アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : こばやしたてき。

Reviewer:8th. 107-109 名無しのエリー2004.04.19.

1.絵になる大人 ☆☆☆
印象的なコーラス(ステレオなら左右交互に聞こえる)から始まる、アップテンポナンバー。
まずまずのキャッチーさと、やや耳が痛い歌詞で、まずは先頭打者は四球で出塁、ぐらいの感じ。
2.満月 ☆☆☆☆☆
シングルとしてもおなじみ?のナンバー。かなり覚えやすい&きれいなメロディーで、代表曲の一つとも言えそう。
キーボードの繰り返しのフレーズも、非常に印象的。この曲だけでも聞いて欲しい。
3.迷信 ☆☆☆
ファンク&ロック色が強いナンバー。
もう少しスッキリ目のアレンジの方が、かえって重たい感じになってよかったような気もする。
ライブで聞けば、印象がよくなりそうな気も。
4.Sweet Rendez-Vous ☆☆☆☆
デビュー曲。横ノリのリズムに、やや冗長ながらもキャッチーなメロディで、なかなかの好楽曲。
もう少しだけ、全体にメリハリがあると、もう一段素晴らしい楽曲になったかも。
5.Nerveous Colors ☆☆☆★
パッと聞きでは、イマイチ意味が掴みにくい歌詞のミディアムナンバー。
アレンジもシンプルで、リズム隊も控えめ。真ん中辺りで、一旦ブレイク、そういう位置付けの曲と思われる。
6.Boo Doo Loo ☆☆☆☆★
出だしからして、なかなか凝った感じで、リズムや音の配置に拘ったナンバー。
一番ファンク色が強い?このままでも十分、しかし本人次第ではまだまだよくなりそうな曲。
7.Loop ☆☆☆★
タイトル通り、シンプルなメロディと、やはりタイトル通りの、やや重い感じの歌詞。
後半で唐突に出てくるギターの音色も、奇をてらった感じではなく、自然に溶け込んでいる。
8.パレット ☆☆☆
なぜか、サッカーの映像が浮かんでくる1曲。彼の中でも、他に類を見ないほどテンポが速い。
何とも形容しようのない、なかなか謎な1曲。
9.歳ヲとること ☆☆☆☆
彼の代表曲の一つ。
本人も後に言っていたように、歌のピッチがやや甘いのは気になるものの、他の曲と一味違い、カラっと晴れた空を連想させる曲。
10.String ☆☆☆
最後の曲、というのを意識して作られた(と思われる)、ほぼギターの弾き語りに近いナンバー。
なんとなく物寂しい雰囲気になる1曲。
総評.☆☆☆★
個人的には非常に好きなミュージシャン。
ただ、これは1STで、インディーズでのリリース経験もなかったことから、まだまだ洗練されてない感がある。
とはいえ、メロディーはツボだし、意外なところにも音が配置されているため、何回も聞ける。
正直、恐らく売れないだろうし、本当に微妙なところ(今風に言う、ダメという意味ではなく)を突いているので、
どれだけ多くの人に響くかは保証しかねる。
(☆:2点,★:1点の計10点満点)

Reviewer:20th. 324-328 名無しのエリー2009.01.05.

1.それは愛ではありません ★★★★
インパクトの強い「ミョ~ン」というスペーシーな音と、軽快に跳ねるピアノが印象的な疾走ポップナンバー。
なんでこれをシングルにしなかったのかが不思議なくらいにメロディーは初めから終わりまでキャッチー。
だけど歌詞は妙に後ろ向きなうえメロが途中から語りに変わったり、ブリッジでは三連のスローテンポになったり、
しまいには歌は元のテンポのまま演奏だけテンポダウンして、次のサビではまた元の演奏に戻るという荒業を披露。
フックがありすぎてどこを書けばいいのか逆に悩む…。こんな曲でもさらっと聴いたときの体裁はポップなのが恐ろしい。戦慄の一曲。
2.ピカレスク ★★★☆
不穏な電子音から始まるスガシカオも真っ青なクールなファンク。
シンプルなメロディーながらも、所々演奏で表情を変えたり妖しい雰囲気から浮かない程度にブラスが入っていたりと、
色々工夫はされているので途中でだれることなく飽きずに聴ける。
少年のような細い歌声なので、直球のソリッドで骨太な音は合わないだろうしこういう味付けをしまくった曲調にしたのは正解。
メロディー自体は普通に格好良いしマニアック過ぎないので割と万人向けかも。
3.ヘキサムーン ★★
こちらもピアノが活躍する軽快なポップス。今までの曲に比べると、イントロや間奏などでギターも前面に出て印象的なフレーズを弾いている。
口笛やグロッケン、ハンドクラップが入っていたりと適度に隙間のある編曲も遊び心があって良い。
こんなポップな曲に「気持ち悪い」なんて少しびっくりするような言葉を載せている違和感も、ちょっとしたアクセントになっている。
濃い曲が続いてたからこういう薄味の曲がアルバムのワンピースとしてあるのは嬉しいけど、シングルとして切るには地味すぎじゃ…?
4.イノセント ★★★☆
繊細な曲の世界へと優しく誘ってくれるようなエレピの音色がたまらなく心地よいスローバラード。
最初はエレピとパーカッションのみから徐々に楽器が増えていき、最終的にはストリングスが曲を盛り上げる展開はいかにもJ-POP。
この人の唯一のヒット曲「祈り」に近いものがあるんで、知っている人はああいう曲を想像してもらえれば多分間違いないと思う。
これといってマニアックな仕掛けもないので、このアルバム内で一番聴きやすい曲かな。普通に人に薦めることのできる一曲。
5.Silence ★★☆
色々な音をぶち込みまくったアンビエント風の不気味なトラックの上に、淡々と美しい歌を乗せた実験要素の強い一曲。一言でいえばカオス。
「普通に編曲すればなかなか良いバラードになりそうなものを…」とがっかりする人もいるかもしれないけれど、こういう曲が入ってる方がやっぱ面白い。
ただ面白いけど終盤はサビの同じフレーズの繰り返しでやや冗長なので、単純に曲として評価したら物凄く良いってわけじゃない。
6.目覚め ★★★
四分音符を刻むピアノの伴奏を主軸としたベタなバラード。
心の琴線をくすぐってくるメロディーは極上だし、どこか空虚な心情を歌った歌詞も染み入るものがある。
04と同じく悪くない、っていうかむしろ良い曲なんだけどなぁ…。
この人ならではのヘンテコなアレンジや、「あれ?」と思うような破綻した部分が特にないのが残念。
バラードが嫌いな人じゃなければ普通に気に入りそうな一曲。
7.コスモス ★
メロディー自体は他愛無くて面白みに欠けるけど、このアルバム内では異色の中華風アレンジが新鮮な一曲。
終盤のR&B風になる部分が面白いけど、それ以外はちょっと平凡かなぁ。4分ほどで終わる曲なのにそれ以上に長く感じてしまう。
8.夏の予感 ★★★★
04、06と同じくピアノメインのバラード。
ちょっとこの流れだと食傷気味だけど、このアルバムのバラードで一番出来が良いのがこれかな。
絶妙な転調に加えメジャーとマイナーを行き来するメロディーがとにかく絶品だし、映画音楽のようなジャズ風の演奏も心地よいし、
他のバラード曲と一線を画している。
途中のノイジーなCメロも良いアクセントになっていて、やっとこの人らしさが出たバラードがキタなと思わずニヤリ。
9.ある場所にて ★☆
チューニングの狂ったファニーなピアノに乗せてポップなメロディーを歌い上げる一曲。なんとなく古いアメリカのコメディを連想させる曲調。
05と同じくマニアックさとポップさが9:1くらいで実験要素が強いので万人向けではない。面白いけど曲単体で聴くものじゃなくてアルバム内のアクセントかな。
でもそうだとしてもそこまで絶妙な位置に配置されているとも思えないんだよなぁ…。なんともいえない一曲。
10.斜陽 ★★★★☆
温かみのある切ないメロディーが比較的シンプルなバンドサウンドに乗せて歌われる一曲。個人的にこのアルバム内のハイライト。
イントロやCメロの攻撃的で奇妙な歪んだギターが物凄く印象的。
サビの溢れんばかりの感情を訴えかけてくるようなメロディーのリフレインに思わず胸がいっぱいになる。
バンドサウンドにこの人の声が合うかなぁと思ったけど、サビでは多重録音されたヴォーカルで厚みを出しているし、
何よりこの細い声で高音を歌ったときの危うい感じが悲痛な心の叫びのようで良い味を出している。
これを聴きながら夕陽を眺めたらたまらんですよ。
11.ミモザ ★★
いかにもアルバムの締めですよといった感じのピアノ一本で歌われるバラードの小品。
突出するところもなくまぁ上手くまとまっていて無難な出来。
これといって特筆するところもないけど、良い具合に余韻を残してアルバムを聞き終える事が出来る。
総評.★★★
現在はインディーズで活動中の小林建樹の3rdアルバム。4thシングルの「祈り」をスマッシュヒットさせた人…といっても通じるのかな?
平原綾香の「誓い」の楽曲提供者といったほうが良いのかもしれない。
このアルバムでは全曲において作詞・作曲・アレンジをしていて、切ないメロディーも良いんだけど、この人独特のアレンジがやっぱり良い。
奇妙な電子音を取り入れたり、アンビエント風にしてみたり、時にはメロディー自体を放棄したり…。
それでいて体裁としてはポップな曲が多いのがこの人の魅力だと思う。
メジャーでこんな感じの音を出してる人ってあんまり良い例が思い浮かばないけど、このごちゃ混ぜ感は椎名林檎の3rdに近いかな?
でも小林建樹は色々なジャンルをごちゃ混ぜにしているわけでも珍しい楽器を使っているわけでもなく、
基本はポップなアレンジの中で色々やっているからやっぱり違うか…。前言撤回。
欲を言えばもうちょっと「これだ!」っていうキラーチューンが欲しかったけど、あんまりメジャーシーンでは見かけない音なんで、個性的な音を求めている人にはお勧め。
ただ、少し似たようなバラードが多い事と、良い曲と悪い曲の差が激しいのが残念。
個人的にはポップさとマニアックさのごちゃ混ぜ感が凄く好きなんだけど、
普段巷に溢れているJ-POPばっかり聴いている人にはちょっとアバンギャルドすぎるかもしれないし、
マニアックな音楽を聴いている人にはポップすぎるかもしれないっていう中途半端さにもつながるかもしれない。
まぁごちゃごちゃ書いても訳わかんなくなるんで気になった人はどうぞ。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)