アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : さきやけんじろう。

Reviewer:15th. 215 名無しのエリー2007.07.06.

1.SAD SATURDAY ★★★
打ち込み全開のミディアム~ハイテンポナンバー。良くも悪くも当時の崎谷健次郎の音を代表する曲調。
2.再会までSO LONG ★★★☆
三連バラードだが、合間にクラシック曲(曲名失念)の旋律を取り入れたり少年合唱団をフューチャーしたり、荘厳な雰囲気。
3.A SPROUT IN DESERT ★★★★
メジャーコードのミディアムナンバーだが、抑制の効いた旋律がかえって情感をかもしている。
アルバム内ではなかなかの佳曲。
4.夜明けまでは ★★★★☆
これぞ崎谷健次郎の個性と美学がかみ合った真骨頂バラード。
吉田美奈子の詞も美しい。アルバム随一の良曲。
5.LADY IN LOVE ★★★
ロック色の強いキャッチーな楽曲。当時はこういうのが流行ってた。
今聴くとKATSUMIっぽくてチャラい感じ。
6.I WANNA TALK WITH YOU ★★★
これまた打ち込みだけでまとめた、レゲエ風リズムの小品。
7.涙が君を忘れない ★★
実に凡庸なバラード。90年代初期、こんな曲は掃いて捨てるほどあった。
8.TOUT,TOUT POUR MA CHELIE ★★★★
ミッシェル・ポルナレフ「シェリーにくちづけ」のカヴァー。これがなかなか捨て難い。
原曲よりスロー気味、打ち込み全開だが楽曲が崎谷の声&アレンジと異様に相性がよく、実に気持ちよくハマっている。
9.STARS FACED ON ★★★
これまた打ち込みバリバリでかなりチープな出来だが、メロディがドラマチックなのでまだ許せる。
ラテン(マンボ?)をコラージュしたりするのは、当時はお洒落だったのだが。
10.真実に微笑を ★★★★
ボビー・ブラウン風(←古い)リズムに、マイナーコードの暗い曲調。
だがこれらの要素が崎谷の声とともに妙な切迫感をかもし、結果なかなかの出来になっている。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。総評なし。)

Reviewer:13th. 331-332 名無しのエリー2006.10.28.

1.遅すぎると僕は思えない ★★★☆
シングル曲。シリアスな曲のカラーだが、伸びやかなボーカルのお陰で深刻な風には聴かせない。
合間合間に顔を出すキーボードやギターのラテンちっくなフレーズが、冷めきった恋を再び点火して温め直すような情熱さを伝えてくる。
2.ROOMS ★★★
シングル曲。マイナー調のポップス。
古めの歌謡曲みたいなメロディラインが余計に別れた恋をアンニュイに聴かせてる。
一辺倒なテンションで一人ぼっちの部屋に燻る孤独感を淡々と演出。
3.なつかしい週末 ★★☆
失恋に想いふける曲。
失った後から大切なものに気付くという、至ってありふれた歌詞を8ビートに乗った甘酸っぱい歌い回しに添えて展開していく。
しかしアレンジが悲しそうな雰囲気をそんなに感じさせず、物足りなさが残る。
4.“くされ縁”もいいさ ★★★★
軽快なポップス。別れても別れても出会ってしまう一見奇特な愛を讃えた曲。
自分自身でもその固い絆に呆れて、ため息のように何回も繰り返すサビのメロディがキャッチーで耳に付いて離れない。
5.最後の夏の日 ★★★☆
失恋バラード。
ハートカクテルのワンシーンに有りそうな、西日で少し影の出来た岬に立たずむ様をメロウなボーカル旋律で描いている。
少し明るめの音色で奏でられるキーボードの伴奏により、切なさも一入。
後半に掛けて熱の入っていくボーカルは、宛ら海風に煽り立つ波のように段々大きく想いを膨らませている。
6.君のせいさ ★★★★★
超売れ線ベタポップス。ここまで潔くキャッチーなメロディを全編貫かれてしまうと、もはや一線越えて爽快である。
黄金旋律を支えるアレンジもバブル時代の鱗片とも言うべきか、美しいストリングスにお決まりのサビ前ブラスフレーズ。
この手の曲は個人的に大好きなので万々歳。
7.与えられた砂時計 ★☆
妙に人生を達観したバラード。
アダルトなアルトサックスで幕を開けるが、曲自体はギターのアルペジオが細々と繰り返されメリハリが無い。
一言で表すと地味な曲である。
8.愛はまだ生きているんだ ★★★
綺麗なスローバラード。
恋人と死別した悲しみを堪えて歩くような、寂寞たる想いを抱いた滑らかなメロディが切ないピアノ伴奏に乗せて綴られる。
編曲は鳥山雄司が担当。
9.誰のために雪は降る ★★★
憂鬱なクリスマスソング。しかし曲調はポーカーフェイスと言うべきなのか、何故か明るめのミディアムテンポ。
槇原と楠瀬の手癖を織り込んだようなアレンジ&メロディを同じ系統の声質が歌っていくので、
友達に「これなんて槇原敬之?」と突っ込まれる事もしばしば。
ベルと鈴のコラボが切なめのイヴの夜に白い粉雪を塗してゆく。
10.デリケート ★★
落ち着いたバラード。デリケートな恋を歌うにはやや力み過ぎたサビのボーカルが何とも。
その割にはメロディが印象薄めなので余計に惜しい。
11.DYING ROSES ★★★★☆
美しく儚いインスト曲。ああやっぱりこの人は本業作曲家だなと思わせる、活きたメロディをスローなピアノの演奏が紡んでいく。
一輪のバラがデリケートに萎れていく様子とその滅びの美を、不安感を煽るストリングスとため息の出てきそうなくらい綺麗なコード進行で魅せてくれる。
このアルバムで一番周到に練られた曲だろう。
総評.★★★☆
谷山浩子や斉藤由貴らに曲提供をしていた作曲家&アレンジャー崎谷健次郎の8thアルバム。
槇原敬之似の男性にしては繊細で柔らかい声質の持ち主である。作詞は秋元康が担当。
シンガーとしてはこれが最後のアルバムとなってしまったのだが、
80年代ポップスの一端を裏で支えてきた人だけに心地良いメロディのツボを知ってるなぁと。
彼のカラーを築くのに一役買っているアレンジは、今聴くには90年代前半の色が拭えず。
いわゆるシティポップなので、ある意味仕方のないことだけど。
秋元康が詞を書いてるせいもあって、都会系軟派な男っぷりが声とメロディと詞のトリプルパンチで容赦なく攻めてくる。
何処までこれを許容できるかもポイントになってくるでしょう。
通して聴けば、ポップス職人が産んだ良質なポップアルバムなので肩肘張るような代物でもない。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)