アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : えんどうけんじ。

Reviewer:5th. 717-718 名無しのエリー2003.10.11.

1.夜汽車のブルース ★★★★
アコースティック・パンク曲。姉妹曲はボブ・ディランのtombston blues(+satisfaction)。
「なんか面白いことなぁいぃかあ~」と叫ぶボブ・ディランのようなボーカルが素晴らしい。はっぴぃえんどのサポート演奏もグルービーで良い。
だがこのバージョンは後半ちょっとだれる気もする。
2.ほんとだよ ★
どうも好きになれない。
3.ただそれだけ ★★★☆
ニック・ドレイクにも通じる異国異次元へふっとばされそうなアコギ曲だが
エンケンがやると地に足がついた生活臭もする、そこがエンケンの面白さだろう。
4.君がほしい ★★★★
枯れたニールヤング風なアコギ弾き語り曲。
ハーモニカもそんな枯れた雰囲気を強めてくれ、「君がたまらないほどほしい」と唄う。
彼の懇願が痛いほど伝わる。
5.雨あがりのビル街(僕は待ちすぎてとても疲れてしまった) ★★★☆
フォークの名曲。アルバム中最も歌声が光る曲でもある。
歌声を聴いているだけで詩の情景が浮かんでくる。「だからもう~」のなんともいえない語調が個人的にはたまらない。
しかし、この曲にははっぴぃえんどのサポートは必要なかったのかもしれない。一人アコギ弾き語りのほうが雰囲気も良いように思う。
6.君のことすきだよ ★★★★
初期ディランのような呼吸の様がよく伝わってくる弾き語りフォーク。短いながらも演奏の密度は濃い。
7.猫が眠っている,NIYAGO ★★★☆
印度、神社のを連想させるような、長いインプロのフォーク語り弾き曲。
しかしやはりそこはエンケン、どうしても現実生活の臭いがする。
哲学的な曲調ながら堅苦しさは感じない。
総評.★★★★
やはりここでの主役はエンケンの声。エンケンの声は暗い曲の中にもなぜか「笑い」の要素を含んでいるように思う。
その辺り、同時代のはっぴぃえんど、更にディランと似たような印象も受ける。
四畳半の生活臭も全体に渡って漂う。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:5th. 546-547 パンチョ2003.9.15.

1.満足できるかな
性的なのか、ディラノイズム(※)の延長線上なのか独特の歌詞のブルージィなロック・ナンバー。
ビートに少し無理に歌詞を載せようとするときのボーカルが素晴らしい。
またはっぴいえんど(大滝以外)のバックも素晴らしい。
2.カレーライス
一般的に遠藤賢司といえばこれ、って曲かな。弾き語り。
内なる静かな切なさ、哀しみすらもさった人間の喪失感がよく表現されている。
3.おやすみ
弾き語り。
歌詞にある夜空にまたたく星や月を思わせるギターリック(アルペジオの延長?)と口笛が憎いです。
4.待ちすぎて僕は疲れてしまった
細野のウッドベースとリズムがカントリーを思わせる一曲。
歌詞には遠藤賢司の女性に対する微妙な性格(ひねくれている・・・?腰が弱い?諦め癖?上手く言えないが)がよく出ている。
5.外は暑いのに
ハーモニカ、ギターによる弾き語り
のちのはっぴいえんど「風をあつめて」に繋がる70年代、木造二階建ての日本の夏を上手く表現している。
6.今日はとてもいい日みたい
このアルバム唯一のピアノによる弾き語り。
この曲を聴きおえてつくづく思うのはいい曲はシンプルでいて奥が深いのだ、ということ。
7.寝図美よこれが太平洋だ
異色な一曲。
打ち合わせのやりとり(合いの手について)がそのまま入っていて遠藤賢司も歌の途中で苦笑いする。
途中SE?で何人かが爆笑する声が入ったり滅茶苦茶。
しかし詞によくあった楽しい雰囲気に包まれている。こういうユーモアもエンケンのひとつの良さだ。
8.ミルクティー
弾き語り。7、の雰囲気をがらりと変わりうらたのぶこの女性から男を見た詞を真剣に歌い上げる。
9.早く帰ろう
ひっぱたくようなギターリックが特徴的なブルースナンバー
ブルース独特のけだるさと早く帰りたいというおもいがよくあっていると思う。
10.雪見酒
行進していくかのようなリズムとベースのイントロから始まる一曲。
もちろん歌詞の情景描写は素晴らしいのだがニールヤングの名前が登場したり
この曲は「あいつ」が雪の上でおしっこをしてちんちんが揺れているときギターを奏でて作った、とカミングアウトしてたり聞いてて面白い。
(どうでもいいことだがニールヤングのような歌唱法をしているので「おちんちん」が「オティンティン」と・・)
11.きみはまだ帰ってこない
弾き語り。
待たされ続けてこたつにくるまってぼーっとしている男。そういう時こそ小さな発見が沢山あるものだ。
六分間の曲の中に何時間と女を待っている男の複雑な感情、ドラマが詰まっている。
総評.
遠藤賢司の弾き語りが楽しめる遠藤賢司の代表作。
ブルース、フォーク独特のけだるさが苦手な人、音源の古さが気になる人は避けたほうが良いが
逆にアコースティックなサウンドが好きな人、はっぴいえんどが好きな人にはたまらないと思うし長く付き合える良盤だろう。
またはっぴいえんどをバックにしたバンドサウンドやピアノ弾き語りも楽しめる点、
名曲カレーライスが収録されている点にも購入者は注目したい。
(またエンケンのもうひとつの顔である轟音ディスト-ションギターは導入されていないので注意。)

(※)ディラノイズム・・・
 ナンセンスなようで意味がありそうだ、と思わせる
 しかし比喩的で本当は意味がある? 聞き手を混乱させようとする意志があるのか、ないのかさえ解らない特殊な考え方。
(楽曲・総評ともに星評価なし。)