アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : さかもといどうどうぶつえん。

Reviewer:18th. 252-255 名無しのエリー2008.06.30.

1.ベイベー実家 ★★★
いきなり「おとうさーん!おかあさーん!ほんとにー!ありがとおー!」で始まるアルバムってあるのだろうか。
音楽を通して親に感謝するときはこんぐらい開き直らなきゃいけないということを思い知らされる曲。
「ベイベー実家、アゲアゲ実家」というお前の実家はクラブかなんかなのかと突っ込みたくなるサビの歌詞もグッド。
曲自体は普通のパンク。
2.万田ヒサ子 or die(許可おりましたver.) ★★★★★
前作に収録されていた名曲「万田ヒサ子 or die」を萬田久子プロダクションの人に許可を取ってリメイクした一曲。
前作収録バージョンとは曲に込められたパワーが段違い。そしてギターも炸裂している。
ささいな言葉がケンカに繋がるのは確かだし、メールが来ないとやっぱり寂しい。そして歌詞の内容が萬田久子と関係ない。
一瞬面食らったあなたも、曲が中盤を過ぎる頃には曲に合わせて「万田ヒサ子 オア ダイ!」とシャウトしてるはず。
ただ許可を取った関係上か前作収録バージョンでシャウトされていた強烈なフレーズ「ちょっとそこのウンコ取って」が使われてないのは惜しい。
3.Oiパンク ★★☆
半インストナンバー。
タイトルはOIパンクだが、曲の方はどっちかっていうとボアダムスの初期に近い(そのバンド名をこの曲のレビューに持ってきていいのか少し悩んだ)。
ややだらけた曲なので退屈。でも必死に「ほっかいどおおおおでっかいどおおおおお」と叫ぶ事、それこそがパンクなんじゃないかと錯覚することはできる。
でもあくまで錯覚。「北海道でっかいどう」ってのはただの駄洒落にしか過ぎない。
4.僕、相撲部に入部します ★
今作最大の迷曲。「僕、相撲部に入部します」の人力ループ(ただ何回も口で言ってるだけ)に、
「猫踏んじゃった」のキーボード演奏、そこに適当な叫びが乗るという一曲。
流れとしては前作の「君が嫁」(「君が代」の伴奏に合わして君が嫁なら何でも買ってやる、と投げやりに叫ぶ曲)に続く感じの曲。
5.ユダヤ人なんて ★★★★
さわやかな曲調の伴奏に合わせて、ユダヤ人は自分の国がないという事をただこき下ろすだけの歌。
どうしたらこの発想が出てくるのか分からない(国がない=お盆にどこにも帰れない=TSUTAYAカードも作れない…など)。
サビではユダヤ連呼。それをわざわざ歌詞カードに律儀に書く辺り好感が持てる。
そして歌詞カードには「ちなみに、ユダヤ人ってどんな顔?」って書いてある。親御さんの顔が見てみたい(いい意味で)。
6.俺は何でも喰う男 ★★★★☆
ポップで楽しげなメロディーに何でも喰う男の生態を乗せたシュールなナンバー。
カステラにミルクをかけないで食い、せっちゃんの大事なドロップをためらわず飲みこむ…
そしてしまいには「シュールな夢もロマンチックな夢もタイトなスーツも食べれる」と歌う。
「くうくう」の掛け合いが若々しくていい感じ。
7.アメイジング・グレイス IN THE PARK ★
公園でシャウト&口ドラム(ズンズンとかダンダンとかドンドンとか言ってるだけ)。首から下は膝栗毛らしいです。
8.天下り for you ★★★☆
曲はしょぼい打ち込み。たぶん彼らなりに政治批判をしたかったんだろう。
たまには真面目に行こうとか歌詞の原型書いた時点では思ってたんだろう。でもだめだった。ふざけずにはいられなかった。
「あ ま くだり ふぉお ゆーう(裏声)」という全身の力が抜けそうな歌が入った部分はサビ。
メロではラップというかラップが腐ったものというかただ詰め込んでるだけじゃねと言うかまあ何かそんな感じ。
いきなり「くたばれ大仁田厚!!(ファイヤー!!)」っておい。「マドンナ議員のアナルに花束 マドンナ議員のアナルに一票」っておい。
最近笑ってない人にお勧め。最近の政治について真剣に考えてる人にはお勧めできない。
9.ブルーハワイ ★★★★
歌詞は相変わらずふざけている(「ああ憧れのワイハー」って若干古くね?)が、着目すべきは曲の方。
この倦怠感はそこらの若手バンドには出せないと思う。ボーカルの歌も気だるい感じで曲とマッチしている。
サビの「アロハーオエー」という歌(裏声)に不思議な違和感を感じる。
憧れのハワイについて曲を作ったはずなのに、本人たちの意図していなかったところでハワイの暗部を描いていたような一曲。
でもこんな奇跡はもう起こんないと思う。
10.向こうのハードコア ★★☆
ネタ曲(彼らの曲でネタ曲じゃないものを挙げろと言われても厳しいものがあるが…)。
ハードコアパンクを完全にコケにした曲。適当な感じ漂ういかにもなハードコアパンク風の曲に、英語っぽく適当に叫んでるだけ。
歌詞カードを見ると対訳が載っているがもう内容がクソなので(いい意味で←本日二回目)どうでもよくなる。
ちなみに「翻訳/戸田奈津子」らしいです。もちろん嘘です。でも歌詞カードに書いてあります。
11.丸かじり先生 ★★★
キーボードの音がうまい塩梅に乗った倦怠感のあるロックナンバー。
これで歌詞が真面目だったら結構聴ける曲になるのだが、そこに乗るのは「まるかじりせんせーい」というやる気のない叫び。
しまいには「きんたまがもげたー」とまで叫んでいる。まさにメロディの無駄遣い!
12.後期ローマ帝国のうた ★★
軽快なパンクナンバーに乗せて後期ローマ帝国の惨状を歌う。
「ダラダラ 兵士が働かないよ…」そして最後は「酒池肉林」連呼。
地味で印象に残りにくい曲。
13.大魔王になりたくて2006ドイツ ★★★★★
この曲が彼らの作った曲の中で一番好きです。歌は相変わらず下手だし、歌詞も真面目じゃないけど、切なさのあるメロディが最高。
ピアニカのヘナヘナな演奏とギターの優しい音色にぶっきらぼうな歌唱が乗る。
曲としては前作に収録された「バカ~少年の夢~」の増強バージョンと言ったところになるのだけれど、「バカ」より断然いい。
下手な歌と可笑しい歌詞に笑ってしまうが、ちょっと真面目に聴いてみるともうこのままふざけてばかりではいられない、
という事にちょっと気付き始めているのかな、とも思う。でも多分本人はそんなこと微塵も思っていない。
くっそう、さんざん笑わせた後にしんみりさせるなんて心憎い野郎だ、と思いつつ、本編終了。
Sec. ★★★
空白のトラックをいくつか挟んだ後に収録されているシークレットトラック。
前作収録曲「嫌いな奴の家に…」の新録バージョン。キーボードの旋律は「LONDON CALLING」のパロディ?
非常に情けなーい感じで始まるがしばらく経つと突如暴走します。叫びます。前曲の余韻ぶち壊し。
そのあとまた元に戻って…また突然…の繰り返し。前作収録バージョンとは全く違う曲になってるような…。
総評.★★★★
昭和を知らないゆとり教育真っ盛りの青年二人組+1のバンド、坂本移動どうぶつ園のセカンドアルバム。
うまく裁断できてない白黒コピーの歌詞カード、盤はCD-R、盤面には品番がマジックで書かれてるだけといういかにも自主制作な一枚…
だが、中に詰まってる13曲+シークレット1曲はとてつもなく若さにあふれたふざけた曲ばっかで相当に楽しい作品。
ふざけながら、笑いながら、楽しみながら作ったというのが自然と聴き手にも伝わるため、
パーティーのダンスの輪の中に自然と導かれるが如く笑ってるうちに楽しくなってる不思議な一枚。
それでいて結構抜かりがないメロディ&美声を無駄遣いしてるボーカルのおかげで飽きずに長く楽しむことができる。
しかしこれは究極に人を選ぶ一枚でもある。ふざけの度が過ぎているので、だめな人は絶対だめだろう。
突っ込みどころが満載なアートワークも楽しい。
「渋谷陽一絶賛だぜ!!」って本当かよw
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:21st. 231-234 名無しのエリー2009.04.05.

1.ゲリーネビル ~お尻と君のお尻に対しての~ ★
このアルバムの曲目をテキストトゥスピーチに読み上げさせてメンバーが笑ってるのを聞く事ができる。
2.ゲルマン忍者 ★★
うーん、印象に残りにくい曲だなあ…この位置じゃなくてもよかったんじゃないか。
「焼肉仕切るやつお前はヒットラーか?」という歌詞は(色んな意味で)アリなのか?
3.さらばハイセイコー ~骨まで溶けるような、テキーラみたいなREMIX~ ★★★★☆
ファースト収録曲をリメイク。元が名曲なのだが、このヴァージョンはかなりかっこよくなっている。
声にもエフェクトがかかっており、かなりクールな仕上がり。曲の終盤で「おたく、完全にウンコ付いてますよ」って言われるけどね。
ところでどういう歌詞なのだろう。前記したようにボーカルにエフェクトがかかっているため聴き取れない。
歌詞カードには「上を向いて地獄に落ちよう」しか書いてないし。「僕らは???キュー坂本九」とか聴こえるが。
4.家族百景 ★★★
反家族賛歌。「母さんの悪い癖 朱肉で魅せるメスの名残」!?「じいさんがぶっ飛んで うんこで絵を描き金賞受賞」!!!?
でもやっぱり家出しても母さんの味噌汁に生まれた意味を見出すのさ。そんな曲。兄さんホモで丘サーファー。
曲自体はポップでよく出来ている。その才能をなぜ生かさない?
5.いとこが来た日曜日 ★★★★
いきなりAphex Twinの曲をサンプリングして開始。いい度胸してるぜ。
と思ったら開始46秒でサンプリングはただのイントロで大して意味がないことを知る。ええええ!?
曲は打ち込みにチープなギターを合わせた構成となっており、かなりの美メロ。
アウトロで最後の盛り上がりが来る構成もよく出来ている。しかし歌詞はちんぽが暴れだした。
6.社会の敵 ★☆
おしりの穴からパブリック・エネミー。それだけだぜ。でも箸も持てない女は嫌だと言うのはなんか分かる。
7.俺はタランティーノ ★★★☆
この曲はよく出来てる。つーか意外とかっこいい。イントロのシャウトもかっけえ。
しかしタイトルにもなっている「俺はタランティーノ」の意味を知った瞬間全神経が脱力した。
本当に曲はかっこいい。音の使い方に関心まで覚えてしまう。そこらのインディーズバンドにはこの才能はないぜ。
なのに歌詞は顔がロナウジーニョ。ボール蹴飛ばしーにょ。
8.ここはブラジル ★★
うーん、悪くはないんだがちょっと退屈なところがある。というより展開があんまりない。
80年代のテクノにこういう曲がありそうだ。
9.踊り明かそうバイトまで ★★★★★
これは間違いなく名曲。メロディーはいいし、一番の歌詞は珍しく真面目。そのあとすぐにおちゃらけモードになるが。
というか彼らは本当にセンスがある。曲の出来はもちろん、最先端の音で良い意味でダサい旋律を奏でるという手法は恐らく唯一無二。
その気になれば天下も取れそうな気がするが、実は直木賞が取れる文才を持った魚屋の店主の如くその才能を発揮する気は恐らく本人達にはない。
全てのアルバイターに捧げる悲しきアンセム。歌詞はこのご時世だからこそ響くものであるような気がする。
と思ったらmyspaceでこの曲の新バージョンが配信されてる。
終盤の「店長、てんちょー ファミチキ盗まれちゃいました」に脱力。
10.アイラブユー ★★★
君は金持ち。だから大好き。と言うことをただひたすらに歌い続ける3分56秒間。
逆玉の輿。というかヒモ。顔も料理も愛もいらない。働きたくないからずっとそばにいよう。最悪だ…。
でもある意味人間と人間の間にある愛という物を一番生々しく描いた曲かもしれない。どうしたらこういう歌詞を思いつくのだろうか。
11.前立腺に魅せられて ★★★★★
「男が好きだっていいじゃなーーーーーい!!!!!!!!!!!!!!!!!」
一見普通の、家庭にも仕事にも恵まれた幸福なサラリーマンである主人公。しかし実は彼はあっち系というかガチホモなのだ。
彼は新入社員の後藤田君に恋をしてしまう。そして、ある夜、遂に…。
というストーリーが軽快なテクノナンバーをバックに、延々と主人公視点で(歌じゃなくって、語りで)語られる意欲作。
これはレビューでいろいろ書いたら面白くない類の曲なので実際に聴いていただいた方がいいと思う。でも責任は持たない。
終盤の「あの」シーンでは爆笑したし、その後の語りも面白すぎ。ぜひとも聴いて爆笑していただきたい。でも責任は持たない。
12.チャイニーズ・エレクトロ・マフィア ★★★☆
インスト。正直に書こう。普通にかっこいい。
そりゃ音がチープだとか打ち込みの音が薄いとか欠点もあるが、
先ほども書いたように最先端の音で良い意味でダサい旋律を奏でるという彼らの魅力がふんだんに織り込まれた曲となっている。
キャッチーで聴きやすい。この曲だけを聴かされて「しょぼいな」と思う人はいてもあからさまな嫌悪感を示す人はいないんじゃないだろうか?
13.風の又三郎 ★★★
最後がこれかよ。ファーストやセカンドにも入ってそうな曲。君んちの庭で大暴れ。
ちなみに風の又三郎は全くといっていいほど関係ない。最初に風の音(どう考えても口使って出してるだけ)は入ってるけど。
総評.★★★★★
昨年、2008年度で買ってよかった新譜を上げるとしたらこれは間違いなくトップ10に入る出来。
彼らに今後の邦楽界を任せたいが任せたら任せたで邦楽界が崩壊するのが目に見えている天才ゆとり二人組、坂本移動どうぶつ園によるサードアルバム。
前2作はいかにも自主制作な汚い録音で叫び続けるパンク、といった印象だったが何を思ったのかこの一作で「どぶエレクトロ」(本人談)に完全移行。
大きな変化として、まず音がクソみたいに綺麗になった。前作までの途中で音が途切れてることもあった録音とは大違いだ。
曲自体ももちろん天地がひっくり返る様な変化が起きている。本当にエレクトロになっている。ギターがまともに出てくるのが5曲目ぐらいしかない。
で、楽器の音が殆ど使われなくなったことによってメロディの良さ、というよりメロディの無駄遣い感がよりはっきりしている。
さらに歌詞のふざけ具合にもさらに磨きが掛かり、アルバイト、ヒモ、ガチホモとぐんと視野が広がってはいけない方向に広がってしまった。
そしてついでにパッケージングも白黒コピー・CD-Rからちゃんとした歌詞カード・プレスCDに。何があったのりちゃんレコード(レーベル名)。
とりあえずふざけた音楽が好きな人ならば手に取って損はない。ふざけてる割には曲はいいしね。
音楽を真面目なものだと捉えてる人はCDケースに触っちゃだめ。
ちなみに本人達の態度も相変わらずで、スペシャルサンクスの欄の「このCDを~」の記述やCDを外したら書いてある文章には爆笑させてもらった。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)