Reviewer:17th. 502-506 名無しのエリー2008.04.25.
1.ボクノタカラモノ ★★★★★
ゆったりとした幻想的なボーカルから入る。低音ハモリのラインが非常に印象的で、こちらがメインに聞こえるほど。
ストリングスや8BITサウンド、マーチングドラムが代わる代わる曲を彩る美メロポップス。
途中バスドラ替わりに心臓の鼓動音を用いているが、実は正確なリズムに当てはめずに自然な心拍のリズムを優先している。
曲中に数回登場する「チクタク動き出す」というフレーズを効果的に浮き上がらせるために、
その部分では伴奏をストリングスのみにして毎回仕切り直してみたりと、カラフルなアレンジの中にも統一感を持たせる意図を感じる。
作品の世界観にぐいっと引き込む理想的な1曲目。
ストリングスや8BITサウンド、マーチングドラムが代わる代わる曲を彩る美メロポップス。
途中バスドラ替わりに心臓の鼓動音を用いているが、実は正確なリズムに当てはめずに自然な心拍のリズムを優先している。
曲中に数回登場する「チクタク動き出す」というフレーズを効果的に浮き上がらせるために、
その部分では伴奏をストリングスのみにして毎回仕切り直してみたりと、カラフルなアレンジの中にも統一感を持たせる意図を感じる。
作品の世界観にぐいっと引き込む理想的な1曲目。
2.空の影 ★★★★
フレーズよりも音色に遊び心を持たせて透明感を出した、ミドルテンポの静かな曲。
曲の出来は丁寧だが、歌も含め全体に無機質で淡々としており、その平熱感が妙に心地良い。
ボーカルのriyaは技術的には何ら強みは無いが、その透明な声質が曲ごとに勝手に様々な表情を発揮している印象。
曲の出来は丁寧だが、歌も含め全体に無機質で淡々としており、その平熱感が妙に心地良い。
ボーカルのriyaは技術的には何ら強みは無いが、その透明な声質が曲ごとに勝手に様々な表情を発揮している印象。
3.マルメロ ★★★★★
「黒にそめろ」とかそういう系統の曲名かと思ったが、別に丸める歌ではないらしい。
ここまでの流れ通り音を大胆に絞ったゆったり目の美メロポップスとして始まるが、突然儚い世界の秩序を脅かすような大音量のドラムが加わる。
高めのバスドラ音がドアを荒々しくノックするように繊細な歌声を脅迫する中で、サビでは絶妙な低音ハモリが重なる。
声が綺麗なだけの普通の女の子といった印象のriyaのボーカルを活かす道は、やはりシンガーらしいリアルな叫びより、潔癖でファンタジーな世界観か。
前曲とさして変わらない歌い方だが、何故か切ないほどの無垢さを感じる。
ここまでの流れ通り音を大胆に絞ったゆったり目の美メロポップスとして始まるが、突然儚い世界の秩序を脅かすような大音量のドラムが加わる。
高めのバスドラ音がドアを荒々しくノックするように繊細な歌声を脅迫する中で、サビでは絶妙な低音ハモリが重なる。
声が綺麗なだけの普通の女の子といった印象のriyaのボーカルを活かす道は、やはりシンガーらしいリアルな叫びより、潔癖でファンタジーな世界観か。
前曲とさして変わらない歌い方だが、何故か切ないほどの無垢さを感じる。
4.リトルマーチ ★★★★
再び落ち着きを取り戻す、木琴の音が印象的な音数絞り目のミドルテンポ曲。
暗めの描写で入るAメロから少し意外な音で繋がるBメロを経て、サビ前で光を集めるようなきらびやかなシンセが入り、
一気に世界が開けるように明るくキャッチーなサビへ。
例によってriyaの歌い方は変わり映えしないが、何故かちゃんと無邪気で嬉しげな感じに聞こえる。菊地版の童謡といた印象の曲。
アレンジはシンプルでボーカル重視の曲が続くので、ボーカルの声がダメならこの辺で挫折するかも。
riyaの声がより魅力的に聞こえる作りにはなってると思うが。
暗めの描写で入るAメロから少し意外な音で繋がるBメロを経て、サビ前で光を集めるようなきらびやかなシンセが入り、
一気に世界が開けるように明るくキャッチーなサビへ。
例によってriyaの歌い方は変わり映えしないが、何故かちゃんと無邪気で嬉しげな感じに聞こえる。菊地版の童謡といた印象の曲。
アレンジはシンプルでボーカル重視の曲が続くので、ボーカルの声がダメならこの辺で挫折するかも。
riyaの声がより魅力的に聞こえる作りにはなってると思うが。
5.journey song ★★★★★
作曲もriyaが手掛けた、今作中では最もアッパーな曲。
8BIT音にボーカルが絡む形で静かに始まるが、サビで加わるベースが爆発。
オーバードライブした音でブンブンうなるが、リズム楽器としてよりメロディ楽器として捉えているようで、
ケルティックで弦楽器が担当するメインの旋律をベースで弾いているような感覚。
サビでのコーラスとの掛け合いも陽気で、8BITケルトとでもいうべき不思議な賑やかさを発揮した曲。
8BIT音にボーカルが絡む形で静かに始まるが、サビで加わるベースが爆発。
オーバードライブした音でブンブンうなるが、リズム楽器としてよりメロディ楽器として捉えているようで、
ケルティックで弦楽器が担当するメインの旋律をベースで弾いているような感覚。
サビでのコーラスとの掛け合いも陽気で、8BITケルトとでもいうべき不思議な賑やかさを発揮した曲。
6.光の果実 ★★★
ティンパニの連打で物々しく始まるマイナー調の曲。
今作の流れ通り、生演奏をほとんど意識せずに作られており、常にピアノかギターにコードバッキングをさせたり、
音を絞る部分でもベースとドラムも一応参加させたりといった「取り敢えず」感がない。キッパリ音数を絞る。
おかげでボーカルで魅せるための舞台装置はバッチリ機能しており、鮮やかな情景の変化が楽しめるが、
個々のパートのフレーズを聴き込むとさほど珍しいことはしてないかも。
コピーして弾くにはやや退屈か。
今作の流れ通り、生演奏をほとんど意識せずに作られており、常にピアノかギターにコードバッキングをさせたり、
音を絞る部分でもベースとドラムも一応参加させたりといった「取り敢えず」感がない。キッパリ音数を絞る。
おかげでボーカルで魅せるための舞台装置はバッチリ機能しており、鮮やかな情景の変化が楽しめるが、
個々のパートのフレーズを聴き込むとさほど珍しいことはしてないかも。
コピーして弾くにはやや退屈か。
7.ぐるぐる ★★★★★
ピアノのバッキングとマーチングドラムに乗って、ゆったり目のテンポで悠然と進んで行くポップな曲。
ウッドベース(コントラバス?)の弾力のある音とストリングスアレンジでやや堅い印象を出す一方、
あどけないボーカルとテンポよく展開するメロディが無邪気な明るさを演出し、大人っぽいような子供っぽいような不思議な曲に。
テンポが遅くてバラけてしまいそうになりつつも、
とりとめもなく広がる豊富なメロディがギリギリのところで曲を繋ぎ止めている、緊張感のある曲。
ウッドベース(コントラバス?)の弾力のある音とストリングスアレンジでやや堅い印象を出す一方、
あどけないボーカルとテンポよく展開するメロディが無邪気な明るさを演出し、大人っぽいような子供っぽいような不思議な曲に。
テンポが遅くてバラけてしまいそうになりつつも、
とりとめもなく広がる豊富なメロディがギリギリのところで曲を繋ぎ止めている、緊張感のある曲。
8.ホシワタリ ★★★
今作中では癖のあるメロディを有する、ストリングスメインの静かな曲。
後年の作品に比べるとコード運びやメロディメイクの幅はまだ狭いが、それでもマンネリしない作品にはなっている印象。
いつの間にか鳴り出しているタンタンタン…という8ミリ映写機のような音がノスタルジック。
メロディは非常に連続性があるが、サビの繋ぎなど、節々でアレンジがあっさりしすぎていて勿体無い気が。
サビ頭のトリッキーなメロディは滝本晃司そのもの。接点なさそうだし、偶然同じようなセンスを持っていたのだろう。
どんだけいるのか知らないが、滝本ファンなら今作は気に入るかも。
後年の作品に比べるとコード運びやメロディメイクの幅はまだ狭いが、それでもマンネリしない作品にはなっている印象。
いつの間にか鳴り出しているタンタンタン…という8ミリ映写機のような音がノスタルジック。
メロディは非常に連続性があるが、サビの繋ぎなど、節々でアレンジがあっさりしすぎていて勿体無い気が。
サビ頭のトリッキーなメロディは滝本晃司そのもの。接点なさそうだし、偶然同じようなセンスを持っていたのだろう。
どんだけいるのか知らないが、滝本ファンなら今作は気に入るかも。
9.つなぐ空 ★★★★★
フィナーレに向けて儚く美しい世界観に変化が見え始める曲。
時折鳴る狂ったような電子音が不安な心理を煽り、曲後半では歪んだギターと荒々しいドラムが、静かに紡がれてきた世界を蹴散らして回る。
1曲目では「夢から覚めないで キミのとなりにいたい」と歌われていたが、
ここで「僕は一人残されて もう見ないで行ってよ」と決別が告げられる。riyaの声も心なしか哀しげ。
最後は文明の終焉を告げるようにコンピューターがデタラメな電子音を鳴らし散らかして曲が終わる。
時折鳴る狂ったような電子音が不安な心理を煽り、曲後半では歪んだギターと荒々しいドラムが、静かに紡がれてきた世界を蹴散らして回る。
1曲目では「夢から覚めないで キミのとなりにいたい」と歌われていたが、
ここで「僕は一人残されて もう見ないで行ってよ」と決別が告げられる。riyaの声も心なしか哀しげ。
最後は文明の終焉を告げるようにコンピューターがデタラメな電子音を鳴らし散らかして曲が終わる。
10.アルタルフ ★★★★★
何も無くなった世界に空しく響くかのような、虚ろに残響する歌声が印象的な、実質的な結びの曲。
旋律的には今作の曲の中でもかなりシンプルだが、静寂の使い方が効果的で、印象としては重い。
音数を絞ったアレンジで落ち着いた雰囲気を出した曲が多い今作だが、この曲では音の隙間が喪失感を演出しており、悲しい印象。
1曲目では夢の中でずっと一緒にいる事を望んだ「僕」が「ここから二人で見た景色を お願い 君は忘れて」と歌い、
自身も「永遠の地」という、死地ともとれる場所へ赴く。
ここまで作り上げられてきた美しい世界は全否定されて儚く消え、ひとまず短い夢のような今作の世界観は幕を閉じる。
旋律的には今作の曲の中でもかなりシンプルだが、静寂の使い方が効果的で、印象としては重い。
音数を絞ったアレンジで落ち着いた雰囲気を出した曲が多い今作だが、この曲では音の隙間が喪失感を演出しており、悲しい印象。
1曲目では夢の中でずっと一緒にいる事を望んだ「僕」が「ここから二人で見た景色を お願い 君は忘れて」と歌い、
自身も「永遠の地」という、死地ともとれる場所へ赴く。
ここまで作り上げられてきた美しい世界は全否定されて儚く消え、ひとまず短い夢のような今作の世界観は幕を閉じる。
11.rond et rond ★★★
M7の別バージョン。
何語ともつかない言語で歌われているが、歌詞カードには「イメージ詞のため歌詞は掲載しません」とある。
仮歌のようなものか、はたまたオリジナル言語として成立しているのか。
今作中で最も生演奏感の強い爽やかなボサノバアレンジで、化粧品のCMで流れてそうな清涼感のある曲。
基本この人達の曲はことごとく日常に合わないので、実はこれは快作かも。1分半しかないのが勿体無い。
何語ともつかない言語で歌われているが、歌詞カードには「イメージ詞のため歌詞は掲載しません」とある。
仮歌のようなものか、はたまたオリジナル言語として成立しているのか。
今作中で最も生演奏感の強い爽やかなボサノバアレンジで、化粧品のCMで流れてそうな清涼感のある曲。
基本この人達の曲はことごとく日常に合わないので、実はこれは快作かも。1分半しかないのが勿体無い。
12.marumero ★★
M3の別バージョン。やはりイメージ詞。
ピアノ弾き語りでシンプルに仕上げているが、手作り感を出すための意図的なものなのか録音環境が悪い。
そしてやはり1分半しかない。まあ前曲含めボーナストラックだし。
ピアノ弾き語りでシンプルに仕上げているが、手作り感を出すための意図的なものなのか録音環境が悪い。
そしてやはり1分半しかない。まあ前曲含めボーナストラックだし。
総評.★★★★★
ボーカルriyaと作曲家菊地創のユニットeufoniusが、メジャーレーベルと契約中に自主制作でリリースした作品。
後年の「metafysik」がコードやメロディの繋がりをたぐって外へ外へ開けていく探求的な作品だとすれば、
この作品はriyaの声の魅力を最大限に引き出すことを大前提に、まとまりのある世界観を築こうとした作品、という印象。
楽曲は王道美メロポップが多く、あまり無茶せずに高いアベレージでまとめている。
アレンジはバンド色を廃して、「常に鳴らす音」を設けずに流動的にパーツを組み合わせて仕上げており、絞りどころも騒ぎどころもかなり大胆。
riyaの詞がファンタジー全開であることを考えれば、ライブ性が薄く現実から遠い打ち込みアレンジは正しい判断だろう。
ライブは多分CDより悪くなるだけだろうな、と思ってしまう面もあるが。
さて肝心のriyaのボーカルだが、基本的にはただ歌ってるだけという感じで、大袈裟な表情の変化は見せてこない。
しかしその淡々とした声が時に幼く、時に大人っぽく、優しく、一途に、切なげにと、何故か曲ごとに違ったニュアンスを感じさせる。
役者の動き次第で無表情な能面が様々な表情を見せるように、
彼女の声は曲や詞から聴き手が受けるイメージに素直に乗っかり易い、中立的な声なのかも。
また今作では一人称を「僕」に統一しているが、これも潔癖な世界観を築く上で大きかったかも。
女性が「僕」で歌うと、性欲を全く感じさせない中性的な男子像が出来るが、この虚構の世界には等身大の女性像なんかよりそっちのほうがよほど合っている。
とにかくriyaという素材を活かし切った作品だが、いくら曲の出来も良いとはいえ、彼女の声がどうしてもダメな人にとっては総崩れ。
隙間の多い作風が苦手な人にも薦めにくい。しかも入手もやや面倒。
もし知人が持ってたら、せっかくだから借りてみるのもいいかも。
どこまでもファンタジーを貫いた、虚構ならではの綺麗さに満ちた一枚。
後年の「metafysik」がコードやメロディの繋がりをたぐって外へ外へ開けていく探求的な作品だとすれば、
この作品はriyaの声の魅力を最大限に引き出すことを大前提に、まとまりのある世界観を築こうとした作品、という印象。
楽曲は王道美メロポップが多く、あまり無茶せずに高いアベレージでまとめている。
アレンジはバンド色を廃して、「常に鳴らす音」を設けずに流動的にパーツを組み合わせて仕上げており、絞りどころも騒ぎどころもかなり大胆。
riyaの詞がファンタジー全開であることを考えれば、ライブ性が薄く現実から遠い打ち込みアレンジは正しい判断だろう。
ライブは多分CDより悪くなるだけだろうな、と思ってしまう面もあるが。
さて肝心のriyaのボーカルだが、基本的にはただ歌ってるだけという感じで、大袈裟な表情の変化は見せてこない。
しかしその淡々とした声が時に幼く、時に大人っぽく、優しく、一途に、切なげにと、何故か曲ごとに違ったニュアンスを感じさせる。
役者の動き次第で無表情な能面が様々な表情を見せるように、
彼女の声は曲や詞から聴き手が受けるイメージに素直に乗っかり易い、中立的な声なのかも。
また今作では一人称を「僕」に統一しているが、これも潔癖な世界観を築く上で大きかったかも。
女性が「僕」で歌うと、性欲を全く感じさせない中性的な男子像が出来るが、この虚構の世界には等身大の女性像なんかよりそっちのほうがよほど合っている。
とにかくriyaという素材を活かし切った作品だが、いくら曲の出来も良いとはいえ、彼女の声がどうしてもダメな人にとっては総崩れ。
隙間の多い作風が苦手な人にも薦めにくい。しかも入手もやや面倒。
もし知人が持ってたら、せっかくだから借りてみるのもいいかも。
どこまでもファンタジーを貫いた、虚構ならではの綺麗さに満ちた一枚。
(★5個が満点。)