アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : じん。

Reviewer:14th. 821-824 名無しのエリー2007.05.27.

1.レミングス ★★
まるで民俗音楽か何かのようなイントロ。
イントロとしての壮大さの演出は出来ているが、ひぃたんのポエトリーディングぽいモノは正直必要かどうかは微妙。
ただ、この曲が端的にこのアルバムの世界観を示しており、そう考えると1曲目としては悪くない。
2.四季彩々 Other side ★★★
シングル「雷音」のカップリング曲。長かったイントロが短くなっている以外、違いは特に見られない。
短くなっているが、原曲と同様、イントロから段々盛り上げて行く展開は上手い。ジンらしい、力強い曲。
間奏で謎のシンセ音が入るが、ともすれば一辺倒になりそうな曲の雰囲気を良い意味で乱している。
3.26 Other side ★★★
M2と同様、雷音のカップリング。これも少しイントロが短くなっただけで、それ程違いは見られない。
ギターメロが良く、素直に耳に入ってくる。インパクトこそ無いが良曲。
バイオリンの入れ方も美しく、雷音や解読不能とは違うタイプのジンが良く現れている。
4.トーン・ジギ ★★★
そして此処でジンの本領、アップチューン。
イントロからテレキャスターらしい乾いたリフ→サビでディストーションの激しいジン曲では良くあるパターンだが、
余り動き回らずにリズムを強調するギターが、今までのジンのアップチューンとはまた違う魅力を見せている。
・・・ただ、2番後Cメロのひぃたんドラえもん的一人尻取りポエトリーディングはギャグにしか聞こえない。慣れるまで時間がかかる。
つまり、無い方が良かった。
5.√135 ★★☆
アコギの音色が美しい、情景を切り取るような歌詞とメロディが良く合っている良曲。
だがサビで纏まりすぎている印象。正直おとなし過ぎるか。
アニメタイアップ取るんならこういう曲でEDやれば危なげないような。
6.みこと ★☆
ケー、ケー、ケツカッチーン。
イントロのギターがこう聞こえた貴方鋭い。ポルノグラフィティのあの曲。後の曲展開を見るにワザとパクった訳でも無さそう。
フィーチャーされた三線の音といい、ひぃたんのまるで御婆さんが子供に説法するかのような歌詞といい、このバンドは全員東京出身のクセにやけに沖縄臭い。
で、ひぃたん的にはメッセージをダイレクトに込めた歌詞なのだろうが、曲全体がM5以上に大人しい為印象が弱く、
プレイリストでもすぐに次のトラックに飛ばしちゃう、そんな曲。
7.解読不能 ★★★☆
そしてM5、6のゆったりした流れから一転、ディストーションギターをぶっ放したイントロから、ギターが動く動く。
和音で攻めるのではなく、一本の線のように繋がった、やたら攻撃的なリフを中心にAメロ→転調サビを繰り返す曲展開。
こんな曲、現在日本のロックシーンにいるバンドじゃジンぐらいしか書かない。
で、そんな曲なんだからアニメの主題歌、それもOPに起用するのが無茶苦茶なんである。
とりあえずジン好きであり、コードギアスも好きな俺は、OPの映像中は耳か目、どちらかを塞ぐ事にしていた。
あと余り知られていないが、この曲の題名や歌詞はコードギアスが十代の少年少女から織り成す物語であることにちなんで選ばれている。
だがちょっくら抽象的過ぎたか。
突っ走るが余り、3分程度で終わってしまうのはちと勿体無い。
敢えて跡形もなく突っ走るような曲にしたのかもしれないが、Cメロでもう少し捻れるようになったらもっと面白いだろう。
あとドラムが少し淡白か。
8.マラカイト ★★
雷音と解読不能の間に挟まれてひっそりとリリースされたシングル曲。シングル曲にしては余りにインパクト不足か。
M6と同じく、これもひぃたんもとい、ジンの世界観を良く現した曲なのだが、やはり普通に大人しい。
まるで草原か何処かの情景が浮かぶような、綺麗な曲では有るが、それだけ。
Cメロで若干雰囲気を変えてみたりもするが、どうせならもう少し捻った方が面白いかったかもしれない。
だがあえて捻らずにこういう曲を書く事が、ジンの世界観的には正しいのかも、しんない。
9.メイ ★★★★
アルバム曲ならでは、ジンの新境地。アコギのストロークで味付けしたファンク的Aメロが想定外にハマっている。
こういう曲も書いて見せる所が、ジンはミクスチャー的な音作りのバンドなんだなぁと思わせる所。
歌詞もジンらしいメッセージ性が良く出ている良曲。
10.雷音 ★★★☆
某音楽番組での余りにインパクト有るパフォーマンスで、未だ人々の記憶に残る曲。
イントロ、そしてAメロのベースラインとギターの絡みは絶妙。
ファンク的では有るが、どちらかというと疾走感がより強く、終始低体温でクラッシャーin the skyなライオンが走り抜けていくような(気がする)曲展開が印象的。
何気にベースがよく動いていて面白い。ただ、歌メロサビの盛り上がり足りない感は強い。
あと、歌詞はひぃたん曰くイメージがちらついた言葉を引っ付けていっただけだそうなので、余り深く考えてはいけない。
何故低体温でライオンが空を飛ぶのか、そんな事を一瞬でも真剣に考えた奴は俺だけで良い。
ちなみにライオンは低温動物ではないが定温動物だ。
11.Someday ★★★
イントロが印象的。民謡的ジン楽曲の、今のところの一つの到達点。
同タイプのM6よりメロディや編曲も面白く、幻想的な雰囲気は中々飽きさせない。何かに語りかけるような歌詞もこっちの方が面白い。
解読不能のカップリングになっていたが、人によってはこっちの曲のほうが良いと思っただろう。
12.片瞑り ★★★
スローテンポ型ジンの一つの到達点。M11とはまた向かった方向が違うが、この曲も素直に良い。
歌メロは有りがちだが、編曲はジンらしいアレンジを上手く纏めており、スロー型ジンに有りがちだった余分な感じが削ぎ落とされている。
13.薄夕湖 ★★
アルバムの纏めらしい落ち着いた曲。
このアルバムのコンセプトとして「大陸を移動し、そのまま海に突っ込んで死んでいくレミングスに自分達を例える」というのが有るので、
だから最後は湖に突っ込むのかもしれない。
良くも悪くも落ち着いていてインパクトは無い。まぁ最後に相応しいといえば相応しいが、ちょっと長いかも。
総評.★★★
メジャー1stフルアルバムでコレなら、十分合格。
ミニアルバムのときは勢いのある曲以外インパクトが無いのが泣き所だったが、今作ではバラード系にも成長が見られる。
まだ全員20歳の若手バンドだが、こんな曲ばっか書くバンドはそうそう居ない。一種の希少種。
個性的であるが故にその手癖に纏まられたりするとこれから困るが、伸びしろはまだまだ有ると思う。
ボーカルはこれで高音が無理なく出たらある意味無敵だし、ドラムもシンプルなのは良いがもう少し凝っても良い、ていうか上手くなれ。
ギターはセンスがありまだまだ色々やってくれそうだし、ベースも能力有る。
SONYで新曲の紹介に「INCUBUS等の洋楽ファンにも通じる魅力」とか書かれていたが、このアルバムを聴く限りレッチリ的なファンク要素の方が感じられた。
何れにせよ分類するならミクスチャーか。
歌詞は、一定の流れを意識したモノも有るが、基本的には切り取られたイメージや、訴えかける言葉で構成された断片的な歌詞が目立つ。
それ故、バンドのコンセプト(もといひぃたん)的にも「隣の君」を歌うとかではなく、
「より曖昧で大きな物」を歌おうとしている姿勢に合致はしている。明確な意味を求めすぎてはいけない。
印象としては、必ずしも万人に勧められる訳でもない感じ。ボーカルの少年声とBRAHMANみたいな絶叫が大丈夫なら、聞く価値はある。
曲は本当、邦楽界には中々無いもので面白いから。「解読不能」とか「雷音」みたいなのがジンであり、またそれだけでもない。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)