Reviewer:21st. 261-263 名無しのエリー2009.04.09.
1.8cmのピンヒール ★★★☆
始まりにふさわしい明るい曲。
イントロで持ってかれると流れに乗って、一気にアルバムを聴いてしまうだろう。
2.ヒラヒラヒラク秘密ノ扉 ★★★
歌詞がぶっ飛んでいる曲。何処でブレスをしているのか謎なサビが聴きどころ。
3.海から出た魚 ★★★☆
ベースのラインが良いと思う。かっくいい。
「あぁ 知ってしまった 上辺の世界 さぁ 言ってしまえば 窮屈な自由」
思春期性を抜けたと雑誌で書いてたけどこの歌詞からかな。
4.染まるよ ★★★☆
イントロからサビまでの単音ギターが聴きどころか、良い味出してる。余り五月蠅くないのが良いと思う。
5.CAT WALK ★★★
切ないメロディーの曲。歌詞はありきたり。雰囲気が夕暮れで泣ける感じがある。
6.余談 ★★★
日常の他愛もないことを歌として堂々と唄う曲。イントロからベベベンと鳴っているベースが良い感じ。
7.ハイビスカスは冬に咲く ★★★
沖縄のスタジオで録音された曲。南国な感じ。楽しくなります。
リズムがくるくると変わる、途中2拍子が入ってるみたい。
8.あいまいな感情 ★★☆
浮遊感のあるスローな曲。いまいち聞き流してしまう感じがある。
全体的にベースがかっこいいです。
9.長い目で見て ★★★
「長ーーーーいお付き合い京都銀行」からインスパイアーされたのか? メンバ全員がボーカルを取る曲。
繰り返されるキメがアクセントになっています。所謂ギターポップ。
10.LOVE IS SOUP ★★★
ジャズっぽい曲。この曲は脱力系ボーカル。めっちゃかわいいー。いや、ぶりっこっぽくて寒気がする。
阿波踊りのリズムを取り入れているみたいです、曲の最後で分かる。息抜きの曲です。
11.風吹けば恋 ★★★
勢いよくドラムから始まる曲。恋をする女性、もっと積極的に!と言う歌詞。
サビに入る前の不安定なギターが聴きどころかな。
12.Last Love Letter ★★★
ベースのリフから始まる曲。イントロがかっこいいと思う。
サビでのコーラスの入れ方が良いと思う。アウトロにギターフレーズあり。
13.やさしさ ★★★☆
「明日ダメでも 明後日ダメダメでも私を許してそれがやさしさ」のフレーズを繰り返す曲。
同じフレーズを繰り返しながら増幅されていく感じが良い。マーチングドラムな感じが印象的。
最後はボーカルのみが残り終わる。この人たちはラストの曲はいつもこういうスローな曲ですな。
総評.★★★★
このアルバムがチャットモンチーの中で最高に良いと思います。前作の生命力がいまいちだったと言う噂もありますが。
因みに2、4、11、12、がシングル曲です。
基本的に唄を聴かせる感じですが、アレンジも凝っているのでいろいろ楽しめると思います。
感覚的なレビューで申し訳ないですが、参考にしてもらえればと思います。
最後に
「普通の女の子が普通に音楽をつくって鳴らしている。ただそれだけのことに宿る魔法。彼女たちはそれを体現している。BY いしわたり淳治」
。。。そういう事!
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)
Reviewer:21st. 276-281 名無しのエリー2009.04.12.
1.8cmのピンヒール ★★★
なぜか彼女達はスロースターターらしく、今作のオープニングも割と癖のないミドルテンポのロック。
短いメロディの反復でたたみかけるようなサビはいかにもギターポップらしいし、作詞も意外と上手い気がするのだが、
曲名にあたる部分が慌ただしすぎてなんかおせちのビールとか聞こえる。
このバンドではおそらく1番技術のある高橋も、4つ打ちのバスドラを軸に徐々に装飾していくようなドラミングは正直ぎこちない。
コーラスもエフェクトかけすぎて不自然なキラキラ感が出てる気が。
2.ヒラヒラヒラク秘密ノ扉 ★★★★★
何かの警告音のような緊迫したイントロで入る、お得意のカオス系。
せわしなくハイハットを刻むいかにも非常事態なAメロから、変なタイミングで突破口を見つけて明るいBメロへ展開する。
サビはイントロの印象に似つかわしくなく普通にポップな出来だが、そこからイントロのフレーズに戻る時の流れがカッコイイ。再びエマージェンシー突入。
終盤のサビ繰り返しで入る「アッホー アッホッホアッホー」とかいう感じのコーラスや、何やら変なとこ弾くベースも、
非常時にはしゃいでるようなハイテンションなお祭り感を演出している。
3.海から出た魚 ★★★★★
珍しくワウを使ったりしている、多分今作中で演奏が最もタイトな曲。
イントロのギターリフは渋いロックという感じだが、曲の全体像が見えてみれば原点回帰のオルタナ。
演奏に力が入っており、歌が置き去りにならない範囲で結構色々いじっている。
高橋はある程度手数が多い曲の方がプレイが安定してる気がする。途中からファズを効かせる福岡のベースも迫力がある。
青い海というより暗い深海、優雅に泳ぐというよりあがきながら沈んでいく感じの曲。個人的にはくにおくんがもがいたり浮かんだりのイメージ。
4.染まるよ ★★★★★
一気にシンプルになる、わらべうた風ラブソング。スカスカのAメロは染み入るわびしさ。
福岡のベースはスパゴーの八熊とかみたいなギターっぽい感じで、5度への動きがくどく、単体でみれば静かなこの曲にあんまり合わないプレイな気がするが、
実は高橋の叩くフレーズが唐突でトリッキーな感じなので、ベースが音数多めにして間を埋めたのは正解なのかも。
橋本のあどけない声と曲調の相性が良く、サビの童謡っぽい擬音もしっくり来る。
終盤で感極まるように転調するが、ここでの子供がだだをこねるような橋本の高音もいい味出してる。
5.CAT WALK ★★★★
曲名の印象に反し、ちっぽけな自分の存在について真面目に歌った曲。さすがに突飛なアレンジはしていない。
そのためか割とありがちな印象で、GO!GO!7188とYUIの中間みたいな感じの曲。
細かく色々なリズムパターンを試す高橋に対し、橋本は淡々とコードストロークしながら歌う。
世間の時間の流れに対して何の影響力も持たない詞中の主人公とリンクさせているのだろうか。
終盤ではその空気な主人公が、これだけは言わせて欲しいとばかりに一瞬身を乗り出して主張する。
6.余談 ★★★
どちらかというとバンドアンサンブルに重点を置いた感じのリフもの曲。
全体的に十年位前のUK若手バンドっぽいアレンジだが、
普通に歌謡曲的な出来のメロディと組み合わせた辺りから察すると、直接の影響というより我流という感じ。
メインのリフがいい感じなので、普通の歌モノみたいな構成にせずにこればっかり推して短い曲にしてもよかった気が。
ベースも高音のカラカラした感じとかはカッコイイんだが、リフのとことかラストとかで響きの落ち着かない音を選ぶため違和感が。
7.ハイビスカスは冬に咲く ★★★
曲調も詞も能天気な曲。Aメロはどうという事もない出来だが、Bメロ途中から突如お祭りビートになる。なにィ!!
Bメロ序盤ではどっちつかずなプレイをしている高橋が吹っ切れて音頭に移行する瞬間に、
「え~い、いったれ!!」的なヤケクソ気味の彼女の決意が表れてる気がする。なかなかの無茶を通してきた。
一聴目は非常に面白く、画期的なアイデアに聞こえるが、基本的には思いつきの所業で練り込みは浅いため何度も聴くとさすがに飽きる。
8.あいまいな感情 ★★★
恋のせいで頭がポーッとして何も手につかないような乙女のボンヤリ感を表現した曲。
強めのリバーブが掛かった声で虚ろ気味に歌う橋本のボーカルがいい感じ。
ところで、高橋もそうだが、福岡もリズムの駆け引きを楽しむというよりはフレーズを奏でることを楽しむタイプのようで、
ゆったりテンポの音少なめ曲ではリズムにかなり粗がある。毎度タメがあったりなかったり安定しない2拍目にイラッとくる。
その不安定な感じも曲のイメージの形成に一役買ってはいるが。
9.長い目で見て ★★
ついに3人持ち回りでメインボーカルを取ってしまった曲。なにィ!!
一聴目は面白いが、曲が普通なうえ、ボーカルのローテーションの都合上Aメロを3回もまとめてやるので飽き易い。アルバム曲らしいアルバム曲。
音の傾向は全然違うが、やることの発想はなんかゴーバンズみたいなノリになってきた。
自分がボーカルお休みの時も橋本が意外とギターがんばらないことが判明する曲。
10.LOVE is SOUP ★★★
いきなり三重奏のコーラスで始まる。いよいよもってゴーバンズっぽい。
個人的に彼女達の曲は、ひとたび奏で出せば妖怪とかグルグルとかが首をもたげて寄ってきそうな感じの曲が多い印象だが、
この曲は分かりやすく可愛い感じに仕上げようとしているためちょっと異質。
それでアイドル期のビートルズみたいなスカスカの60'sロックに仕上がってしまうあたりのセンスはさすがに尋常ではないが。
11.風吹けば恋 ★★★★★
今作中でしばしば好き勝手なプレイをみせてきた福岡が、その極みをみせる曲。
イントロやAメロのコードが何だかよく分からない感じだが、実はギタマガの採譜者も「コードネームをつけにくい」とコメントしている。
その採譜を見てカオスの正体が分かった。 この女……全然ルート弾いてねえ!!
橋本がそんなに変わったコードを弾いてる訳でもないが、ベースが変なとこ突いてくるため、
全体の鳴りとしては福岡の気まぐれが発動した数だけ分数コードが生まれ、曲全体でみても乱発状態になっている。ややこしいわ!!
イントロのコードからしてB♭m7onF。はなっからルート弾く気ねえ!!
そんでサビは何だこの爽やか青春ラブストーリー!何コレ!?
12.Last Love Letter ★★★
福岡も訳の分からないべーシストだが、高橋も負けず劣らず意味不明なパターンを刻んでくるドラマーだということを再認識する曲。
イントロやAメロは人力ブレイクビーツみたいなリズムになっている。
橋本の曲、福岡の詞、どちらにインスパイアされたとしても普通はこういうドラムにはならない気がする。
ていうか2人ともつっこみなさいよ!そのドラム何ですかって!何なのこのコ達!?
3人いたら1人はつっこみ置きなさいよ!!
13.やさしさ ★★★★
今作中に少ない橋本作詞曲。シンプルだがメロディの流れは綺麗。
ダメダメな私を許してくれるのが優しさでしょ、という身勝手な持論を押し付けてくるサビが印象的。本気か…?そんな人だったっけ?
そして中盤過ぎからは、このサビをこれでもかと繰り返しながら徐々に感情を高ぶらせ、呼応して演奏も激しくなってくる。
どうも本気っぽいこの人!そういう告白!?そりゃ綺麗事よりはいいかもしんないけど!
ここでそのやさしさ論を否定しようものなら即座に橋本が絶叫してはち切れ、そのまま戻ってこれなくなりそうなギリギリの緊張感のある怪曲。
思い返せば「太陽 いつ沈んだの」という出だしの歌詞からして既にダメダメ状態っぽい。
こういう状態の相手にオールOKなやさしさを発揮できなかったばかりに取り返しがつかないことになってしまった、
そんな過去の失敗体験が思い浮かぶ、なかなかに後味の悪い曲。
総評.★★★★★
前作「生命力」の大ヒットも記憶に新しいチャットモンチーから3枚目のアルバムが届きました!
みたいな売り文句に引っ掛かって買うとかなり面食らいそうな内容のチャット3rd。
かなりポップで世間寄りな2ndから一転、再び原石に戻る作業を始めたかのような1st寄りの作品。
今にして思えば2ndは「シャングリラ」のヒットを活かして稼げるときに新規ファンを稼いでおく意図もあったのかも。
今までとの大きな違いは福岡のベースが変な方向性で花開いたことで、良くも悪くもバンドのカオス度が格段にアップした。
相変わらずカッチリ丁寧に弾きこなす技術では見劣りするが、とにかく同じ演奏の垂れ流しにならないように積極的に手を入れている。
サビだけ繋げて聴いたりすれば耳馴染みの良いポップな曲が多い印象になるが、最初から通して聴くと、サビの印象と全然違うAメロだったりする。
吸収してきたジャンルが手広いからいろんなことが出来るという感じではなく、思いつくままにお試しで色々詰め込んでる感じで、どこか素人臭い。
洋楽の有名曲やマニアックな曲のアイデアを引用するような音楽通っぽいアーティストと一線を画する、
今自分で考えながら作ってるような彼女達のスタンスは貴重なのでは。
良い音は鳴らせるが、それがどう良いのかをロック史に絡めて説明したりは本人にもできそうもない天然種。
全体的に歌も演奏もアバウトで曲もゴチャゴチャしており、一貫して感覚的でカオス。美しいとかスタイリッシュとかいう曲は無い。
個人的にも別に元々こういう音のバンドが好きで探し回っていたという訳ではないし、
演奏はヘタウマなくらいが丁度良いと思ってる訳でもないが、結果的には今作は聴いたらスゲエと思える内容だった。単に好みの問題だと思う。
彼女達の実力が凄いのかどうかは自分にもよく分からない。
作詞は3人とも別々に担当しており、高橋と福岡は作詞自体を楽しむような創作っぽい要素強めな感じで、橋本は自分の話という印象。
いまいち薦めていい層を特定しにくいが、どちらかというと古いロックが好きな人のほうが気に入る作品だと思う。いや逆のほうが真かも。
古いロックよりミクスチャーとかの方が好きな人には向かないと思う。初めて1st聴いた時からの耳鳴りがついに止むかもしれない1枚。
総評(ピロウズのレビューでやれ編).
Last Love LetterのPVでは年老いた姿でステージに立つ彼女達が描かれているが、実はピロウズにもジャケ写でジジイに扮したアルバムがある。
その作品は孤独に肯定的な曲が多いが、実際聴き手が孤独なまま年老いたとしても、
いつかジャケ写さながらのジジイになった彼らがステージに上がってその作品の代表曲を歌い、
その聴き手の人生は孤独ではなく彼らと共にあったと思わせることで作品を完結させるような、遠い約束をしてみせた印象のジャケだった。
今のところピロウズは順調に来ているのでジャケ写再現も夢ではない感じだが、
女の子3人組バンドのチャットモンチーが、売れなかった頃の彼らと同じように、
ファンと長い時間を共有する意志を今表明してみせたことはかなり熱いことのように思える。
実際は深い意味はなく、イケメン俳優と結婚してさっさと音楽から足を洗ってしまうかもしれないが、
ババアになった自分を積極的に描いただけでも女性アーティストとしては珍しい。普通の女性に無い選択肢。
PVではだいぶババアだが、その時まで残るほんの一握りのファンの前で多分ニュースにもならないそのライブが実現される事を
老後の愉しみとしてうっすらと期待したい。
(★5個が満点。)