アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : がーる・ねくすと・どあ。

Reviewer:20th. 336-342 名無しのエリー2009.01.14.

1.Winter Game ★★
良くも悪くも誰もが想像するavexそのままの4つ打ちダンスポップ。
歌詞は序盤は彼氏とスノボーを楽しんでいるが、後半は明らかに彼氏が大会か何かに出場しており、しかも「冬のプロペラ」なる大技を炸裂させている。
結局恋の歌なのか、頑張る人への応援歌なのか判別不能に。
プロのボーダーを彼氏に持つ女の子が彼氏自慢に二人のラブラブ話を絡めた、オチの無い長話という印象。共感する人よりも煙たがる人の方が多そう。
ていうか1曲目から何だが、この人実体験じゃなくて妄想から作詞する人なのでは。
2.Drive away ★★
作り溜めておいたキャッチーなサビを後から他の曲にくっつけたような曲。1曲通して弾き語りとかで作曲しようとしたら、まずこうはならない。
その唐突な展開が高揚感を生んでいると言えなくもないが、そのせいでサビからAメロに戻る時とかに変なアレンジでねじ伏せる羽目になってるような。
まあその辺含めてavexらしいので、十数年前にこういうのを聴いてた人達なら違和感なく受け入れられるだろう。
アレンジもあの時期のavex的な、ベタなフレーズを仰々しい音量で鳴らして曲を埋めるスタイルで、ボーカルのメロディ以外聴かない人向けな作り。
しかし肝心の歌ものっぺりしていて無表情。そしてそこも含めてあの時期のavex的。
一人称が「ぼく」なのに「走り続けるの」などと女言葉な詞は微妙。
3.Power of love ★★★
イントロからもう4つ打ちリズムの曲が続いたが、ここでやっとリズムパターンに幅が出た曲。
サビで4つ打ちになると一気にギターの存在感が薄くなるのが切ない。ギターソロも回ってくるが、無難すぎてやはり存在感がない。
半端にユーロビート入ったシンセアレンジは完全に時代遅れだし、そもそも流行の問題じゃなくて単純に良くないから廃れたアレンジの気がする。
一方、サビのメロディは今作では最も印象に残った。
ていうかサビ後半のメロディにM2のサビがそのまま収まってるような作りなので、こっちのがお得な感じがする。
歌詞は22歳が書いたとは思えないほどティーン向け少女漫画な妄想爆発。
4.幸福の条件 ★★
またしてもバスドラ4つ打ち、avexらしい大袈裟なシンセアレンジ、分かり易いメロディの曲。
avexの過去作と印象が被っても気にしない、というかトレースすることを目的化しているアーティストだということを考えれば、
再現度が高いことは評価すべきだろう。社長が評価するだけかもしれんが。
サビへの繋ぎ方とかいかにもavexがやりそうな仕掛け。
歌詞の内容は前向きだが、彼女は自力で栄誉を掴んだ感じがあまりしないのでペラペラした印象。
5.WINTER MIRAGE ★★
再び4つ打ちから開放され、お次はやはり出たという感じの浜崎系のゆったりしたポップス。
曲は特筆する要素は無いが、アレンジ的にはまだ現役に近い部類ではある。
曲調的に歌の力に委ねる要素が強いのだが、千紗の歌は盛り上げも盛り下げも無く、声色の変化も無い。非常に事務的。
歌詞は失恋をやたら美化しようとしているのが鼻につく。
振られるまでの過程とか格好悪いところを全部省略して、好きなのに離れなければならない切なさだけを表現しようとしている。
この人の恋愛相談に乗ったら「そして行く宛を無くして動けない私の肩に…白い天使が舞い降りたの」的な
陶酔系のウザイ内容を聞かされる羽目になりそう。
6.情熱の代償 ★★
曲はここまでの流れ通り、avex流インスタントミュージック。
メロディは練りすぎずに4つ打ちリズムに合うコンパクトな形にまとめていて程よくキャッチーだが、
特にこの曲のような短調の曲では伝統のクサいアレンジが目立ってしまっている。Dメロのいじり方とか何コレ。
「あふれる涙は 情熱の代償なの?」とか歌う割に歌に情感がこもってないのも謎。
詞としても、後々振り返って「あの涙は情熱の代償だったのかなあ…」ならともかく、
今まさに泣いてる時に「ああこの涙は情熱の代償なの!?」とか上手いこと言おうとするだろうか。彼女のおっしゃる事はどこか人ごとのように聞こえる。
大体、前の彼女に私が似てると風の噂で聞いたの…とかいうお話をどこから発想するのか。何の影響だろう。
考えてみればavexの歌姫衆は皆ルックスが良く、普通にモテる人が揃っているので、恋愛詞を書くのに困ることは無かったのかも。
恋に恋するレベルで作詞を手掛けるのはやはり無理が。
7.Fine after rain ★★
曲は変わり映えしない。
サビの作りもM4のように、あるメロディのセットを1回やった後に1音下げて似たメロディをもう1回というパターンで、avexの過去作どころか今作中で被っている。
詞世界も相変わらず。
雨の中泣きながら立ちつくしていたら知らない人が傘を差し出してくれた…名前も告げずに去ったキミは今どこにいるの?というお寒い創作。
良し悪しはともかく、予想以上にキャラのある作詞。ただ、avexっぽくはないので、そこが鈴木大輔との連携の悪さを生んでしまっているか。
8.Breath ★★
曲は浜崎系バラードだが、詞は本領発揮。まさかの数え歌。何という肝の太さ。
しかも「ひとつ」「ふたつ」まではまだしも、「みっつ」「よっつ」になるともはや後の歌詞と全く繋がっていない。いいのか!?
今作は全曲が千紗とkenn katoなる人物との共作詞なのだが、このkatoの仕事こそが文章としての体裁を整える事じゃないのだろうか。
なぜ千紗野放し?逆か?全部katoの創作か?
ちなみに彼のブログは「ぼく」と「ボク」との自演対話形式で、今作の作詞を手掛けているのも頷けるほどウザイ感じとなっている。
9.Day's… ☆
次曲への繋ぎとなるインスト。これがなかなかの不出来。アイデアも無ければこれといった技術的見せ場も無い。
実は個人的には今作は鈴木大輔が狙ってavexっぽくチープに作った曲を並べてるものと思ってたが、もしや本格的に実力不足なのでは。
10.ESCAPE(Album Edit) ★★
サビメロの作り方がM4、M7あたりと被るため、いよいよもって作中の曲がゴチャゴチャになってくる。
曲の違いが分からないので点数も区別してつけようが無い。Bメロの変なキメも「avexらしい」くらいしか表現のしようがない。
大抵の人は一聴した印象で「似た曲ばかり」と言いそうな今作だが、
メロディやリズムパターン、アレンジが似通う程度で済むならまだ良かったのかもしれない。コード進行のパターンが異常に被っているのだ。
なのでキーこそ曲によって違えど、基本的にはほぼ同じ曲。別々に作ったパーツを寄せ集めて作曲するにはこうするのが効率がいいんだろう。
何という悪意に満ちた汚れ作曲家。凄いぞ鈴木大輔。単なる売れ線ポップスでデスメタル以上に邪悪なものを生み出す大輔。
長年の切磋琢磨で積み上げられた邦楽の歴史を何とも思っていない大輔。
11.Winter Garden ★★
やっと違うリズムパターンの曲登場。まったりしたテンポのハネモノ曲。
しかしリズムを強調した割にはベースもドラムも垂れ流しな感じで変化に乏しく、単なるアイドルポップという印象。
やたら曲名にWinterをつけるのはキャラ作りが目的か。そんなことをしなくても充分キャラが立ってると思うが。
もっとも彼女の望むような、冬を題材にした詞が上手いとかいう類のキャラではないが。
そしてこの曲は男視点のプラトニック同棲モノで、一緒に寝てるけど何にもしてねえ。現実味ねえ。マモルか?田辺マモルなのか?
ちなみに女性視点で添い寝の「red ribbon」という曲もあるが、そちらは
「しあわせだけど なんかがっかり ねえ ちょっと!なにを期待しているの?」というバージン独り言妄想系。やっぱそうなっちゃいますか。
12.Climber's high ★★
今作中ではメロディと4つ打ちリズムの相性がかなり良い部類に入ると思われる、リズミカルな曲。サビ前のキメは盛り下がる。
アレンジは人を馬鹿にしたような使い古しばかリだが、そういうコンセプトである以上ダメ出ししにくい。社長命令通りに作った中では良いほうに入るか。
恋愛詞では実際人並みの恋愛をしてるのか疑わしくなるようなボロを出す千紗は、この曲のようなポジティヴ詞のほうが無難にこなせる印象。
13.NEXT DOOR ★★
ここまでにない凝り具合を見せながら始まったかと思ったら、途中からまんまM14のインストバージョンのようになってしまうインタールード。
こういうファンタジー路線で普通に歌乗っけたやつを入れてたら、今作もまだマシな作品になってた気が。
ところで全曲タイアップ付という暴挙を成し得た今作だが、
なかでも途中から単なる「偶然の確率」のカラオケになってしまうこの曲にタイアップをつけたというのは凄まじい。
14.偶然の確率 ★★
なぜかシリーズ化されてる感のある「○○の○○」系の曲名の筆頭にしてデビュー曲。
何も凝ったフレーズを鳴らしてないのに何故か曲が埋まって聞こえる、大輔マジック炸裂の曲。
さすがにデビュー1発目ということでギターが普通に耳に入るバランスになっている。
正直忘れてたが、俺のせいではないと思う。むしろ演出された木根バランスでは。
今作全般の例に漏れず、メロディはまとまっていて悪くないがアレンジは一聴目でもうお腹いっぱいというか、聴きしろが無さ過ぎる。
分かり易い事しかしていない。詞中の「偶然の確率」も意味的にハマってない所がある気が。
そもそも「偶然の確率=それはゼロじゃないと今なら言えるよ」が分からん。偶然とゼロが同じだと思って生きてる人はさすがにいないだろう。
語感の良さを狙った形跡がバレバレすぎて聴いてて辛い。
総評.★
ボーカル&作詞の千紗、キーボードと作曲の鈴木、ギターの井上の3人から成り、
同社初の「Produced by avex」という、名誉なのか不名誉なのか分からない肩書きでデビューしたGIRL NEXT DOORの1st。
社長の方針としてセールス黄金期のavexサウンドを要求され、大輔がその期待に見事に応えて、
まんま初期ELT、もしくは自身が所属したday after tomorrowを再現した作品をこさえている。やりすぎ。どう考えてもやりすぎ。
社長はあくまで売ることを目的に栄光のavexサウンドを再現させようとしたのだろうが、
大輔は社長の暴走の尻拭いをすべくこっそり今っぽい曲を入れてセールス面でのフォローをしようなどと気遣うことは全く無く、社長を傘にやりたい放題。
誰が聴いても「avexっぽい」と思うことは間違いないし、社長の申しつけ通りだが、これは多くの人にとって悪い意味でのavexらしさのように思える。
多分大輔も分かってて、皮肉っぽくニヤけながらわざと悪い部分まで完全再現してる。
コードの進め方がクサイので限界はあるが、今作中にはヤスタカやNAOTOにアレンジさせれば、
そしてもしかしたら大輔自身が本気でアレンジし直してももっと聴けたような曲がある気がする。
しかし結果的には十年越しのマンネリアレンジが全体を支配し、そもそも曲自体異常に似通っているので、
単体の曲ならまだしもアルバムとしては胸焼け必至の拷問盤となっている。
スゲエぜ大輔。会社潰す気か大輔。大体お前avexが潰れたら行く先あるのか大輔。
千紗については、声質と無機質な歌唱がavexっぽい(というよりピンポイントで一部のavex歌手っぽい)という点以外には特に売りがない。
お花畑全開の乙女恋愛詞は面白いが、本気で不愉快になる人も間違いなくいるのでいかんともしがたい。
ギターは小節の頭でジャーンとコードを鳴らすだけの箇所が多すぎるので、サポートで問題なかったと思う。
そんな訳でそこそこキャッチーな歌メロと一種のネタ性以外に取り得のない作品だし、世間でも彼らは嫌われ者のようだが、
実は自分は事態をあまり把握してないのでピンときてない部分がある。
avexのゴリ押しは今に始まったことでもないし、性格に問題があるという点も、羊水や落書きを抱える会社に何を今更という気がする。
肝心の曲は変な色気を出さずに当時を忠実に再現している。
たいして聴き込んだ訳でもないのでアレだが、GNDのレベルが異常に低い訳ではなく、ELTもこんなもんだった気がする。
むしろ露骨に見た目で釣ろうとしなくなった分良くなってるように思える。
しかしGNDはELTに全く及ばないという批評は見るが、ELT並に糞という批評はあまり見ない。
何故か、本来なら最低限取り込めるはずの、十年前のavex大好きな初期ELTやデイアフのファン層から攻撃されてる気がする。
そのELTとの扱いの差がいまいち分からない。
顔だけの歌手をゴリ押しするのがavexの悪い所だと自分は思っていたが、
逆に「ゴリ押しする以上ビジュアルだけは保証するのがavexの良き伝統だったのに、裏切られた」という解釈が主流なのかもしれない。
まあ結局実力がない以上叩かれることに変わりないと思うが。
とにかく会社のプッシュに見合わない内容には違いないし、確実に会社の体力を奪う危険な存在とも思える。
良い作品を作り続けてモラル面でavexを支えてきた一部の面々の苦労も台無しにされかねない。
avexという会社がその命の終わりに見る走馬灯で、すべての災いの源として思い返すのはきっとGNDだろう。
そんなことを書いている自分は今クロノトリガーのラスボスを思い出している。後世の語り草になること必至の邪悪な1枚。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)