Reviewer:17th. 355-360 名無しのエリー2008.03.31.
1.We can do it! ★★
オープニングはポジティヴなアイドル向けロック。
いかにもなベタベタなキメや掛け声、派手で大味なギターやキーボードのアレンジと、やり過ぎなほどコテコテ。
アイドルということを考えれば歌唱力は妥当なレベルだが、声の個性は薄いか。
分かり易い曲だが、全曲聴き終えた後に改めて聴くと、ここまでベタな曲は必要だったのかと疑問に思えてくる。
いかにもなベタベタなキメや掛け声、派手で大味なギターやキーボードのアレンジと、やり過ぎなほどコテコテ。
アイドルということを考えれば歌唱力は妥当なレベルだが、声の個性は薄いか。
分かり易い曲だが、全曲聴き終えた後に改めて聴くと、ここまでベタな曲は必要だったのかと疑問に思えてくる。
2.空色デイズ ★★★
いきなりシリアスな歌声に切り替わるアッパーチューン。ギター、ベース、ドラム、キーボードと各パートどれも派手で、起伏も極端。
まさに聴いたままという感じの曲で、聴き手によって印象がそれ程変わることは無さそうな曲。
各パートがピッタリ合わせて完全な休符を入れるようなキメが多く、流れが止まりがちな印象を受けるが、
その上に乗る中川のボーカルは休符を取らずにそのまま歌っているので、
そこで背景の時間が止まった中で中川だけが動いているような不思議な浮き上がり方をしている。
まさに聴いたままという感じの曲で、聴き手によって印象がそれ程変わることは無さそうな曲。
各パートがピッタリ合わせて完全な休符を入れるようなキメが多く、流れが止まりがちな印象を受けるが、
その上に乗る中川のボーカルは休符を取らずにそのまま歌っているので、
そこで背景の時間が止まった中で中川だけが動いているような不思議な浮き上がり方をしている。
3.恋の記憶 ★★★
さらに歌い方を切り替え、松浦亜弥のような鼻にかかった媚び声で歌う正統派アイドルポップ。
器用だが、中川翔子本来の声のバリエーションとして歌い分けているというより、なりきり特性とでも言うべき能力で、声のキャラクター自体を変えて歌っている印象。
アレンジはここまでの流れ通り分かり易く、聴き易い。メロディも定番。サビの始まり2小節あたりまではまんま浜崎の曲という感じ。
器用だが、中川翔子本来の声のバリエーションとして歌い分けているというより、なりきり特性とでも言うべき能力で、声のキャラクター自体を変えて歌っている印象。
アレンジはここまでの流れ通り分かり易く、聴き易い。メロディも定番。サビの始まり2小節あたりまではまんま浜崎の曲という感じ。
4.snow tears ★★★★
元day after tomorrow鈴木大輔による、エイベックスを連想させる打ち込み系マイナー調ロック。歌のキャラクターはまたもやシリアスに。
自分の勘が正しければこの曲を歌う時の彼女は、ここ数年ガンダム主題歌を担当したロック系女性シンガーの平均値から目安の歌唱レベルを導き出すという、
異端の方法論で歌唱スタイルを成立させている。
彼女の曲はおおよその人に「アニソンぽい」という印象を与えると思われるが、
「アニソン適性」という、普通第三者によって設定されるような曖昧なステータスをここまで自覚的に伸ばせる歌手は少ないのでは。
楽曲については各メロの繋ぎやサビでメロディアスなフレーズを聴かせるベースが心地良い。
自分の勘が正しければこの曲を歌う時の彼女は、ここ数年ガンダム主題歌を担当したロック系女性シンガーの平均値から目安の歌唱レベルを導き出すという、
異端の方法論で歌唱スタイルを成立させている。
彼女の曲はおおよその人に「アニソンぽい」という印象を与えると思われるが、
「アニソン適性」という、普通第三者によって設定されるような曖昧なステータスをここまで自覚的に伸ばせる歌手は少ないのでは。
楽曲については各メロの繋ぎやサビでメロディアスなフレーズを聴かせるベースが心地良い。
5.Brilliant Dream ★★★★
さらにキャラクターを替え、8BITサウンドを盛り込んだテクノポップに合わせるようにカクカクした歌い方に。
こうした曲では珍しく、音数の減る盛り下げパートではボーカルも優しく歌い分けている。
ボーカル全般に強めのエフェクトがかかっているのでそれほど表情の変化は感じないが。
音量デカめの4つ打ちバスドラに乗って過剰気味に鳴り渡る8BIT音がきらびやか。
ちなみに今作に作詞で多く参加しているmeg rockはMEGとは別人だが、この曲を編曲したnishi-kenは中田ヤスタカの親友でMEGに曲も提供しているらしい。
こうした曲では珍しく、音数の減る盛り下げパートではボーカルも優しく歌い分けている。
ボーカル全般に強めのエフェクトがかかっているのでそれほど表情の変化は感じないが。
音量デカめの4つ打ちバスドラに乗って過剰気味に鳴り渡る8BIT音がきらびやか。
ちなみに今作に作詞で多く参加しているmeg rockはMEGとは別人だが、この曲を編曲したnishi-kenは中田ヤスタカの親友でMEGに曲も提供しているらしい。
6.フルーツポンチ ★★★
さらにキャラクターを替え…なんかスゲエな中川。恐るべしなりきり特性。
A・Bメロはとにかく明瞭に発声することを心掛けたといった感じの、ときメモ歌ってた人みたいな往年アイドル風の歌い方。
そしてサビに近づくといたずらっぽい松浦声に。
曲自体は聴き込むほど奥深いものでもなく、懐かしめのアイドルポップだが、
上手い下手というより「それっぽく」このジャンルをこなすことにかけては中川はやたら秀でているため安心して聴ける。
A・Bメロはとにかく明瞭に発声することを心掛けたといった感じの、ときメモ歌ってた人みたいな往年アイドル風の歌い方。
そしてサビに近づくといたずらっぽい松浦声に。
曲自体は聴き込むほど奥深いものでもなく、懐かしめのアイドルポップだが、
上手い下手というより「それっぽく」このジャンルをこなすことにかけては中川はやたら秀でているため安心して聴ける。
7.ストロべリmelody ★★★
地の歌い方に近いと思われる、普通な感じの声で歌うアイドルポップ。キツそうなサビの声が本人の歌唱力の限界を感じさせる。
Soul'd OutのShinnosukeによる曲だが、特にマニアックな要素は無く、むしろアイドルポップということを考慮して単純明快な曲に仕上げている。
今作中本人の歌が最も不器用で、ある意味一番アイドルポップっぽい曲。
Soul'd OutのShinnosukeによる曲だが、特にマニアックな要素は無く、むしろアイドルポップということを考慮して単純明快な曲に仕上げている。
今作中本人の歌が最も不器用で、ある意味一番アイドルポップっぽい曲。
8.pretty please chocolate on top ★★★★
バラエティ番組のオープニング曲っぽいベタベタに陽気なイントロから入り、4つ打ちリズムにピアノとギターが絡むAメロへ。
サビ前でドラクエの呪文の音のような不穏なシンセが入り、サビはそのままシンセメインのトランス・ポップへ。
呪文のような響きの詞をハキハキ発声する中川のボーカルがリズミカル。器用だ…。
マジな戦隊もののエンディング曲とクロスオーバーする気がするが。
サビ前でドラクエの呪文の音のような不穏なシンセが入り、サビはそのままシンセメインのトランス・ポップへ。
呪文のような響きの詞をハキハキ発声する中川のボーカルがリズミカル。器用だ…。
マジな戦隊もののエンディング曲とクロスオーバーする気がするが。
9.calling location ★★★
手数の多い派手なドラムが印象的な、アッパーなマイナー調ロック。ここまでの流れ通り分かり易い。
そしてやはり流れ通り、特に新鮮な曲ではなく、歌唱力もそこまで高くないが、「それっぽい」と思わせる説得力がある。
他曲に比べ長めのビブラートを多く使っており、発声も心なしかチャート上位常連の声優アーティストっぽい。
そしてやはり流れ通り、特に新鮮な曲ではなく、歌唱力もそこまで高くないが、「それっぽい」と思わせる説得力がある。
他曲に比べ長めのビブラートを多く使っており、発声も心なしかチャート上位常連の声優アーティストっぽい。
10.happily ever after ★★★
前曲と同じようなアッパーチューンだが、ガンダム歌姫でも声優アーティストでもなく、松浦っぽいアイドル声を選択。
アイドル視点のロックという事なのだろうか。確かに前曲よりアニソンぽさが薄れている気はするが。
グイグイ主張するベースも、沖山がベースを担当した初期松浦を思わせる(※この曲のベースは沖山ではない)。
曲の印象は作中の他曲と被り気味だが、最終ラインで作品をマンネリ化から救っているのは中川のなりきり特性なのかも。
アイドル視点のロックという事なのだろうか。確かに前曲よりアニソンぽさが薄れている気はするが。
グイグイ主張するベースも、沖山がベースを担当した初期松浦を思わせる(※この曲のベースは沖山ではない)。
曲の印象は作中の他曲と被り気味だが、最終ラインで作品をマンネリ化から救っているのは中川のなりきり特性なのかも。
11.starry pink ★★
実質的なラスト曲も分かり易い、アイドルらしいバラード。
もったいぶったブリブリな歌い方、舌足らず気味なラ行の発音と、ここにきてとっておきのなりきり特性を披露。
Aメロやサビ後半の歌い回しなど、まさに80年代を駆け抜けたあの国民的アイドルそのもの。
器用だし、面白いんだが、歌の技術の手本としたというより、好きだからそっくりに歌いたかったといった感じで、
中川自身のシンガーとしての自覚という意味ではかなり疑問符の付く曲。
もったいぶったブリブリな歌い方、舌足らず気味なラ行の発音と、ここにきてとっておきのなりきり特性を披露。
Aメロやサビ後半の歌い回しなど、まさに80年代を駆け抜けたあの国民的アイドルそのもの。
器用だし、面白いんだが、歌の技術の手本としたというより、好きだからそっくりに歌いたかったといった感じで、
中川自身のシンガーとしての自覚という意味ではかなり疑問符の付く曲。
12.スカシカシパン、すこし変? ★
元ホットドッグプレス編集長、山田五郎の提供によるユルい弾き語りボーナストラック。
ここではうたのお姉さん的な、コミカルではっきりした歌い方を披露。
一度スイッチが入ったら演じ切る舞台度胸はモダンチョキチョキズの濱田マリにも通じる。
曲名から推測できる通り、着眼点が武器のネタ曲で、楽曲としてのクオリティは低い。
ここではうたのお姉さん的な、コミカルではっきりした歌い方を披露。
一度スイッチが入ったら演じ切る舞台度胸はモダンチョキチョキズの濱田マリにも通じる。
曲名から推測できる通り、着眼点が武器のネタ曲で、楽曲としてのクオリティは低い。
総評.★★★
アイドルポップ、アニソンへの理解度抜群という異端のアイドル歌手、中川翔子の1st。
曲は全般的に大味で、定番だがスルメ度低めという、アイドルらしい分かり易いものが並ぶ。
しかし、曲ごとに自ら声のキャラクターをチョイスする中川のなりきり特性が作品を非常にカラフルな印象にしている。
単体で聴いたらスッと流し聴きしてしまいそうなありがちな曲ばかりなのだが、アルバムとしてまとめてみると器用な転身ぶりに驚かされる。
普通の人にも「アニソンぽい」と思わせるような歌唱スタイルを「ガンダム+水樹」という形で実践してみせた直感力も並外れている。
チャート上位には来るが同時に消化するのが難しいジンやアリプロ辺りからの影響はバッサリ切っているのも理性的な判断。恐るべしなりきり特性。
Superfly辺りが3年くらいブッ通しでガンダム主題歌を担当したら中川の歌唱力もグンと伸びるような気さえする。
取り敢えずほとんどの人に「予想より上手い」と思わせる力があるが、
一方で「下手だけど不器用な感じが逆にイイ」的な、いわゆるアイドルらしさ(というより萌え要素?)はあまり発揮されていないかも。
そういう要素は本人的に萌えで売る気などさらさらない(※自主規制)の方が秀でている。そこで取りこぼすのは意外。
特筆すべきは自分独自の表現スタイルを模索する意欲が致命的に欠如している事で、
「私自身の声を重視した歌い方なんかより、○○さんみたいに歌ったほうがきっとみんな聴き心地いいから…」
とでも言いたげな自虐性が全編から感じられる。
素の自分らしさを押し殺すことでアイドル・アニソンファンにバランスよく受ける作品を成立させた彼女の判断は、
集団に溶け込むために独自色を薄めている現代人の苦悩を象徴するようで、作風と真逆の重さを感じさせる。
浜崎辺りならその苦悩にスポットを当てて詞を綴るのだが、中川は苦悩自体の存在を見せないため、
にははと笑って1人で背負い込んでるようで余計に切ない。
本人は何にも考えずにカラオケ気分でモノマネを楽しんでるだけなのかもしれないが、
本人の自覚の有無に関わらず、この独自色の無さからは「自分大好き、自分が一番」という主張がどこかに潜在的に眠っているような印象は受けない。
普通、会社の要請を受けて売るために嫌々取るスタンスを、なぜか自発的に取っている。その違和感が怖い。
ともあれ今作は総じて聴き易く、既存のアイドルポップの概念の再確認と、現代アニソンの定義付けを同時に処理してみせた快盤。
曲は全般的に大味で、定番だがスルメ度低めという、アイドルらしい分かり易いものが並ぶ。
しかし、曲ごとに自ら声のキャラクターをチョイスする中川のなりきり特性が作品を非常にカラフルな印象にしている。
単体で聴いたらスッと流し聴きしてしまいそうなありがちな曲ばかりなのだが、アルバムとしてまとめてみると器用な転身ぶりに驚かされる。
普通の人にも「アニソンぽい」と思わせるような歌唱スタイルを「ガンダム+水樹」という形で実践してみせた直感力も並外れている。
チャート上位には来るが同時に消化するのが難しいジンやアリプロ辺りからの影響はバッサリ切っているのも理性的な判断。恐るべしなりきり特性。
Superfly辺りが3年くらいブッ通しでガンダム主題歌を担当したら中川の歌唱力もグンと伸びるような気さえする。
取り敢えずほとんどの人に「予想より上手い」と思わせる力があるが、
一方で「下手だけど不器用な感じが逆にイイ」的な、いわゆるアイドルらしさ(というより萌え要素?)はあまり発揮されていないかも。
そういう要素は本人的に萌えで売る気などさらさらない(※自主規制)の方が秀でている。そこで取りこぼすのは意外。
特筆すべきは自分独自の表現スタイルを模索する意欲が致命的に欠如している事で、
「私自身の声を重視した歌い方なんかより、○○さんみたいに歌ったほうがきっとみんな聴き心地いいから…」
とでも言いたげな自虐性が全編から感じられる。
素の自分らしさを押し殺すことでアイドル・アニソンファンにバランスよく受ける作品を成立させた彼女の判断は、
集団に溶け込むために独自色を薄めている現代人の苦悩を象徴するようで、作風と真逆の重さを感じさせる。
浜崎辺りならその苦悩にスポットを当てて詞を綴るのだが、中川は苦悩自体の存在を見せないため、
にははと笑って1人で背負い込んでるようで余計に切ない。
本人は何にも考えずにカラオケ気分でモノマネを楽しんでるだけなのかもしれないが、
本人の自覚の有無に関わらず、この独自色の無さからは「自分大好き、自分が一番」という主張がどこかに潜在的に眠っているような印象は受けない。
普通、会社の要請を受けて売るために嫌々取るスタンスを、なぜか自発的に取っている。その違和感が怖い。
ともあれ今作は総じて聴き易く、既存のアイドルポップの概念の再確認と、現代アニソンの定義付けを同時に処理してみせた快盤。
(★5個が満点。)