アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : のーうぇあ。

Reviewer:23rd. 473-476 名無しさん@そうだ選挙に行こう2010.07.11.

1.赤い空 ★★★★
未だによく分からないリズムのバンドサウンドで始まる快速ナンバー。
イントロは一瞬で、すぐにサビから入るのでインパクト大。
そのサビも段階を踏んでベースが変化したり、ストリングスが入ったりと微妙なニュアンスの変化が巧みで、明確な意図が伝わるよう。
アウトロでピアノが一気に暴れまくって次の曲へ。
2.遠く近く ★★★★★
厭世的でどこか達観した緩めのバラード。
ピアノとギターの絡みが絶妙で、それにあわせて緩いドラムと時折メロディアスなベースが上手く雰囲気を作り出す。
特筆すべき展開は一切無いが、シンプルさのみで勝負した正統派。ほぼ隙無し。
「夢を燃やして 風にまいた」など歌詞もいちいち綺麗。
3.たったひとつの歩き方 ★★★★★
荒々しいピアノとミドルテンポから少し早めのテンポが心地よい緊張感。
一旦立ち止まるかのようなサビの開放感が印象的。全体を通してキャッチーで、勢いのある今作を最も象徴している曲。
起伏があまり無いので少し単調すぎるかと思いきや、アウトロの展開は見事。
4.迷子と舞台 ★★★★
個人的にこのアルバムで唯一一休みできる曲。
頭打ちのリズムでまったりと進む。サビよりもサビ前のフレーズのほうが印象的な不思議な展開。
「旋律は不意にやってくるのさ」という歌詞とあわせた不安を煽るかのようなメロディ。
5.ドア ★★★
不安定な緊張感のある三拍子。
ベタベタな展開とあまり捻りの無いピアノがネックとなるも、曲自体は悪く無いのでマイナスでも無い感じ。
シリアスムードへの繋ぎとしてはいい仕事。
6.虹を見た ★★★★☆
ペンタトニックスケールの超シンプルなメロディーラインでごり押しした辺り、突き抜けた感がある。
どこと無く和の雰囲気。そしてサビの開放感が心地いい。サビ頭の四小節で一旦終止するような感覚のある展開の仕方は塚本節。
ぼんやりと夕焼けを見ながらやるせなく虹を夢見るようなそんな曲。
7.honeymoon ★★★☆
一休みのようでここまでの勢いを止めないまったりな曲。
この曲も達観したようなやるせなさがにじみ出て、主要の曲の間として存在感がある。
そうかと思えばサビは勇ましい。若干の違和感はあるが、盛り上げ過ぎず上手くアルバム全体の流れにマッチしてる。
8.コーリング ★★★☆
ハイスピードなジャズ要素も含んだツービート。
少し次の曲の前振り的な雰囲気だが、アルバムの中では個性的なので聴き手の注意を引くには十分すぎる。
曲はジャズっぽいけどピアノがほとんどジャズを意識していないのがくどくなくて個人的にいい感じ。
9.世界(memory bazaar version) ★★★★★
ピアノのみの歌い出しからレッドゾーンを振り切るように一気にバンドサウンドへなだれ込む。
シンプルでJ-POPメロディな、爽やか快速ナンバーはこれまでに無かった曲調で、彼らの一つの到達点と言ってもいい。
「不思議な夢をみたのさ」の辺りからもうテンション上がりっぱなし。うーん、普通に一般受けする曲だと思うけど。
10.ストレンジランド ★★★★☆
静かなイントロ~Aメロから加速するように展開する曲。
散々引っ張った後のサビの開放感は抜群でこのアルバムのクライマックス。ピアノのフレーズも見事にその感覚を増幅させる。
静かに燃える心の内とこの曲の聴き手とのシンパシーを表現したような、あくまで希望を歌った曲。
11.横顔 ★★★★
前曲、前々曲でどうしようもない感情を振り切ったはずだったが、結局辿り着いたのはラブソングの体裁をした閉塞感のある曲。
「君の横顔を追う」という内容の歌詞の比喩と疲れ切った雰囲気は、結局またこのアルバムの最初の場所へ逆戻りしたことを示唆しているような。
聴き終えるとまた最初からアルバムを聴きたくなる心地よさのバラード。
総評.★★★★★
元HEAVEN(現在も度々ライブを行ったりしているが)、元SHADY DOLLSの塚本晃率いるNOWHEREのベース交代、ピアノ加入後初の3rdアルバム。
ベースの交代もそれなりに大きな出来事だが、なんといっても音にピアノが増えたというのが大きな変化で、
曲がぐっと聴きやすいものになったし、音の隙間が減って全体的に勢いが増した。これはソングライティングの変化も十分あると思うけど。
一部ピアノがバンドと馴染んでないような気もするが、むしろ余計にカオスな雰囲気を作り出して個人的にはプラス。
またこれまでと違い、「世界」に代表されるような突き抜けた曲の存在感が大きく、あっという間に40分が過ぎるように感じる。
歌詞はどうしようもないものや希望を歌ったものなど色々あるが、最後で元に戻ってしまい、閉塞だらけの内容。
でも前述したようにごちゃごちゃで、カオスで、勢いがあり、それでいて聴きやすい曲がそろっているのでほとんど誰にでもオススメ出来ると思う。
普通の日々に対してどうにもならない感情を持っている人にはある種の救いの音楽になるし、
そうでない人なら毎日をどう過ごしているのか、問題提起にもなり得る万能なアルバム。
いずれにせよバンドとして一皮向けたし、個人的に今年一番のアルバム候補。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)