アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : ちゃっともんちー。

Reviewer:11th. 96 名無しのエリー2006.01.10.

1.ハナノユメ ★★
勇ましいスネアロールでサビから始まる曲。
派手めだし、アルバムの1曲目としてはまずまずの出来。
2.DEMO恋はサーカス ☆
ゆるいテンポで始まって、その後ちょっとアップテンポに。何でローマ字なんですかね。
3.ツマサキ ★★
ギターの音色とかコード感、あとエフェクトで変化つけてる曲。
メロディがキャッチーで耳に残る。個人的にはこの曲が好み。
4.惚たる蛍 ★☆
しんみりアルペジオと轟音ストロークを交互にやる展開。
もうここらへんまでくると、サビ部分でのコード垂れ流しと捻りのないコーラスの重ね方にうんざりしてきます。
5.夕日哀愁風車 ☆
ザクザクしたギターとスカっぽい裏打ちのドラムのイントロでおっと思わせるけど、直後に普通な8ビートになってしまう。
しかし印象的なリフとか全然作らないですねこのバンド。
6.サラバ青春 ★
4曲目と似たような、陰りのある雰囲気の曲。
この詩の内容に共感できる人は感動できるのかも。
総評.★☆
曲(コード進行とメロディ部分)もアレンジもありきたりで退屈。詩も他愛なくてどうしようもない。若いバンドだから仕方ないかも。
演奏や歌唱はわりとしっかりしてます。あとミックスが良い感じ。音の響きや定位がくっきりとしていて空間的。
この音の良さがなければ、アルバム通して聴くのはもっと辛かったはず。
石渡淳二が絡んでるけど、スーパーカー的なバンドではないですね。
aikoとか初期椎名林檎のような、歌謡曲いメロディがくどい。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:12th. 652, 654-655 名無しのエリー2006.07.15.

1.東京ハチミツオーケストラ ★★★★
最初の「ジャカジャーン」というギターフレーズだけで持っていかれる人も多いはず。
ドがつくほどキャッチーなのに、どこか毒があるところが魅力。
2.さよならGood bye ★★★
トリッキーなサウンドをベースに、メランコリックな歌詞が殺伐としていく。
タイトルとの整合性を見出すには、歌詞を読みながら聴いたほうがいいかもしれない。そういう意味では難しい曲。
3.ウィークエンドのまぼろし ★★★★☆
傑作。野郎だけのバンドでも手を出さないであろう、サウンドプロダクトに驚愕。
歌詞も個人的な想いから、普遍的な内容に落とし込まれているように読める。
4.ハナノユメ ★★★★
シングル曲。2曲目・3曲目が強烈だったので安心して聴けるw
ガールズバンドとしては至極まっとうな、ポップでかわいい曲。
サビ前の呪文のようなボーカルと、決然と歌いきるサビがいい。
5.どなる、でんわ、どしゃぶり ★★★★☆
一転、まさに「どしゃぶり」な世界に突き落とさせてくれる。特に後半の「さようなら~」のくだりは胸を抉られるくらい強烈。
ギター、ドラムも容赦なく降り注ぐ。
6.一等星になれなかった君へ ★★★
曲自体は平坦で、サビも面白みがあるわけではないが、歌詞を読みながら聴いていると、いろんな意味で考えさせられる。
そういう意味ではテーマが明確で、わかりやすい曲ではあるが。
7.おとぎの国の君 ★★★
喪失の歌。しかし、サウンドはとてもメランコリック。
ただ、歌詞は喪失するまでのことを中心に書いているので、物足りなく感じるかもしれない。
8.恋の煙 ★★★★
シングル曲その2。1サビ~2Aメロにつづくギターが骨太でカッコいい。
恋をする女の子のいじらしい気持ちが素直に描かれている。
9.恋愛スピリッツ ★★★★☆
シングル曲その3。チャットモンチーが、単なるガールズバンドではないという片鱗を見せた一曲。
ボーカルの強い衝動、エモーショナルさを支えるリズム隊も非常にタフで驚く。
10.終わりなきBGM ★★★★
ウィスパーボイスと少ない言葉で瞬時に場面を描く歌詞が秀逸。
耳に残るし、不思議な中毒性もある隠れた名曲。
11.プラズマ ★★★☆
DVDプレイヤーになぞらえて、恋愛模様を描く歌詞が面白い。
間奏の乾いたギターソロが爽快。聴きやすい曲。
12.メッセージ ★★★☆
この曲も間奏のギターが素晴らしい。
静かに、淡々と切ない気持ちがつづられる歌詞にピアノの音がピッタリ入ってくる。
13.ひとりだけ ★★★★★
最後を飾るにふさわしい大技、最終兵器。
今の彼女たちが持てるものをすべてぶつけたら、こうなりました…みたいな曲。よって、傑作。
総評.★★★★☆
まだまだボーカルもつたないし、曲の構成にも粗があるが、彼女たちの非凡な才能と、ストレートな想いが強く伝わってくる傑作。
ガールズバンドだと思って聴くと、痛い目にあう…という表現自体失礼な気がするw
逆にこの作品をBGMとして鳴らしたりするのには不適。エグすぎるw
今後の活動にもっとも注目すべきバンドのひとつだろう。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:15th. 683-686 名無しのエリー2007.10.13.

1.東京ハチミツオーケストラ ★★★
結果的にトラップとなっている「妥当な」オープニングナンバー。
いかにも吹奏楽部でルーディメント体得しました的な(実際そうなのかは知らないが)高橋のマーチングドラムが曲を牽引する。
橋本の甘めのボーカルと荒々しいギターの対比が意外だったり、未熟な自分を「柔らかな幼虫」などとグロいものに例える女子離れしたセンスを見せたりと、
いくらかの違和感はあるものの、全体的にはよくある感じの曲。
普通のバンドだね、と油断させられるが次曲以降は…。
2.さよならGood bye ★★★★★
丁寧にこじんまりとまとまりがちなガールズバンドの傾向を打ち砕き、とんでもなくオルタナな所に旗印を立てた曲。
何だったんだ1曲目。
全然キュートじゃないが、スーパージャンキーモンキーのように技術でねじ伏せてくる訳でもなく、感覚的。
大抵のギャルバンはやはり歌を歌うために演奏をくっつけている印象なのだが、
彼女たちはまずコードと構成を決めて、ジャムって曲の形を決めた後メロディを乗せてるような印象。
深海の生物を紹介する教養番組のBGMのような、不思議な神秘さのあるAメロがナイス。
3.ウィークエンドのまぼろし ★★★★★
前曲に続き女子離れした、バクホンみたいな曲。
赤黒くておどろおどろしいイメージの演奏が続く中、突如カウベル登場。だが和まない。木魚みたいで怖い。
天然なのだろうがギターが下手で、音の切り方がぎこちないのがまた怖い。
スピッツ等のように徐々に盛り上げる滑らかな演奏技術がなく、突如として展開するのも予測不能で怖い。
詞の内容以上に演奏が不吉で、「最悪な日曜日」というフレーズだけが強く耳に残ってしまう曲。
4.ハナノユメ ★★★★
メロディアスなガールズロック。
技術的に高橋のドラムを拠り所にしているせいか彼女得意のマーチングドラムが多く、
結果的に彼女たちの「戦う女子」的な勇ましいイメージの定着に一役買っている。そこで一応GO!GO!7188との差別化はできている印象。
洋楽への媚びのない、思いのままのメロディメイクが印象的。
5.どなる、でんわ、どしゃぶり ★★★
別れを歌ったへヴィな曲。
演奏が上手い訳ではないが、アイデアが浮かぶと積極的に仕掛けてくる攻撃的な演奏のおかげで曲がマンネリしない。
同時にゴチャゴチャととっ散らかった印象も受ける。
曲単体で見れば「演奏がタイトならもっと良かった曲」なのだが、
全体的にはルーズでカオスな演奏技術は彼女たちの天然の武器なので、上手くなられても困る気がする。
6.一等星になれなかった君へ ★★
野太いリフで曲の軸を組み上げたシンプルなロック。
Aメロのスネアの残響が変にルーズだったり、節々でベースの音粒が悪かったりと、
引き締まっていた方が良い部分が緩んでいる印象で、飽きやすい曲。
7.おとぎの国の君 ★★
微妙なベースを前面に出したイントロから始まる気だるい曲。コードを3つ位しか使っておらず、非常にシンプル。
ありがちなメロディで埋まってしまった感じで、全体的に淡々とした印象。
8.恋の煙 ★★★★★
M4同様、問答無用に歌メロをギュッと詰め込んで力技でテンションをパックしたメロディアスな曲。橋本の作曲傾向がつかめない…。
節々でリズムは怪しいが、ともすれば足を踏み外しかねないほど盲目的な女子の恋心を表現している、とも言えるかも。
メイクもお洒落もバッチリ、という女子ではなく、生々しい部分をどこかむき出している女子という感じ。
ラストのサビではスネアの音程がはっきりとAの音を鳴らしているように聞こえ(自分はスネアのキーまで気にすることは普段ないが)、
大塚愛の「プラネタリウム」の最後のコーラスのような響きを曲に与えている。偶然なのか!?
9.恋愛スピリッツ ★★★
いきなり独唱で始まるスローめのラブソング。
詞的にもああラブソングという感じだが、アレンジが女子じゃない。彼女たちの曲にはラブバラード定番の美しいピアノやストリングスが基本登場しない。
余韻を残しつつフェードアウトする曲もなく、必ずズバッと終わる。
おそらく自分の一方的な恋心をも「美化したい」という女子的な心理が欠如しているためで、全般的にストレートで怖い。
そして表現者としては正しい、という印象。
10.終わりなきBGM ★★★
もはやどこから作ったのか分からない不思議な曲。
いきなり5/8拍子で始まるAメロ。そして2周目のAメロでは同じ歌メロを8/8拍子に乗せ直している。ほんとに攻撃的だわ。
今作中では影の薄いベースも、この曲では独特なライン取りで個性を発揮している。
11.プラズマ ★★★
次から次へとメロが登場し、どれがサビだか分からなくなる曲。
一聴目の印象で、詞のループ的に「ここまででサビ1周」と思ったところまで、全部ひっくるめてAメロだったような印象。
間奏の下手なギターも不思議と魅力的。
12.メッセージ ★★★
今作中唯一ピアノが登場する。が、ポツポツと呟くように鳴ってるだけ。怖い。
無機質なドラムも何だか怖い。歌唱力的に無理があるのもまた怖い。
曲も終盤にさしかかると重低音ギターが登場し、詞的にも不吉なところでふと曲が終わる。怖い。
13.ひとりだけ ★★
ギターが轟音すぎてドラムの音が潰されているが、導入は2ビートか。
メロディはかなり他曲と被っている印象。演奏面で彼女達なりの仕掛けを多数用意し、思うがままに詰め込んだロック組曲。
ザ・フーの2ndのような奇妙な締め方だが、彼女達の考えるアルバムのラストナンバーとはこんな感じなのだろう。
総評.★★★★
偶然なのか!?6人いるMARIAよりも遥かに骨太なロックを鳴らすオルタナ3人娘、チャットモンチーの1st。
演奏が上手いというタイプではないが、スゲエ思い切りがいい。トータルタイムは50:50だが、まさにフィフティー・フィフティーな内容。
ほぼ全編イチかバチか。やってくれたプレイとやっちゃったプレイが混在する、非常にロックな仕上がりになっている。
一聴目のインパクトにかなり比重を置いた一撃必殺な出来で、繰り返しの鑑賞にはもろい気もするが、その姿勢もまたロック。
聴き手が要求する技術の質によって印象がかなり変わり、人によっては「こんなのどこが面白いんだ」となる。そしてその場合それで正解。
基本的に無自覚な才能で、本人達が確信的に「どうだ!」と今の音を鳴らしているというより、
結果出た音が面白かったので周りが評価しだして今に至る、という印象。
偶然が重なって誕生したかなりの珍種ではあるので、レベルが上がったら変な特技を覚えるかも、という期待はできるのでは。
最前線に送り込まれた女子たちの明日はどっちだ。
(★5個が満点。)

Reviewer:16th. 34-37 名無しのエリー2007.11.04.

1.親知らず ★★
家族愛の大切さを素直に歌った曲。ヒップホップ等のそれに比べると言葉選びも素朴で、妙な説得力はある。
たどたどしいギターが妙な味わいを出しているのも相変わらず。
この曲もそうだが、前作より輪郭のはっきりしたポップな曲が増えたため、
他バンドに比べ「普通に弾ける演奏力」が不足している面が目立つようになった気が。
2.Make Up!Make Up! ★★
テンポは速めだがあまり疾走感のない曲。
ドラムのスネアのタイミングがタメ気味で、ベースのリズムへの乗り方も重めなので、
何だか不必要な重量感が出て気持ち悪いビートになってしまったような。
シンプルなビートロックに要求されるタイトなプレイをこなせているとは思えない。
8ビートは簡単だと思ってナメてかかったか。この場合「下手さが味」とはいかない気が。
3.シャングリラ ★★
自分達の引出しを広げ、ディスコビートに挑戦した曲。
出来そうなことには果敢に挑む彼女達らしさが出たといえるが、ギリギリ型にするところまで持っていった程度で、作り込みは浅い印象。
多分、こういうのをやってみたいという意欲は高かったが、ダンスミュージックに強いメンバーは特にいなかった、という事では。
メロディも流れらしい流れがなく、間奏の変なギターの掛け合いが面白いくらいか。
4.世界が終わる夜に ★★★★
ローファイな音作りが曲のムードにマッチした曲。
普通のバンドなら抑え目に叩くであろう導入のドラムもガンガン力強く叩いており、
シンバルの音も静かなAメロの真っ只中に、逆に気持ちいいくらいジャーンと思い切り響いている。
「私が神様だったらこんな世界は作らなかった」というピュアすぎる詞が印象的。
アイデア自体は耳慣れたものが多く、意外性は薄め。
サビのキレイめなコーラスの入れ方を聴くと、「元々こういう普通のことがしたかったのか」と、別の意味で意外性は感じるが。
5.手のなるほうへ ★
個人的には彼女達に最も期待していなかった、ポップ路線の曲。正直あまり可能性を感じないが。
アイドルの曲が意外と聴けるのはバックが上手いからで、
1stの時のチャットが下手でも聴けたのはスタジオマンがしそうにない大胆なプレイを聴かせてくれたからだったように思える。
しかしポピュラーな曲をやるならやはり技術は要求されるような。
特にベースのアイデアの無さは致命的。この型で発表されても、何だかどうでもいいものを延々聴かされているように感じてしまう。
ジュディマリとかも演奏が下手だったらこんなもんだったのかも。
6.とび魚のバタフライ ★★★
と思ったらジュディマリみたいなAメロの曲。シンプルかつ強引なサビへの繋ぎが面白い。ベースの仕事ぶりも良い。
もう一つ大きく展開するかと思った間奏が、盛り上げ不足で終わってしまった感が。
ボーカルのニュアンスも萌え要素とでも言うべき媚び成分が増したような。
こういう曲に収まる器なのか?などと余計なことを考えなければ楽しめる曲。
7.橙 ★★★
イメージ的にM4に近い曲。
メロディそのものは普通だが、Aメロのアレンジに一工夫あり、特に2周目の無茶なハイハットと無機質なギターの合わせ技はなかなかロック。
チャットらしい粗さの出た曲。
8.素直 ★
バンド色を除いてピアノをバックに歌ってみると、チャットの曲そのものはこんなに普通だったのかと我に返ってしまう、童謡みたいな曲。
彼女達の曲はメロディのオチの求め方が安易すぎるので、曲そのものを武器にするよりはやはりバンドサウンドをアテにすべきだと思うが…。
新しい一面を見せたという意味では意義のある曲。
9.真夜中の遊園地 ★★
邦楽チャート伝統のマイナー調ビートロック。ビート系を演らせると歌や演奏の技術そのものはやはり苦しい。
他バンドが当たり前にこなしている事にかなり苦労している様子。その不安定さを曲のイメージにとってのプラス要素と取れれば面白い曲か。
曲自体も、こういう曲を今更やりたがるバンドとは思っていなかったため意外。
いや意外なんだけど、チャットの武器だった「意外性」ってそういうのじゃない気が…。
10.女子たちに明日はない ★★★★
ドラムのフィルがパッとしないのが気になるが、シンプルに音を重ねて迫力を出したサビは面白い。
サビのリズムパターンも歌メロとがっちりリンクしており骨太。技術の向上を感じる曲。
回想が割り込むように前触れもなく突然現れて、嵐のように去っていくサビが、独特のめくるめく感を生んでいる。
11.バスロマンス ★★
サザエさんの終わりの歌のようなギターのフレーズが妙にインパクトのある曲。何だか渋いギターソロも面白い。
ブルーハーツみたいなコーラスもいい感じ。なんか幸せそうな雰囲気は伝わる。
しかし全般的にスカスカし過ぎたような。
12.モバイルワールド ★★★
「電波があれば生きていける」という猪木のようなフレーズが印象的な曲。
デジタルなテーマでも音作りは生々しいのが彼女達らしい(他曲に比べれば丁寧めだが)。
サビメロのリズムの組み方もいい感じ。童謡みたいだけど。
13.ミカヅキ ★★★
ショボいイントロも何だか堂々として聞こえる、独特の緊張感のあるバラード。
Aメロもかなり音数を絞ったイチバチなアレンジ。沖縄民謡のような音選びのメロディも面白い。
前作に比べ曲作りは丁寧になっているのだが、同じような印象の曲がかさばり気味になってしまったか。
総評.★★★
1stに比べまぐれ当たりな要素が減り、自分達で意識的に音をコントロールするようになった印象のチャット2nd。
曲も分かり易くなり、普通の女子も首を傾げずに聴ける「みんなのチャットモンチー」への道を歩み出したと感じる。
特にマニアックな要素もなく、いわゆるガールズロックの範疇に収まる無難な出来。
演奏の粗さは相変わらずだが、曲調の変化に伴い、「エネルギッシュで瑞々しい」と感じる場面よりも
「単に下手」と聞こえてしまう場面のほうが増えたような気がする。
1stとかなり印象が違うが、意図的に音を変化させてきたのだから、本人達は元々こういう音を出したかったのだろう。
1st時はそのノウハウがなくて偶然ああいう音になった、という事になるが、多くの人は「そっちが過渡期かよ!」と思うのでは。
大器だったが、意外と小さな輪郭で世界を形成し始めてしまった印象はある。
1stの進化の延長上に作品を期待している人にはあまりウケないかもしれない。
ガールズロック路線で固定か、この2ndが後に黒歴史となるか。2ndにしてもう新たな船出の1枚。
(★5個が満点。)

Reviewer:21st. 261-263 名無しのエリー2009.04.09.

1.8cmのピンヒール ★★★☆
始まりにふさわしい明るい曲。
イントロで持ってかれると流れに乗って、一気にアルバムを聴いてしまうだろう。
2.ヒラヒラヒラク秘密ノ扉 ★★★
歌詞がぶっ飛んでいる曲。何処でブレスをしているのか謎なサビが聴きどころ。
3.海から出た魚 ★★★☆
ベースのラインが良いと思う。かっくいい。
「あぁ 知ってしまった 上辺の世界 さぁ 言ってしまえば 窮屈な自由」
思春期性を抜けたと雑誌で書いてたけどこの歌詞からかな。
4.染まるよ ★★★☆
イントロからサビまでの単音ギターが聴きどころか、良い味出してる。余り五月蠅くないのが良いと思う。
5.CAT WALK ★★★
切ないメロディーの曲。歌詞はありきたり。雰囲気が夕暮れで泣ける感じがある。
6.余談 ★★★
日常の他愛もないことを歌として堂々と唄う曲。イントロからベベベンと鳴っているベースが良い感じ。
7.ハイビスカスは冬に咲く ★★★
沖縄のスタジオで録音された曲。南国な感じ。楽しくなります。
リズムがくるくると変わる、途中2拍子が入ってるみたい。
8.あいまいな感情 ★★☆
浮遊感のあるスローな曲。いまいち聞き流してしまう感じがある。
全体的にベースがかっこいいです。
9.長い目で見て ★★★
「長ーーーーいお付き合い京都銀行」からインスパイアーされたのか? メンバ全員がボーカルを取る曲。
繰り返されるキメがアクセントになっています。所謂ギターポップ。
10.LOVE IS SOUP ★★★
ジャズっぽい曲。この曲は脱力系ボーカル。めっちゃかわいいー。いや、ぶりっこっぽくて寒気がする。
阿波踊りのリズムを取り入れているみたいです、曲の最後で分かる。息抜きの曲です。
11.風吹けば恋 ★★★
勢いよくドラムから始まる曲。恋をする女性、もっと積極的に!と言う歌詞。
サビに入る前の不安定なギターが聴きどころかな。
12.Last Love Letter ★★★
ベースのリフから始まる曲。イントロがかっこいいと思う。
サビでのコーラスの入れ方が良いと思う。アウトロにギターフレーズあり。
13.やさしさ ★★★☆
「明日ダメでも 明後日ダメダメでも私を許してそれがやさしさ」のフレーズを繰り返す曲。
同じフレーズを繰り返しながら増幅されていく感じが良い。マーチングドラムな感じが印象的。
最後はボーカルのみが残り終わる。この人たちはラストの曲はいつもこういうスローな曲ですな。
総評.★★★★
このアルバムがチャットモンチーの中で最高に良いと思います。前作の生命力がいまいちだったと言う噂もありますが。
因みに2、4、11、12、がシングル曲です。
基本的に唄を聴かせる感じですが、アレンジも凝っているのでいろいろ楽しめると思います。
感覚的なレビューで申し訳ないですが、参考にしてもらえればと思います。
最後に
「普通の女の子が普通に音楽をつくって鳴らしている。ただそれだけのことに宿る魔法。彼女たちはそれを体現している。BY いしわたり淳治」
。。。そういう事!
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:21st. 276-281 名無しのエリー2009.04.12.

1.8cmのピンヒール ★★★
なぜか彼女達はスロースターターらしく、今作のオープニングも割と癖のないミドルテンポのロック。
短いメロディの反復でたたみかけるようなサビはいかにもギターポップらしいし、作詞も意外と上手い気がするのだが、
曲名にあたる部分が慌ただしすぎてなんかおせちのビールとか聞こえる。
このバンドではおそらく1番技術のある高橋も、4つ打ちのバスドラを軸に徐々に装飾していくようなドラミングは正直ぎこちない。
コーラスもエフェクトかけすぎて不自然なキラキラ感が出てる気が。
2.ヒラヒラヒラク秘密ノ扉 ★★★★★
何かの警告音のような緊迫したイントロで入る、お得意のカオス系。
せわしなくハイハットを刻むいかにも非常事態なAメロから、変なタイミングで突破口を見つけて明るいBメロへ展開する。
サビはイントロの印象に似つかわしくなく普通にポップな出来だが、そこからイントロのフレーズに戻る時の流れがカッコイイ。再びエマージェンシー突入。
終盤のサビ繰り返しで入る「アッホー アッホッホアッホー」とかいう感じのコーラスや、何やら変なとこ弾くベースも、
非常時にはしゃいでるようなハイテンションなお祭り感を演出している。
3.海から出た魚 ★★★★★
珍しくワウを使ったりしている、多分今作中で演奏が最もタイトな曲。
イントロのギターリフは渋いロックという感じだが、曲の全体像が見えてみれば原点回帰のオルタナ。
演奏に力が入っており、歌が置き去りにならない範囲で結構色々いじっている。
高橋はある程度手数が多い曲の方がプレイが安定してる気がする。途中からファズを効かせる福岡のベースも迫力がある。
青い海というより暗い深海、優雅に泳ぐというよりあがきながら沈んでいく感じの曲。個人的にはくにおくんがもがいたり浮かんだりのイメージ。
4.染まるよ ★★★★★
一気にシンプルになる、わらべうた風ラブソング。スカスカのAメロは染み入るわびしさ。
福岡のベースはスパゴーの八熊とかみたいなギターっぽい感じで、5度への動きがくどく、単体でみれば静かなこの曲にあんまり合わないプレイな気がするが、
実は高橋の叩くフレーズが唐突でトリッキーな感じなので、ベースが音数多めにして間を埋めたのは正解なのかも。
橋本のあどけない声と曲調の相性が良く、サビの童謡っぽい擬音もしっくり来る。
終盤で感極まるように転調するが、ここでの子供がだだをこねるような橋本の高音もいい味出してる。
5.CAT WALK ★★★★
曲名の印象に反し、ちっぽけな自分の存在について真面目に歌った曲。さすがに突飛なアレンジはしていない。
そのためか割とありがちな印象で、GO!GO!7188とYUIの中間みたいな感じの曲。
細かく色々なリズムパターンを試す高橋に対し、橋本は淡々とコードストロークしながら歌う。
世間の時間の流れに対して何の影響力も持たない詞中の主人公とリンクさせているのだろうか。
終盤ではその空気な主人公が、これだけは言わせて欲しいとばかりに一瞬身を乗り出して主張する。
6.余談 ★★★
どちらかというとバンドアンサンブルに重点を置いた感じのリフもの曲。
全体的に十年位前のUK若手バンドっぽいアレンジだが、
普通に歌謡曲的な出来のメロディと組み合わせた辺りから察すると、直接の影響というより我流という感じ。
メインのリフがいい感じなので、普通の歌モノみたいな構成にせずにこればっかり推して短い曲にしてもよかった気が。
ベースも高音のカラカラした感じとかはカッコイイんだが、リフのとことかラストとかで響きの落ち着かない音を選ぶため違和感が。
7.ハイビスカスは冬に咲く ★★★
曲調も詞も能天気な曲。Aメロはどうという事もない出来だが、Bメロ途中から突如お祭りビートになる。なにィ!!
Bメロ序盤ではどっちつかずなプレイをしている高橋が吹っ切れて音頭に移行する瞬間に、
「え~い、いったれ!!」的なヤケクソ気味の彼女の決意が表れてる気がする。なかなかの無茶を通してきた。
一聴目は非常に面白く、画期的なアイデアに聞こえるが、基本的には思いつきの所業で練り込みは浅いため何度も聴くとさすがに飽きる。
8.あいまいな感情 ★★★
恋のせいで頭がポーッとして何も手につかないような乙女のボンヤリ感を表現した曲。
強めのリバーブが掛かった声で虚ろ気味に歌う橋本のボーカルがいい感じ。
ところで、高橋もそうだが、福岡もリズムの駆け引きを楽しむというよりはフレーズを奏でることを楽しむタイプのようで、
ゆったりテンポの音少なめ曲ではリズムにかなり粗がある。毎度タメがあったりなかったり安定しない2拍目にイラッとくる。
その不安定な感じも曲のイメージの形成に一役買ってはいるが。
9.長い目で見て ★★
ついに3人持ち回りでメインボーカルを取ってしまった曲。なにィ!!
一聴目は面白いが、曲が普通なうえ、ボーカルのローテーションの都合上Aメロを3回もまとめてやるので飽き易い。アルバム曲らしいアルバム曲。
音の傾向は全然違うが、やることの発想はなんかゴーバンズみたいなノリになってきた。
自分がボーカルお休みの時も橋本が意外とギターがんばらないことが判明する曲。
10.LOVE is SOUP ★★★
いきなり三重奏のコーラスで始まる。いよいよもってゴーバンズっぽい。
個人的に彼女達の曲は、ひとたび奏で出せば妖怪とかグルグルとかが首をもたげて寄ってきそうな感じの曲が多い印象だが、
この曲は分かりやすく可愛い感じに仕上げようとしているためちょっと異質。
それでアイドル期のビートルズみたいなスカスカの60'sロックに仕上がってしまうあたりのセンスはさすがに尋常ではないが。
11.風吹けば恋 ★★★★★
今作中でしばしば好き勝手なプレイをみせてきた福岡が、その極みをみせる曲。
イントロやAメロのコードが何だかよく分からない感じだが、実はギタマガの採譜者も「コードネームをつけにくい」とコメントしている。
その採譜を見てカオスの正体が分かった。 この女……全然ルート弾いてねえ!!
橋本がそんなに変わったコードを弾いてる訳でもないが、ベースが変なとこ突いてくるため、
全体の鳴りとしては福岡の気まぐれが発動した数だけ分数コードが生まれ、曲全体でみても乱発状態になっている。ややこしいわ!!
イントロのコードからしてB♭m7onF。はなっからルート弾く気ねえ!!
そんでサビは何だこの爽やか青春ラブストーリー!何コレ!?
12.Last Love Letter ★★★
福岡も訳の分からないべーシストだが、高橋も負けず劣らず意味不明なパターンを刻んでくるドラマーだということを再認識する曲。
イントロやAメロは人力ブレイクビーツみたいなリズムになっている。
橋本の曲、福岡の詞、どちらにインスパイアされたとしても普通はこういうドラムにはならない気がする。
ていうか2人ともつっこみなさいよ!そのドラム何ですかって!何なのこのコ達!?
3人いたら1人はつっこみ置きなさいよ!!
13.やさしさ ★★★★
今作中に少ない橋本作詞曲。シンプルだがメロディの流れは綺麗。
ダメダメな私を許してくれるのが優しさでしょ、という身勝手な持論を押し付けてくるサビが印象的。本気か…?そんな人だったっけ?
そして中盤過ぎからは、このサビをこれでもかと繰り返しながら徐々に感情を高ぶらせ、呼応して演奏も激しくなってくる。
どうも本気っぽいこの人!そういう告白!?そりゃ綺麗事よりはいいかもしんないけど!
ここでそのやさしさ論を否定しようものなら即座に橋本が絶叫してはち切れ、そのまま戻ってこれなくなりそうなギリギリの緊張感のある怪曲。
思い返せば「太陽 いつ沈んだの」という出だしの歌詞からして既にダメダメ状態っぽい。
こういう状態の相手にオールOKなやさしさを発揮できなかったばかりに取り返しがつかないことになってしまった、
そんな過去の失敗体験が思い浮かぶ、なかなかに後味の悪い曲。
総評.★★★★★
前作「生命力」の大ヒットも記憶に新しいチャットモンチーから3枚目のアルバムが届きました!
みたいな売り文句に引っ掛かって買うとかなり面食らいそうな内容のチャット3rd。
かなりポップで世間寄りな2ndから一転、再び原石に戻る作業を始めたかのような1st寄りの作品。
今にして思えば2ndは「シャングリラ」のヒットを活かして稼げるときに新規ファンを稼いでおく意図もあったのかも。
今までとの大きな違いは福岡のベースが変な方向性で花開いたことで、良くも悪くもバンドのカオス度が格段にアップした。
相変わらずカッチリ丁寧に弾きこなす技術では見劣りするが、とにかく同じ演奏の垂れ流しにならないように積極的に手を入れている。
サビだけ繋げて聴いたりすれば耳馴染みの良いポップな曲が多い印象になるが、最初から通して聴くと、サビの印象と全然違うAメロだったりする。
吸収してきたジャンルが手広いからいろんなことが出来るという感じではなく、思いつくままにお試しで色々詰め込んでる感じで、どこか素人臭い。
洋楽の有名曲やマニアックな曲のアイデアを引用するような音楽通っぽいアーティストと一線を画する、
今自分で考えながら作ってるような彼女達のスタンスは貴重なのでは。
良い音は鳴らせるが、それがどう良いのかをロック史に絡めて説明したりは本人にもできそうもない天然種。
全体的に歌も演奏もアバウトで曲もゴチャゴチャしており、一貫して感覚的でカオス。美しいとかスタイリッシュとかいう曲は無い。
個人的にも別に元々こういう音のバンドが好きで探し回っていたという訳ではないし、
演奏はヘタウマなくらいが丁度良いと思ってる訳でもないが、結果的には今作は聴いたらスゲエと思える内容だった。単に好みの問題だと思う。
彼女達の実力が凄いのかどうかは自分にもよく分からない。
作詞は3人とも別々に担当しており、高橋と福岡は作詞自体を楽しむような創作っぽい要素強めな感じで、橋本は自分の話という印象。
いまいち薦めていい層を特定しにくいが、どちらかというと古いロックが好きな人のほうが気に入る作品だと思う。いや逆のほうが真かも。
古いロックよりミクスチャーとかの方が好きな人には向かないと思う。初めて1st聴いた時からの耳鳴りがついに止むかもしれない1枚。
総評(ピロウズのレビューでやれ編).
Last Love LetterのPVでは年老いた姿でステージに立つ彼女達が描かれているが、実はピロウズにもジャケ写でジジイに扮したアルバムがある。
その作品は孤独に肯定的な曲が多いが、実際聴き手が孤独なまま年老いたとしても、
いつかジャケ写さながらのジジイになった彼らがステージに上がってその作品の代表曲を歌い、
その聴き手の人生は孤独ではなく彼らと共にあったと思わせることで作品を完結させるような、遠い約束をしてみせた印象のジャケだった。
今のところピロウズは順調に来ているのでジャケ写再現も夢ではない感じだが、
女の子3人組バンドのチャットモンチーが、売れなかった頃の彼らと同じように、
ファンと長い時間を共有する意志を今表明してみせたことはかなり熱いことのように思える。
実際は深い意味はなく、イケメン俳優と結婚してさっさと音楽から足を洗ってしまうかもしれないが、
ババアになった自分を積極的に描いただけでも女性アーティストとしては珍しい。普通の女性に無い選択肢。
PVではだいぶババアだが、その時まで残るほんの一握りのファンの前で多分ニュースにもならないそのライブが実現される事を
老後の愉しみとしてうっすらと期待したい。
(★5個が満点。)