2分ちょっとに凝縮された素晴らしいポップチューン。
3.SUPER LIER / SOUL FLYER(HANMBRICO) ★★★☆
随所随所でふざけていて、編曲も青春パンクバンドのパロディのようで面白い。
それでもやっぱりメロディはキャッチーでポップ。曲展開もよく練られていて、1分半の中でうまい具合にメリハリを利かせている。
因みに、歌詞は在って無いようなもんです。
4.Blue Moon ★★☆
シオリボーカル曲。これまたかなりポップな曲。というか歌詞含め少し「みんなのうた」っぽい。
ほのぼのとしているけど、個人的にあんまり気に入ってない。シュールな笑顔って一体…?
5.Listening 11 ★★
1分半の短いインタルードなのだけれど、何だか良い意味で凄く気持ち悪い音でここまでの4曲と明らかに毛色が違う。
ちなみにこの「Listening」は後の作品の中でシリーズ化していきます。
6.Fuck / You / Summer / Baby ★★★
のんびりとしたアロハ風の曲と、声のピッチの変調を少々。印象には残りにくいけれど中々変態的で気に入ってます。
7.Image ★★
どこかブルージーな曲。メロディーと相まってA.S.E.のラフな歌唱がちょっと悪い方向に出ちゃってる気がする。
相変わらずメロディーには欠陥は無い、が曲としてもそんなに面白くない。テンポも遅い。長い。つまり、全体的にパッとしない。
8.Parallel ★★★☆
ギターを手にした人なら誰もがやりたくなるようなコード進行。90年代バンドブームの匂いのするサビ。
あからさまに音がでかくなる間奏。「箱庭の柵越えて行くんだー」なんて歌詞。要するに、若い。
しかし相変わらずアウトロなど、所々で若さの範疇を超えた才能を発揮しています。
9.MARCH OF BOØAT ★★★★
インストナンバー。
タイトルどおり最初の十数秒は暢気な行進曲なんですが、突然ギターの歪みが激しくなり、と思いきや元に戻り、テンポが落ちてやけにセンチメンタルな曲になる。
そして気持ち悪いノイズが流れて最初に戻って幕。
文章では全く伝わりませんが予想の出来ない展開で中々面白い曲です。
10.12回............. ★★★★☆
メロではアインちゃんのキュートな声の元にジャクソン5っぽいポップなファンクが展開されていて、
あ、これは2曲目みたいな路線なのかなと思いきやサビに入った瞬間切なさ溢れる凄まじい美メロが展開されるという曲。
歌詞もメロ部分では中国語メインの変てこな歌詞なんですがサビでは何処か哀しい日本語詞が展開。
そのギャップでサビのメロディがやたら際立つという構造。ただ、アウトロが少し蛇足だと思う。
11.THE WORD IN THE SEASON ★★★★★
まずね、イントロが嘘みたいに良いです。このイントロだけで十分泣ける。
合唱なんかあったりする明るい、だけれども何処か哀愁が漂うビートルズ風のポップ・ナンバー。
転調していくだけのシンプルな展開も心地よく、なんだか篭り気味の音質も雰囲気を高めている。
ここまで激しい展開をする曲ばっかりだったのでこのゆったりとした感じが逆に新鮮。
12.Come'on, ~Kiyosick Metal ★
遊び曲。長いイントロを経て、一瞬のヘヴィーメタル。キヨシ。
13.Blue Blue Moon ★★★
4曲目の別バージョン。
ドラムレスのやたら静かなアレンジになっている。音数を削ったことが功を奏し、メロディが際立つ出来に。
ただ、アルバム締めに相応しいかどうかは別の話。個人的にはやや消化不良な終わり方。
総評.★★★☆
A.S.Eという変態を軸にしたふしぎバンド、BOaTのインディーズレーベルから出たセカンドアルバム。
大学生の音楽サークルノリをそのまま持ち出した前作「FRUITS☆Lee」から一歩前進。
サンプリングとかエフェクトとか、そういう音いじりが好きなお年頃。5曲目や11曲目から推測するに、録音状況が大幅に変わったと思われる。
あらゆる意味で率直だった前作とは対象的で、かなりひねくれ曲がりまくった曲ばかりが揃っている。
それでいて彼らの強みである誰でも泣けちゃう神が掛かったメロディーセンスは健在。程よい変態性もありつつ敷居も激低。
BOaTの全ディスコグラフィーの中では正直に言えば一番地味な一枚。でも聴き込めば聴き込むほどおもしろい。
この後このバンドは物凄い成長を遂げていくわけですが、その片鱗も既に見えているのでそういう意味でも楽しめます。
廃盤品が多くて財布に厳しいバンドだけれどこれと前作は安価で簡単に入手できる、つか普通にアマゾンでポチっと出来るので(2010年1月現在)
ボアダムスとかその周辺ばっかり聴いてるサブカル好きな君もアジカンやエルレが神に見えるロキノン厨な君もきっと聴けるから気軽に聴いてみてくれい。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:23rd. 447-452 名無しのエリー2010.07.06.

1.Listening 40(burn up the club '99) ★
スパイ映画のオープニングを思わせるファンキーなジャズを経てアヴァンギャルドな歪みへ。
2.Planet Foxy ★★★★☆
2曲目からいきなりエヴァーグリーンなメロディーが炸裂。ビートルズと90年代J-POPが混ざったような素晴らしい曲です。
もしだらけた曲のように思えても、後半アインちゃんが歌うまで我慢して聴き続けてみましょう。そこがこの曲のピーク・ポイントです。
3.狂言メッセージ ★★★☆
シングル曲。
素晴らしくポップで聴きやすいメロディ、それでいてトチ狂った曲構成、アインちゃんとASE君のヴォーカルの絡み、そしてすべてが感動的なラストの大サビ。
一つの曲としての完成度は十分。
しかしシングル曲だからか微妙にポップすぎるきらいがあり、このアルバムの中では微妙に押され気味。
4.グッバイ・マイ・ストレンジ・ナンバー28 ★★★★★
10分超のプログレ・ナンバー。緩やかな展開、轟音、優しいメロディ。
このあとこのバンドが辿る道筋を示している特徴的なナンバー。名曲。
いろんな音が詰め込まれているのだけれど、ちゃんとすべてが溶け合っています。
10分ありながら最後まで雰囲気が一貫していて変な方向に飛ばないのが凄い。
5.銀色うつ時間 ★★★★☆
よくこのバンドは「夏の終わり(の哀愁)を感じさせる」だとかよく言われるのですが、
そう言われる所以がはっきりとわかる、哀愁たっぷりの美メロナンバー。
感触としては「凶暴性を抜かれたブラフマン」といった感じ?あのバンドの曲のメロディが好きな人は好きになれると思う。
イントロのピアノの音色が印象的。
6.ラッキー・スイサイダル ★★★☆
アインちゃんヴォーカルのほのぼのロックナンバーがサビで急に光速デスヴォイスナンバーに変わる曲。
ここでもメロディーの質は変わらない。だけどちょっとメロディが他の曲と似てきた気も…
後半リズムがゆったりとなり、また光速へ。3分の中でいろんな展開をする曲。
7.Pretend ★★
しおりヴォーカル曲。轟音高速ビーチボーイズ?
さっぱりと駆け抜けていく。
8.代打デストロイ&サーチ ★★★★★
いきなりかなりポップな曲がここで登場。どこか能天気で浮かれた曲。
しかしサビのメロディとそこで歌われる「I Love You Dead Fish Eyes」という歌詞が最高。
なんだか泣ける。このアルバムの中でも一、二を争う名曲だと思う。
後半に入るシタールっぽい音のギターソロ(?)もイイね!
9.No Message ★★
洋楽っぽいロックナンバー。ゆったりとしたふしぎ空間。全英詞。声を色々と加工している。箸休め的な曲だと思う。
ふと思ったんだけどこのアルバムってトラックが一つ変わるたびにジャンルも変わっている気がする…
10.紋味 ★★★☆
きちゃった…このアルバムの中で一番変態で崩壊しているハイパーチャネリングナンバー。
ボーカルは意味不明にもほどがある歌詞を延々と呟いたり叫んだりしているだけ。
曲はさっぱりとしたサイケからファンク、パンク、さらには日本民謡にまで飛んでしまう謎。
もうこれは興味があったら聴いてくれ。あまりにもグチャグチャすぎて言葉でどうにかなるようなものじゃない。
11.雲番人Bと釣人A ★★★☆
静謐な轟音プログレインストナンバー。これまたこのバンドのこれからの展開を期待させる素晴らしい曲。
ただし、メロディがちょっと他の曲と被る部分があるかなあ…それさえなければ★5つなんだけれど。
12.Don't You ★★★★☆
最後の最後で大暴れ。ぐじゃぐじゃに展開していくパンクファンクロックナンバー。
ASE君のシャウトも今作一番の激しさを見せる。とにかく激しい曲なのにドラムの音が妙にバサバサしているのが奇妙。
これをシングルのカップリングにするところがなんとも狂っている。歌詞は対訳が付いているのだが読むと脳が溶ける。
13.Listening 40(close your eyes '00) ★
一曲目の続き。ぐだぐだファンク。
(初回ボーナス8cmCD)
1.Theme Of BOaT ★
激しくて短いインスト。 ちなみにこの曲の原型がアマチュア時代に出されたテープに入っているとか何とか…
2.I Can See The Radio Wave ★★★☆
奇妙な浮遊感のあるサーフ・ロック。
聴いていると思考力が奪われてぼんやりとした気分になってくる。改めてASE君はいいメロディを書くなあ。
因みに、この曲だけ初回盤を持っていなくても「NO INDIES NO MAJOR」というコンピレーションで聴くことができる。
3.Night Hawk Night(NO MIX version) ★★★★
「RORO」に収録されている「Rummy Night」の原型…らしい。
ピアノの音色に先導されて展開していくゆったりとしたプログレ系インストナンバー。
感想としては…「RORO」が聴きたい。誰かください。急にビブラートがかかるアウトロがおもろい。
総評.★★★★
変態電波バンド、BOaTのメジャーファースト。
このあとBOaTは「RORO」という大傑作を発表し解散、知る人ぞ知る名バンドとして一部でその名を残すことになる
(…のだが、その「RORO」は現在廃盤、一時期に比べれば落ち着いてきたとはいえヤフオク等では未だに価格沸騰プレミアモノ。
 自分もいろんなお店で地道に探しているが、今日まで生でお目にかかった事は一度も無い。つまり、持ってない)
で、このアルバムはそのせいもあってか良くも悪くも全体的に前哨戦の雰囲気が漂う。11曲目とか特に。
正直何にも知らずに聴けばこのアルバムでも邦楽史に残るエポックメイキングになり得る傑作だと思う。
13+3曲の中でありとあらゆるジャンルを横断していながらその全てがポップな地点に着地しているのが凄過ぎる。
例えばゆらゆら帝国やボアダムスは確かに音楽的に凄いのは分るし、聴いてて凄いと十分思えるけれど
それらの音楽が明日からオリコンチャートのトップ10に入れるかと言われたら決してそうではない。
これは売れないということを言っているのではなく、
そういう場にゆら帝とかボアダムスが入っていると単純に音楽性の高さではなく、異物感の方が勝ってしまうと思う(ただ、それは別に悪いことではない)。
しかしこのアルバムに入っている曲はアバンギャルドな香りも漂わせながら絶対的にキャッチー。
チャート番組のミスチルやYUIの並びで流れても違和感が無いほどのポップさを持ち合わせているのだ。
こういう「知る人ぞ知る」系のバンドで、何も考えずに聴くだけで理解できるBOaTは実は凄く稀有な存在だと思うのだけれど、どうか。
しかもこのアルバムでは一曲ごとに色を変えつつ、様々な方向性を見せている。それでいて一貫性があるのはもはや狂気の沙汰。
…なのだが、やはり冒頭に書いたように「このあとに何か一発やらかすな」という、微妙な空気が漂っている。
自分が「RORO」を聴いたことがないというのもあると思うが、それを抜きにしてももう一段階変身を残している感じがあり、非常にもどかしい。
それとは別に欠点を上げるとすれば、少しだけ過剰さを感じてしまう所だろうか。もっとタイトに絞れた気もする。
特に後半は雰囲気の被る曲も少々あったりして、そこがやや惜しい所。
しかしやはり素晴らしい作品。
実はこれも廃盤でなかなか中古店の店頭では見つからない盤だったりするのですが、とりあえず見つけたら買っとけ。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:15th. 355-356 名無しのエリー2007.08.02.

1.All ★★★★
綺麗だがどこかはかなげな、ノスタルジックな一つのフレーズを軸にした曲。
メインのフレーズがアコギ→ボーカル→エレキギターとリレーする中で、様々な音が少しずつ重なっていき徐々にエモーショナルに盛り上げていく。
終盤はストリングスまで自己主張しはじめ音の洪水に。
2.Akiramujina ★★★★
ギターを中心とした完全インスト曲。
前半はもろに轟音系ポストロックだがテンポや構成でも緩急をつけていて、展開が結構忙しく変化する。
後半はかなりアグレッシブに暴れており、Natsumenの原型のようだ。
3.Roots of summer ★★★
前作までのBOaTの軽快でポップな雰囲気を残したボーカル主体の曲。
曲単体で見ると普通だが、単調になりがちなこの手のアルバムにほどよくスパイスを利かせており、ないと困る存在。
6曲目と違ってアルバムの中に綺麗になじんでいるし。
4.Rummy night ★★★
完全インスト2曲目。いつもどおり最初は静かでゆっくりと、後半は激しくエモーショナルに。
わりとリズム主体で、わりとシリアスで、わりとMogwaiっぽい。
5.Tuesday ★★★★★
序盤はアコギと呟くような抑揚のないボーカルをメインに音数を絞り、徐々に音を重ねつつも、あくまで穏やかな雰囲気は崩さずにタメを作る。
半分を過ぎたあたりから一気にエモーショナルに盛り上げてカタルシスを作り出す定番のパターンなのだが、
終始終わりの雰囲気が漂っていて凄く切ない。
最後の方は切なさで涙がちょちょぎれてしまいそうです。
6.Circle sound ★★★
ボーカル主体の曲2つめ。
3曲目以上に前作の面影が強く残っており、曲自体は悪くはないものの、全体からちょっと浮いている。
ボーナストラックのような扱いか。
総評.★★★★
一部の間で傑作と名高いBOaTのメジャー2枚目にして最終作。現在絶賛廃盤中で価格高騰中。
Mogwai系ポストロックへの系統は前作ですでに片鱗はあったとはいえ、段階を踏まず一気に変化していてBOaTに対する印象がかなり変わった。
基本的にはミドルテンポでゆっくりじわじわ盛り上げていくパターンの繰り返しだが、
これ以上は無理だろうと思う場所からもう一段テンションを上げてくるのには参った。
それと結果論だが、崩壊寸前のバンド特有の緊張感や虚しさ、終わりの雰囲気が出ていて聴いているとやたら切なくなる。
個人的には2000年代邦楽アルバムの中ではトップクラスの出来。
(★5個が満点。)