アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : ぱーきっつ。

Reviewer:19th. 16-19 名無しのエリー2008.08.06.

1.恋する東京 ★★★★
典型的なヨナ抜き音階で曲をぶっ通し、バックは琴尺八をふんだんに使う和風ポップス。
ストリングスやらピアノやらブラスやらも大量投入し、バックが物凄い豪華なことになっている。
ドラムも忙しめでベースも動きまくり、作り込んである。めちゃめちゃアニソンくさいが。
ボーカルのふじのマナミは時々音程がハズレ気味だが、曲中での表情の変化がうまい。自身の詞にうまく乗っかれている感じ。
2.フローズン・ハート ★★★★★
サックスとオルガンが曲を牽引するファンキーなトラック。
かわいい詞の世界に合わせ、ふじのマナミもしっかり歌い分け。見事。地味に音質を下げた部分もあり、手抜きなし。
前曲では打ち込みだったドラムが生になり、躍動感が出ている。サックスソロ→オルガンソロの流れを壊さないでドラムソロに傾れ込んだのは正解か。
最後まで楽しく明るくを貫き通した作編曲に脱帽。
3.Polaris ★★☆
一転シリアスな四つ打ち。
引き出しが広いのはいいことだが、こういう曲はエイベックスとかが作りすぎてるせいでどうしても既聴感が。
いくら表情の変化が得意とはいえ限界はあり、高音になるほどシリアスさが減るのは痛い。
曲のクオリティが低いわけではないが。
4.ロワゾ・ブルゥ ★★
それなりにありがちな暗めバラード。
リバーブを強めにした幻想的な間奏のピアノは聴きどころだが、他にインパクトがない。
全体にモヤモヤした音を使っているのでなんとなくダレてしまう。
5.さよならサンクチュアリ ★★★★
雄大なオーケストラ編成のバックと、スピード感のあるドラムの対比が面白い。
いい意味で編曲に力を入れすぎ。ほぼ全編で音を重ねまくるのはmarbleの菊地と全く逆のタイプ。
詞は何かのキャラクターソングみたい。現実的な感じはしないか。
なんだかイントロ・アウトロはNHKの朝のニュースに使えそう。分かってくれる人がいたら嬉しい。
6.つめのかたち(string quartet version) ★★★
そんなコテコテ編曲ばかりだった片岡が弦4本だけで挑んだ異色作。
大して悪い出来ではないが、無難すぎる気も。
6/8の8分音符でコード構成音なぞってるだけのような、ストリングス陣の力量にも助けられてるような。
7.レイニーデイ・ピンク ★★★★★
シロホン・グロッケンが可愛げなミディアム曲。パステルカラーなイメージ。
使う音の種類がTr.6から大幅に増えるが、今曲は一気に鳴らすのではなくバラバラに使うのでゴテゴテというよりもカラフルな仕上がりに。
ふじのの声も相まって、なんだか物凄くアニソンチックだが。俺今回こればっかりだな。
8.らびゅ らびゅ ★★☆
和モノ曲第二弾。歯切れのいい16分音符が軽やかだが、なんとなくTr.1と印象がかぶる。
ふじののかけ声を機械的に使うのは食い合わせが悪いか。
使おうとしたアイデアが全体に裏目裏目に出ているような…?
9.あしたになあれ ★★★★
キラキラした音が印象的なアニソン的ポップス。
ここまで見事な作曲を見せてきた片岡もさすがにネタ切れか、Bメロのコード進行が読めてしまった。
サビは容易に耳コピできなそうなのに。残念。
Tr.7とややかぶるのが辛い。シングルなら映えそうな気もする。
10.violet ★★★★
大味でベタなアレンジのバラード。
確かにアルバムにはいろんな方向性の曲が欲しいが、パーキッツらしさは少ない。
Tr.3と同様に、サビの一番の盛り上がり場所で声がいつも通りになるのが惜しい。
メロディラインとコードはひねってあるので聞きごたえは十分。
11.TERIYAKI
Tr.1の歌詞違い+アレンジに若干の変更が加えられたバージョン。
12.おせっかい天使 ★★★★☆
シャンシャンした鈴とチューブラーベルの音から想像する通りのクリスマスソング。
キラキラしたアレンジが豪華な上、間奏の転調と手が込んだ作り。
歌詞がかわいいと感じるか恥ずかしいと感じるかは聞き手次第か。俺は好きだけど。
「ジャッジャッジャジャッ」というキメが多少ダサめだが…w
総評.★★★☆
ゲーム、ポップンミュージックへの楽曲提供でお馴染みのパーキッツの3rdアルバム。
隙間をなくすほど音が詰め込まれたトラックを好きになれるかどうか、それとふじののクセのあるボーカルが聞けるかで評価が決まりそう。
全体に音程がいいとはいえないふじのだが、これで歌がうまかったらそれはそれで嫌な気もするw
曲自体の完成度はどれもかなり高い。アニソンが苦手じゃない人なら気に入りそう。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。tr.11は星評価なし。)

Reviewer:24th. 51-54, 59 名無しのエリー2010.09.13.

1.GRAND PREVIEW ★★★☆☆
アルバムの世界観を予感させるメルヘンチックなオープニングインスト。メロディーはTr.13の「アミュレット」をアレンジしている。
2.つぼみ ★★★★★
ポップで可愛らしい曲。歌詞は少年が気弱な女の子に片思いしていて、少しでも悩んでいる君の力になってあげたいといった内容。
相手の女の子は傷ついていて少年の恋心には気付いてないが、心の回復と共に想いを伝えたいと前向きな気持ちも感じられる。
辛い時は無理しないで大切な誰かに相談してごらんとうつ病や思春期の悩みにも通じるメッセージが込められている。
3.セレスタイン ★★★★★
3拍子の曲。中世ヨーロッパの世界観で歌詞が非常に難解であるが、暖かさや優しさも感じられる。
楽曲の風景としては古い城の個室でドレスを着たシンデレラが鏡の前に一人たたずむイメージが想像できる。
このようなメルヘンチックな3拍子はパーキッツの醍醐味の一つだと思う。
4.パラボラ ★★★★★
爽やかなアップテンポで、快晴の朝に青空を見上げながら聞くと心地良い。
歌詞は女の子の片思いの切なさをパラボラアンテナに例えていて、ピコピコした音色が恋愛のときめきを描写している。
フィルターテクノを取り入れた良い意味でパーキッツらしくない曲だが、capsuleなどとはまた違ってソフトな音色が印象的。
5.ピンク ★★★★★
このアルバムの中で特に一押しな曲。一気にテンポアップしてポップロックを取り入れ、田舎の夏の懐かしさを思い起こさせる。
歌詞は卒業間近(もしくは転校間近)の中学生くらいの子が夏休みに好きな異性に勇気を出して告白しようとしている。
男の子か女の子かはファンの間でも捉え方が分かれ自分もどちらにも感じられるが、明るくてやんちゃな可愛らしいイメージが強い。
6.フラスコの水 ★★★★☆
前曲から一転してアコースティック調の静かなバラード。大切な故人を想い後追い自殺を図るが思い留まる内容。
こういうシリアスな曲でも柔らかく可愛らしく歌い上げているので不思議と嫌味は感じられない。
聞く環境を選ぶが深夜一人薄暗い部屋でじっくり切なさを味わいたい時はぴったりだろう。
7.ココロノママ ★★★★☆
この曲はメロディーよりも歌詞のメッセージに良さがある。応援ソング的な位置付けで、曲調も哀愁を含んだ明るさを持っている。
未来の自分自身に問いかけてみたが、結局先のことは誰にも分からず今持っている期待と不安だけが残ることを伝えている。
「誰かの一秒 僕だけの一秒 それはきっと同じじゃないよ」のフレーズが特に好き。
8.小夜風 ★★★★★
売れ線のバラード。個人的にも思い入れの強い曲で、恥ずかしながら初恋の女の子を思い出して涙してしまったことも。
歌詞に夏の季語の「睡蓮」と秋の季語の「ムクドリ」を含んだ後に「お月様と私だけ」と表現していて、9月にぴったりな世界観を作り上げている。
「あれからきっとそれはそれは幸せだけど 叶えば消える行く末また煌々と照らす」
「さよなら本当は誰より愛してる さよならさよならいつか来る遠い日に届くように」
から察する限り遠距離恋愛の他に、故人への想いやアイドルの恋愛にも捉えられるように感じる。
メロディーやアレンジがとても綺麗で、大都会の夜景を眺めながら聞くのがベスト。
9.人魚 ★★★★★
80年代アイドルポップスに通じる懐かしくて哀愁を感じる一曲。
タイトル通り真夏の青空を想像させる甘酸っぱい曲調で、ビーチやプールサイドで聞くとぴったりかもしれない。
歌詞では恋愛って誰でもするありきたりなことだけど、その一つ一つが大切で心から愛している人とは運命の果ても何も怖くないというメッセージを伝えている。
10.ベルベット ポー ★★★★★
ちょっとR&Bよりなエレクトロニカを取り入れた曲。
テンポはゆったりしているがピコピコしたアレンジが斬新で心地良い。夜寝る前や夜景を眺めながら聞くと合うと思う。
肌寒い秋を背景に恋人との別れ際を描写した歌詞内容で、ところどころ英詞や囁き声を取り入れそれが寂しさを感じさせて、
何度も転調する変調子が複雑な心境を生み出している。
11.3.2.1 → Smile! ★★★★☆
Tr.7の「ココロノママ」同様に哀愁を含んだ明るい応援ソング。アニメのOPにもぴったりかもしれない。
世の中の荒波を笑顔で乗り越えていこうよといったメッセージで、このアルバム発売前後に起きたリーマンショックにも反映してる気がする。
「ふと浮かべてるこんな時君の笑顔が 暗やむ心カチンと今スイッチを入れた」のフレーズがパーキッツらしい。
12.空耳とハリネズミ ★★★★★
まるで絵本のような自然的で可愛らしいストーリーを描いた曲。
暗い洞穴で丸くなってるハリネズミが空耳を便りにシャボン玉に例えた味方を探す内容。
個人的にこの曲で言うハリネズミとはニートや引きこもりを連想させ、自分の世界からの脱却を描写したものだと思っている。
アニメーションPVを含めNHKの「みんなのうた」に流しても良いくらいの濃い内容を持っている。
感情移入しないと良さが味わえないので聞く環境は選ぶが完成度としては申し分ない。
13.アミュレット ★★★★★
秋から冬にかけた肌寒さを感じるアレンジが綺麗な曲。都会的な曲調でアップテンポでありながら哀愁を感じる。
歌詞では失恋の相手をアミュレット(=お守り)に例えて、
胸の奥で見守ってくれるから季節が変わっても前向きに生きていこうというメッセージが込められている気がする。
アウトロの最後でオーケストラ風に盛り上がって、オルゴールが流れ落ちるフレーズがお気に入り。
14.LINTO ★★★☆☆
静かなピアノソロのインスト。メロディーは中盤からTr.2の「つぼみ」をアレンジしている。
総評.★★★★★
自分にとって2000年代の隠れた名盤。
思春期の女の子の可愛らしさから傷つきやすさまで幅広い表現力と引き出しを持っていて、
恐らく今TVで話題になってるアーティストの誰よりも10代女性に人気を集めそうな親しみやすさがある。
もっと有名になれば幅広い年齢層から支持されるアーティストになるだろう。
ただ一つ欠点を挙げるとすれば、パーキッツはリリースの間隔がかなりマイペースで4年に1枚という時もあった。
人気を集めるためにはまずリリースペースを上げて1~2年に1枚アルバムを出すようにしたほうが良いと思う。
間隔を空けて完成度が高すぎるアルバムを出すより、実験的な楽曲を増やしてもコンスタントなペースを保ったほうが確実に音楽的評価は上がるはずだ。
2000年代はメジャーが目先の利益を求めすぎて良質な音楽を届けるアーティストが蚊帳の外に追いやられてしまったが、
これからの10年間はパーキッツのブレイクと共に音楽業界が回復へと向かう時代になることを心から願っている。次のアルバムにも期待したい。
(★:1点,☆:0点の計5点満点。)