アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : かーねーしょん。

Reviewer:21st. 156-160 名無しのエリー2009.03.19.

1.オートバイ ★★★★
ファンクなベースと手数の多いドラムのゆらゆらしたグルーヴが心地良い。
その中に不気味な音を入れたり「tonight tonight…」のループを入れたりカオスな一曲。
なんとなくサビのメロディが初期のユーミンっぽい気がする。
2.体温と汗 ★★→★★★★☆
かなりのスルメ曲。ぐにゃっとしたギターリフと重いリズム隊が印象的。
しかしメロディが初聴のときに何を聞けばいいのか分からないほど地味。最初聴いたときは本当に「?」だった。
ただ、聴けば聴くほど味が出る。後半の盛り上げもすごく良い。粘り強く聴くべし、な曲。
3.未確認の愛情 ★★★☆
打って変わって静かな出だしからどポップな曲。微妙に怪しげな雰囲気も。
電子音でピコピコしたと思ったら、ロックンロールなホーンアレンジが入ったり、アレンジの上手さが光る。
4.ハリケーン ★★★★
なんだかファミコン時代のゲーム音楽なメロディ。風が吹いているような雰囲気も「ハリケーン」というタイトルとよくなじむ。
ここでもアレンジの上手さが際立つ。サビに入る時の高揚感が素晴らしい。ふわっと浮き上がるような。
アルバム内としては一休み的だけど、こういうの結構好き。
5.ファームの太陽 ★★★
おそらく初めてこのアルバムを聴いたとき、大抵の人がこの曲を一番最初に気に入ると思う。爽やかでキャッチーなナンバー。
周りの曲がスルメばかりなので、何度もアルバムを通して聴いていくと印象が薄くなっていく気もする。
しかしアウトロの「ファーム落ちだよベイビー」がすげー痺れる。やたらかっこよくて、何故かエロい。
6.いくいくお花ちゃん ★★★
岡林信康のナンバーをまさかのレゲエアレンジでカバー。
「いくいくー」と女性コーラスで入れたりかなりカオス。そのくせ歌詞は重ため。
この曲も一休みな感じだけど、やっぱアレンジ上手い。やりたい放題さはアルバム一。
7.学校で何おそわってんの ★★★★
タイトルが岡村ちゃんっぽいなと思ったら、曲も岡村ちゃんっぽいハイテンポのファンク。
歌詞もエロいのかなーと思ったら、よく読むと結構真面目なこと歌ってるらしい。ちょっと悪い気がした。
ただ、この歌詞が次々と飛び込んでくる感じはただの二番煎じではない。
8.毒よ眼ざめなさい ★★★
不気味なリフと重たいリズム隊が、全体的にどろっとした雰囲気を醸し出して不気味。途中でピコピコしだしてさらにカオスに。
曲はあくまでもポップ。だけどこのアルバム内では目立たない。変態成分担当みたいな。
9.おはよう ★★→★★★★
これまたかなりスルメなシティポップス。ちょっとティンパンっぽい。
最初は捨て曲かと思った。それほど地味でちょっと聞き難いメロディ。
しかし良く聴いてみると展開の上手さも、アレンジの上手さもかなり秀逸で結構お気に入り。
10.愛のうわばみ
次への前座的なギターのみの小品。
11.愛のさざなみ ★★★★☆
島倉千代子のカバー。
これは驚いた。歌謡曲がこれほどロックアレンジとしっくり来るとは思わなかった。
特に、まさに鬼気迫るといった迫力満点なボーカルが、うるさいバックの中でもしっかり存在感を示していて凄まじい。
ここまでいろんなジャンルに手を出してるけど、ほとんど成功してるのは素晴らしい。名カバーだと思う。
12.The End of Summer ★★★★
ここからアルバムはクライマックスへ。
イントロが何故かアルプス一万尺。変な歓声や掛け声がサンプリングされててカオスだが、ちょっとうるさい。
曲はJ-POP的な爽やかで万人受けしそうな感じ。後半の盛り上げは何ともいえない高揚感があってとにかく良い。
13.地球はまわる ★★★★
なんだか能天気な感じの雰囲気で、これがアルバム後半か?と思ったほどゆるゆる。
でも中盤でしっかり盛り上げてくる。で、またゆるゆるな雰囲気に戻る。何故か7分以上もあるので余計ゆるゆる。
歌詞の一人称が全て「わたし」で統一されているのもこのゆるさの原因かも。
ただ「地球はまわり わたしもまわる」という哲学的な歌詞と、この曲調との差がなんだか不思議な気分にさせてくる。
14.天国と地獄 ★★★★☆
変声機で変えたような声で始まり、メンバーの目を星型に切り取ったようなチープなPVが頭に浮かんでくるような安っぽい電子音が印象的。
曲の中で転調しまくり、ただでは終わらないのが面白い。特にドラムでフィルインを入れてからの展開がクライマックスにふさわしい。
「天国で果てようぜ」という歌詞とともに昇天間違い無しの名曲。
総評.★★★★☆
「和製XTC」、「ムーンライダーズの弟バンド」などと呼ばれてきたが、現在進行形バンドとして今なお傑作を生み出し続けるカーネーションの4th。
フロントマンの直枝さんも気に入っており、ファンの多くが最高傑作としてこれを挙げているらしい。
とにかくアレンジが上手い。かなり色んなことをしているが、曲作りにおいてはひねくれたポップスで統一されている様子。
そしてスルメ。色々やってるだけでなく、あまり派手なこともやってないので最初は印象が薄いという欠点も。
直枝さんのソウルフルなボーカルも良い。こういう力強さとある種の余裕と言うか、「楽しんでる」感を持ってるのは意外と少ない気がする。
アルバムとしては全体的にカオス。爽やかな曲もあれば、変態な曲もあり、で60分を超えるボリュームでも途中で飽きない。
一般受けしそうな曲もあるが当時のヒットチャートとは少し離れてる気もする。
(最もこの後のコロムビア時代にはカオス成分が薄れ、ヒットしそうな名曲を連発するが)
そんなこともあってか、今聞いても全く古くない。初期スピッツとかも古さが無いけどあんな感じ。多分これからも風化していかないと思う。
やりたいことをやりたい放題にやりまくった名盤。ちょっとひねくれたポップ、というキーワードにピンときたらオススメ。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。tr.10は星評価なし。)

Reviewer:22nd. 424-427 名無しのエリー2009.11.19.

1.Garden City Life ★★★★★
ギター→ベース→ドラム→ストリングスの順に重なっていく印象的なイントロから勢いを保ったまま最後まで美しいメロディを聞かせる。
一点の曇りもないような煌びやかなサウンドと、流れるようなサビの不思議なコード進行が絶妙に合った圧巻の出来。
脱力しきった歌詞も見所の名曲。てか普通に売れてもおかしくない。これはもう不思議なポップ感覚に病み付き。
2.Superman ★★★★
一転して泥臭いメロディ、グルーヴのAメロからスッと風の吹き抜けるようなサビ。
このグルーヴはやはりカーネーションならではといった所。リズム隊は一筋縄ではいかないしギターも好プレイ。
ピアノがBメロでブルージーになるあたりもさすが。5人カーネーションのバンドサウンドの魅力が多く詰まった曲。
3.Something's Coming ★★★
イントロのthe whoっぽい雰囲気からキーボードが中心となっている印象のサウンド。
アップテンポっぽいようでどうも乗り切れない。
演奏はファンキーで活きが良いけど、曲展開は良くも悪くも全体的にだらっとしてるような、脱力しすぎている印象。
このアルバム自体ポップな良メロディの多さの割りにだらだらしてるので、実はこのアルバムの象徴的な曲かもしれない。
個人的には直枝さんのこのボーカルの力強さは素晴らしいと思う。
4.1/2のミッドサマー ★★★
このアルバムには三曲夏を意識したようなまったりした箸休め的な曲があり、効果的に夏らしい雰囲気を演出していてこれはその内の一つ。
冷房きかしながら聴いてみたい。それとも図書館で聴くような雰囲気かな。
5.My Little World ★★★★☆
夕方のオレンジ色の景色が浮かぶフォーキーな美しいメロディに歌詞。
最初聞いたときは個人的には少し音圧というか、音の迫力が足りない感じがしたが、後半の乾燥した音のストリングスが効果的になってこれはこれで良い。
まったりした展開の中でも各楽器のボーカルを邪魔しないようなアレンジは見事。カーネーションでも1,2を争うほど美しい名曲。
6.ニュー・サイクリング・ブギ ★★★★
これまたいかにもこのアルバムにピッタリな、こもった音にポップなメロディ、棚谷さんの優しい歌唱の脱力系。
しかも露骨にふわふわしたサウンドで、沿道からギャラリーが手を振ってるシーンが浮かぶような間奏以外、展開が無いのがまたふわふわ。
まぁもちろんそこが魅力なんだけどね。まったり自転車旅にピッタリな不思議な浮遊感。
7.コズミック・シーのランチ・タイム ★★★☆
まったりした夏の雰囲気の曲二曲目。
テンションコードの使い方が素晴らしい。弾き語りであったとしてもかなり魅力的であろう曲。
そして「ねぇ先に駆け出したら負けだよ 君の負けだよ」という歌詞にストリングスも綺麗に絡む。もちろん各演奏も魅力的。
8.Drive(L.A.moonlightmix) ★★★☆
カーネーション流のちょっと変化球気味のポップス。
いきなり「cool baby cool」というなんとなくAメロらしくない雰囲気から始まり、Bメロで上手くサビに橋渡し。
サビ自体はかなりJ-POP的でかなり耳なじみの良いメロディなので、意外と一般受けも可能な気がする。
ピコピコ音もストリングスも上手く曲に取り込んだアレンジもまとまりを見せる辺りさすが。
9.100人のガール・フレンド ★★★
まったり三曲目。ベース以外はそれほど他二曲と差は無い気がする。
とはいってもサビの微妙な歌詞の乗り方は印象的。
10.Rocket of Love ★★★★
なんだかスケールの大きい感じのするこれもポップで馴染み易い曲。
不思議な転調とシンセの浮遊感から力強いボーカルが若干浮いているのが、なんとなく味がある。
後半でますます壮大に展開してアルバムの後半らしくなる。
11.グレイト・ノスタルジア ★★★★
このアルバムでは異色な乾いた雰囲気で完成度の高いメロディ、アレンジ。特にピアノがきっちりと弾いて緊張感のある演奏。
擦り切れるような美しさと渋さは老いぼれた老人が孫に想い出を語って聞かせるような場面を思い浮かべるような、オルゴール的なものを感じる。
人によって好き嫌いはありそうなフォーキーな感じだけどとにかく楽曲のレベルは高い。
12.やめておくれ ★★★☆
7分ほどの三拍子でやるせない歌詞、雰囲気が印象的なフォークロック。ペダルスチールもピアノも、ツインボーカルと上手く絡んで哀愁漂う美しい曲。
延々と続くような哀愁が漂いながらも静かにアルバムの幕を閉じる。
総評.★★★★
カーネーションが最も爽やかなJ-POPに近づいたであろうアルバム。
とにかく全体で良ポップなメロディの宝庫で、これを苦手な人って言うのは少ないんじゃないかと思う。
アレンジの能力もこの頃がピークではないかと思うほどバランスがとれて聴きやすい。
所々夏の雰囲気も漂わせて、ノスタルジーで渋いながらも少年時代を回顧するようなラストも個人的に好み。
しかしかなり全体的にだらだらしているので途中で退屈に感じる人もいるかもしれない。これについては結構癖があるように感じる。
とはいえ一つ一つを切り取って聴くと非常に耳馴染みがいいのでカーネーション最初の一枚はこれかベストがいいと思う。
おそらくは万人にオススメできるであろう超良盤。ちなみに再発はコストのわりにおまけが贅沢なようなのでぜひとも買おう。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)