Reviewer:17th. 474-477 名無しのエリー2008.04.19.
1.風をおこそう ★☆
「あ、コレ聞いたことある」と言わせることができれば十分元は取れてるデビューシングル。
マイラバ全盛期に二匹目のドジョウを狙った男女ユニットをイメージしてくれれば大体OK。
結論としてこの場所のドジョウは乱獲されてました。
2.片思い ★★★
アコースティックやラテン系の打楽器、エレキギターソロなど様々な楽器・編集を駆使して、とにかくいくのが切なく歌えるように徹する。
ここで紹介してしまっては元も子もないが、リスナー自ら、この曲はすでに告白が失敗した後で「片思い」と題していることに気づいてほしい。
3.冒険(ロマン) ★★
コレを「ロマン」と読ませていいのか歌詞を見てもわからない。
吉田のハモリはいくののまろい声と対比になるから許せていたが、BPM早めのこの曲では邪魔にしかならない。
4.小さな革命(Original Version) ★★★★
「私を変えてみせる」と決意するところから始まる小さな革命。二度目のサビからドラムが手数を増やし、休符が目立つように刻み始める。
息継ぎが難しいようなリズムの中で「自分らしさの殻など壊しちゃえばいい」と歌ういくのの苦しげな声。
最後、低音が消え憑き物が落ちたように「もう行かなきゃ」と革命が終わる。
5.林檎 ★★★☆
もともとシングル予定だったが、何故か差し替えられてしまった不運の林檎。
音に対して発声のタイミングを溜める癖のあるいくのが色っぽいと言うか、つやっぽいと言うか、官能的というか、つまりエロい。
「あなたの下で初めての痛みとめざめを覚えたの」
打ち込みドラムのざわめき方・水音のようなピアノなど、ヴォーカル抜きでトラックだけ聞いてもインストとして切れるレベル。
6.おなじ星 ★★★☆
ジャンスマで最も有名なポップチューン。
「たとえ貴方が女に生まれていたとしても、私の心は必ずこの場所たどり着いてるわ」
直截的な表現を通り過ぎ始めたいくのの歌詞。
ここから「おなじ星」と言う部分だけを切り取って付けたタイトルは見事。コトリとはまっている。
7.同級生 ★★
7拍(?)の変拍子が電車の揺れを表現しているのか、生々しくなくリアルな歌詞。
「女って自分から振った男にはいつまでもそっと思われていると勘違いしてるね」
と自虐的に感情的になるでもなく流すいくのの感情表現はマイナス方面にプラス3ぐらい特化している。
8.白い恋人 ★★★
ジャンスマで2番目に有名であるだろう白い恋人。この曲を聴いてカズンとか思い出してくれても良い感じの良曲。
珍しい音を使っているわけでもなくシンプルに力勝負出来る聞きやすい曲だが、サビ前からの吉田のハモリを端的に言って消してほしい。
9.翔べ!イカロス ★★★★
ベストのボーナスにはこの曲の合唱版が入っている、そういうタイプの楽曲。
死ぬと分かってても羽ばたいたイカロス、幻と分かってても行くしかない僕ら。
サビの裏で遠く吼える管楽器の重なりが僕らの行く先を照らしている様でいい仕事をしている、イカロスが辿り着いた先も光に照らされていたわけだが。
10.祈り(Single Version) ★★★★★
夜明けがこないように祈る様は、子どもを見守る母親の祈りにふさわしい。
吐息が漏れた後に発音される能登レベルのウィスパーヴォイスがアコギとアコーディオンにのって、正常な感覚を奪う程。
11.16歳(Original Size) ★★★★
君の自転車の後ろに乗ってドキドキしてた駅までの道。
冬になってやっと二人手をつないで歩いた。あどけなく時は流れていた16歳の時間。
「あの時、抱かれていたなら今も君といれたのかな」
私の全てを見せても受け止めてくれただろう君との初体験の歌は、痛いくらい切ない。
12.抱きしめたい(Original Size) ★★★☆
強くて人気者、頭も良くて隙が無いあのヒト。愚図でノロマな私はきっと嫌われている。
そんなアナタが一人で泣いているところを見てしまった。
そんなアナタが「話したいことたくさんあるんだよ」と声かけてくれたのに、抱きしめる勇気が無かった。
抱きしめるという行為には、抱きしめる側も受け入れてもらう不安があることを描いた詩世界が秀逸。
この曲のギミックは自分で解いてほしい。
13.メルヘン(JS-Pop Mix) ★★★★★
眠りに落ちる直前のようなあやふやな音こそがいくのの魅力を最大限発揮できるステージなのかも。
お花畑で私を犯して 後ろから触れて 重力を消して ピアノの下で服従させて 赤児のようにここでおやすみ。
子守唄のようなやさしさに包まれた、二重の意味でのラブソング。
14.チェリーボーイ ★
内容は童貞ソーヤングと変わらない。
峯田が叫ぶのと、女の子に応援されるのでは全く違うのでなんていうか耐えられない。
総評.★★★
良質なポップメイカーであり、類稀なエロスの体現者だったジャングルスマイル。
メロディラインは耳障りの良い平凡な道を辿るが、周りの音世界はいくのの邪魔をしないレベルで背景を変える。印象派の画家のように。
直截的な性表現は予想以上に生々しいが、そこに椎名林檎やCOCCOのようなえぐみは無くむしろ切なさを増加させる。
今このポジションは誰が確保しているのだろう。エロかっこいいなどと、内実エロイだけの女性よりもよほどエロイと思うのだが。
坂本まあや辺りがドストレートにフランス書院を朗読してもこうはいかないだろう。
ジャンスマの後継が早く自分の耳に届きますように。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)