アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : せしる。

Reviewer:23rd. 118-120 名無しのエリー2010.02.15.

1.月に書いたラブレター ★★★★
なんか妙に壮大なイントロ。と思ったら一区切りして全く別のポップなイントロが始まる。
売れ線のアーティストなら最初の方を長めに尺とって切り離し、独立したインストの一曲目とするのだろう。
内容としては概ね普通のガールポップ。
(ガールポップという言葉にはちゃんとした意味があるらしいが、ここでは便宜上「女の子らしいポップソング」という意味で使います)
演奏は必要最低限のことしかしてないように感じるし、別に上手くもないと思うが、スッキリして好印象。特に適度に動くベースが躍動感を演出する。
ちょっと哀愁感じられる短調のイントロ・Aメロも良いし、跳ねるようなサビも爽快。そして何よりボーカル・ゆきちの声がとても良い。
彼女はセラニポージの1stアルバムでゲストボーカルとして歌っていた人物だが、まさにガールポップの為にある声。距離近めに聴こえる録音もナイス。
彼女の声によってCECILのガールポップ感が決定的なものになっていると感じる。
まあこの曲一人称「僕」だけど。
2.ひとひら ★★
まさに冬といった雰囲気の長調バラード。雰囲気重視なのは分かるが、メロディが結構退屈。
ゆきちは声は良いが歌唱力は無いので、ボーカルに聴きいることもちょっと無理。
アレンジは前の曲と同じくスッキリ気味だが、一か所に多くの音を乗せないだけで意外と色々な音が登場する。そこが聴きどころかも。
3.Weekend Lovers ★★★☆
打って変わってダウナーなバラード。
音の隙間の多さや、ゆきちの儚げな歌、歌詞も相まって、冬の肌寒い雰囲気を感じさせる。雰囲気重視を一番体現できているのはこの曲かも。
特にボサノバ風味の温かな間奏からまた寒い雰囲気のメロに戻る時の空気感が良い。終わり方も寂寥感たっぷり。
4.だーりん(winter mix) ★★★★☆
ラストナンバー。なんか再び壮大なイントロ。と思ったら10秒そこらでそれを捨て去って普通に静かなAメロに。またか。好きなギミックなのか。
そしてまさかの穏やかバラード3連発。まあそれぞれ拍子が違うのでそこまで飽きる気はしないけど。
この曲は音をかなり絞った印象で、メロディも単調で盛り上がらないが悪くない。
あくまで胸キュンもの(死語)の歌詞を歌うゆきちの歌に焦点をあて切った曲。
その歌詞も、なんだかんだで恋する乙女ってこんなんだよね、みたいなリアリティもある。
「不安はいらんよ」「浮気はするなよ」という言葉づかいが、なんだかよっぽど女の子の実体を表してる気がする。
冒頭から「街から帰って ゲームして 変なことして 少し眠って」とか歌うのも、こういう曲調のグループではあんまり見れない気が。
総評.★★★★
前述の通り、セラニポージでゲストボーカルを務めた、作詞・ボーカル担当のゆきちと、作詞・アートワーク担当のbatayam、
イラスト・デザイン担当のカンバラクニエ(オレペコの1stのジャケット描いた人)、デザイン担当のカンバラヨシエ、
以上の女子4人からなるCECILの4曲入り2ndミニアルバム。
まあそんな感じでメンバーは作詞以外の制作に一切関わっていないようです。サウンドの手綱を握っているのは大平太一という人物のよう。
(っていうか4人中3人がアート面担当ってどうよ・・・)
ただ実際のクレジットとか見るとメンバーは大分流動的に変わってたような気もする。ちゃんと覚えてないけど。
それはとにかく、今作は「冬」をテーマとした、ド直球のガールポップ。高次元な曲や演奏を聴かせるでもない、至って普通の地味な一枚。
けどガールポップとしては高品質だと思う。他との決定的な差別ポイントは、やはりゆきちの声。
そこら中にいそうでいない、一般的な女子という概念を顕在化したような声が、ガールポップとしてダメ押しの仕事をしている。
ていうかこの声を立たそうと思ったら確かに曲もこうならざるを得ないかも。下手に実験的な音にしたら女の子度が薄れちゃう、みたいな。
声以外に特筆することはあんまりないが、大きな欠点も見当たらない、ガールポップと聞いて反応する人に進められる安全牌な一枚。
でももう9年前の作品なんだね。秋盤『Cheek』夏盤『夏時計』などもオススメ。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。一部総評を省略しました。)