アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : しど。

Reviewer:23rd. 18-20 名無しのエリー2010.01.19.

1.汚れた指 ★★★
シャッフルのリズム、要所要所に入るウォーキングベース、
軽快なアコギのバッキングととてもリズミカルな演奏にシドの大きな特徴である歌謡臭いメロディが乗る。
キャッチーさと自分たちの持つ特徴を上手く混在させた曲。
2.ルーム ★★★
いきものがかりなんかが歌ってても全く違和感のないようなJ-POP。
ギターソロ明けに急にピアノが出てきて、ストーンと落とすようなCメロまでの流れとか
本当にもう王道中の王道とも言える展開とか小奇麗なアレンジで上手くまとめてる。
ドラムがちょっとバタバタしている感はあるが。
ただやっぱりこういうのは個人的には違うよなぁと。
3.chapter 1 ★★
2をリアレンジしたって感じの印象。王道というかスタンダードな曲な分、連続でくると食傷気味。
ストリングスが全面に押し出され、これも小奇麗にというか、無難にまとめた感じ。
ただやっぱりドラムが気になる。中~小音をもう少し細かく使い分けるといいような。
音量が中~大の感じが多くて、楽曲とはズレたせわしない感じになっちゃってる。
4.白いブラウス 可愛い人 ★★★
小洒落たクリーントーンのリフが印象的。ギターのしんぢはこういうトーンとかアコギとかクリーンなギターを弾かせたら、凄い味がある。
強い個性もないけど、隙間隙間に美味しいフレーズを入れてくる感じ、ポップスに最適。
体を揺らしたくなる、少しジャジーで気持ちいい曲。
5.シャッタースピード ★★
最初、アニメに使われてたりするのかなと思った。ものすごいキャッチーでアップテンポなわかり易い曲。
ここまでやっちゃうのかというくらいのストレートさ。
6.ミルク ★★★★★
歌謡曲とラウンジを合わせたみたいな感じw
ほぼ全編に渡るアコギのバッキングとクランチでのカッティングが小気味良いリズムを生み、効果的な鍵盤アレンジでお洒落感MAX。スコーンと抜けるスネアも合ってる。
失恋ソングみたいだが、物凄い清涼感。
7.罠 ★
安っぽいブラスセクションが印象的なポップス。
ここいらでバーンといきたかったのかもしれないけど、前の曲が繊細で洗練されたような感じだったので、
単体で聴く以上にやっつけ感というか、勢いだけの感じが否めない。
スローでメロウな曲を作らせると上手いけど、逆のタイプがちょっと苦手な感じか?
8.ホソイコエ ★★★★
やっぱり前の曲は前フリだったのか。ここでお得意の聴かせるバラード。
サビ終わりの間奏で一気に盛り上がり、そのままの勢いで大サビへ。普遍的なタイプのバラード。
9.御手紙 ★★★★
この曲でシドを知りました。
和風テイストなアレンジの曲かと思いきや最初だけで、普通にロックバラードな感じで。
メロディがとてもわかりやすくて綺麗なので、多少思い切った事して失敗しても全然カバーできると思う。
(悪い意味でなく)無難な感じにまとめちゃってる曲が多いので、今回は琴が出てきてオッと思ったけど。
琴とか違和感なく、むしろメロディに上手く合ってたし、そういうアレンジ(和楽器的な?)をもっと強めても面白いと思うなー。
10.park ★★
ゴリゴリしたベースが現れて、HRなリフが入ってくる。
おや、と思うけど、サビは華麗にJ-POP。な3分にもみたない短い曲。
バラード2連発だったのでこの辺でアクセント入れようと思ったのかもしれないけど、これはいらないと思います。
11.live ★★
壮大なシンセをバックに大サビはみんなで合唱する、とりあえずこれで締めとけ的な臭いがプンプンする。
そもそも前の曲にああいう曲を持ってくるから、こんな無理矢理まとめようという感じが出ちゃうのでは。
この曲を3分くらいの半インスト的な感じにして、10曲目にこれを持っていけばもうちょっと綺麗にまとまったのでは…
などと素人ながらもいろいろ考えてしまう終わり方でした。
総評.★★★
最近、テレビでもちょくちょく見かけるようになったヴィジュアル系バンド、シドの3rdアルバム。
アンダーグラウンド化するヴィジュアル系文化の中で、1stから大衆ウケも良さそうな歌謡チックな音楽性を持つバンド。
わかりやすさはラルクやGLAYあたりを思い起こさせる。
ただ自分たちの得意な歌謡チックな楽曲は安定感がある反面、ラルクやGLAYほどの引き出しがない。
全部のアルバムを聴いてるわけでないので、もしかするともっと違う一面があるのかもしれないけど、今作に関しては厳しいなぁという感じ。
かといって全部コテコテの歌謡曲っぽいのでいってもさすがに食傷気味だろうし難しい所。
そういう意味でアレンジでいかに聴かせるかってのはひとつのテーマだろうし、6なんかはそういう方向性のひとつの指標になるような曲だと思う。
良い武器はあるんだから、後は脇をどう固めていくか。
一応、クレジット見たらボーカル以外の3人が作曲を手がけている感じだし、各々の個性がもっと出てくるといいのかも。
でも、どうもバンドもファンもアングラ化していくヴィジュアルシーンの中でこういうメジャー志向なバンドがあってもいいと思うし、期待してます。
(★5個が満点。)

Reviewer:22nd. 331-334 名無しのエリー2009.10.31.

1.落園 ★★★★
ピアノのイントロから始まる、雰囲気暗めなスローバラード。美メロ。
一曲目からいきなりVo.マオが「(色々あって辛いけど)壊れても歌う」と、歌に対するモチベーションをアピール。
ファンの人にとってはぐっと来るものがあるのかもしれないけど、自分はこの人の人となりがあまり分からないので共感し難かった。
しかし何よりそんなボーカルに付き合って曲を盛り上げる楽器隊の感じが仲良しバンドっぽくて良い。応援したくなる。
ちなみにメッセージは重めだけど曲自体はキャッチーな歌モノで鬱曲っぽくは無く、あっさり聴ける。
2.妄想日記2 ★★
一曲目で「壊れても歌う」と重々しく決意表明した流れを完全スルーしたネタ曲。
…いや確かに期待の斜め上を行く感じはロックバンドらしいけど何もそんな誰得なところでロックしなくても。
早速シドがどこに行きたいのか分からなくなってきた。
で、曲は昼ドラの主題歌に使われてそうなメロディーと昼ドラそのものな歌詞が印象的なドロ臭いV系歌謡ロック。
陰湿な歌詞だけどCocco・鬼束・林檎あたりの怨念系と違ってやたら楽しそうに歌われるのが逆に怖い。
思い込みが強い女を演じる迫真のボーカルは、確かにある意味壊れてる。そうか「壊れても歌う」ってこういうことか。
3.嘘 ★★★
前曲とは一転して純粋で切ない恋愛を歌う、和風メロのビートロック。
終始鳴り倒すピアノとストリングスがメインの曲で、さあ感動してくれと言わんばかりに大仰に曲を盛り上げる。
そして悔しいけど感動してしまう。
バンド演奏はメインを立てる脇役的な立ち回り。バンドが前に出すぎる感じがないので聴き心地が非常にまろやか。
疾走感のあるアップテンポな曲なのに肩の力を抜いて聴ける癒し系ロックに仕上がっている。
4.サーカス ★★
往年のポルノみたいなラテンノリの曲。ていうかアレンジがポルノの某曲と丸かぶりしてるような…。
ハンズクラップのSEが入るにぎやかな曲なのでライブで盛り上がりそう。
似たようなフレーズを淡々と繰り返すサビが曲中5回も配置されているので、サビだけが異様に頭に残る。
なんか油断してるとサビメロに洗脳されそうな中毒性のある曲。リピート再生し続けたらお花畑に行けそう。
5.泣き出した女と虚無感 ★★★★★
鉄琴の音がチープなエロさを匂わせるブルージーな曲。
Aメロのアコギがやたら挑発的だと思ってたら、後を追うように入ってきたベースがこれに積極的に絡みつく。
この駆け引きがまーエロくて何回聞いてもニヤニヤしてしまう。
けだるいABメロ×2で焦らしてから憂いを帯びたメロディアスなサビが一気に広がる構成も良く、最後まで飽きずに聞ける。
一方で歌詞がエロというかナルシシズム全開の自己陶酔系で、なんというか度肝を抜かれた。
特に「俺を求めれば?」とか斬新過ぎて笑っていいのかときめいて良いのかリアクションに困る。
6.モノクロのキス ★★★
ベタなJ-POPメロ+バンドサウンド+キラキラキーボードというジャンヌダルクっぽい組み合わせのメロディアスなロック。
一周目のAメロにパーカッションが入っているのでほんのりエスニックなアレンジかと思いきや、Bメロ以降は普通に王道のビート系でしょんぼり。
間奏でギターとキーボードがドラマチックに絡むのが格好いい。
7.罪木崩し ★★★★★
ラテンノリの曲その2。
『サーカス』もラテンノリだったけど、こっちはピアノが主体になっていてしっとり大人な感じ。
跳ね回るピアノに合わせるように、時には間を縫うように主張するスラップベースがオシャレ。
アコギはサルサとかでマラカスが鳴らしてる様なリズムを弾いてるんだけど、意外にちゃんと「それっぽい」のが面白い。
全然関係ないけどタイトルがバトルマンガの必殺技に出てきそうな感じでカコイイ。
8.2℃目の彼女 ★
ストリングスで贅沢に冬っぽく仕上げたポップな(?)ラブソング。しかし「ポップな」と形容するにはどうにも煮え切らないアレンジというか…。
音符長めのまったりしたメロディーと超大味なベースと大仰なストリングスで何か胃がもったりしてくる。
一方で軽快な4つ打ちドラムはポップで楽しげ。他のパートが微妙なのでドラムだけ元気いっぱいだとちょっと空しい。
9.capsule ★★★
ドリーミーでナイトメア(バンドじゃなくて悪夢的な意味で)っぽい曲。
浮遊感のある不思議系のAメロの後、ドスの効いたギターがドカンと入ってきて一気にダークな展開へ。
重い音にハッと目が覚めるが、ボーカルだけは最後までノイジーな加工が掛かっていてどこか夢うつつな感じ。
一周目のサビでブチキレ倒すボーカルが、締めの「抱きしめて」でクールダウンするのが格好いい。
そして珍しく長めのギターソロがある。おお、なんかロックバンドみたいだ。
10.ドラマ ★★★
アイドルさながらの超ポップなビートロック。嵐あたりが歌ったら普通にヒットしそう。
確かにアイドルポップとしてなら良質なんだけど、バンドの曲として考えたら普通過ぎていまひとつコメントのしようが無いような。
でも何だかんだでこういうのが一曲あるとライブが華やかになるので、そういう意味では重要な曲。
11.光 ★★
いかにもラストっぽい壮大なバラード。
終始ストリングスに依存してて、最早バンドでやる意味あんのかと思えるくらいバンドサウンドが空気。
しかしアウトロではこれまでのヌルい展開を吹き飛ばすように熱いギターメロが泣きを誘ってくる。
これは相当格好いいのですぐにフェードアウトしてしまうのが本当に勿体ない。
一曲目の病み具合とは対照的な、希望に溢れた詞と曲でアルバムが終わる。ほっこり。
総評.★★★
現在飛ぶ鳥を落とす勢い(多分)のシドのメジャー1stアルバム。
初めて聴いたけど、Aメロ→Bメロできっちり盛り上げてサビに繋げる丁寧な曲作りが好印象だった。
ただ、シンセとかストリングスに主導権譲りっぱなしで、バンド演奏が添え物感覚なのが個人的には残念。
曲はどれも良いんだけど、バンド的な聴き所には乏しいので、「バンドっぽさ」を期待して聞くと肩透かしを食らうかも。
まあでも「歌詞が個性的で歌モノ」っていう強みがあるから、本人達的にはハナからバンドサウンドで勝負する気は無いのかも知れない。
全体的に保守的で丁寧で堅実なJ-Popなので、いきものがかりとかポルノグラフィティとかが好きな人ならきっと気に入ると思う。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)