アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : じゅかい。

Reviewer:15th. 526-529 名無しのエリー2007.08.31.

1.あなたが居た森 ★★★
某有名深夜アニメのEDに起用された、樹海の現時点唯一のヒット曲。
印象的なピアノのイントロから、サビにかけてゆっくりとストリングスやらで盛り上げる「これぞバラード」と言わんばかりのバラード。
間奏の歪んだエレキギターで出羽がロック畑の人なのが何となく解るが、それ程でしゃばらないので問題なし。
ただ、大サビの前の妙なつんのめりが少し邪魔かも。アウトロまでの締め方も無駄に伸ばすけど綺麗。
2.恋人同士 ★★★★
2ndシングル。夏らしいキラキラした音作りで、実にソツが無いポップソング。
サビのファルセットで渡辺の実は微妙な歌唱力が露見するが、とにかくアレンジが秀逸。
ちゃんとしたタイアップを取ってれば絶対売れた、と言いたくなる位にソツが無い。所々の休符の使い方が上手い。アウトロへの歪みギターも意外とアリ。夏っぽい。
ただ歌詞は独男が真面目に読むと鬱になる。
3.ヒカリ ★★★☆
某有名深夜アニメの劇中歌に起用され、このアルバムの売り上げのブースターとなった曲。
M1と同様、ピアノを軸に盛り上げて行くバラード。ゆったりした曲なのに激しさが有る、こういう曲が樹海の真骨頂。
ただ、ちょっとサビメロが弱いかも。
間奏で例によって歪みギターがうなりまくってるが、ストリングスを前面に出すために音量は絞っている模様。
でも、ここはでしゃばっても良かったような。
4.太陽と行くミチ ★★★
ここでバンドサウンド。爽やか目のギターポップといった感じ。こういうプレイは出羽の得意とする所か。
シングル曲には無かったアプローチだなぁ、とは思うもののやはり危なげ無く出来てる。
5.Strangeman ★★★★☆
なんかジャージー?なの来た。ベースが良い感じでうねる。ピアノの動きも一々センスが良い。
サビの存在感が薄めだが、気にならない。
クラビネットらしき打楽器も良い味を出して、最後はピアノが弾いてた基本フレーズを歪んだエレキとシンセとフルートが追っかける。
アウトロのセンスが一々良い。 歌詞の内容を要約すると、つまりツンデレ。「別に好きな訳じゃないか~ら♪」とか言ってる。しかも2回。
6.追い風 ★★★★★
基本フレーズをハーモニクスに任せる事で妙にノスタルジックな雰囲気を醸し出してるが、
基本はM4と同ベクトルのバンドサウンド。でも被らない。てかこっちの方が生き生きしてる。
間奏でエレキと重なるベースの重低音と良い、密かにやたらと早いフレーズ弾いてるエレキといい、
明らかにロックサウンドなのに、ハーモニクスが其れを表面で隠してる。
要らない人は要らないと思うかもしれないが、個人的にはこの選択はナイス。
大サビ後でエレキが微妙に盛り上げてくれるお陰で、M7へのコントラストが上手く付いたと思う。
7.ホシアカリ ★★★★
サビでのピッチが怪しい、けどどうやら最初からそういうサビメロに出来てるっぽいという不思議なバラード。パッと聴き地味だけど良曲。
アコギの音色がオルゴールの音みたいに聞こえる。
で、2番では同じ音をエレキでやってちょっとだけ激しめなソロにそのまま突入、と実にさり気ない。
8.今宵、アナタイロ ★★★★
初っ端から泣きのギター、なのに直後のAメロは行進曲風のスネアとアコギのカッティングと言う不思議な構成。
しかも2番ではタムで行進曲やってるのにアコギは普通のストロークになってる。何故に。
終始エレキと歌が交互に絡む。栗林みな実(もとい飯塚)っぽいやり口だが、歌が良いので気にならない。
出羽のギターはメタル畑ではなさそうなプレイだし。音を(樹海にしては)少なめに絞った所とそうでない所のアクセントが良い。
歌詞は要約すると、今夜はお楽しみ、って事か。注ぎ込んで、ですか。そうですか。
9.モノクローム ★★★★☆
イントロのギターでGRAPEVINEの「指先」「everyman,everywhere」を思い出した。もしくはレミオの「粉雪」。
曲全体は今までに無く轟音なギターで彩られたオルタナ風味ロック。スローテンポながら激しさが有って、今作中ロック色は最も強い。
余分な音も余り入れてない。樹海にしては珍しく音を絞った。あとベースの動き良い。ギターがシンプルな分よく動く。
歌詞はつまり、上京物語。
10.ファレノプシス ★★★
初っ端から泣きのギター、そしてアコギのストローク・・・ごめん、M8とかぶってる。ただ、歌が良いのでそれだけで聴ける。
でも、やっぱり編曲のパターン、かぶってる。
Cメロ以降の展開はM8より強烈で良いかも。
11.Letter ★★
派手さは抑え目。だが、サビメロ、どっかで聞いた事有る気がする。全体的に地味で、普通のポップスに納まりすぎた感じ。
歌詞は、普通の男ならおそらくは皆通る後悔。もちろん作詞は出羽(男)。独男が読むとやっぱり鬱になる。というより、憤慨する。
12.ホリディ ★★
弾き語り風味の、普通のバラード。
ただ、某臆病者の一撃の「ホリディ」と完全にかぶってるという噂有り。どっちにしろ地味。歌詞は朝のベッドの上、眠い、それだけ。
これが最後ってのは本当に勿体無い。M1とかM7みたいなの持ってくればいいのに。
総評.★★★★
作詞&ボーカル渡辺愛美、作曲、もといギター&ピアノ時々ベースも担当出羽良彰の二人からなるユニット、樹海の1stアルバム。
所属レーベルはGeneon内Sistus Record、ちなみに所属してるのはこの樹海とタイナカサチの2組のみ。
両者とも、デビュー以降の幾つかのシングルをGeneon系深夜アニメで起用した為、いまいちヲタにしか知名度が無いが、志向はかなり一般向けに感じる。
実際このアルバムを聴いてみると、トラックメイカー出羽のポップセンスは中々のモノだと感じられると思う。
普遍的に「良い曲」は作り続けられそうだし、ボーカル渡辺も「普通に上手い」と言えるレベルなので、大体は安心して聴ける。
編曲も偶に凝ってたりするし、出羽のギターは無駄に上手い(ちなみに、スカロックバンドの古参、ゲルググの元ギタリストである)。
然るべきタイアップさえ取れれば、絶対に売れるだけのセンスは有る。ただ、良くも悪くもパッと聴きは危なげない。
アウトロの納め方とか、センスの良さは色々感じるけど「普通に良い」で片付けられちゃう事も有りそう。実際今そうなってる。
基本的には耳障りの良いポップスとして収まると思うので、興味が沸いたら手に取ると良い。大多数は外さない。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)