アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : たけなかえり(まわり)。

Reviewer:14th. 811-813 名無しのエリー2007.05.27.

1.alice ★★★
かなり型にはまってる感があるが丁寧な歌メロの曲。
じっくりと歌を聴かせる意図のため、歌が前面に張り出してバックがそれを支える作りとなっており、
この歌のリズムにはこの演奏しかない、という程噛み合いに説得力は無い。
しかし、訳の分からないピコピコ音で埋めるような思わせぶりをするよりずっと好印象。
サビの「どこまでも」のフレーズに合った伸びやかな歌い方が印象的。
2.スクランブル ★★★
Aメロの無駄の多さが気になる。歌か演奏のアイデアのどっちかで埋めるべき所をまんま流してしまってるような。
シンプルなピアノのコードバッキングを強調したサビは緊張感がある。歌の技術が確かで、詞世界も大風呂敷でないので説得力がある。
3.サヨナラサヨナラ ★★★
歌の感情表現が丁寧で、別れを予感している不安な心情をBメロ以降段階的にうまく表している。
メロディは綺麗だが、入り組みすぎていてくどい印象。本人の歌だけで充分な表現力なので、後半の厚いコーラスは蛇足のような。
プロデューサーの趣味?
4.泣ける場所 ★★
アコースティックな質感と柔らかな歌い口調が優しい雰囲気を出しており、歌詞に登場する2人の距離の近さを感じさせる。
丁寧だがベタで物足りないような。
5.ちょうどいい ★★★★
エレピの伸びやかな音と気だるいコーラスが印象的な、ラウンジ系の柔らかい曲。妄想や虚言でなく現実的な自分を表現する彼女の姿勢が表れた曲。
世間で何が流行っても彼女は自分のあり方を貫ける芯がある、と感じさせる。
勿論「等身大で満足するプロは要らない」という意見もあるだろうが、多分彼女はそれも受け止められるのでは。
6.dislike you ★★
あどけない歌い方が印象的なアップテンポのポップス。メロディもアレンジもベタすぎるような。
歌の引出しの多さを披露した意味では成功な曲か。
7.ありがとう ★★★
サビの「ずっと淋しかった ずっと探してた」の部分の切ない歌い方が印象的。アウトロの和音ベースも優しい。
メロディはありきたりか。真面目な作りで共感しやすいが、別にうまいこと言ったり衝撃発言が飛び出すわけではないので退屈かも。
逆鬼束という感じ。
8.話そうよ ★★★
アコギにウッドベース、ドラムもスティックではなくブラシでのプレイというアコースティックな曲。
彼女の温もりのある声にはこうした曲調が最良か。狙って舌足らずな歌い方も相俟って、心地の良い曲。
9.優しい手、震えた手 ★★★★
引き続きアコースティックな曲。作中通してアコースティックなテイストの曲が並んではいるが、中でも生の質感が伝わる曲。
プロデュース段階で色々いじった感は無い。低音の発声も味があり、全体的に大人びてしっとりした歌声が魅力的。
歌を中心に据えたアレンジに、歌唱力で応えた好例。
10.雨と虹 ★★
陽気なピアノやコーラスでハッピーな雰囲気を出したアップテンポな曲。
メロディは良いがテーマもアレンジもありふれているような。
アルバムの流れの中のアクセントという意味では効果のある曲。
11.二人の明日 ★★★
郷愁のあるメロディとアレンジがノスタルジックな曲。
タイトルから連想される通りの曲で特にひねりは無いが、歌に説得力があり、
懐かしい感じのアレンジも、二人の日々が過去からずっと続いてきたような時間の積み重ねを連想させる。
12.gerbera ★★★
途切れ途切れに低音でつぶやくように歌うAメロが印象的。歌の表情は多彩。
「お願い、僕を見つけて」というありふれたフレーズを彼女なりの歌い方で聴き応えのあるものに仕上げている。
言葉だけ綺麗なアーティストより歌と詞が密接で、ずっと誠実。
総評.★★★
等身大の女性の気持ちを歌った作品。
シンガーとして確かな実力があるが、やはりごく普通の女性の共感を得ることが狙いのためか、何より聴き易さ重視で、楽曲に新鮮な魅力は無い。
日常にきっちり視点の合った詞世界で、詩人気取りの意味不明な詞が登場するような胡散臭さは無い。
詞は面白半分に飛び道具的に使うものではなく、大切な伝達手段なんだ、という真面目な姿勢は好感が持てる。
彼女にかかれば「千の夜」も、もっと伝わるように「二年半ぶんの夜」と変換されそう。
欠点としてはやはりベタな楽曲か。プロミュージシャンとしては音楽の深みへの踏み込みが足りないような。
おそらく狙ったものだが典型的J-POPスタイルなので、洋楽ファンには今更かも
(J-POPの楽しみ方を知らずに結論だけ飛躍して洋楽支持に回り、過程もなくJ-POP糞で洋楽ファンと話を合わせてる人とかは除く)。
(★5個が満点。)