Reviewer:23rd. 265-272 名無しのエリー2010.04.01.
(Disc.1:A面)
1.道 ★★★★★
デビューシングルにして既に現在のGReeeeNのスタイルを完成させてしまっていることに改めて驚嘆させられる曲。
単純なメッセージソングではなく、楽曲ではジャワイアン・レゲエと呼ばれたDef Techの代表曲「My Way」を彷彿させるメロディ。
そして今やそのDef Techをも軽く凌駕する存在となったGReeeeN。この時点で世間が彼らに追いついていなかったのも仕方の無いことかもしれない。
2.HIGH G.K LOW ★★★★
一転してパワフルなミクスチャーロックとなる2ndシングル。そのパワフルなヴォーカルはORENGE RANGEに勝るとも劣らない。
ハイ、ミッド、ロウというMC分担からもレンジと真っ向勝負する姿勢が受け取れる。
冒頭から登場するエスニックな打ち込みは曲を牽引するリフの役割を果たしているが、
レンジのようにあの手この手の移り気な打ち込みと異なる、最後までこのリフ一本で貫くアレンジに彼らの一本気な男らしさを感じる。
3.愛唄 ★★★★
大事なAメロの頭から敢えて不安定な歌い方をすることで絶妙な感情の揺らめきを表現した曲。
どこかで聴いたメロディの繋ぎ合わせに聞こえる向きもあるが、それは彼らの高いサンプリング能力の証明でもある。
元ネタの曲のなかで、単体では魅力的だが前後のメロが微妙なせいで輝きを放てずにいたメロ同士を再構築してみせたのだから。
そしてすぐに結果はついてきた。
この曲はすぐに多くの人の知るところとなり、
「誰の歌に似ていようがGReeeeNこそがオリジナルだ」と色んなブログとかなんかそういうサイトとかで言わしめるほどの高評価を得るヒット曲となった。
元ネタと呼ばれる曲の方が発表が遥かに早いとよく言われるが、実は少年時代の彼らが既に作っていたこの曲がプロによって盗作されていた、
そういう可能性について言及されないのはあまりに考えが偏っているように感じられる。
4.人 ★★★★
かねてから大きなテーマに挑んできたGReeeeNだが、ここでついに「人」という、常人であればためらってしまうであろうテーマに挑む。
果たして「人」のどこからどこまでについて語ればその大きなテーマについて答え得るのか。しかしGReeeeNはあくまで自然体だった。
彼らは周囲に対して自分達が実際以上に賢いと思わせるために音楽をやっているのではない。彼らにとって音楽は自己表現の手段なのだ。
この曲はあくまで等身大、彼らなりの「人」について歌った曲であると同時に、いつしか言葉遊びに逃げ始め、
ありのままの自分を直視できなくなっていた人達へのGReeeeNからのメッセージでもあるのだ。
5.BE FREE ★★★★
ヴォーカルに大胆なエフェクトをかける挑戦をみせた意欲曲。
あくまで万人の心に届く曲を身上としているだけに、どうしてもメロディが似通いがちになる点が今後の彼らの不安要素だったが、
それにいち早く気付き迅速に手を打ってくるあたりはさすがの一言。
あるいはアレンジャー陣が生み出したピアノリフがたまたまキャッチーだったから、
それをより目立つ形にすべく意図的にメロをシンプルにしたのかもしれない。
この時点でGReeeeNは既にアレンジャーを育てる立場にすらなりつつあったことをうかがわせる曲。
6.涙空 ★★★★★
重ねて言うが、GReeeeNはあくまで万人向けのポップさを身上としている。
「コード進行が似通いすぎている」という批判をよく耳にするが、
それらの多くがコードやスケールのことなど何も知らない人によって行われているというのが実態だ。
キーが決まればダイアトニック・コードが決まる。そこに規則性がある以上、ある程度の重複は避けられない。
GReeeeNの曲が非常に人気があり、リスナーが多いから「前の曲に似ている」と批難を浴びる機会も増えているに過ぎないのだ。
同じような不利益を被っているアーティストの代表格としてGIRL NEXT DOORが挙げられる。
この曲も既に登場した曲に若干似た部分もあるが、不自然な転調で自己満足に浸るアーティストと、より広く門戸を開いたGReeeeNを比べた時に
どちらを是とするかで考えていただきたい。
7.旅立ち ★★★★★
この頃すでに国民的グループだったGReeeeNは、自分達の歌がこれからカラオケで頻繁に歌われるであろうことも予測していた。
そこでこの曲でトライしたのが、サビのピアノやAメロのギターにほぼ歌メロをなぞらせることで、メロディを誰でも憶えやすくすることだ。
これにより曲が若干単調になってしまうが、ポップさの弊害としてどうしても似通ってしまう曲たちを区別しやすくするための最善策だったといえよう。
8.キセキ ★★★★
斎藤和義の「大丈夫」Aメロを彷彿させるBメロに思わず二ヤリとさせられる、彼らの代表曲。
「愛唄」のサビ前のフレーズでは同じく斎藤和義の「ドライブ」のサビ後半を思わせるフレーズを持ってきていたが、
さすがは勤勉で研究熱心な彼らだと感心することしきりである。
Bメロ後半からメロディを盛り上げながらもサビは低音で始まるという斬新なメロディ展開は、歌謡曲的なマンネリから日本を救う意図の表れとも取れる。
動画サイトではこの曲の合唱バージョンというものも聴けるが、やはりこの曲は本人達が歌ってこそなのか、
そのバージョンではまるでサビを切り貼りして無理矢理くっつけた曲を合唱団が歌わされているかのように聞こえてしまうのが残念。
9.扉 ★★★★
何度も言うが、GReeeeNはあくまで万人向けのポップさを身上としている。
歌詞は夢とか未来ばかり、メロディは似たものばかりと批難するのは筋が違う。
彼らはあくまでポップに徹することでライトリスナーにとっての「捨て曲」、
つまりメンバーの個人的意向が強く出過ぎていて多くの人が楽しめないようなマニアックな曲を作らない、新時代のアーティストなのだ。
例えばちょっと演奏が上手いだけのロックバンドが、
調子に乗って本職でないレゲエやらスカやらエレクトロやらに手出しするような流れを、彼らは潔しとしないのだ。
この曲を聴いて「また同じような曲だ。GReeeeNは似た曲しかない」と思った人は、
逆にそれらの曲調に彼らがこれほど入れ込んでいるという、そのポップさへの情熱を感じて欲しい。
10.冬のある日の唄 ★★★★★
イントロが「人」とかなり似ているため、シャッフルして聴くと毎回「どっちだろう!?」とワクワクできる曲。
毎回奇をてらってくるアーティストの作品では出来ない、GReeeeNならではの楽しみ方と言える。
サビはZARDの「永遠」を彷彿させるメロディで、それをクリスマスソングとして再生してみせた手腕は見事。
ところでGReeeeNのメインヴォーカルといえる高音担当の彼だが、本名は存じ上げないが「HIDE」と名乗っている。
ZARDについてもそうだが、過去の偉人たちの志を継ぐ意図が見え隠れするのもGReeeeNの魅力だろう。
11.歩み ★★★★★
かつて様々なアーティストからの影響を感じさせた勤勉なGReeeeNであるが、ついに彼らにとって参考に値するアーティストがいない状態となる。
そしてついに彼らは自分自身との戦い、つまり過去の作品の良い部分を抽出してさらに完成度の高いものを作り上げる行為に着手する事となる。
もちろん、言い訳程度のささいなメロ変えで焼き直しをやっているのではなく、大胆にストリングアレンジを施すという大きな挑戦をみせた意欲曲。
12.刹那 ★★★★
サビメロを微妙に変えていく天性のアドリブセンスを発揮した曲。そこでそう来るなんて!と二ヤリとさせられること請け合い。
ポップ路線ゆえに発揮させる機会が少ない彼らの歌唱力だが、仮にR&Bを歌わせれば自在のアドリブで素晴らしいフェイクを聴かせてくれるだろう。
13.遥か ★★★★★
現時点でのGReeeeNの最高傑作といえる名バラード。似たメロディを繰り返すことでテクノ的なミニマルさを体現した意欲作。
それをバラードでやるあたり彼らの飽くなきチャレンジ精神を感じる。彼らが出したいのはもっと大きなサイクルのノリだったのだ。
そして父母からのメッセージを盛り込んだ感動の詞。これほど親孝行なアーティストがかつていただろうか。
仮に父母が「そんなこと言ったかな?」という状態だとしても、それに近いことは言ったんだろうし、
全く言ってなかったとしても、尊敬のあまり発言が美化されてしまうほど父母を尊敬しているという彼らの思いの表れだろう。
(Disc.2:B面)
1.絆 ★★★★
バンドではない彼らが敢えてギターを全面に出し、ベースソロなども導入した意欲作。
全編通してハイハットに強弱の概念が無く、敢えてのっぺりした機械的なノリにしている点にもこだわりを感じる。
4MC体制ではあるがロックもこなす存在であるということをリスナーに見せつけた曲。
2.DREAM ★★★★★
まずオンコードを用いたイントロに注目したい。
彼らがパワーコードだけでお手軽な作曲をしていると思っていた人は主張を撤回せざるを得ないだろう。
ちょうどPUFFYの「アジアの純真」のようなコード進行となっているあたり、奥田民生と肩を並べる彼らの作曲能力が発揮されていると言えよう。
ちなみにキーも同じなので完全に同じコードだが、ここでは女性であるPUFFYと同じキーを歌いこなすGReeeeNを賞賛すべきだろう。
3.UNITY ★★★★
ピアノをメインにしたA面に比べギターを強調したロック調の曲が多いのがB面の特徴となっており、この曲も元気なロックチューンとなっている。
美しいメロディで感動させた後は元気一杯になれる曲を持ってくる、そんなGReeeeNの配慮がうかがえる。
前曲とは異なり、今度はパワーコードで力強く押し切るストレートな曲となっており、彼らのオールマイティさを改めて確認できる。
世間では一過性のブームと見なされることの多い青春パンクに、GReeeeNが今なお高い可能性を認めていることをうかがわせる曲。
4.街 ★★★★
ついにR&Bにチャレンジした意欲作。低音担当ヴォーカリストの、意図的に感情の表現を無くしたような歌い方が斬新。
万人向けのポップさを発揮するために、メロディメイクに制約があるのが彼らの数少ない弱点ではあるが、
R&Bアレンジにすることでほとんど同じようなメロディで全く新しい曲のように聴かせる手腕は見事と言うほかない。
R&B界隈では歌の上手い歌手が多いため、専業ヴォーカリストでなくシンガーソングライターの彼らに若干分の悪さはあるが、
もはやGReeeeNが歌っているだけで他の歌手以上の値打ちがあるとみるのが一般的な世論だろう。
5.東南西北 ~全員集合!!!!~ ★★★★★
ORANGE RANGEのお株を奪うコミカルなパーティーソング。
レンジに比べアレンジがスッキリしており、ユニークな歌詞をより耳に入りやすくする彼らの意図が出ていると言える。
よく日本人のラップにはメッセージ性がなく、単なるダジャレに過ぎないと言われるが、
それならばといっそ堅苦しいメッセージ性を完全撤廃してただただ楽しい曲にしようしたGReeeeNは、日本語ラップの未来を見据えていたといえる。
6.ルーキーズ ★★★★
ここで再び青春パンク調のストレートなロックチューンが登場。
勢いがある中でも、ハイハットの抑揚はあくまで奪った状態となっており、GReeeeNならではのオリジナリティを存分に発揮した曲となっている。
各メンバーがソロで歌う構成は、友情をテーマにしたタイアップ映画とのバランスを取ったものだろう。
中には歌唱力がそこまで高くないメンバーも含まれているが、それをお互いがカバーし合う事によって、
全員の力でこれぞGReeeeNといえる出来に仕上げているのはさすが。
まさに誰が欠けても成り立たない、この4人でこそのGReeeeNだと感じる曲。
7.君想い ★★★★
4MCでありながらHIDEが歌うときの高音コーラスにHIDEの声を重ね録りしているという、並のコーラスグループにない発想を見せつけた意欲曲。
MCが4人いるならメインが歌ってるときのコーラスは残りのメンバーがすべきだ、そんな古い議論を葬り去る先進性である。
それぞれが自分のペースでやればいい、得意なことだけをお互いが出し合えばいい。そんなGReeeeNの友情を感じる曲。
8.少年が故の情熱 ★★★★★
すばらしい。少年が故の情熱を忘れずに生きよう、そんなGReeeeNの決意を感じる曲。
9.あの頃から ★★★★★
すばらしい。何の歌なのか曲名から推測できないが、GReeeeNの音楽センスの高さを感じる曲。
10.アメアガリ ★★★★★
すばらしい。イントロの雨音。今ちょうど雨音が聴きたかった。これからは雨音が聴きたい時に聴ける、そんな嬉しさで満たされる曲。
11.声 ★★★★★
すばらしい。具体的にどうすばらしいのか説明を求めてくる輩がたまにいるが、すばらしいものはすばらしい。それが全てだ。
世の中には言葉では語り尽くせないことがあるのだ。
総評.☆
すばらしい作品ではあるが、まだまだ彼らは可能性を秘めているという意味を込めて、今回は敢えて満点を付けなかった。
普遍性と前衛性を兼ね備えた稀代の名盤。まず歌詞がすばらしい。
夢を見据えて前進するポジティヴで力強いメッセージが多いが、
その中にも決して努力を強要せず、自分のペースで行けばいいという優しいメッセージも垣間見せている。この両立は難しい。
そしてこの両立により、リスナーは友人を励ます時には前進系を聴かせて相手を陶酔させると同時に友人を励ます自分に陶酔でき、
自分を慰める時にはマイペース系を聴いて再起までの心の拠り所とする事が出来る。
主張がブレているのではと思われる節もあるかもしれないが、
例えば彼らはこんな考え方はおかしい、あんな音楽はクソだといった過激な主張で必要以上に自分自身に固執したりはしない。
そうした誰の立場も容認できる柔軟さ、全方位の優しさを常に心掛けているという点においてGReeeeNは全くブレていないのだ。
作曲面での功績も大きい。誰の耳にも届くポップなメロディは今や一聴しただけでGReeeeNと分かるほど世間に認知されている。
彼らをリスペクトする後発アーティスト達によって次々と似たベクトルの曲がチャートに送り込まれ、
今や日本の音楽シーンはGReeeeN系ともいうべきアーティスト達の独壇場となった。
過去の栄光にすがる嫉妬深いベテラン達からはなかなか彼らを賞賛する声が挙がらないものの、
多くのリスナーが自分の耳で良い音楽を判断できるネット社会においては、
「誰々のお墨付き」「業界で高評価」といった内輪からの煽りはもはや意味を成さない。新しい世代が良い音楽を広める動きは既に始まっているのだ。
今作の収録曲も、その全曲を動画サイトで聴くことが出来る。これはファン達が高水準の音楽を広めようと、高いモラルで良心的な活動をしている証明である。
いつまでも上の世代の懐古主義に付き合ってはいられない。GReeeeNは口火を切ったのだ。今、彼らの前途はオール・グリーンだ。
(後述レス)
2010年4月1日に投稿したレビューです。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)