アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : ひゃくしき。

Reviewer:9th. 284 名無しのエリー2005.02.05.

1.OZ I ☆ Ozは全て☆で統一します。
2.A ★★★★☆ 100sデビュー曲。歌詞が良い。だろ、だろ?だろ なぁ みんな
3.B.O.K ★★★★ 名曲Honeycomと両A面ですが、私は同じくらい好きです。
4.バーストレイン ★★★★ 2~4の並びは最高。アルバム曲では2番目に好き。
5.ここが果てなら ★★★ 優しいメロディーと歌声が印象的。前向きな詞。
6.なのもとに ★★ 少し地味。声が柔らかい。少し苦手。
7.OZ II ☆ ノーコメント
8.(For)Anthem ★★★☆ 切ない曲、詞、声。個人的に好き
9.Sonata ★★★ バラードが続いてましたが、少しアップテンポ。曲順は良い
10.やさしいライオン ★★★★☆ Aと両A面。サビが壮大で、バンドっぽさを感じます。
11.Leek Rag's Leek ★★★ 結構詞を聴き取れた感じがある。
12.Santa's Helper ☆ この曲も繋ぎ。
13.Honeycom.ware ★★★★★ 現在100sの中で一番の名曲だと思う。軽快なリズムが良い。
14.扉の向こうに ★★★★☆ アルバム曲で一番好きです。「愛してるさ」ってのが良い。
15.OZ III ☆ ノーコメント
16.光は光 ★★★ 俺は既に満足したのだが、最後まで気が抜けないです。サビが印象的。
17.いきるもの ★★ ハイテンポな曲。俺は少し聴き難い。でもこういうのもありだと思う。
18.K-ing ★★☆ 歌詞が長い。地味。でも耳の奥から響く音は何だろう?
19.またあした ★★★☆ シンプルな曲。でもかなり好き。優しい。
20.バハハイ ★☆ 聴き難い。飛ばす事も多い。
21.ハルとフユ ★★★ 終わりに相応しい。この曲だけを聴きたくなる時があります。
総評.★★★★☆
完成度は高い。21曲(内シングル4曲)のお得なアルバムです。歌詞カードもぶ厚くて左が曲のイメージ右が歌詞という感じになってる。
ただアルバム曲で、目立った名曲は無かったと思う。デビューアルバムとして、かなりの出来だと思う。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:9th. 296-299 名無しのエリー2005.02.06.

1.OZ I ☆
台風の音の中、中村の歌が遠くから聞こえます。物語の始まりって感じです。
このOZ Iゾーンは現在の視点を歌ったものだそうです。曲の基盤はギタポ。
2.A ★★★★★
デビューシングルです。まさにバンドサウンド。超ハイテンションなままラストまで突っ走ります。
歌詞は歌詞カード見ないと何言ってんのか全然わかりませんが、良い歌詞です。サビの高音で頭ん中グラグラします。
3.B.O.K ★★★★☆
これもシングルです。これもかなりバンドを意識して作ってます。超ポップで歌詞も明るいです。「BAND(S) Is Gonna BE O.K!」かっこいいです。
4.バーストレイン ★★★★
これはメンバーとの共作とのこと。まさにギターポップです。サビで無理矢理テンション上げないのも上手いと思います。
軽さが逆にこの流れだと良い感じです。パカスカ弾けるドラムがナイス。
5.ここが果てなら ★★★★★
ここで中村節爆発。多彩なメロディを何度も転調、バンドサウンドを経てねばっこいグルーヴとなります。
力んでると言えば力んでるので、ちょい疲れるかな?状況が裂いた部屋へのお別れの歌だそうです。
6.なのもとに ★★★
ドラムレスの弾き語り曲。これと言った特徴はありませんが、ハイテンションな曲が続いて一呼吸といった感じで、いい具合に肩の力が抜けます。
歌詞はまあ凡庸と言えば凡庸です。
7.OZ II ☆
ここから第2部パートに切り替え。
メンバー曰く、『鬱ゾーン』だそうで、過去に積み重なってきた死や思想や絶望、虚無、罪などのいわゆる『目に見えないもの』を歌ったそうです。
8.(for)Anthem ★★★
静かで暗いピアノから始まり、人知れず死んでいった者、思想などへのレクイエム的な歌詞が羅列されます。
メロディは上がったり下がったりせず、淡々と宗教的なムードを匂わせ続きます。
9.Sonata ★★★★
今度は少しアップテンポしたピアノで始まります。どっかで聞いたような感は拭えませんが、不気味に綺麗な名曲だと思います。
歌詞はグラフィティアートをやっていた少年が警察に捕まる話。刹那的です。ちなみに俺はこの曲を聴いてセーラームーンの主題歌を思い出しました。
10.やさしいライオン ★★★★
またどっかで聞いた様なメロディ。でもまあ曲の質は良いです。地味だけど。
歌詞は切実で中村にしてはかなり理解しやすい部類に入ると思います。サビの高揚感は素晴らしい。
11.Leek Rag's Leek ★★★☆
タイトルがわけ不明です。直訳すると「ボロぎれの長ネギを長ネギしろ」となってしまいます。
『Leak』だったら放電という意味があるのですが、どうにもよくわかりません。
中村氏曰く、「ボロぎれのリークをリークしろ」、「空っぽって意味だよ」だそうです。余計混乱させる人です。
曲は流れを汲んでていい感じ。
12.Santa's Helper ☆
次の大曲への繋ぎ曲です。タイトルは服のロゴからとったそうです。歌詞カードでその服を本人(?)が着てるのが笑えます。
13.Honeycom Ware ★★★★★
超名曲です。オリジナリティ満点ですが、中村のポテンシャルから滲み出たものでは無い感じです。
本人曰く、「降って来た」曲だそうですが、まさにそんな感じです。
不気味だけどキャッチーなメロディ、様々な空耳を巻き起こした強力な歌詞、どれをとっても素晴らしいです。
ただもう少し長い曲にしてもよかったかな。
14.扉の向こうに ★★★★★
またまた超名曲。不気味で混乱したメロディから、サビで希望をかいま見せる圧倒的センス。完璧です。
このアルバムの白眉的な曲。
15.OZ III ☆
14の流れを引きうけて、物語は最終パートへ向かいます。この第3パートは、これから実現させるべき未来を歌ったものだそうです。
16.光は光 ★★★★
希望に満ち溢れた美メロバラード。タイトル通りすごくキラキラした曲です。
メロディがどっかで聞いた感があるのが勿体無い。歌詞はオリジナリティには少し欠けますが、心から思った事が書いてある感じで、好感。
17.いきるもの ★★☆
超キャッチーなイケイケナンバー。イケイケ過ぎてついていけません。チープなイントロにどっかで聞いたようなメロディの連続。
しかしこの流れだと不思議に聞けてしまいます。まあ短いし。
ロキノンだかで最もシビれる曲と言われてましたが、ありゃ嘘です。
18.K-ing ★★★★★
最初は、何すか、これ?って感じでした。ただ何度も何度も聞くうちにジワジワと効いてきます。
こういうのレゲエ風っていうのか?途中からエセヒップホップになります。ただそれが凄くかっこいいです。ユニヴァースの連呼のところとか鳥肌立ちます。
歌詞はキング牧師をテーマに歌ったもの。何度も読めば意味も汲み取れてきますが、自己満的にも思えます。
また、ちょっと短いです。6~7分の曲にしてもよかったと思います。
19.またあした ★★★☆
これが締めかぁ。曲は美しいバラードですが、中村の歌い方がちょいキモいです。
悪くない曲ですが、今まで続いてきた曲たちのパワーを受け止め切れてないような気がします。そしてこの曲も妙に短いです。
最後ぐらい壮大に締めてくれ。
20.バハハイ ★★★
アルバムのラストインタールード的曲。悪くないし詞も面白いけど、このアルバムには軽すぎる。
21.ハルとフユ ★★★★
幻想的で良い曲だけど、前の曲から1分半も間を置く必要性が無い。だれる。スピッツのエトランゼって曲に雰囲気似てます。
総評.★★★★☆
良いアルバムですよ。捨て曲無しの名盤。ただラストは軽すぎます。
中盤まで凄くドラマチックなのに、最後の最後で肩を透かされた感じです。魔法の匂いは漂ってますが、金字塔よりはだいぶ微弱です。
このアルバムのテーマは『世界観の超客観』ということですが、やはり最後のパンチの弱さで、そのテーマも損なわれてしまっているように思えます。
ただ最初に言ったように、名盤であることに違いは無いです。買っても絶対に損はしない。
このバンドは今回のテーマをやるために結成したということで、このファーストアルバムのツアーを終えたら解散じゃないか、という話も出てますが、
詳細は謎のままです。しかしこの未完成具合がある意味中村の魅力なのかもな。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:24th. 584-586 名無しのエリー2011.02.25.

1.そうさ世界は ★★
イントロなしの「で~~~」で始まるのがインパクト大。
カッコイイギターロックだけど飽きやすい。
この時点でアルバムの色が分かる。
2.希望 ★★★★★
キラキラしたキーボードが印象的。他の楽器もオーソドックスだけど良いアレンジ。一般受けしてもおかしくないポップさ。
これまた明るくてカッコイイ曲。残る余韻がどことなく爽やか。
3.まんまる ★★★★
祭りっぽいアレンジが秀逸な佳曲。ライブでも盛り上がりそうだがそういうんじゃなく、純粋に聴いていて楽しい。
アウトロは次曲へ繋がっている。
4.なぁ、未来 ★★★★☆
さっきからカッコイイ連発してるけど1番は間違いなくこれです!
イントロ、歌詞、サビ、間奏とどこをとっても金太郎飴の様に洗練されている。100sになって良かったことは音に厚みが出たことだな。
5.Q&A ★★
ベストにも収録されるみたいだがちょっと聴きどころがわからない。
リフはシンプルだが面白いと思う。ロキノンぽいけど。間奏は良いと思う。
6.シンガロング ★★★
わりと好きな曲…だったはずなのに今聴いたらそうでもなくなった^^; 寧ろQ&Aの方が良作かもしれない。
何度聴いても前曲と印象が被ってしまう。
7.あの荒野に花束を ★★★★☆
イントロから哀愁漂うが泣き歌とは違う。悲しみを乗り越えた先の強い決意を感じる。
でもやっぱり中村の声が切ない。サラっと聴けないのが難点か。
8.つたえるよ ★★☆
じんわりくる曲。曲調は違うけどピーナッツみたいな。
聞きやすいんだけどそれが災いして耳に残らない。あとなぜか飽きる。
いい加減パワーコードばかりで下品に思われる。
9.蘇州夜曲 ★
カバー。しかし何故か1番だけ。何で入れたの?って思うけどまぁ箸休め。
理由は自分がクオーターだからどうのこうの言ってた気がするが忘れた。
10.ももとせ ★★★★★
桜に別れの想いを乗せる…なんてのは幾度となく使い古されたはずだけどやはり心に響くものがある。
壮大な感じではないけど威風堂々とした力強い曲。中華な前曲との対比か。
11.もしこのまま ★☆
ひょっとして初めてのアコギ?やっぱりバンドだなぁ。
演奏詰めこみすぎ感+猫なでボーカルが受け入れられない…
ラブソングではないらしい。
総評.★★★
一つ一つは中々粒ぞろい。
しかし過剰なまでに厚い音でSEも無いし、そういうことで「金字塔」の頃と対極に位置すると言っても過言ではない。
実際ここで離れた古参ファンも相当多い…らしい。しかし折角バンド組んだのだからそれを突き詰めて行くのも悪くはないと思う。
それでアルバムの評価だが、正直ごちゃごちゃしてるし、疲れる。
ERAも尖ったカッコイイアルバムだったが、全然違う。やはり音が過剰でソロ時代からのファンには厳しい。
ヴァリエーションも無く、かといって統一感や、アルバムを通しで聴きたいかと問われてもそれも違う。
しかしソロよりは良くも悪くも普通になってしまったので、このあたりから入る人がいてもおかしくはない。
曲単位で見ると3枚の中では最も優秀だと思う。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:21st. 568-572 名無しのエリー2009.07.11.

1.出口VS入口 ★☆
これから始まるのは過去と現在、虚構と現実が入り混ざった東京都江戸川区小岩の音楽。中村一義の愛憎含んだホーム。
まずこの前提が無いと、これからの曲の歌詞の意味がよく分からんのはどうしたことか(笑)
この曲自体は彼のアルバムではお馴染みのインスト。宇宙的スケールからテープを切り替え、サイケ、祭り、雨、工事、部屋、そして祝祭へ。
ところで、フラワーロードの出口・入口は駅側・反対側のどっち?多分答えは初回版に付属のDVDを最後まで見たら分かる。
2.世界の私から ★★★★★
ある意味最高に自己中心的なアルバムの世界へリスナーを、そして中村自身を引きずり込むための、強烈な挑発と祝福の「招待状」。
かつての祝福に満ちた名曲群(『永遠なるもの』『主題歌』『ジュビリー』などなど)にまた輝かしい一曲が、って感じ。
彼等が自称する「100sのサージェントペパーズ」という言葉の通り、そのピースフルでぶっ飛んだ祝福感が魅力(でもホーンは生音の方が…)。
独特な節回し、突き抜けたメロディにコーラス、そして歌うようなドラムがどことなく中村一義初期作品っぽい。それらの現行版。
「ハーイ、ジョン、聞こえますか?」にも表れているあの魔法、そして拍手とともに現れる高揚。アルバムの世界に入っていく。
3.魔法を信じ続けているかい? ★★★☆
歯切れの良いリズムとピアノに導かれる、可愛らしいハネ方で進行する曲。
これまでのアルバムタイトルを含んだ歌詞、そして何よりそのタイトルが、このアルバムにおける中村の視点を表している。
「魔法はさらに上へ。なくすはずないだろ。」変わらぬ信念を高々と歌い上げる。キャリアを俯瞰しての自己肯定。
何を言っているのかよく分からない歌、舞い上がるメロディ、「同情の群れはとうに無い」、これも初期を思わせる要素に満ちた曲。
4.そりゃそうだ ★★★★
まず、曲構成自体が初期中村一義っぽい、ビートルズとかそんな感じ、それを100sで演奏したって感じの曲。
あちこちに配された様々なコーラスや、どっしりと進んでいく力強さ、メロディに強烈に引きずられるリズムなんかも『犬と猫』とかっぽい。
ただ、単調なギターやちょっとちゃちいキーボードがやや残念ではあるが。
シングルバージョンと比べると、イントロにホーンが加えられていいアクセントになっている。
5.エコVSエゴ ★★
二曲目のインスト。電子音から不穏なアルペジオが広がる。様々に配置された効果音。曖昧な歌。不思議な世界観が広がる。
クレジットをよく見ると、何とドラム中村一義!あの独特のもっさり感を喜ぶファンはいるだろう。
最後に中央線の黄色い電車が到着するSEが(多分小岩駅)。これによって次曲に繋がる(「黄色い電車、降りたら。」という歌詞)。
6.モノアイ ★★★★
ぼんやりとしたイントロから、結構ファンキーで透明感のある演奏に突入。この曲の主役はやはりコーラス。
サビのコーラスの、分厚くてヒステリックでそして美しいあの感じ、どことなく『君ノ声』を思い出す。
機械的でかなり変則的なリズムも、ワウの掛かったギターも、夏の夜空のようなコーラスのために機能する。
最後の圧倒的な繰り返し(「連弾」って感じ)から、さらっとワンフレーズ歌って終わる展開が切なくて良い。
歌詞はおそらく、★になってしまった人への思い、つまり、死んだ中村の祖父について。パーソナル故の繊細さが光る。
7.セブンス・ワンダー ★★★★
元ネタはおそらくELOの『Mr. Blue Sky』であろう、っていうか結構まんま。でもこういうリズムは素敵。
軽快に跳ねるリズムや爽やかなキーボード、中村の歌も軽快に転がり楽しげ、サビの盛り上がりもポップで良いが歌詞の内容を踏まえると…。
街を守って来たのに街の人に忘れられて死んでいく警官、およびその目線で見た少年中村について。
それにしても「あの中村って子は街の七不思議」って凄い歌詞だな…。外部視点で語られる中村少年。
8.いぬのきもち ★★☆
ガンダムな感じのSEから急に威勢のいい演奏が始まって、それはまあいいんだけれど、なんか曲が中村っぽくない。
と思ったら他メンバー(ギターの小野)によるペンだった。にしてもまるでピロウズのような荒い歌い回しやメロディ(笑)
勢い良くドライブするギター、オウ↑イエー↓な感じ、最後のコーラス。そういえば両方ともエイベックス。まさか…(笑)
これがピロウズの曲ならかなり好きになれそうなんだけど、これは100sのアルバムなので、ちょっとした息抜きっぽい立ち位置の曲。
歌詞はあの街で年老いて死に行く犬の気持ち。街を出て行くことについての切なさなど。「あの頃富士が大きすぎた」のとこは好き。
9.ミス・ピーチ! ★☆
今度はキーボード池田による、ソウルでファンキーな曲。囁くように歌う中村。
ちょっと『What's Going On』な感じ、そしてオシャレなファンクみたいなところ。色々な音遊び。
正直これは無くても良かったかも。曲自体も演奏も悪くないが、アルバム中での必要性はあまり感じない。
歌詞も少なく、そんなに意味も無さげ。卒業DANCEって何だよ。半分インストみたいな感じ。それにしても長いけど。
10.銀河VS俺 ★★★
重いドラムから、急に『ERA』終盤みたいなヒステリックさが炸裂して、何だ!?と思うと、「腹痛え」…。
陰鬱でどシリアスでファンクな高音で何を歌ってるんだ!?「昨日食べたのはトマトだけえ~」って(笑)
もしかしてこれって、少年時代にそういうトラウマでもあったのかなあ。ちょっと流石によく分からん。好きだけど(笑)
11.ある日、 ★★★
前曲のシリアスさ「だけ」を受け継いだまま、今度は本当にシリアスなピアノと歌で進行する真摯な歌。
『ERA』では攻撃的だったこういう感じが、ここでは思い切り内向的に膨らんでいく。
裏声を多用し、真摯であるが故に悲壮で陰鬱な感じが、分厚く重ねられたキーボードによって音的に広がっていく。
「状況に裂かれていた」中村青年について。その祈り、世界観について。えらく宗教的になっていく。
ここからアルバム終盤。過去の中村自身を解放すべく、テーマも曲調もずっと重い。しんどい分真剣だ。
12.フラワーロード ★★★
不穏な前曲のアウトロから連続したメロディは可憐に舞い、そして三連符の強烈な重力の流れの中へ…。
ってこれ、『新世界』じゃね!?という。サビのメロディがかなり似ている。
それはともかく、歌詞は状況に裂かれた中村青年を解放し、舞い上がらせる。「考えるな、親を想え」の辺りとか。
クラシカルなメロディと、圧倒的な浮上感。重い重い重い。まるで血を吐きながら祝福するような、そんな勢い、狂気。
13.まごころに ★★★☆
先程までよりは大分ポップなピアノや歌になり、そこから「愛したっていいから」と連呼し強烈に舞い上がる。まるでアルバムの終わりのよう。
「愛をバカにしてんだ?」の下りは強烈な憤りを感じる。過去の愚かな自分への。それが良いか悪いかは別として。
サビの高揚はまた「肯定のための強迫観念」みたいな狂気を感じる。こういうポジティブに向かう狂気もまた彼の持ち味。
そしてM2以来再び入ってくる祝福のマーチ。物語も最後の段階に入る。サイケなリフレイン、何かのメッセージ。
14.最後の信号 ★★★★★
ここまでの強烈な浮き沈みが、この曲に収束する。ゆったりと、堂々としたピアノ、リズム。アルバム中最長(6分台)の曲。
注目すべきは歌。一部を除いて、全体的に低音でどっしりしたメロディを歌い、じっくりと繊細な感覚を噛み締めるように進行する。
エレキギターが無くなり、キーボードとリズム、そして歌とコーラスによって、「この通りを渡る」その風景を広げる。
穏やかで力強い曲の広がりの中で、この曲唯一の高音パートで、このアルバムの「祈り」が空に還っていくような感じがする。
昔と今、星になった思いや人、それらの終着。最後のピアノの音が『サージェントペパーズ』の終わりを思わせる。
15.~長い深呼吸~ ☆
18秒に及ぶ、長い深呼吸。一つの回想が終わり、そこから飛び立つための。
16.空い赤  ★★★☆
憂いを孕みながらも、気高く前向きなメロディで歌われる、過去を「乗り越えてゆく」ための曲。歩くくらいのスピードで進む。
壮大なメロディに比べて、ちょこちょこ入るチープなキーボードが本当に残念。やっぱりホーンは生音の方がいい。
過去の自分を全て踏まえ、そして「だから、ここいらで、「さよなら」だ。乗り越えてゆくならば。」と歌う。
壮大な世界観は流石にもうお腹いっぱいだが、この曲はアルバムのエンドロールである。クドい割りに意外と最後があっけなくて切ない。
総評.★★★★
中村一義を中心とするバンド『100s』の、これはバンドとしては三枚目、中村通算でなら7枚目のアルバム。
中村一義自身の「原風景」をテーマにして、世界を呪い、愛に苦しんだ昔の自分自身を俯瞰し解放する、多分そんなテーマのアルバム。
それゆえ、ある程度彼の経歴を知っていないと、アルバムのコンセプトやストーリー自体を理解し難い。これはある種の構造的欠陥(笑)
(ある意味、本当にエゴに満ちたアルバムだなあ。しかもそれが全力で真摯で狂気じみて前向きだからタチが悪い(笑))
だが彼には過去にケリを付け、新しい世界の広がりへ突入していくことが必要だったらしい。これからの彼等の作品に期待!
音楽的には、中村と池田が中心となって作られたせいか、全編に渡ってキーボードが様々な活躍をしている。
正直ちゃんと生の楽器でやって欲しかったフレーズも多いが、世界観の広がりに大いに貢献している。
割と軽快な前半と、必死で真剣でどシリアスな後半のギャップもまた激しく、特に後半はあまりの思いの強さに聴いてて窒息死しそうなくらい。
しかし曲の出来は総じて良い。アレンジも、個人的にはもっと軽い方が好きだけど、スケール感の演出としては正しい。
シリアスさは『ERA』っぽいが、あれが外向きの攻撃ならこれは全力で内向き、世界を巻き込んで内向きな感じ。
「100sのサージェントペパーズ」というコンセプトがあるが、個人的には「アビーロード」な感じを受けた。音のゴージャスさとか。
正直100sサウンドもこれ以上の発展があるのかよく分からないので、ひょっとしたら次作はソロかも(個人的にはそっちの方が…)。
重たいが、それだけ制作者の思いが詰まった素敵な57分(重さの割りに意外と短い!)だと思う。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)