アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : めるつばう。

Reviewer:1st. 776 和久井伸晃 ◆.FuFYqiI2002.07.18.

1.Metal Of Doom ★★★★ 激しく打ち鳴らされる金属音。まさにメタリック
2.Electric Peekaboo ★★★ 細かく弾けるようなおもしろいノイズを聴かせてくれます。
3.Iron Caravan ★★★★ 混沌と荒れ狂うノイズの濁流。極限まで沸騰したノイズは全て存在を融合する
4.Brain Ticket Death ★★★★★ 34分にもおよぶ大作。猛然と撃ち落されるノイズ・ビートの嵐。侵食された果てに見えるのは生か死か
総評.
世界一のノイズ大国日本が生み出した、もうひとつのキングオブノイズ『メルツバウ』
人間の限界をつき抜けたサウンド。傑作。
(★5個が満点。総評は星評価なし。)

Reviewer:19th. 221-224 名無しのエリー2008.08.20.

1.black forest mith mix 1 ★★★★
ラジオのノイズのような電子音が鳴り響く。そこに極限まで歪められたギターの音色。地面を這うように、ゆっくりと迫ってくる。
漂う緊張感。幾重にもギターの音が重なる。やがてその音は鋭く、重いなものになっていく。緊張感は色を増す。
そこにノイズが加勢する。聴く者の不安感を煽るように、近づいたり、遠のいたり…
ギターの音はさらに厚くなっていく。ノイズをかき消さんばかりに。重なりも増していく。やがてノイズはギターの音によってかなり後方に追いやられてしまう。
最後はノイズがなんとか前方に出ようとするも、結局ギターの音だけが残った。
2.black forest mith mix 2 ★★★★☆
低音が鳴っている。そこに静かにノイズが介入してくる。ギターの音のループのように聞こえる。
耳障りな高音が響き始める。やがて高音が静かに迫ってくる。ループは歪み始める。
ループは歪み、完璧なノイズとなって迫ってくる。反復の後ろで、風の音のような穏やかなノイズが静かに響いている。
風の音が前面に出てきて、風の音から耳障りなノイズに変貌する。ギターのループはまだ後ろで鳴り続けている。
ノイズはずっと形を変えて鳴り続ける…と、一瞬ループが二重になり、そのうちのひとつがノイズとなり、そのノイズが持続し、他のノイズを掻き消してしまった。
ノイズがループより前方に出るも、それは一瞬で終わる。ノイズ自体もループとなるも、やはりそれも長くは続かない。
やがてノイズがさまざまなループに形を変え、やがて一つのパターンに留まり、そのループの中で変化を続ける展開となる。
いつの間にかギターのループが姿を消している。最後はフェイドアウト。
3.black forest mith mix 3 ★★★★☆
低音とノイズが並行して鳴り続ける。左チャンネルではノイズが暴れ続け、右チャンネルでは低音が鳴り続けている。
ノイズは一瞬消えたかと思うとまた現れ、ずっと暴れ続けている。そしてついに右チャンネルの低音が本性を現す。
それは歪んだギターの音色だった。ノイズはおとなしくなり、左で控えめに飛び回っているだけとなる。
そのかわりギターの音はどんどんと歪み、そして荒々しいものとなっていく。
ノイズが変化するも、ギターの音が圧倒的に大きいのでノイズの存在はかなり地味なものとなっている。
やがてノイズは完全に消えてしまう。ギターの音は一層歪みを増し、重く聴く者の耳に圧し掛かる。
ギターの音の歪みが変質して、ギターの音は完全にノイズと化する。そこでノイズが再登場。
やはり音量ではギターの音に負けているが、その存在はさっきよりも明確なものとなっている。
ノイズは不定期に消えたり現れたりを繰り返す。
右耳ではギターの音がかなり大きく鳴り、左耳ではノイズの音が控え目に鳴るというアンバランスが延々と続く。
ギターの音の歪みが薄くなり、妙に軽い音へと変わる。ノイズは妙なループを繰り返している。
突如ギターが支配していた右チャンネルに何かが回転しているようなノイズが現れる。左チャンネルのノイズも負けじといろいろな面を見せる。
ギターの音はさっきまでこの曲を支配していたのに、今では二つのノイズの板挟み的な役目となっている。
回転は速度を増した。ギターが悲鳴のように歪んだ。ふと、鋭さを増していた回転が止み、ギターの音が残る。ギターの高音が消え、低音がノイズとなって残る。
冒頭からは想像もつかない状況になった今、ノイズだけが左耳で変わらずに鳴り続けている。突然左のノイズに何かのメロディのループのような音が重なる。
その音が消えると共にノイズも消え、最後は低音だけが残り、そのままカットアウト。
4.black forest mith mix 4 ★★★★★
突然快活なハーシュノイズが鳴り響く。不協和音のような音が聞こえるが、これはノイズによる幻聴だろうか。
左チャンネルではノイズが形を変えて鳴り響く。消えたり、現れたりを繰り返している。
やがて左チャンネルのノイズはループとなり、ハーシュノイズと並行して鳴り続ける。
突如ノイズが一切消え、さっきまで幻聴だと思われていた不協和音の存在が実在のものであることが示される。
左で一瞬打楽器と思しき音が鳴る。本当に一瞬だけ。そのあとは不協和音が持続し続ける。
しばらくすると左にノイズが現れ、それがやがて中心と左チャンネルをぎこちなく行ったり来たりする。
中央に居座ったノイズの後ろで不協和音がノイズとなって煌く。
新たなノイズのループが現れ、二つのノイズと不協和音が一つの空間に存在する状態となる。そして三つ目のノイズが現れ、これが新たな曲の核となっていく。
やはりこのノイズも消えたり現れたりするものの、この四つの音の中では一番目立つ存在となっている。変化も多様だし。
ところで秋田さんはマックユーザーのはずだが、何のソフトを使ってるんだろう。
やがて五つ目のノイズが現れる。一回その存在を示した後、一回消えて、終了間際に暴れる。そしてカットアウト。
総評.★★★★☆
国内外のノイズの草分け的存在にして今なお最前線に立ち続けるMerzbowこと秋田昌美氏の2007年作品。
西新宿にあるレコード店「Los Apson?」の開店十周年のお祝いとして発売されたとのこと。
なお、発売は2007年だが、裏ジャケットには「Recorded Mixed at Bedroom april 2004」という記載がある。
この作品は名作「Pulse Demon」のような激しい重金属的な鋭い響きを伴った強烈なノイズではなく、
ギターの音とノイズの持続によって作られた、いわば「静と動」の「静」の面を強調した作品であると思う。(曲自体は相当やかましいですが)
それ故に激しい展開をする作品を求めてる人には相当物足りない作品であると思う。
でも秋田さん特有の「美しさ」は十分感じられる、感動的かつ不穏な作品に仕上がっている。
特にギターの音が主になっている曲が多く、それに4曲で1時間程度のコンパクトな作品、
かつ入手しやすい(たぶん新品で買えます)Merzbow初心者には勧めやすい作品。
実を言うと自分もこの作品から入りました。
そしてこの作品のイメージカラーは赤。それも燃えるような赤ではなく、ジャケットのような夕暮れ時の紫がかかったような不気味な赤。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)