Reviewer:24th. 572-575 名無しのエリー2011.02.24.
1.現代人諸君!! ★★★☆
9年ぶりのオリジナルアルバムは社会風刺の曲から幕を開ける。
風刺の内容といい韻の踏み方といい初のソロアルバム「Keisuke kuwata」に収録されてる『愛撫と殺意の交差点』を彷彿とさせる。
「頑張れ!!現代人」と歌っているが歌詞や歌い方は全体的に諦観めいている。
ちなみにこの曲は「現代人諸君!!」と書いて「イマジンオールザピープル」と読む。
2.ベガ ★★★☆
一夜の情事を彦星と織り姫に例えた甘いラブソング。ファルセットで歌う箇所もあり歌い方も甘ったるい。
アダルトでエロチックな雰囲気漂う大人のバラード。
3.いいひと ~Do you wanna be loved?~ ★★★
「Keisuke kuwata」の『路傍の家にて』のようなシンセサイザーが印象に残る曲。桑田自身も80年代を意識して作ったと語っている。
歌詞の内容は日本の政治家、特に鳩山由紀夫を痛烈に皮肉っている。てか全部鳩山由紀夫のことじゃ……
ただかつての『漫画ブルース』や小泉政権を痛烈に批判した『Mr.ブラック・ジャック』みたいな鋭さは無く、
「頼むからちゃんとやってよ……」という感じの1曲目と同じどこか諦めきった唄である。
4.SO WHAT? ★★★
2曲目とは正反対の泥臭さが漂う曲。舞台は沖縄、基地の近くで一緒に暮らしている男女の物語。ただ沖縄らしさは一切無い。
自分の情けなさに気付いていながらも女の体を求めてしまう男の姿に哀愁を感じる。
5.古の風吹く杜 ★★★★
桑田が青春を過ごした街、鎌倉を舞台にしたミディアムテンポの曲。
とても落ち着いた曲調で聴いていて心地よい。ぜひ鎌倉で寺巡りしながら聴きたいね。
6.恋の大泥棒 ★★☆
ブラスバンドをふんだんに使ったナンバー。『ダーリン』から歌謡曲臭さを抜いた曲調である。
タイトルといい歌の登場人物といい昔のアメリカ映画を彷彿とさせ、≪ダンチョ≫や≪おしゃれ泥棒≫など今では聞かないような言葉が出てくる。
ただあまり印象に残らない。
7.銀河の星屑 ★★★★★
ドラマの主題歌にもなっているこのアルバムの中心的なナンバー。
西部劇で流れてそうなサウンドで、桑田佳祐がカーボーイハットにブーツを履いて歌ってる姿が目に浮かぶ。
しかし歌詞は仏教的な死後の世界を描いたモノで曲調とは正反対である。それでもサウンドと歌詞が絶妙にマッチしている。
ちなみにこの曲の歌詞は癌が発覚する前に書いたモノらしい。
8.グッバイ・ワルツ ★★★★★
サビが無く淡々と桑田が歌っていくシリアスなナンバー。アコーディオンが印象に残る。
このアルバムは全体に渡って諦観めいた唄が多いがこの『グッバイ・ワルツ』もそのひとつだ。
≪この国に生まれたらそれだけで「幸せ」と言えた日が懐かしい≫という風にかなり後ろ向き。
結局この唄は「さくら」に収録されてる『私の世紀末カルテ』みたいになんの希望も見出せずに曲が終わってしまう。
それでも個人的は今作では一番好き。
9.君にサヨナラを ★★★
ここに来て初のシングル。フルートの音色が優しいね。
唄の登場人物が過去のさまざまな思い出に別れを告げ、また明日から頑張ろうとする、最近の桑田佳祐にありがちな唄。
妻の原由子もコーラスとピアノで参加している。やっぱ桑田佳祐の唄に原由子は欠かせないね。でもそれってソロなのか……
10.OSAKA LADY BLUES ~大阪レディ・ブルース~ ★★★
サザンの『LOVE KOREA』の大阪バージョン。とにかく大阪を絶賛している。
間奏に巨人対阪神の実況中継を入れるなどの遊び心も見られる。
ちなみに桑田佳祐はアンチ巨人らしくこの歌でも桑田が金本にホームランを打たれている。
11.EARLY IN THE MORNING ~旅立ちの朝~ ★★
朝の情報番組のテーマソングに抜擢されたことで話題になった曲。『本当は怖い愛とロマンス』のカップリング。
打ちこみを多様している。歌詞は朝のニュースに似つかわしくなくとても下品。桑田佳祐じゃなきゃ絶対採用されてないだろう。
中学生が言いそうな下ネタを爽快な歌に出来るのは桑田佳祐の才能だね。
ただ歌の節々に入る女の喘ぎ声やエロい囁きはやり過ぎ、とても不快に感じる。なので大幅に減点。
12.傷だらけの天使 ★★
女に振られた男友達を励ます曲。桑田が友達をテーマにするのは結構珍しい。
≪へこたれてんじゃねェ!!≫や≪羽ばたけ なァ 男だろ!!≫など若干歌詞がクサく感じる。
メロディも盛り上がりに欠けアルバム内では一番地味。正直入れなくても良かったのではと思う。
13.本当は怖い愛とロマンス ★★★★
紅白でバニーガールとイチャつきながら披露した曲。現時点での最新シングル。
イントロのピアノ、フルートの音色のおかげでとても華やかな印象を受ける。一方歌詞は突然女に捨てられてしまった男が嘆くモノである。
しかし悲壮感はなくとてもコミカルに仕上がっている。今作だと一番明るい。
14.それ行けベイビー!! ★★★★
これも紅白で披露された曲。前曲とは違いすごいシンプル。演奏はすべて桑田のエレキギターとハーモニカのみ。
桑田のエレキギターの弾き語りは以前ライブで披露したことはあるがCDとして出すのは初めて。
歌詞は「無理せずに肩の力を抜いて頑張れよ」みたいな内容。12曲目よりこっちのほうが良い。
≪命をありがとネ≫という歌詞があるから退院後に作った曲かと思ったら一番最初に作った曲とのこと。
15.狂った女 ★★★
今作最大の問題作。桑田のアルバムに必ず一曲はあるようなシュールなエロ曲。
世界的に有名な女性アーティストのことを歌っている。さしずめ『行け!!力道山』の女版か。
それにしても歌詞がすごい。≪目の前で聖母マリアが自慰をした≫とか。怒られるぞこれ。
16.悲しみよこんにちは ★★★☆
前作と打って変わって静かな曲。失恋をテーマにしている。
軽快なピアノが心地よい。キーボードを担当している片山敦夫が良い仕事をしている。
17.月光の聖者達 ★★★
桑田が作るアルバムのほとんどがピアノを中心としたバラードで終わるが、今作もその例に漏れずバラードで幕を閉じる。
「もう若くは無いけどそれでも明日からも頑張って行こう」という曲。近年こういう曲が多いのは桑田も年取ったからかな。
総評.★★★☆
2002年の「ROCK AND ROLL HERO」以来9年ぶりのニューアルバムの今作は激しいロック色が消え、落ち着いたポップな曲が多い。
軽快な韻の踏み方や日本語を英語っぽく歌うやり方は今作でも健在で、聴いていてこれぞ桑田佳祐のアルバムだなと実感する。
ただ全体的にミディアムテンポの曲が多いので盛り上がりに欠ける。曲数も多く、通して聴くと途中で若干ダレてしまう。
それでも良曲が多いのでおススメ。桑田佳祐はまだまだやれると証明する一枚です。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)