Reviewer:19th. 267-269 名無しのエリー2008.08.22.
1.TRIP ★★★★★
アルバムのオープニングに相応しいダンスポップ。
ホーンの音色が軽快に響く中、アクセント的に挿入されている色っぽいベースや、力強い生ドラム、繊細な ピアノも良い味を出している。
何より歌声が絶好調で、愛内の真髄が味わえる佳曲。
2.Harmony ★★★
Perfumeというか中田ヤスタカの曲を、もうちょっとJ-POP的にわかりやすくした感じの曲。
曲自体は悪くないが、愛内にはこういった無機質な曲は合わないと個人的に思う。
M-3のシングルに入っていたリミックス(初回盤のみらしい)は愛内らしくて良かった。
3.I believe you ~愛の花~ ★★★
先行シングル。結婚を歌うバラード。
なかなか壮大で耳に残る佳曲なのだが、バックトラックの安っぽさが気になる。アレンジ自体は良いのにもったいない。
4.Mint ★★★★
シングル曲。タイトル通りの爽やかダンスポップ。
やはりトラックは安っぽいのだが、メロディのフックの強さと相まって、逆に軽快な印象で良い。
5.PARTY TIME PARTY UP ★★★
シングル曲。doaの徳永暁人が作曲したパーティーソング。テンションが上がる曲。
今夜は女同士盛り上がろうぜ!といった内容の曲なので、男子としては聴くのに抵抗があるw
6.Creamy day ★★
M-4系統の爽やかダンスポップ。OLが好きそう。
基本的に愛内の歌詞は好きなんだが、この曲に関してはなんだか好きになれない。
7.さくら色 ★★★★
何がってわけでもないが和の匂いを感じるバラード。伸びやかなメロディに、綺麗な編曲と、丁寧な愛内の歌唱が上手く収まった佳曲。
愛内ってこんな儚げな歌い方も出来るんだ、と改めて幅の広さを実感させられる。
8.薔薇が咲く 薔薇が散る ★★★★★
シングル曲。勢いのあるアップテンポのダンスロック。若干ロック寄り。
ギターの鳴り響く激しい楽曲を力強く歌いこなす愛内。どっちも素直にカッコいい。
アニソンっぽいのはご愛嬌。つか、実際にこの曲だけはアニソン(蒼天の拳OP)。
9.Silent Motion ★★★★
四つ打ちのリズムが踊れるダンスナンバー。続けて激しい曲を持ってきた。
倖田來未とかBoAのシングルにありそう。やはり愛内が歌っても何の違和感も無い。
10.Marguerite ★★★
Mint系の爽やかダンスポップ。イントロというか入り方が別の曲みたいでカッコいい。
何気にサビは盛り上がるメロディなのだが、編曲が若干単調なのが残念。
11.Secret Jasmine ★★★★
愛内のアルバムに必ず1曲は入る切ない系のミディアム。
安定した出来とも言え、繊細なピアノの旋律といい、感情を感じられる愛内の歌唱といいやはり良い。
12.眠れぬ夜に ★★★★
シングル曲。M-03同様、元ZYYGの後藤康二が作編曲したバラード。
アコギとピアノで優しい雰囲気を作る中、いきなりエレキギターとドラムが暴れだす間奏以降の盛り上がりが好き。
愛内の表情豊かな歌唱も楽しめる。
13.A DAY TRIP ★★★★
聴きどころなどを問われると困るのだが、これもかなりの佳曲だと思う。単調なのがダメな人は苦手か。
何も考えないで聴いていると、人生について歌った歌詞が胸に響いてくる。
まさにアルバムのエンドロール。単体よりも、アルバムやライブで聴いてこそ真価を発揮する曲か。
総評.★★★★
前作「DELIGHT」での原点回帰を経て製作されたアルバム。
多彩なジャンルながらも、基本的な路線はエレクトロポップスに統一し、聴きやすくなったアルバム。
1stの頃の派手さはないが、お洒落でまとまった印象を受ける佳作。
一部の曲で安っぽさを感じてしまう箇所があるが、愛内の歌唱でカバーといったところか。
(★5個が満点。)
Reviewer:20th. 15-19 名無しのエリー2008.10.30.
1.TRIP ★★★★★
「香り」をコンセプトとした本作の幕開けとなるディスコチックなアッパー曲。
メロディは展開は普通だが、愛内のよく通るストレートな声がよく活きるように練られた出来の良いもので、
アレンジがそれをより良いものにしつつ自らも主張するという、理想の形に思った。
鳴りっぱなしのホーンがモロに打ち込み音だが、曲の土台には絡まずテンションの高い音を中心に出しているので安っぽさがマイナスではなく、
むしろ今作全体に流れる「手軽に手に入るレプリカ」的な雰囲気を体現していると感じる。
間奏のピアノソロがまさに唐突な登場なので多少面食らうが、激しさに圧倒されるのでOK。
クレジット見るとピアノじゃなくキーボードテクニシャンって書かれてる。そんなのあるんだ・・・。
めくるめく展開にテンションも上がる、理想的な一曲目。
ところで「TRIP」と「香り」という2つのテーマってどう結びつくんだろ。ヤバい想像しかできないんだけど・・・
2.Harmony ★★★
ポップなお手軽テクノチューン。出だしからPerfumeを連想するのは間違ってないと思う。
電子音だらけの中でアコースティックギターが聞こえるアレンジも、最近で言えば非常にPerfume的。
ただし彼女らの曲のように、曲の中のある1つの音だけが耳にこびりついて離れないというのではなく、各々の音が角を立てずに曲という基礎に馴化している感じ。
そこだけ見ればcapsule的なのだがこの音の重ねようはどっちかというとPerfume。
ありていに言えば彼女らより耳障りが良く、余程飛び道具に頼らず寄った作り。
3.I believe you ~愛の花~ ★★☆
次はお手軽に壮大でベタなバラード。
タイトルもタイトルながら、オルゴールでの始め方、メロディ、ストリングスやピアノ、盛り上げ方、何から何までもれなくベタ。
そして音の1つ1つはやっぱり安っぽい。
愛内の歌によって頭半分くらい格を上げた印象がある。やはり彼女の声が一番通るのはバラードか。
4.Mint ★★★★☆
今作随一の爽やかさを持つお手軽ダンスナンバー。全体を優しく包む、そよ風のようなシンセストリングスが心地良い。
ベースは特筆すべきものはないが、音圧が丁度よく、
休符を上手く取り入れたリズムが曲をよりダンサブルに、より爽やかに、より心地よく仕上げている印象を受ける。
メロディはよく動き、音符も程ほどに詰め込まれていて、まさにダンス系でしか有り得ないメロディという感じ。
様々な電子音が控えめにクルクルと入ったり消えたりする様も楽しい。目立たないがギターも軽やか。
シングルA面らしい風格はなく一聴した印象は薄いが、全く聞き疲れず飽きが来ない、予想以上の曲。
5.PARTY TIME PARTY UP ☆
ある程度の安っぽさが支配している今作の中で、安っぽいのにも程があると言いたくなる曲。
まずメロディがダメ。特にABメロは休符の取り方、微妙な音程といい意味不明。ダンサブルな曲でこれはないんじゃ・・・
なんか適当に作ったとしか思えない。愛内、歌いにくそう。
次にアレンジもダメ。電子音の1つ1つが他の音と絡み合おうとしてない。サビでグニュグニュいってるベース音も気持ち悪い。
激しく歌いにくそうなメロにも関わらず、アレンジで歌を援護しようという意図も感じられない。
愛内、ますます歌いにくそう。だが、それに釣られるように愛内の歌詞もダメ。横文字があればすかさず英語に変換しているが、効果のほどは不明。
安室の『GIRL TALK』みたく女の子で盛り上がろう!的な詞かと思ったら最終的に「Diva party」っつってるし。
あ、歌姫のパーティなんだ・・・限定しすぎじゃね?誰が来るんだろう。
極めつけは「オフって携帯phone」・・・なんていうか・・・そんなのアリ?
6.Creamy day ★★☆
お手軽ポッp・・・もういいや。
イントロからBメロまでずっと、2小節の終わりにベースのスラップ音を2回聞かせてくるが、
曲の甘く爽やかな雰囲気を阻害しててそもそも不要な気がするし、同じパターンしか見せてこないので個人的には苛々。
サビは愛内のファルセットを多用した歌が気持ちよく、歌メロとシンセストリングスのメロの乖離っぷりが面白い。
7.さくら色 ★★★★
1曲目と同じく、珍しく生音を多用した、ピアノ主軸のバラード。肝心のピアノは打ち込みだが。
サビ前に挿入される琴っぽい音や部分部分のメロディが「和」を表現している。
アレンジもメロディも丁寧、愛内も情感たっぷりに歌い上げ、感動的におさまっているが、個人的に気に入ったのはサビの愛内の歌い方。
「AH」と歌う部分、最初の声のアタックがほとんど無く、なのに最初からハッキリとした声という、綺麗だが不思議な発声。
まさに舞い散る桜を想像させる。
8.薔薇が咲く 薔薇が散る ★★★☆
今まで割と控えめだったギターが主張する、曲調的に少しダレ気味だった流れを若干引き締めるロック曲。
もちろん型通りの打ち込みなんちゃってロックなのだが、素直に格好いい。
揃ってバッキングしかしなかったギターとピアノが絡み合う間奏がスマート。
愛内の歌は普段より力強く、普段より頑張っているものの、迫力不足感はある。
そして2コーラス目のBメロでは歌のリズムが一足遅く・・・どうして撮り直さなかったんだろう?
9.Silent Motion ★★★★☆
エレキギターが絡む激しいダンスナンバー。
Aメロまでは3拍子、Bメロから4拍子になるのだが、アレンジもメロディも移行が上手く、違和感があまり無い。
サビも最初の部分を聞いて格好良いと思うが、後半にもそれ以上の盛り上がりがあり緊張感を途切れさせない。
ただし愛内の歌がちょっとした聞かせ所で声が出ていないことがあるのは問題か。
ほんとにどうして撮り直さなかったんだろう・・・?事務所との軋轢?とか変な勘繰りをしてしまう。
10.Marguerite ★☆
2曲目や6曲目に若干似た雰囲気のポップ曲。
リズム体以外の音がひたすら軽く相対的にリズム体が重く聞こえ、耳に残りにくい割に数回聴いたらおなかいっぱいという、4曲目の対極にあるような曲。
メロディは悪くは無いものの、バラードとか別の曲調の方が映えたかもと思わせる。
11.Secret Jasmin ★★
ピアノを中心に据えた切ないミディアムバラード。
お手軽に手堅い曲だが、ドラマチックにもなりきれず、愛内の歌のせいでそれほど淡々とした出来でもなく、なんとなくむず痒い。
「眠るあなたに言葉をささやいた」というシチュエーションが次の曲とかぶってるってのはどうなのよ。
12.眠れぬ夜に ★★★★★
クリスマスのようなイントロから始まるバラード。
必要以上に盛り上げない綺麗なメロディで、2コーラス目まではピアノとアコギのアルペジオをメインに進むのだが、
Dメロは盛り上げ方が半端ではなく、この曲の肝。その後のギターソロもベタながらツボを的確に抑えている。
間違いなくリスナーの感情まで計算し尽くした作り。ここまで曲が出来ていると自然と歌詞にも耳が行き、実は悲しい歌なんだということにも気づく。
何の衒いもなく「出会えて良かった」とストレートに歌っているが、これほど堂々と歌われると説得力が違う。
Dメロのドラムの入りの音が・・・など少々アレな部分はあるが、幹がどっしり構えているので枝葉末節を問題としない曲。
13.A DAY TRIP ★☆
恐らく前の曲の影響で、こぢんまりとしたバラードという立ち位置を甘んじて受け入れた曲。
ヤイコ2ndで『Life's Like A Love Song』を聴いた後の『Maze』に近い感覚。
メロディ的にはもっと壮大なアレンジでもいけたのだろうが、理性的な判断だったと思う。とはいえこの伴奏の垂れ流し感はどうにかならないものか。
アレンジャーを見てみるとGARNET CROWの古井弘人。最近の彼って本家も含め変なアレンジばっかな気がする・・・。
詞の内容は「人生という旅を続けていこう」的なありきたりな内容。それはそれで構わないのだが、何故にタイトルは日帰り旅行?
そして最後の最後に香りはどこいったんだ。まさか霧散?香りだけに?
総評.★★★★
コンセプトが香りなのか花の名前なのかイマイチ分かりかねる愛内里菜の6枚目のアルバム。
実際のところコンセプトの意味は無に近いと思われる(一応合わせて香水とか作ったみたいだけど)。
聞いてて全然気にならなかったし、多分付け焼刃程度の設定なんだろう。最終的にどっかに流れるし。
中身はダンス寄りの無難なJ-POP、だが一聴して打ち込み多用とわかる曲多数。
しかし特筆すべきは愛内の歌で、裏表のないストレートな歌声と元々の声質が、安い打ち込み特有のニセモノ感お手軽感たっぷりの曲にもガチッとはまり、
普通ならマイナス要素になりそうなそれらを逆に武器にしている印象がある。
倖田来未が曲の種類に合わせ器用に歌い分けるのと対照的で、愛内は器用な歌い分けは苦手だが、声自体が持つ曲への馴化能力が飛びぬけていると感じる。
歌唱力が追いつく限りは、どんな歌を歌っても持ち前の声質で乗り切れるんじゃないか、ぐらいの印象。
(ついでにいうと歌唱力自体は倖田来未の少し下に位置するくらいかと思う)
作詞は正直に言って上手い方ではないが恐らくウリではないのでそれほど言及はしない。
それよりも、一枚のアルバムが曲の配置によってこれほどに聞けるものになることに驚いた。
単体で見ると捨て曲も多いが、勝負曲の配置が絶妙で流れが途切れず、実際の点数に関わらず一気に聴けてしまった(5曲目だけはどうにもならなかったけど)。
とりあえず、TSUTAYAのレンタルコーナーでふと「気軽に聴けて楽しいJ-POP、何かないかなー」と思った時に
なんとなく手にとっても後悔はしない一枚であることは確か。
そして「裏表のないストレートな声」と書いたが、それはトーク時の声とはまた別問題であることを添えて終わり。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)