アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : ふうみどう。

Reviewer:10th. 841-844 名無しのエリー2005.11.07.

1.もどかしさが奏でるブルース ★★★★
冒頭から、いきなりの激しいナンバー。
風味堂というと、先行シングルのようなピアノをメインに据えたかわいらしい曲のイメージがあったので、驚いた。
恋愛のボヤキを吐き出すだけの歌詞だが、演奏のハードさもあり、なんだか無性に盛り上がる。思わず手を突き上げる。
2.ナキムシのうた ★★★★★
先行シングル。カーペンターズを彷彿とさせる前奏から、絞り出すように歌い出される。
ピアノ主体の演奏に、曲が進むに連れてバンドサウンドが自然に加わる。そしてゴシャっとサビに突入。
明日笑えるように今は泣きたいだけ泣けばいいさ、という、ありがちな前向きさを歌うが、
ボーカルと安定感のあるリズムにより、ものすごい説得力をもって響く。
3.楽園をめざして ★★★★★
先行シングル。ジャズ風味の演奏が跳ねるようなリズムに乗り、突っ走る。
コーラスワークも絶妙。「ぱ~ぱらぱっぱらっぱっぱ~」という、ふざけてるようなコーラスが、演奏と相まって、「夏感」を醸し出す。
ボーカルの声質のせいか?曲から伝わる切実さ、必死さがいい。
4.イイ女 ★★★★☆
こちらもジャジーな一曲。ホーンセクションとの絡みがいい。
スカのリズムが取り入れられており、ライブで演奏されるといい具合に酔い、踊れそう。
女を口説く情けない男の心情を歌った、コミカルなラブソング。
5.眠れぬ夜のひとりごと ★★★☆
先行シングル。とにかく、勢いがある。
ドタバタしたリズムに乗り、大人や社会に対する不満、そして(バンドの?)決意表明をラップ調で吐き出す。
悪く言えばガキっぽい歌。だが、勢いはある。
6.ねぇ 愛しい女よ ★★★★
ほぼピアノ単体による弾き語りのラブソング。演奏とボーカルとの絡みが、とても美しい。
ベタベタに歌謡曲風のメロディといい、未練タラタラの歌詞といい、好き嫌いが分かれそうではある。
ただ、このバンドの楽曲の多様さには感心する。
7.FUNNY JOURNEY ~渚の吐息~ ★★★☆
エロソング。淫らな一夜を独特のリズムに乗せて歌い上げる。何気に韻を踏んでいる歌詞が笑える。
8.真夏のエクスタシー ★★★★☆
超ソウルフル。かすれ気味の歌声は、もはや和田あき子か中納良恵(Ego Wrappin')か。
「場末感」が非常に上手く表現されている。「エクスタシー」と連呼する歌詞は、本気なのかふざけてるのか分からない。
だが、ボーカルの個性と演奏の上手さにより、「本気でふざけている」ような印象は受ける。
9.笑ってサヨナラ ★★★★
終始、女性目線の一人称で歌われる失恋ソング。
「ねぇ マスター」と語りかける曲中の女性は、いかにもステレオタイプでありながら、
切ないホーンとピアノ演奏により彩られると、なぜか美しく映る。
この曲も、「ぱっぱっぱっぱ~」というコーラスワークが笑える。でも上手い。
10.散歩道(Walkin' Horns) ★★★
ミディアム調のラブソング。童謡を連想させる美しいピアノが際だって響く。
だが、他の曲と比較すると、やや地味か。
11.ゆらゆら ★★★★
壮大なバラード。アルバムの最後を飾るにはふさわしい曲といえるだろう。
…他には、特に書くことはない。
総評.★★★★☆
風味堂の作品をこれまでに真剣に聴いたことはなく、ラジオから流れる先行シングルが耳に残ったので
何気なくアルバムを購入したのだが、いい意味で期待を裏切られた。
ギターがおらず、ピアノやホーンを加えたバンド構成だが、非常に聴かせる。演奏やアレンジが、卓越して上手いように感じる。
また、ボーカルが個性的であり、好き嫌いは分かれるところであろうが、最近では珍しく、説得力のある声であるように思う。
ライブには行ったことがないので、生演奏の力は分からないが…
このアルバムを通して印象に残ったことは、楽曲の振れ幅の大きさである。
ロック調を全面に押し出した曲(01,05)があれば、コミカルでジャジーな曲(04,09)もあり、
また、バラード曲(02,06,11)はスティービー・ワンダーを彷彿とさせる(言い過ぎか?)。
一枚のアルバムで、これだけ多彩な楽曲を堪能でき、非常に贅沢な気がする。
ボーカルの声に抵抗を感じないのであれば、一聴を薦める。
ボーカルの個性は、先行シングル「ナキムシのうた」において顕著に表れていると思うので、
この曲を気に入った人ならば、アルバムを購入しても、期待を裏切られることはないのではなかろうか
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:13th. 386-388 名無しのエリー2006.11.12.

1.Stay with me ★★★★
「戦争」という世界観がありながらも軽快に仕上げた一曲。
アニメかなんかのオープニングテーマなんかに使われそうな曲。
2.クラクション・ラヴ -ONISAN MOTTO GANBATTE- ★★★☆
シングル曲。先ほどとは一転し、「スキッス」という言葉を連呼するナンバー。言うなればエロソング。
ふざけたような歌詞だが、間奏のピアノやベースの音がかなり格好いいし、管楽器も合わさってかなり派手な歌になっている。
3.愛してる ★★★★
シングル曲。ドラマの主題歌にも使われ、話題となっているバラード。
「恋の終わりは人を優しくする」と静かに始まり、サビに行き着くまでに少しずつ音が加わっていき、壮大になっていく。
失恋をどこか第三者からの視点で見たような歌詞が切なさを感じさせる。
4.Shall we dance? ★★☆
エロソング。女性コーラスの吐息がエロい。
曲自体は前のアルバムの「FUNNY JOURNEY」と構成が似ており、それを超えられていないような感じ。
3曲目の後に「愛してる、薄情な台詞さ」という歌詞のこの歌を入れたのは狙っているのだろうか。
5.恋の天気予報 ★★★★☆
ケンカ後の男の複雑な心境を歌った曲。
変なコーラスと相まって全体的にどこかほのぼのとした雰囲気が流れており、意地を張る男が微笑ましく思える。
何度でも聴きたくなるような落ち着いたメロディーの曲。
6.ママのピアノ -StringsVersion- ★★★★
シングル曲。ピアノ&ボーカルの渡氏がかつてピアノが嫌いだった自分に向けて歌った手紙のような曲。
聴いているとこちらも彼の思いに引き込まれ、壮大な大サビの後の静かに語るように歌う所がかなり素敵。
7.Your Story ★★★☆
シングル(B面)曲。ピアノがかなり特徴的なアッパーチューン。歌詞に「転んでも立ち上がって走り続ける」というポジティブな思いを力のある響きで聴かせる。
間奏にはそれぞれベースとピアノの見せ場があり、大サビに向かって盛り上がっていく。
8.線香花火 ★★★★☆
全編ピアノソロと口笛がかなり印象的な一曲。
遊びのつもりが本気になってしまった一夏の恋の切なさを口笛が表現している。が、少々地味さを感じる。
同じ失恋の曲でも3曲目とまた違う歌が作れるのだから彼らの引き出しの多さには感心する。
9.家出少女A ★★★
家出した中高生のぼやきと我侭の歌。
歌詞はともかく伴奏はピアノ主体だったこれまでの曲とうって変わり、ドラムもベースもジャカジャカ鳴らしている。
10.LAST SONG(Album Edit) ★★★★★
シングル(B面)曲。間違い無くこのアルバムの中で一番の名曲。
両親、兄弟、そして最愛の人とそれぞれに別れを言葉を告げるメロディ部、その最後の別れをする夜に最愛の人を想い、歌を捧げるサビ部。
これらをピアノ、ベース、ドラム、管楽器が盛り上げる。
歌詞からは周りの人々への感謝や愛情、そしてどこか謝るような気持ちも感じさせ、非常に深い曲になっている。
11.“おかえりなさい”が待っている ★★★★☆
どこかレトロさを感じさせる、カントリー調の曲。
時が過ぎ去っても、自分の故郷の思い出は変わらずに待ってくれているという歌詞に安心感を感じさせる。
それに合わせメロディも安心感のあるものになっており、落ち着いて聴くことが出来る。
12.Love... ★★★★
これも「戦争」を意識したような曲。
しかし1曲目とは対照的に、どこか絶望感を感じさせるような歌詞に壮大になっていくメロディが合わさり壮大な曲となっている。
その歌詞は絶望感を感じながらも「未来を信じている」という歌詞によりかなり和らいでいる。
「眺める空は今でも赤くて~」の件など普通は凄まじいと思うのだが。
それにしても彼らは最初は静かに始まり、サビになるに従って壮大になっていくというパターンが得意なよう。
13.フラフラフライデー・ミッドナイト ★★★
酔っ払いの叫び声から始まる歌。前の曲と落差が凄まじい。
「下手くそなピアノに野次が飛ぶ」の歌詞の後に本当に下手くそに弾いたり遊び心満載の一曲。
壮大な曲の後に来たのもあるのか、肩の力が抜けてホッとする。
総評.★★★★☆
「風味堂2」の名の通り、前作と勝るとも劣らない出来になっている。
前作と比べると管楽器が参加した曲が減り、少々地味にはなったがそれぞれの楽器が前面に出て良い「味」を醸し出している。
曲も#3や#5、#8や#11のような前作には無かった曲が増えており、彼らの引き出しが常に増え続けていることを感じさせる。
ただ全体的にピアノが目立ちすぎている面もあるか。もう少しベースやドラムが目立っても良かったと思う。
「愛してる」のヒットで全国的に知られ始めてきたので、そんな人達の入門用のアルバムとしても勧められる。
これからも増えていく彼らの引き出しに期待していきたい。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)