Reviewer:18th. 112-116 名無しのエリー2008.05.28.
1.Hi-Five ★★★★★
まずは頭打ちリズムが軽快な王道R&R。60~70年代のロックからの影響が感じられる。
音作りがクリアな事以外は特に現代的な要素を差し込んでいる訳ではなく、まんまなのだが、越智のボーカルがえらくパワフルなので引き込まれてしまう。
詞は押韻優先のためか何か変な部分もあるが、彼女は詞にして託したいメッセージをたくさん持っている訳ではなく、
歌うこと自体で表現することが好きという、山崎まさよしみたいなタイプなのかも。
詞にひねりは無いが、実際聴くとエブリバディ、ハイ!という感じはする。
歌詞カード単体で読み物的に楽しめるほど詞を練り込むのもアートだが、彼女の場合は声に出して表現してなんぼという感じ。
音作りがクリアな事以外は特に現代的な要素を差し込んでいる訳ではなく、まんまなのだが、越智のボーカルがえらくパワフルなので引き込まれてしまう。
詞は押韻優先のためか何か変な部分もあるが、彼女は詞にして託したいメッセージをたくさん持っている訳ではなく、
歌うこと自体で表現することが好きという、山崎まさよしみたいなタイプなのかも。
詞にひねりは無いが、実際聴くとエブリバディ、ハイ!という感じはする。
歌詞カード単体で読み物的に楽しめるほど詞を練り込むのもアートだが、彼女の場合は声に出して表現してなんぼという感じ。
2.マニフェスト ★★★★★
攻撃的なベース音で始まる、ブルージーなR&R。曲の印象は黄金期のPearl(田村直美、北島健二、トニー・フランクリン、カーマイン・アピス時)に近い。
アーティスト名の付け方も似てるが。とにかく細かい強弱を駆使する田村と比べると越智は出だしから基本声量が大きすぎる気がするのだが、
盛り上げ所でそれ以上のパワーをぶつけてくるためノープロブレム。ガラガラ声も迫力満点。
声の立ち上がりも早く、瞬発的にボリュームが出るうえ、高音発声時も低い音からずり上げずに一発で音を捉える。
曲としては古き良きロックをそのままトレースしており、そういう意味ではオリジナリティは低いが、歌のパフォーマンスがこれだけなら充分では。
アーティスト名の付け方も似てるが。とにかく細かい強弱を駆使する田村と比べると越智は出だしから基本声量が大きすぎる気がするのだが、
盛り上げ所でそれ以上のパワーをぶつけてくるためノープロブレム。ガラガラ声も迫力満点。
声の立ち上がりも早く、瞬発的にボリュームが出るうえ、高音発声時も低い音からずり上げずに一発で音を捉える。
曲としては古き良きロックをそのままトレースしており、そういう意味ではオリジナリティは低いが、歌のパフォーマンスがこれだけなら充分では。
3.1969 ★★★★
若干フォーキーな音に乗せて、60年代のロックを愛しむさまを柔らかく歌った曲。
過ぎ去ったロック黄金期を「それはまるで 儚い恋のように」と形容するセンスは新鮮。恋を歌にするaikoが書きそうで書かなかった、歌に恋をする曲。
彼女が生まれた時にはもう80年代だったことがいっそう切ない。斎藤和義の「僕の見たビートルズはテレビの中」を思い出す。
当然ながら、普通の女子からの共感度は著しく低い。
過ぎ去ったロック黄金期を「それはまるで 儚い恋のように」と形容するセンスは新鮮。恋を歌にするaikoが書きそうで書かなかった、歌に恋をする曲。
彼女が生まれた時にはもう80年代だったことがいっそう切ない。斎藤和義の「僕の見たビートルズはテレビの中」を思い出す。
当然ながら、普通の女子からの共感度は著しく低い。
4.愛をこめて花束を ★★★★★
ぐっと邦楽に寄り戻した、ポップでメロディアスな曲。
間奏や終盤のキー上げ転調後など、演奏の表情や曲の流れが歌に盛り上げを要求する箇所では得意のパワーでレスポンスする。
彼女は普通の発想と違う、全く新しい歌唱スタイルを持っている訳ではなく、
誰もが「ここでもっとこう歌えたら」と思うけど普通は出来ないような体力的な課題を突破してみせている正統派なので、
聴き手によっては「ただ上手いだけ」という印象かも。個人的には体現してるレベルが並じゃないので凄いと思うが。
二次的な楽しみ方として、キーを合わせて、Bメロとサビの3小節目のメロディを少しいじれば、Mr.Childrenの「CROSS ROAD」とオケ入れ替えで歌える。
Bメロのコード運びが似ていること以外に共通点は無いのでパクリではないが、
偶然ほぼスケール内に収まるメロディで組み上がっているので、布袋とリップのマッシュアップのようで面白い。
こんな所で道が交わった。カラオケの小ネタに。うまくいかない人はAメロは歌詞だけ入れ替えて徐々にペースをつかもう。
間奏や終盤のキー上げ転調後など、演奏の表情や曲の流れが歌に盛り上げを要求する箇所では得意のパワーでレスポンスする。
彼女は普通の発想と違う、全く新しい歌唱スタイルを持っている訳ではなく、
誰もが「ここでもっとこう歌えたら」と思うけど普通は出来ないような体力的な課題を突破してみせている正統派なので、
聴き手によっては「ただ上手いだけ」という印象かも。個人的には体現してるレベルが並じゃないので凄いと思うが。
二次的な楽しみ方として、キーを合わせて、Bメロとサビの3小節目のメロディを少しいじれば、Mr.Childrenの「CROSS ROAD」とオケ入れ替えで歌える。
Bメロのコード運びが似ていること以外に共通点は無いのでパクリではないが、
偶然ほぼスケール内に収まるメロディで組み上がっているので、布袋とリップのマッシュアップのようで面白い。
こんな所で道が交わった。カラオケの小ネタに。うまくいかない人はAメロは歌詞だけ入れ替えて徐々にペースをつかもう。
5.Ain't No Crybaby ★★★★
M2、M3辺りに近い、どっしりとブルージーなロック。Aメロのリズミカルな歌い口調、Dメロの粘り気のある歌い回しと、歌の貫禄は相変わらず。
サビのコーラスが厚すぎたり、ハイハットの音がピシピシとスタジオ的すぎる音だったりと、
録りが生音感薄め(歌も含め、aiko等の方が生に近い)なため、60年代ロック好きにストライクな出来かと聞かれると微妙な気も。
ちなみに詞中の言葉をそのまま曲名にしていない唯一の曲。
サビのコーラスが厚すぎたり、ハイハットの音がピシピシとスタジオ的すぎる音だったりと、
録りが生音感薄め(歌も含め、aiko等の方が生に近い)なため、60年代ロック好きにストライクな出来かと聞かれると微妙な気も。
ちなみに詞中の言葉をそのまま曲名にしていない唯一の曲。
6.Oh My Precious Time ★★
「夏の岸辺でオーイエー」という出だしから想像される通りの、ワイルドワンズ風渚ポップ。
曲に特筆すべき要素は無く、至ってオーソドックス。詞も凄まじくベタで、何やら古臭い。そんなとこまで60年代!?
しかし狙ってアナクロ感を出したようにも感じず、どうにも消化不良な曲。
曲に特筆すべき要素は無く、至ってオーソドックス。詞も凄まじくベタで、何やら古臭い。そんなとこまで60年代!?
しかし狙ってアナクロ感を出したようにも感じず、どうにも消化不良な曲。
7.バンクーバー ★★★★★
はっきりとしたメロディが多い今作中では特徴的な、憂いのあるメロの曲。Aメロはムーディに歌い上げる。
ピッキングハーモニクスやパーカッションに70年代的な暗鬱とした匂いのする曲。若干サイケ気味なコーラスもいい感じ。
ボーカルに比べ演奏が地味な今作中ではアレンジが面白い曲。
ピッキングハーモニクスやパーカッションに70年代的な暗鬱とした匂いのする曲。若干サイケ気味なコーラスもいい感じ。
ボーカルに比べ演奏が地味な今作中ではアレンジが面白い曲。
8.i spy i spy ★★★★
世界的に知名度のあるバンド、JETとのコラボ曲。
自分はJETの曲はCMでやってたやつしか知らないが(しかもイギーポップのカバーだと思ってた)、
この曲は作中で最も遊びがあり、流れの中で丁度良いワンポイントになっている。
節々のアレンジでバトルズの何かの曲を思い出す。
相手が越智だということを考えれば、ギターは普通に上手く弾くべきだった気が。シャッフルを2曲並べた構成もよく分からない。
自分はJETの曲はCMでやってたやつしか知らないが(しかもイギーポップのカバーだと思ってた)、
この曲は作中で最も遊びがあり、流れの中で丁度良いワンポイントになっている。
節々のアレンジでバトルズの何かの曲を思い出す。
相手が越智だということを考えれば、ギターは普通に上手く弾くべきだった気が。シャッフルを2曲並べた構成もよく分からない。
9.嘘とロマンス ★★★
ビーチボーイズ的な王道バスドラ4つ打ちブレイクが入る、そこそこ手堅い曲。詞は60年代というより80年代的な、バブリーで軽薄な感じ。
「恋のナイトフィーバー」みたいな詞を見ると、すかんちのように「洋楽の邦題っぽさ」を狙ってるようにも思えるが。
ちなみにM5を除き、サビ以外の詞から曲名を付けている唯一の曲。
「恋のナイトフィーバー」みたいな詞を見ると、すかんちのように「洋楽の邦題っぽさ」を狙ってるようにも思えるが。
ちなみにM5を除き、サビ以外の詞から曲名を付けている唯一の曲。
10.愛と感謝 ★★
楽曲、アレンジ共に大黒摩季的なビーイング系ポップス。
勿論実際のルーツは別なのだろうが、結果的にビーイングに掘り下げ尽くされた後で既聴感が強い曲調という印象。
いかにもアルバム中盤といった感じのまったりした曲。やはり詞は実直というか、まんま。面白くはない。
歌詞だけ面白い人も確かにどうかと思うが、この人の場合は自発的に言葉を探さないというか、作詞に使いやすい言葉の中からだけ選んでるような印象が。
勿論実際のルーツは別なのだろうが、結果的にビーイングに掘り下げ尽くされた後で既聴感が強い曲調という印象。
いかにもアルバム中盤といった感じのまったりした曲。やはり詞は実直というか、まんま。面白くはない。
歌詞だけ面白い人も確かにどうかと思うが、この人の場合は自発的に言葉を探さないというか、作詞に使いやすい言葉の中からだけ選んでるような印象が。
11.ハロー・ハロー ★★★
特に懐古的という事もない、ミドルテンポのスタンダードなロック。
丁寧だが、越智のポテンシャルをさほど引き出さずに成立し得るので退屈な気も。
Bメロの思い切りのいいキメが印象的。
今作全般でリズム体はどっしりした8ビートが多く、ファンキーで小気味良い16ビートは顔を出さない。
ジャニスとかが好きならそういうのも試してよかったのでは。
丁寧だが、越智のポテンシャルをさほど引き出さずに成立し得るので退屈な気も。
Bメロの思い切りのいいキメが印象的。
今作全般でリズム体はどっしりした8ビートが多く、ファンキーで小気味良い16ビートは顔を出さない。
ジャニスとかが好きならそういうのも試してよかったのでは。
12.Last Love Song ★★★
ピアノ弾き語りバラード。歌の技術は高いものの、詞曲はベタ。臨場感のある録りはいい感じ。
ピアノの伴奏がややのっぺりしており、ラスト付近まであまり表情の変化がない気が。
ピアノの伴奏がややのっぺりしており、ラスト付近まであまり表情の変化がない気が。
13.I remember ★★★★★
ラストは6/8の土臭いバラード。
ブルージーになればなるほど曲自体はコード進行等が既存のものと似通ってしまうので、名曲より名演の勝負になる訳だが、
これだけ歌唱力があるとやはり違う。
ずっと歌を歌い続ける、という決意表明の歌は結構いろんな人が歌っているが、これだけ起伏をつけてたっぷり歌い上げるとさすがの説得力。
歌が上手い人が歌わなければ魅力がない曲。ギターソロも熱い。
ブルージーになればなるほど曲自体はコード進行等が既存のものと似通ってしまうので、名曲より名演の勝負になる訳だが、
これだけ歌唱力があるとやはり違う。
ずっと歌を歌い続ける、という決意表明の歌は結構いろんな人が歌っているが、これだけ起伏をつけてたっぷり歌い上げるとさすがの説得力。
歌が上手い人が歌わなければ魅力がない曲。ギターソロも熱い。
総評.★★★★
ボーカル越智志帆のソロユニット、Superflyの1st。
普段自分が微妙な歌唱力のものばっかり聴いてるせいか、彼女の歌はべらぼうに上手く感じた。ロックを歌わせる限り、彼女に欠点なぞありそうに思えない。
これで1stという事だが、自分の印象としてはプロ中のプロ。
歌を最も強く印象づけるための意図的なものかも知れないが、全般で演奏は生真面目で手堅く、音作りも基本丁寧(JETが最も汚い)。
会社としても彼女ほどの逸材を一部の60年代ロック好きの為だけのもので終わらせたくないのか、広い層を取り込むべく聴き易い作りにした印象。
その分薄まっており、「言うほど60年代っぽいか?」と思わされる部分も。
曲は基本的に元メンバーの多保の手によるものだが、楽曲自体がそこまで突出している印象は受けない。
それよりも、シンプルな曲がシンガー次第でここまでのものになることに驚かされた。是非色んな人の曲を歌って欲しい。
ずっと先、バンドを解散したゆら帝の坂本とトライセラの和田が彼女のバンドで鉢合わせ、みたいなことが起こるのが楽しみ。ファズ男VSリフ男。
それはいいとして、課題はやはり作詞か。特にラブソングは不器用。
小悪魔指数ゼロ、か弱さゼロ、恋より歌というメンタルがそのまま出ている印象。
aikoのように刹那の感情を写真のように切り取りながらひと恋で何十曲も詞を書くタイプでは全くない(どうでもいいがaikoの方が背が高いらしい)。
サビ=曲名の直球ぶりはむしろ稲葉。一方、こうした個性のおかげで、書くよりとにかく歌うのが好きというキャラが一層際立っている面も。
大好きな60年代の洋楽との出会いは大学からとまだ日が浅く、今なお自分が歌うべき音楽を見出した喜びに満ち溢れている印象。
仮に自分より遥かに上手い歌手に遭遇しても、へコむどころか「おめぇ上手えなぁ~~オラワクワクすっぞ!」とか言いそう。
そんな訳でいかにも女性的な女性シンガーが好きな人にはあまり向かないかも。
特に、小さい声量を大きく拡張して耳元で歌ってるように聴かせる至近距離系のシンガー(CharaやYUI等)のファンとは相性が悪そう。
ともあれ、曲は割と普通だがシンガーは普通じゃないので面白い1枚。
普段自分が微妙な歌唱力のものばっかり聴いてるせいか、彼女の歌はべらぼうに上手く感じた。ロックを歌わせる限り、彼女に欠点なぞありそうに思えない。
これで1stという事だが、自分の印象としてはプロ中のプロ。
歌を最も強く印象づけるための意図的なものかも知れないが、全般で演奏は生真面目で手堅く、音作りも基本丁寧(JETが最も汚い)。
会社としても彼女ほどの逸材を一部の60年代ロック好きの為だけのもので終わらせたくないのか、広い層を取り込むべく聴き易い作りにした印象。
その分薄まっており、「言うほど60年代っぽいか?」と思わされる部分も。
曲は基本的に元メンバーの多保の手によるものだが、楽曲自体がそこまで突出している印象は受けない。
それよりも、シンプルな曲がシンガー次第でここまでのものになることに驚かされた。是非色んな人の曲を歌って欲しい。
ずっと先、バンドを解散したゆら帝の坂本とトライセラの和田が彼女のバンドで鉢合わせ、みたいなことが起こるのが楽しみ。ファズ男VSリフ男。
それはいいとして、課題はやはり作詞か。特にラブソングは不器用。
小悪魔指数ゼロ、か弱さゼロ、恋より歌というメンタルがそのまま出ている印象。
aikoのように刹那の感情を写真のように切り取りながらひと恋で何十曲も詞を書くタイプでは全くない(どうでもいいがaikoの方が背が高いらしい)。
サビ=曲名の直球ぶりはむしろ稲葉。一方、こうした個性のおかげで、書くよりとにかく歌うのが好きというキャラが一層際立っている面も。
大好きな60年代の洋楽との出会いは大学からとまだ日が浅く、今なお自分が歌うべき音楽を見出した喜びに満ち溢れている印象。
仮に自分より遥かに上手い歌手に遭遇しても、へコむどころか「おめぇ上手えなぁ~~オラワクワクすっぞ!」とか言いそう。
そんな訳でいかにも女性的な女性シンガーが好きな人にはあまり向かないかも。
特に、小さい声量を大きく拡張して耳元で歌ってるように聴かせる至近距離系のシンガー(CharaやYUI等)のファンとは相性が悪そう。
ともあれ、曲は割と普通だがシンガーは普通じゃないので面白い1枚。
(★5個が満点。)