アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : でろふぁみりあ。

Reviewer:16th. 270-271 名無しのエリー2008.01.02.

1.quiet life ★☆ いわゆるイントロ。透明感ある電子音がリスナーを静かな世界観へ誘う。ただ個人的には、飛ばし曲。
2.obsessions ★★ ピコピコ。徐々に盛り上がってくものの、基本は淡々と流れてきます。
3.PAIR ★★★ ピコピコ。PVが作られた、分かりやすいサビのある一番明るいポップな曲。
4.Lunchtime Sketches ★★☆ ピコピコやや減。ここまで似たような明るいのが続くので、正直あんまり印象に残らない。。
5.the end of night ★★★ 相変わらずピコピコ。ただここから、少し落ち着いた雰囲気へ向かう。
6.Zip ★★★☆ ギターとストリングス主体。
7.lmcr ★★☆ 後半の「アイサレ、アイシ、アイサレタイ」のリピートがちょっとクセに。
8.(Liver) Where is my mind? ★★ NAOTOメインボーカル。淡々と。
9.Velvet morning ★★★★ 教会の清らかな朝みたいなイメージ。なんだか無性に懺悔したくなる気持ちに駆られる。
10.petica ★★★ 電子ピアノが綺麗なメロディを奏でる。ギターも絡む。
11.Hiding Road (feat.AIR) ★★★☆ AIRのイメージまんまw それに電子音が加わったと思えば。
12.balance ~love and hate ★★★☆ 後半を代表する曲。ギターとストリングスとピコピコが綺麗に合わせあってる。
13.so lonely ★★★★
前の曲から少し間をおいたところで、轟音ギターで始まり驚かされる曲。ギターの響きと余韻で孤独さを表現。
全体的にポップな曲が占める中で、ラストに一癖ある曲を持ってきたのが面白い。
総評.★★★☆
タイトル通りの、エレクトロニカな環境音楽で女性ヴォーカルもの。
あと大半が英語詞。発音に関してはあまり気にならなかったし、透明感ある声で聴きやすかった。
どれも適度にキャッチーかつ綺麗なメロディー主体なので、日常に溶け込んでいて、聴いてて心地よい。
1曲1曲が強く主張するというよりは、パーツとしてアルバムを構成していて、作品の世界観が統一されている。
ただ前半がピコピコし過ぎで、どれも似たような印象を受けるのが難。これは自分が普段テクノを聴かないからかは分からないけれど。
私的には、12や13のような曲を期待してたので、後半の方が好き。
またテクノポップといっても、レンジの『以心伝心』や『DANCE 2』のようなのを期待すると、全く別物なので、肩透かしを食らうかもしれない。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:22nd. 6-11 名無しのエリー2009.07.28.

1.blond head ★★★★★
一曲目は前作のイメージを覆す、生バンドのオルタナ。
前作ほとんどギター弾いてなかったので、やはりギタリストのソロ作としてそれはまずいと考え直したのだろうか。
メロディメイクに関してはNAOTOは歌謡曲的な流れのあるメロディを作るよりも、短いフレーズを反復させて組み立てる方が得意な印象で、
実際レンジの歌謡バラードはあんまいい所がない気がしてたが、今作は全英詞にすることでスッキリしたメロディに自然に詞を乗せることに成功している。
歌を楽器的に使ってる曲で面白い作品は今までもあったが、ピコピコ無しで充分聴ける歌モノをこさえたのは大きな進歩では。ついに歌モノ克服。
序盤の短調の部分はメロもギターのオブリも歌詞の荒涼とした感じもストレイテナー風で、途中から思い切ってギターを轟音にして並行長調へ転調。
そのまま終わるかと思ったら再び短調になって怪しいアウトロで終了。
前作と方向性が全然違うけど、これはこれでなんかいい。
2.down ★★★★
テンポ抑え目の美メロポップス。
イントロや間奏でサイケな感じを持ち込んだりもするが、全体的には、水の音を加工したようなリズム音や鉄琴っぽい音、
何の音だか分かんないけど金属的なヒリヒリした残響が心地良い音など、聴いてて落ち着く音で包まれている。
前回メインボーカルを務めた信近もそうだが、今回のRie fuも歌い方が押し付けがましくなくナチュラルで、曲の雰囲気にうまく馴染んでいる。
ギターの演奏がちょっと無機質なのが寂しいが、まあギター泣かせすぎて邪魔になったりするよりはよかったのかも。
3.no promises ★★★★
引き続きゆったりした、美メロというよりアレンジの巧さで聴かせるポップな曲。生ドラムの音量を割とデカめにしているので、前曲よりどっしりした印象に。
Aメロで奥まってヒリヒリ鳴ってるバイオリンが機をみて前線に上がって来る感じが緊張感があって良い。
部分的にパーカッションやシタールを足したり、おもちゃのピアノみたいな、こもり気味で伸びのないノスタルジックなピアノ音をメインに据えたりしながら展開し、
最終的にはほぼワンコードだったAメロにコードを付け替えた再生版を登場させ、それをピアノとストリングスと歪んだギターで囲って大サビ的に仕上げる。
ほとんど同じようなメロディしか出てこない割に聴ける曲。
4.rebirth ★★★★
打ち込みドラムやスクラッチが入るため、ついにピコピコ曲登場かと思わせるが、歌が入ると生ドラムになり、またもゆったりポップスに。
メロディメイクが以前より良くなってるとは思うが、今は今で高音へ行かずに中低音を巡る曲ばかりでマンネリしてるので、
似た路線の曲をもっと散らしたほうがよかったのでは。
そろそろピコピコ聴きたい…。と思ってると、Bメロで歌が暗くなり、ベースが変わったフレーズを弾き出す。
ここにギコギコした感じの不気味なアコギが乗り、ブリストル・ポップ風のホラーな曲に。
間奏明けにはM2で鳴ってたヒリヒリの金属音の振れ幅を大きくしたような音や、M3のノスタルジックなピアノも加わり、そのピアノでちょっとキュートな感じで終わる。
なんかピコピコなしでも全然やれてる。うれしいやら寂しいやら。
5.belle ★★★★
アルペジオと歌でシンプルに始まり、メロディも今までと毛色が変わる曲。
ギターはやっぱりただミスらずに弾いただけといった感じで味気ないが、ベースはスッキリしてていい感じ。
Bメロの「sound of joy,love and joy~」の繰り返しのメロディが耳に残る。
ところで全英詞の今作だが、日本人の大好きな英語「LOVE」を入れてるのはどうもこの曲だけっぽい。しかもラブソングでもない。
曲は途中からエキゾチックとも何とも形容しがたい謎の盛り上がりを見せる。
ここまで綺麗な曲が多かったが、いかがわしい曲はいかがわしい曲でなんかいい。
Rie fuの声はCMソングとかに向くような、これといった癖がない声だと思っていたが、怪しい曲に意外と合うかも。
6.meteorite night,tonight ★★★★★
トリッキーなイントロに反し、ここまでの流れにない土臭いメロディの曲。
なんか外人が作る演歌というか、アニマルズの「Don't let me be misunderstood」をもっと遅いテンポにしたような哀愁漂う雰囲気。
Aメロの終わりの「sing with me」のあとに入るコーラスが人の声じゃなくて人の声っぽいシンセ音源なのもまた哀しい。
死者とか人ならざる者とかと一緒に歌ってるイメージだろうか。
途中から歪んだギターでトレモロのソロが入り、そのままテンポアップして熱血アメリカンフォークみたいな感じに。これは意表をつかれた。
音を左右に振って散らしたオルガンが面白く、ヘッドホンで聴いてるとなんか頭の後ろあたりで鳴ってるように聞こえる所もある。
サビも英語ならではのテンポの良さが活きてる。ここまでちょっと間延び気味の英語が多かっただけに尚更。
そして再びスローテンポに戻る際、もう一度憂鬱を背負い込む気の重さを表すようにズーンと低音を鳴らしているのも味わいがある。
7.wounded ★★★
歯切れの良いストリングスで始まる、今作では割とアップテンポな部類に入る曲。ドラムが16ビートを刻んでる曲ってこれだけかも。
ベースも地味に良い仕事してる。メロディも悪くないが、ギターは結構ヘロヘロで頼りない。
綺麗な音色でまとめている点はここまでの流れ通りなので違和感は無いが、なんかレンジの「現実逃避」をRie fu用に作り直したといった感じで意外性が薄めか。
8.feather ★★★★
むしろRie fuが書く曲に近い印象の、アメリカンフォーキーな3拍子のバラード。
別にNAOTOが書かんでもいい気もするが、逆に
「いくらゲストボーカルでも、Rie fuが書いた曲が入ってないなら聴かない」というRie fuファンでも気に入りそうな曲ともいえるか。
多用されているストリングスもきちんと起伏のついた使われ方をしているし、ウッドベースの温かな音色もRie fuの声と相性が良い。
エフェクターを駆使して音量の揺らめきを作ったようなギターソロも意外と気持ち良い。3分程度と短いのも丁度いい。
9.see you ★★★
何の音だかよく分からないけど妙に気持ちいい音の鳴るイントロで、ついにピコピコか?と期待させられるが、結局生バンドになる。
しかもまた3拍子のバラード。曲順が…。別に前曲そっくりのメロディとかではないが、傾向としてはやはりフォーキーなメロディだし、さすがに印象が被る。
位置換えるか、次のアルバム用にストックしといてくれたらよかった気が。
でも長い間奏に入る前に鳴るキラキラした音群は綺麗。コラムス'97で連鎖した時みたいな。なんかいつもこんな例えでスイマセン。
10.primal ★★★★
そしてラストもバラード。おい…。一応4拍子にはなったけど。
しかしこの曲がここまでの曲と異なるのは、生の質感を重視してきたRie fuの声に残響系のエフェクトを強くかけている点だろう。
そしてオブリで鳴らしてるストリングス系の音色も同様に残響させているので、Rie fuの声が楽器の中に溶けて混ざり、ひとつになるような感じがして神秘的。
最後の音の塊のどこかに、楽器として生まれ変わったRie fuがいるような気さえする。
美声シンガーのいないレンジでは出来ない曲だし、まとめとしても綺麗なのでは。
総評.★★★★
ORANGE RANGEのギタリストにして舞台裏の若き仕事師、NAOTOのソロプロジェクト第2弾。
大まかな印象としては、ピコピコしてないけどいい作品。
全曲歌モノで、伴奏が全部打ち込みの曲もひとつもなく、ゲストボーカルもアコースティックな作風のRie fuという生寄りの布陣で、ここまで聴ける作品になるとは。
ボーカルだけを比べれば前作の信近エリもそれほど変わらないタイプだが、
曲の内容が宅録短編集っぽい感じからステージで歌う感じに一変したので、1stの延長上に作風を求めると面食らうかも。
メロディは特に複雑なひねりは加えてないものの、かつてなく綺麗で、出来にムラもない。率直な所、今まで何だったんだと思う。
ただ、全英詞を選択しただけあって歌謡曲的な右肩上がりの泣きメロとかは無い。Rie fuの歌唱力を引き出すダイナミックなメロディとかも無い。
1本の長いメロディを書くようになったというより、切り貼りの1サイクルが以前より長くなった感じ。それでも歌モノに色気を出しただけ結構な変化とは思うが。
前はいずれインストしか作らなくなりそうな雰囲気だったし。
そしてやはり音色が良い。ここは推したいのだがもう主観も主観なのでまあ触れる程度で。
アレンジは派手すぎずテンポ速すぎずでまとめており、すっきりしてて無駄が少ない印象。
ただ渋めに寄り過ぎてて、いわゆるレンジの客層との溝はかなり広がった気が。
詞もがんばって英語にしてるものの繰り返しのフレーズがちょっと多く感じるし、NAOTOのギターが全体の足をかなり引っ張ってる印象も。曲順も難がある。
それでもピコピコ無しでここまでやったら充分というのが自分の印象。
バカ売れしてる頃のレンジを見たときは、自分には関係ないしすぐ消える連中だろうと思っていたが、
今となっては当時の彼らの支持層は自分より遥かに見る目があったんだと思う。
当時のティーン達が発掘した才能は、今や当時のレンジに目もくれてなかった人間の期待にも応える存在になりつつある。
それで何でこのアルバムがオリコン100位にも入らないのかはよく分からんが。
皆NAOTOのソロを待ってた訳でもないのか。まだレンジほど良くないから買わないという判断か。よく分からん。
とにかくこのまま歌モノ路線を突き詰めるにしても、またピコピコさせるにしても、次への糧となる作品が出来てるのでは。
そもそもNAOTOが打ち込みを多用することを知らない人なら何の違和感もなく聴けそうな一枚。
(★5個が満点。)