アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : ぐるーぷ・いのう。

Reviewer:19th. 30-31 名無しのエリー2008.08.08.

1.STATUS ★★★
まず冒頭のフリーすぎるラップにビビる。
これはこのアルバム全体に言えることなんだけれども全体的にリズムトラックの音が薄いです。
つかみとしては最適な曲だと思う。後半の盛り上がりがいいね。
リリック(というより歌詞)は特に意味もないような感じなので気にしなくていいです(「それ貸衣装か?」って訊かれても…)。
「パラボラ デラ マラ…」で始まるフレーズは「FAN」収録曲「QUEST」にも引用されてます。
2.ROD ★★★☆
神奈川、横浜を遠く離れて相模原の山奥。そこには街を一望できる夜景の穴場があって、その横には何かの貯水池。
そこから街を見下ろしてたら走っていく救急車。募る不安。街の光と月光を反射して貯水池が怪しく光っている。木立。逆光。陰。
そんな感じの曲。
3.COIN ★★★★
これはリズムトラックも音が厚くて安心してノれます。
冒頭の百鬼夜行から目茶苦茶な歌詞だが、後半に行くにつれて支離滅裂度が高くなります。しかも下ネタ多し。
曲は盛り上がり、メロディーともに聴く人のツボを押さえた出来です。
ころころ変わるリズム、先の読めない展開、といった材料が揃っていて飽きずに聴くことができる。
最後のフレーズが突き刺さる。
4.PR ★★★★★
一分半程度の小曲だが、間違いなくgroup_inou屈指の名曲。ライブでもよくやるらしいです。
「ちょっと大きいミニうさぎ ちょっと大きいミニうさぎ ちょっと大きいミニうさぎ 不思議ちゃんは絶対名器」
5.STATUS(LOSS VERSION) ★★★
一曲目のアレンジ違い。でも別の曲と化している。
最後の締めとしてはいいんじゃないでしょうか。
中盤で一番の盛り上がりが来るのはいいんだけれども最後に盛り下がってるところがちょっと頂けない。
総評.★★★☆
シングル「BPA」発売後に発表したミニアルバム。本当はリミックスアルバム「system kitchen」と対になってるんだけれど未入手。
で、一曲目のレビューに書いた通り全体的に音が薄いです。
あと歌詞の下ネタ度は「FAN」より高めです。「FAN」は隠喩が多いですがこれは「ペニス」とか直接出てきちゃいます。
五つ星とは言えない音質でもあるのでこの点数。でも曲自体の完成度は高めなので、「FAN」が気に入った方なら買っちゃって大丈夫です。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:18th. 120-123 名無しのエリー2008.05.28.

1.QUEST ★★★★
電子音の重なりが奏でるメロディアスなメロディにいろんな意味で個性的なラップが乗る。
とにかくユニークな世界観のリリックの中には「俺達group_inouです」というフレーズもあるが、「すごいぜ俺達」的な表現はなく、それ以上の自己紹介はない。
それが逆にこのユニットの特徴をうまく伝えられていると思う。
つかみとして最高の出来。最後はあっさり終わる。
2.LISTEN ★☆
中盤のフレーズの繰り返しがしつこいかな…ダラーっとした出来。
後半に出てくるピアノの音が奇麗。
3.COMING OUT ★★★★★
名曲。アルバム前半のハイライト。
性愛と真の愛情の間で揺れる男の悲哀がにじみ出る歌詞と都会的で美しいトラックが見事に噛み合っている。
そんな内容なので下ネタな単語が頓出するのだが、全然違和感なく聴くことができる。
cpさんは歌物にも適した声なのではないかと「人間とりぼん結び~」の所で思った。
最初サビに被さる歌の歌詞の意味が分からなかったが、少し考えたらわかった。未来の自分からのメッセージか…
4.PLANT ★★★☆
3分もない短い曲だが、その中で「憂鬱」や「倦怠感」をうまく表現できている。後半の「天気の話をしましょっか?」が印象的。
個人的に「なんとなく なんとなく なんとなく 憂鬱」のところが好き。
5.MAYBE ★★★★☆
やや明るめでポップな始まり方。
ラップも他の曲よりハイテンション…と思いきや途中でラップを逸脱して喋りっぽくなった…と思いきや今作唯一の絶叫が飛び出す。
「おちおち寝てられない!!!!!」
あっという間に終わってしまう。
2分36秒ともともと短い曲なのに加え、かなりハイテンポな曲なので時間が若干早く過ぎているように感じる。
もうちょっと長くてよかったかも。
6.RALLY ★★
一転してローテンポな曲。声が幾重にも重なっているので妙な雰囲気が生まれている。
疲れた夕方のイメージ。前曲とは対照的に2分22秒が実際より長く感じられる。
7.SHIP ★★★★★
中盤のハイライト。夜の海を思わせる幻想的なナンバー。
その割には歌詞の中にはくだらない下ネタが含まれていたりする。しかしやはり他と比べると幻想的な内容。
メロディの美しさと不思議なラップのハーモニーを楽しんでいればあっという間に終わります。
ちなみに個人的な話になってしまうけど、group_inouを初めて聴いたのがこの曲でした。雑誌の付録CDとかにはこの曲が収録されてることが多いような…
8.FALL ★★★★★
不思議な倦怠感と切なさにあふれた曲。ラップも前曲の鋭利な感じから一転してやや喋りに近い質感になっている。
夏の終わり、夕方駅前に降り立った時涼しい風がふわりと吹いてきた時の何とも言えない切なさを体現したような曲 (歌詞の中にもそんなフレーズが出てくる)。
この曲ももっと長くても良かったかなあ…でもこの短さが絶妙でもある。
ちなみに帯に書いてある「そして ぼくら なぜか いつも あたまの うしろに ある 空間」というフレーズはこの曲の歌詞から
9.NUDE ★★★★☆
不穏な音色が響くイントロ。クライマックス。コーラスの使い方が絶妙。
この曲は歌詞がすごい。前半は他の曲と同じような下ネタな感じだが後半になるとドラッグをキメているような世界観になる。
不穏なメロディと相まって絶妙な不協和音を奏でている。
「職務質問 答えは神」の後に入ってるセリフと「呼吸を忘れて窒息死」の後に入ってる一言に笑った。
10.LISTEN(FUN VERSION) ★★★☆
二曲目の別バージョン。と言ってもほぼ別の曲と言っていい。歌詞も少し書きかえられている。
二曲目でも印象的だった「リッスン応答願います」は同じだけど。こちらのほうが出来がいいかな。
とても明るい曲調になっている。昼間っぽい感じ。夕方や夜のイメージな曲が多いこのアルバムの中では珍しい。
しかし昼間の後には必ず夕方が来る。ポップな感じからいきなり儚い感じの曲調になる。
「昼夜反転リバーシブル」という気の抜けるような歌詞を何回か繰り返し、アウトロをやや長めにとったあと、何とも言えない余韻を残してアルバムを終わらせる。
総評.★★★★★
「日本のヒップホップは糞」と2chで言われて久しい。
その他のネット上でも「ヒップホップを聴くならやっぱ海外だ」というやっぱり「日本のヒップホップは糞」と遠回しに言ってる様な意見がたくさん出ていた。
事実自分も日本のヒップホップは駄目だと思っていた。そこに来てこの一枚。
まあヒップホップとしては邪道かもしれない。ぜんぜん重圧感のないリズムトラックに、韻を踏むのを最低限にとどめている歌詞。
しかしラップがここまで心に響いたのはずいぶんと久々の事だ。自己主張も控えめ。むしろ自分の情けなさをそれとなく伝えている感じ。
そして本来なら「このメロディをヒップホップに使うなんてもったいない」と言ってしまうであろう絶妙なメロディ。
しかしこの作品では「もったいない」どころか、「適材適所」だと思ってしまう。
この二つがかみ合わないとgroup_inouではない、と言わせる強烈な個性がある。
さらに妙な中毒性があり、「ちょっと『QUEST』聴きたいな」とプレイボタンを押したが最後、結局全曲聴いてしまう。
とにかくあっという間、至福の31分間。やや物足りなさも感じるが、それを補うだけの満足感が聴いた後に残る。非の打ちどころのない出来だと思う。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)