アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : いきものがかり。

Reviewer:15th. 32-33 名無しのエリー2007.06.06.

1.SAKURA ★★★★
彼女達のデビューシングル。NTT東日本のCMソングとして使われていた。卒業から数年後に学生時代を懐古している曲。
スローテンポですごくまったりした曲。
2.KIRA★KIRA★TRAIN ★★★
「Friend-Ship Project」テーマソング。前曲とは打って変わってポップな曲。
前曲は自分が旅立った後の曲だったが、こちらは旅立ってしまう人へあてた曲。
3.HANABI ★★★★★
「BLEACH」エンディングテーマ。サビとアコギのみから始まる歌いだしが非常に印象的。
季節の移り変わりをHANABIにたとえた曲。サビの♪煌いて 揺らめいて 蒼き夢~ の弾み続けるメロディが心地いい。
ここまでの中で1番とがっている曲な印象。
4.君と歩いた物語 ★★★
ギターのアルペジオ+ボーカルからやさしいバンドサウンドへ続く一曲。歌詞は「別れる恋人の幸福を祈っています」。
曲の印象は01と似たような印象。
5.コイスルオトメ ★★
聞いてて照れくさくなるような純愛ソング。サビの♪ゆっくりとー のメロディは好き。
ただ全体的に盛り上がりに欠けている。
6.流星ミラクル ★★★
疾走感のあるアップテンポな一曲。
歌詞中「流星」とかいて「ほし」と読む部分と「りゅうせい」と読む部分がある。
サビのボーカル以外の同音連打がすごく心地よく響いてく曲。
7.青春のとびら ★★
メロディは梶浦由記が書きそうな曲。アップテンポでマイナー調メロディ。
メロディがあまり大きく変化がしないので、サビがパッと聞きで分かりずらい。
8.ひなげし ★★★
マイナー調でジャジーな一曲。HANABIなみにとがった曲。
9.ホットミルク ★★★★
ファンファーレのごとく高らかな歌いだしで始まる曲。
Aメロの言葉を詰め込んだようなメロディ→弾むサビへの流れが違和感がまったく無い。
10.いろはにほへと ★★★★
ここまで結構張り上げた感じの歌が多かったが、この曲は鼻歌のような優しい印象。
秋や春の休日の穏やかな昼の、緑の多い公園の日のほどよくあたるベンチにいるような曲。
11.うるわしきひと ★★★
結構メロディにうねりがあるサビで始まる曲。
Aメロのギューと言葉を詰め込んだから広がりのあるサビへ繋がる。
12.夏・コイ ★★★
男性メンバーも含めたメンバー全員がボーカルを取るサマーソング。
ギラギラの真夏と言うよりは、5~6月ごろの穏やかな初夏といった印象。
13.タユムコトナキナガレノナカデ ★★★★
ピアノとストリングスの伴奏を中心としたゆったりとしたバラード曲。
卒業式なんかにぴったりな一曲。
14.SAKURA(Acostic Version) ★★
01の別バージョン。蛇足な印象。
前曲でいい感じに終われたので、とくに収録しないで良かったのでは?
総評.★★★★
これと言った名曲は無いが、駄曲もない印象。
ボーカルの人の歌声が非常に優しい印象を持っていて、その声質と曲とアレンジが相乗効果でアルバム全体の優しさを作り出している。
特に聞く人を選びそうな印象も無いので何曲か知っていればレンタルしてみてもいいと思う。
(★5個が満点。)

Reviewer:17th. 159-162 名無しのエリー2008.03.04.

1.Good Morning ★★★
90年代初頭のJ-POPそのままなイメージのオープニングナンバー。
楽曲自体は凄まじくありきたりなのだが、やたらボーカルを加工したり、派手なシンセを入れたり、
ドラムがやたら残響したりといった90'sJ-POPの大味感が無く、自然な作りになっているので意外と聴ける。特にリズム体が上手い。
しかし男2人のどっちかはベースかドラムかと思ってたら両方ギターとは。
サポート陣の仕事ぶりに露骨に支えられる形になっている。吉岡のソロプロジェクトと大差ないのでは…。むしろもっと良い曲もらえてたかも…。
詞も微妙。「だからこそあなたに伝えたい」ことを「Good Morning」と英語にしたのは不自然なような。
2.茜色の約束 ★★
1曲目も約束の歌だったような…。定番のミドルテンポのポップス。
詞曲含め、いかにも邦楽ヒットチャートのみを聴いて育った人が作ったという印象で、全くひねりがない。
個人的な好みとしては詰め込みすぎのコブクロより聴き易いが、作曲能力自体は小渕が上という印象。
曲はそんな印象だが、まっすぐ丁寧な歌い口調で、エフェクトかけすぎ感もコーラス重ねすぎ感もない吉岡のボーカルは爽やか。
3.夏空グラフィティ ★★★★★
まんまPRINCESS PRINCESSなアッパーチューン。芯である曲はかなりどうでもな感じ。
今更聴く気になれんなあ…と思ったらドラムがガンガン前に出てきて曲を盛り上げる。
Bメロでの熱気が立ち昇るようなドラミングは見事。ベースのビートも端正。
いきものがかりとして評価する気になるのは吉岡のみなのだが、総じては予想外に引き込まれた曲。
4.青春ライン ★★
あくまで80~90年代J-POPなマイナー調のアッパーな曲。
アレンジのカラフルさに救われてはいるが、彼らはほとんど同じような曲しか書けないのかも。
セールス的に軌道に乗っていて資金があるからなのか参加ミュージシャンが良く、
方針としてもオリジナルメンバーに構わずドンドンかませ的な指示になっている印象。
ツインギターとはいえ片方はアコギメインで、2人が絡みをみせる場面に乏しく、おそらく全曲で鍵盤のバッキングが入っているので、
2人の必要性に疑問符が付くような。
5.@miso soup ★★★★
最近耳にしなくなったが一昔前のアイドルポップによくあった感じの4/4の軽快な曲。
作りはベタだが正統派な出来で、リズム体が上手いためかなり楽しんで聴ける。いかにもなピアノのグリスもいい感じ。
例によってピアノもキーボードも入っているためギターの存在意義は薄い。
作曲者がアレンジの主導権を握っている感じもしない。握らせたほうがいいような気もしない。
6.ソプラノ ★★
ここまでハキハキした発声を聴かせていた吉岡が、心の曇りを表すように若干虚ろな歌い口調を披露するミディアムスロー。
曲は相変わらずベタ。色々聴いたけどJ-POPが1番だったという確信を持って作曲している、と仮定するにも、
J-POPの良い所だけを抽出している感じがしない。
アレンジ面では他曲に比べギターが前めだが、結局鍵盤に支えられる形になっており、ギタリストとしての信念という点でも微妙なような。
7.花は桜 君は美し ★★★★
メンバー中唯一の音大卒(ミュージカル科)の吉岡が艶のある歌声を披露する和風な曲。
バラードとして作った曲を早いテンポでアレンジし直したら成功した、といった感じの曲。
Aメロではアコギの活躍が際立つ。細かいゴーストノートを多数入れて雰囲気を出すBメロのドラムも良い。
全般的に洋楽ファン受けしなそうな曲の多い彼らの曲の中では、「これはこれでアリ」と思わせやすい曲かも。
8.ちこくしちゃうよ ★
元々彼らの曲はベタな歌謡ポップスなので、アレンジ面でもベタにキメキメな出来になってしまう危険性は常につきまとう。
その辺はサポート陣が上手く仕上げていたのだが、ここに来てアレンジもベタな曲登場。
こんな感じの曲が本命の人のほうが多いのかもしれないが、個人的にはあまり可能性を感じない、苦手な曲。
リズム体も含め全員オリジナルのメンバーで揃えてデビューしてたとしたら、多分こんな感じのベタなアレンジばっかりだったんだろうな、と思わされる曲。
9.心一つあるがまま ★
かなり音数を詰め込んだA・Bメロが印象的な曲。しかし間延び気味のサビで台無しな気が。メロディも恐ろしくB級。
アルバム曲にするつもりで作ったアルバム曲といった印象。個々の奏者のプレイではいい所もあるが…。
ギターの2人は展開を広げるきっかけを作っているというよりはバッキングに徹している印象。吉岡も低音は不得手な気が。
10.ニセモノ ★★
椿屋や初期林檎の失敗版といった印象の妖しいマイナー調歌謡ロック。
ギターが丁寧にこじんまりまとまり過ぎた感が。強く歪ませてラウドに弾いても良かったような。
今作中では異質な詞世界だが、結局発想は十人並み。こういう曲があってもいいがこの出来はアリなのか。
手探り感はあるものの意外に順応している吉岡の気だるいボーカルが健闘。頑張れ吉岡。
11.東京猿物語 ★
ソイヤソイヤとお囃子が入ったりする陽気な曲。
楽しい楽しいネタ曲のはずが、今ひとつ笑いを取り切れなかった感があり、付き合って聴いてる自分も寒いような妙な切なさを感じる曲。
そして吉岡はまたもや意外と順応。なんていい奴なんだ吉岡。頑張れ吉岡。
12.月とあたしと冷蔵庫 ★★★
ピアノとアコギの伴奏をメインに、シンプルめに仕上げたゆったりした曲。サビメロはどこにでもありそうな出来。
吉岡は技術をひけらかすタイプではなく、仰々しくビブラートをかけたりはしないが、
表現としてその技術が必要な箇所とそうでない箇所を歌い分けている印象は受ける。
単に自分がここまで聴いた流れの中で頑張れ吉岡なスタンスになったからそう思うだけかもしれんが。
13.茜色の約束 -acoustic version- ★★★
M2のアコースティックバージョン。アコギメインの人がいるんだからやっぱりこういう曲で見せ場を作りたいのだろう。
と思ったらどっちかというとピアノがメイン。お前ら…。
バンドバージョンに比べ吉岡の歌い口調が柔らかく、肩の力が抜けた感じになっている。これは収録して正解かも。
総評.★★★
一部の作詞以外ほぼボーカル専任の吉岡、2人でほぼ全曲の作詞、全ての作曲を手掛ける水野と山下からなる3人組、いきものがかりの2nd。
詞曲は新しくも珍しくもない。ギタープレイにもこれといった特徴は無い。しかし、それでも聴けるだけのパフォーマンスがあるため普通に聴ける作品。
ドラムには山木からBank Bandを引き継いだ河村カースケ、ベースにはaikoのサポート等で知られるスティング宮本といったメンバーが参加しているが、
作曲者の作り込みが浅いことも功を奏して彼らが仕事できる余地が大いに残されていたため、全体に彼らの音で埋まっており、演奏の質が高い。
バンド始めたての人がコピーするなら、変なロキノンやV系よりよほどためになりそう。
ある意味フルメンバーが揃わないバンドの醍醐味(黒夢のドラムにそうる透、ヒステリックブルーのベースに人時といった具合)。
サポート陣による埋めで作品が成立しているという意味ではケリーに近い気もするが、素材としての曲のレベルでは少し劣る印象。
似たり寄ったりの曲を歌い分けようと健闘する吉岡は、気取らない発声で、英語の発音もキッパリ日本語英語という貴重なシンガー。
「いきものがかり」のレベルが高いかと聞かれれば微妙だが、
作品としては90年代のJ-POPの、機材の充実で無駄にゴージャスだった部分を切り離したリメイク版として、充分な需要があるのでは。
(★5個が満点。)

Reviewer:20th. 278-280 名無しのエリー2008.12.26.

1.プラネタリウム ★★★★☆
オープニングを飾るこの曲は彼らの11枚目のシングル。
普遍的で、どこか郷愁漂うメロディーはいきものがかり王道。吉岡のボーカルもいい意味で肩の力が抜けていて滑らかで心地良い。
ラストサビでキーを半音上げたのは◎。よりドラマティックに仕上がったと思う。
2.気まぐれロマンティック ★★★★☆
12thシングル。彼らにとって初めてのブラス音の導入。
とにかく底抜けに明るくキャッチーで、'90年代初頭の「イケイケ」(死語)だった頃の日本を少し思い出させる。
こういう弾けたポップスど真ん中の曲って、最近あんまりないよね
3.ブルーバード ★★★☆☆
10thシングルで、彼らにとって最大のヒット曲。
'80年代の歌謡曲の匂いが漂うポップ・ロックで、「蒼い 蒼い あの空」の繰り返しが耳に残り印象的。
3分39秒と短く、あっさり聴けてしまう曲。
4.スパイス・マジック ★★★★☆
シングル曲が3曲続いたが、ここでアルバム曲が登場。
感覚的に、初めて聴いたとき90年代後半のJ-POPっぽいなと感じた。彼らの曲はどれもどこか'80~90年代っぽいなぁ。
2番のサビ終わりまではわりと淡々と進むが、Cメロから一気に曲調が変わり盛り上がりを見せる。
アレンジがいい仕事してます。
5.かげぼうし ★★★★★
「かげぼうし」っていう言葉、久しぶりに聴いたなぁ。イントロからノスタルジックな雰囲気。
歌詞が夕方~夜へと変化していくのも面白い。爽やかでキャッチーな良曲です。
6.帰りたくなったよ ★★★★☆
王道中の王道。
「帰りたくなったよ 君が待つ街へ」というあまりにもストレートでシンプルなフレーズは、
悪く言えば「陳腐」かもしれないが、世代を問わず多くの人の心に真っ直ぐに届くという点では◎かもしれない。
「ド真ん中のポップスを歌っていきたい」という彼ら自身を一番あらわしている曲ではないだろうか。
7.message ★★★☆☆
ここから13曲目までシングル曲なし。
古風な歌詞が多いいきものがかりの曲に、まさか「メール」とか「めんご」なんて単語が登場するとは思いもしなかった。
それでも、曲の方はキャッチーで悪くない感じ。アレンジはPRINCESS PRINCESS入ってるね。
8.Happy Smile Again ★★★★☆
NHK「スタジオパークからこんにちは」テーマ曲用に書き下ろされたナンバー。
盛り上がる部分も意外性もないシンプルな曲だが、爽やかであっさりしているので番組との相性はバッチリかも。
9.くちづけ ★★★★★
1st、2ndアルバムにも1曲は入っていたドロドロソング。
イントロから激しいエレキの音が入り、ほのぼのとしていた8曲目とはあまりにも対照的。
こういう妖艶な雰囲気を醸し出す曲も結構上手いなぁ、と少し驚かされた。
あえて淡々とした歌い方にしたらしいが、この曲はもっと感情移入して歌ってもよかったんじゃないかと思う。
10.僕はここにいる ★★★☆☆
ボーカルの吉岡聖恵が初めて作詞作曲を担当したナンバー。
男性2人が書く曲達と比べて粗削りでぎこちなさもあるが、決して曖昧なメロディーというわけではなく芯があり、癖のないボーカルで言葉を大事にしながら歌う
そんな姿勢が滲み出ていて結構引き込まれた。
11.ブギウギ ★★★★☆
お遊びソング。初めて聴いたときPUFFYを思い出した。
12.幻 ★★★★★
編曲を担当したのはスキマスイッチの常田。このアルバムの中で最も歌詞の主人公の年齢が高く、アラフォー世代に向けた1曲だそう。
昭和の歌謡曲をイメージして作られたようだが、サビの終わり方とかモロ演歌です。
13.心の花を咲かせよう ★★★★☆
アルバムを締めくくるのはスケールの大きなこの曲。
バラードであるのに歌詞の文字数が多く少し詰め込んだ印象があり、そういう点では賛否両論かも。
「帰りたくなったよ」同様、彼らの王道バラードといった感じ。
総評.★★★★☆
わかりやすく、まっすぐに届くポップス。
しっとりめの曲が割と多く、もう少しアッパーなものを入れても良かったのでは?と思うが、
後半にシングル曲が1つもなくてもしっかりとした良い流れができていた。
ノスタルジックな気分に浸りたい、そんな時にお勧めのアルバム。
(★:1点,☆:0点の計5点満点。)

Reviewer:避1st. 104-108 名無しさん2010.01.04.

1.ハジマリノウタ ~遠い空澄んで~ ★★
オープニングはいつもの通り何の変哲もないミドルテンポのJ-POP。
どこかで聞いたようなメロディの繋ぎ合わせという感じだが、このレベルならわざわざパクるより自分で作ったほうが圧倒的に早いので完全な自作だろう。
ありきたりすぎるので、他人の過去作と被ってないかを検証し切るのが無理なだけ。
歌は安定しているが、表情が以前より減って、元気一杯の一辺倒になったように感じる。
歌詞もただそれっぽいだけで何だか良く分からない形容が多用されており、過去の直球な詞よりも突っ込み所が増えた。
どこが主題なのかも曖昧で、何とでも曲名を後付けできそうな曲。
最後のサビでいきなり「僕が生きた証を残そう それをいつの日か夢と名づけよう」とか出てくるが、そんな話が出てくる流れだったろうか。>
しかも取り敢えず生きてから後付けで「これが僕の夢だったんだ」とか言い張ったらもう夢でも何でもないのでは。
2.夢見台 ★★
2曲目も全くひねりの無いアップテンポなJ-POP。しかも最初から速いテンポを想定して作曲してる感じがしない。ミドルテンポと同じような曲。
それをアレンジャーやスタジオミュージシャンの手腕で何とか元気でアッパーな出来に仕上げてる感じ。自前と思われるギターは正直ベタ。
今作全般でそうだが、いっつもメロの区切りで小節の最後のほうを余らしてる印象で、歌メロの連続感がない。
Bメロからサビへ繋ぐ時とか常に充分な間隔をとってキメで処理してるし、そこでサビが他曲とシャッフル可能になるので、1曲通して覚えられる曲が全然無い。
逆にこれで演奏中に曲を間違えない本人達が凄く思える。
3.じょいふる ★★★
hideの「ROCKET DIVE」みたいなイントロで入る派手な曲。Aメロは民生の「マシマロ」をギター以外手数多くした感じ。
詞は無意味だが、別に電波でもシュールでもない微妙なセンを突いている。実はこっそり痛烈な皮肉を込めてたりという仕掛けも無さそう。
曲自体は作曲というほどのことをしておらず、アレンジ依存度がかなり高い。
メインのギターリフがベタで地味なので、リズム体が頑張っており、ブイブイうねるベースがほぼギターの役割も食う感じで感情の高揚を表現する。
スタジオマンありきの曲。
4.YELL ★
合唱コンクールの課題曲として書き下ろされた、ベタ以下な歌謡バラード。
やはり歌に違和感が。前ならAメロとかもっと柔らかく歌ってたような。
メロは楽器未経験者が充分書けるレベルで、コードもギターかピアノを何となく触ってて基本的なコードを知ってる人なら誰でもつけそうなレベル。
歌謡曲をやるならやるで特化すればいいと思うんだが、こうもインスタントだと何がしたいんだか分からん。
彼らの作品は基本的にスタジオミュージシャンの見本市なので、真っ向から楽曲勝負はキツイ。
歌謡曲スタイルなのに詞とメロの親和性が薄いのも痛い。
サビで急に「サヨナラは悲しい言葉じゃない それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL」とか出てくるが、
その前に「サヨナラを言うのが悲しいよ」的な前フリがなく、ここでいきなり定義してるので唐突な印象。
恐らくそのサビの上手いこと言った風フレーズが先に出来て、後から前後を書き足したのだと思うが、
多分本人が思ってるほど上手く繋がってないので、そのサビのフレーズを諦めるべきだったんじゃないかと思う。
ていうか自分が最も言いたいことを表現し切れてないというのはどうなんだろう。
もしや本人も言葉の響きに酔ってるだけで、自分でもよく分かってないのでは。他にも詞の突っ込み所が尋常でなく多い。
好き嫌いはキッパリ分かれるものの、主張は明確だったアンジェラの「手紙」と対照的な曲。
5.なくもんか ★★
やはりベタベタな歌謡バラード。
構成もいつも通りで、全く凝る気がない。よほど時間がなくて、三日くらいで全曲書き上げたんだろうか。
たまにはBメロからサビまで一気につながるようなメロを書くとか、Bメロをすごい短くしてみるとか、なんか手を加えたほうが。
「涙のかずだけ 笑顔があるんだ そう わかってるはずなのに」とかサビで言い出すが、わかってないので説明してほしい。
どうも彼らには自作の格言みたいなのを詞に盛り込む傾向があるが、
それをサビで歌うなら聴き手が「なるほど」と納得できるように、そのオリジナル格言についてこそA・Bメロで例を挙げて分かりやすく解説して欲しい。
多分ちゃんと根拠があるんだろうが、今の状態の詞からはなりきり勘違い詩人みたいな印象を受けてしまう。
いや俺がおかしいのかも。涙の数だけ笑顔ってあるの?
涙を流した分を取り返すくらい笑顔になりたい、という心理的な願望ならあると思うが。
6.真昼の月 ★★
歌詞を古めかしくし、露骨に歌謡曲っぽく仕上げた曲。
と言っても仕上げたのはアレンジャー他周囲の取り巻きで、曲そのものについては別段この曲だけ歌謡曲っぽく作ってる訳ではない。
彼らの短調の曲はどれもこんな感じ。詞がそういう感じだから周りが気を利かせてそうプロデュースしただけ。スタッフは有能。
さらっと聴いた印象では最もアレンジのハマリが良いし、良曲かと思ったが、詞が雰囲気だけで内容が雑なので、いよいよもって勘違い詩人という印象。
いきものってこんな訳分からん詞だったっけ。
「巡る四季の中誰を恋ふて 一人夕凪に指を這わす」とか歌われるとパッと聴いた印象では何だか凄そうに思えるんだが、
夕凪って要は波風が止んでる状態のことなのでは。どこに指を這わすんだろう。巡る四季とは言っても夕凪は夏の季語だし。
7.ホタルノヒカリ ★★
とことんベタな歌謡ポップス。
正直作曲に関しては引出しはもう無さそう。多分やりたい事をやり尽くした状態でこのベタさなのだろう。
新しいことに挑戦する意欲も感じない。色々やってみないと幅が無くなってダメになる、という危機感もないのだろう。今売れてるから。
あとはスタジオマン達が頑張ってハイハットの裏を強調したり色々試して差別化を計ってるし、
歌も雰囲気に逃げない丁寧な発声だし、そういうところを聴くべきか。
ところで他曲でもチョイチョイ出てきてたが、そろそろ歌詞のオリジナリティ溢れる当て字がウザくなってくる。
「火傷(きず)つく」とか「意志(おもむ)くまま」とか。そういう小細工より主題に沿って詞を書く努力が先では。
8.秋桜(コスモス) ★★★
ハープが哀愁を誘うアッパー歌謡曲。冒頭からかなりクサイコード進行。
しかし弾みをつけてリズミカルに反復するメロは今作中ではかなり出来が良く、ベタではあるものの割とアリな部類と思われる曲。
山下はまだ何とかなるかも。と思ったらインディーズ時代の曲のリメイク。過去作だったか…。
インディーズのものと聞き比べると、やっぱりプロのスタジオミュージシャンは一味違うなと思わされる。
9.ふたり ★★
歌唱力はそれなりで、演奏はしっかりしているベタな歌謡ポップス。
ここまで聴いた印象では、今作を最も好意的に聴くコツは詞をあんまりジロジロ見ないことかも。
この曲もそれっぽい詞なので、さらっと聞き流せば違和感を感じずに済む。
あまり詞について考えると、普通に詞に意味を求める行為のつもりが、いやらしい揚げ足取りをしてるような気分になってくる。
この曲も、「抱きしめても届かない想い」を受け止めるために「僕」が具体的に何をするのかよく分からないがいいやもう。
なんか今作全般で、漠然とした問いに対して漠然とした答えを返してる感じなのでキリがない。
10.てのひらの音 ★★
曲は今までと何ら変わらないが、他の男性メンバーもボーカルに参加した意欲曲。予想以上に歌唱力がある。ゆずみたい。
詞についてはもうあまり触れたくないが、普通にポジティブなことを歌ってるっぽいし、多分大丈夫。
でもギターはベタ過ぎてもはや邪魔。
11.How to make it ★★
基本的には普通の8ビートだが、少しだけハネを加えたリズムが独特な曲。かなり歌詞を詰め込んで英詞的なリズムを出そうとしている。
よかった。ちょっとだけ作曲の幅が出た。もうこれは歌詞に意味なんか無くっていいんじゃないだろうか。もう疲れた。
でも「気張った人生に意味などありゃしない それでも報われたいと願うならむしろ無欲だ」は何でむしろ無欲なのか分からないけど。
12.未来惑星 ★★★★
今作で最もいきものがかりらしくない、歌謡曲要素薄めのポップス。
メロのリズムに規則性があるので、Aメロからベースがメロの隙間を埋めたり、
ドラムがスネアの位置をずらしてメロに当てに行ったりと、全体が有機的に絡んでいる。
Aメロ終盤でBメロへ向けて弾みをつけるようなメロが登場したかと思うと、Bメロの冒頭はそのメロのリズムを受ける形になっていたり、
今までに比べ次の展開を引っ張って来れるメロディになっている。
思い切って長い音符を歌ったサビも新鮮。これはメロの特性がきちんと分かれてて、アレンジもし易そう。
普通だけどいい曲。まだ何とかなるな山下。それとも水野か。
だが吉岡作曲。そうですか。なら現実的には曲は全部吉岡が書くのが彼らのためなのでは。
13.明日へ向かう帰り道 ★
ラストもベタベタなバラード。
ただの帰り道ではなく「明日へ向かう」とひねって題した割に、
その関連付けの部分の説明がないのでいつものように意味ありげな響きのある言葉を並べただけの雰囲気作詞という印象。
アッパーな曲ならスタジオ勢の派手な仕事で埋め立てできるが、バラードはつまるところ歌を聴かせるので、あまり共感しようのない詞だとキツイ。
総評.★★
水野と山下、2人のギタリストがほぼ半々で詞曲を手掛け、ボーカル吉岡が歌う3ピース、いきものがかりの4th。
吉岡の歌唱力の伸びが頭打ちになった印象なので、2人の作曲家の出来次第というのが今の彼らの現状だと思うが、
二人とも歌謡曲以外にバリエーションがないうえ、実は歌謡曲もこなせないという印象。
別に歌謡曲が好きでもないし、それほど深く探求する気もないのかも。
オリジナリティも全くないが、「自分にしか作れない曲を作りたい」という意欲自体ないのだろう。
2人の作風がダダ被りなのも気にしてないようだし。とにかく作曲能力に関してはあまり下がいないように思える。
GReeeeNよりは上だと思うが、flumpoolより上だと断言してしまうのは何だかflumpoolに申し訳ない気持ちになる。
作詞も何だか雰囲気だけで主題が曖昧だったり、メロが変わるタイミングで急に話が変わったり、そこで別の大きい主題が出てきちゃったり、
全体的に作詞者の主張を伝えたい感じがしない。オリジナル格言についても、投げるだけ投げて説明しない。
察するに彼らは別に言いたいことも無く、ただサビ用にメモしておいた格好良いフレーズに肉付けして詞を組み立ててる印象。
詞のテーマが散るのは、別の曲で使おうとしたサビフレーズを1曲の中で使っちゃってるからでは。
それでもどの曲をとってみても言ってることは似通ってるから、大体意味が通ってるっぽく見えるし。とにかく作詞もかなり厳しい。
言葉遣いがバカっぽかったり、世間の声と逆行するようなネガティブな主張だったりする人達でも、
何となくノルマで作詞する人よりは表現者として筋が通ってるのでは。
総じて今作は、敷かれたレールの上を嬉々として駆ける、勝ち組公務員ポップスという印象。
歌は悪くないのでそれなりに聴けるが、何も生み出さない感じなので、実験的な音楽が好きな人にとってはつらい1枚。
スタジオミュージシャンを目指してる人がベタ曲のアレンジ方法の参考に聴いたりするのがいいのでは。
(★5個が満点。)