アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : たかはしてつや。

Reviewer:21st. 215-219 名無しのエリー2009.04.03.

1.My Favourite Girl ★★★
彼のデビューシングルとなった最高にキャッチーな爽やかな好青年風ポップナンバー。
身も蓋も無い言葉で言ってしまえば、LIFE期の小沢健二を髣髴とさせるアレンジと曲調。
気持ち良い晴天を思わせる抜けの良いメロディーは、何気ないようだけどセンスを感じさせる。つい「マーイフェバリッガール♪」と口ずさんでしまうし。
90年代にCMとかドラマのタイアップがついてれば、30~40万枚程度のスマッシュヒットになってそうな派手さは無いけど堅実な良曲。
2.CALL ME ★★☆
古いアメリカンポップスを思わせるようなギターの音色が印象的なあっさりとしたポップス。
メロはかなり平凡な印象だけどサビに近づくにつれてなかなかの盛り上がりを見せるうえ、
サビのメロディーでは細かに転調を繰り返し面白い展開をみせるので意表を突かれる。
全体をさらっと聴くと凡庸な一曲に聴こえるけど、良くきれいにまとめたなぁと思わず感心してしまう。
3.サマーパレードの思い出 ★★★☆
デビューシングルのカップリングとなった一曲で、適度に力の抜けたアレンジが心地良い一曲。
祭りが終わった後の寂しさとか、夏の思い出を辿っている時の甘酸っぱい感覚を思わせる切ないメロディーが、
前述したような力の入っていない、そっけないと感じてしまうほどのアレンジのおかげで感傷的になりすぎてないのが良い。
夏の終わった恋をテーマにするとどうしても湿っぽくなりがちだからこういう曲は貴重だと思う。地味だけど佳曲。
4.幸福の国 ★☆
ストリングスとチープなオルガン、コーラスなどで構築されているディズニー映画みたいな世界観がおもしろい一曲。
けれどメロディーは転調しまくったりせずに、これといって面白い展開を見せないから結局退屈な一曲になってしまっているのが残念。
アウトロでストリングスやコーラスが絡み合ってカオスになっていきおとぎの世界が壊れていく様子は、
「幸福の国なんてどこにもないのさ」というシニカルなメッセージが込められているようで圧巻。
っていうのは多分深読みしすぎ
5.バタフライナイト ★★★★☆
どことなくプリンスを思わせるようなメロウなブラックテイストのアレンジがアルバム内で異色の一曲。
単純に物憂げなメロディーが良く出来ているけど、そのメロディーと歌詞、歌唱の整合性がまた抜群に良い。
恐る恐る前に進もうとしている少年の心境を、ファルセットを織り交ぜて歌うのは実に良い演出だと思う。
特にブリッジの「あまりにも大きすぎて~」の部分はそれが顕著に表れていて鳥肌もの。出色の出来。
6.傷ついたままの君が好き ★
快速なテンポでまくし立てるように歌うギターポップナンバー。
わかりやすいというかありきたりな曲調なので、この人が歌ったのは別に聴かなくてもいいかなぁと思ってしまう。
一応メロではメジャーだったのがサビではマイナーに転調したりと、この人なりの味はあるんだけれどもね。
なんとなくポルノグラフィティのカップリングとかアルバム曲にありそうな感じ。
7.角の向こうでワルツ ★★★★
霧の向こうから響いてくるような幻想的な雰囲気をもつタイトル通り三拍子の曲。
素敵なフレーズを弾くムーディーなギターや降り注ぐようなチェレスタ、この曲の世界観に引きずり込まれそうになるフルートの音色が凄く良い味を出している。
メロディーも相変わらず転調をしながらもスムーズな流れだし、「do do do...」のスキャットでの女性コーラスとの絡みも秀逸。傑曲。
8.ドライブ ★★☆
シャッフルのリズムで歯切れ良く歌うシンプルな構成のギターポップナンバー。
サビのファルセットで一気に上に上り詰める歌唱がもの凄い高揚感を生み出していて、思わずテンションが上がる。
まぁ悪くはないけれども、難癖をつけるならシャッフルのリズムが疾走感を殺してしまっているような…。
これじゃ"ドライブ"じゃなくて"スキップ"だろ…。
9.真夜中のドライブイン ★★★☆
デビューシングルになり損ねて本人が歯がゆい思いをした、というエピソードを持つミディアムテンポの一曲。後にシングルカットされた。
車窓から夜明けを見つめているような気だるい爽快感に包まれた曲で、何ともいえない雰囲気をかもし出している。
ピアノやブルースハープやオルガンを取り入れてながらもごちゃごちゃしすぎずそっけなさ過ぎず最適なアレンジが良いし、
そして何よりも曲展開がドラマチックでアルバムのクライマックスにはもってこいな一曲。アウトロは謎。
10.欲しいものは、何? ★
渋谷系ポップスを思わせるようなスノビッシュな感じのメロディーが印象的なポップス。
アルバム内の箸休め的なポジションに置けば良い感じだっただろうけど、アルバムのラストナンバーとしては明らかに場違い。
歌詞は救いが無く絶望的な感じで、後のこの人の曲の世界観に通じるものがあるので、そういう意味ではまぁ見逃せない一曲かもしれないけれど…。
単体ではかなりどうでもいい曲。
総評.★★
現在はインディーズに移り活動がほぼ休止中の高橋徹也。彼がキューンソニーで出したもう廃盤の1stアルバムがこれ。
今まで自分も全然名前を知らなかったミュージシャンだけれど、
去年くらいにこのスレで6thの「ある種の熱」のレビューが投下されたから興味を持って聴き出した。で、気に入った。
6th→2nd→5th→4thと聴いた自分が思うこの人の曲の特徴は、転調を駆使して作り上げられたねじれたメロディー、
ロックやジャズを取り入れた時に荒々しく時に繊細なアレンジ、そして日常の中の違和感とか狂気とか不安を描いた歌詞。
…だと思っていたんだけど、この1stアルバムはまだ音楽性が定まっていなかったのかレコード会社の戦略なのか、
”好青年が歌う爽やかなポップ・アルバム”といった趣に仕上がっている。無菌状態の温室育ちいうかなんというかそんな感じ。
当時”ポスト・小沢健二”という触れ込みで雑誌に紹介されていたというのも納得。声も小沢健二が大人びて色気をプラスした感じで似てるし。
転調をしながらも滑らかなメロディーはこのころから変わらないけれども、
どうにもアレンジが甘めなせいかメロディーが面白いことになっていても平凡な曲に聴こえてしまっているのが多くてもったいない。
まぁ後の彼のアルバムと比較しての話だし、当時無名の(今もかw)新人シンガーソングライターの1stアルバムとしてはなかなか良くできていると思う。
ただ、このアルバムを聴いてこの人にどっぷりはまるって人は少ないだろうな…。
聴きやすいけどこの人らしさが出た代表作、入門の一枚といった感じじゃなくて、この人にどっぷりとはまったマニア向けかも。
この人に興味がある人はメジャー時代の1st~3rdはどれも廃盤だけど2nd「夜に生きるもの」がお勧めです。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:10th. 7-8 名無しのエリー2005.05.17.

1.真っ赤な車 ★★★★★ いきなり飛ばしすぎの名曲! 凄く聴きやすいのに、ムチャヤヴァイ歌詞!聴いていてキチガイが感染しそう!!
2.ナイトクラブ ★★★ 所々面白いけれど、落ちが弱い気が。
3.鏡の前に立って自分を眺める時は出来るだけ暗い方が都合がいいんだ ★★ シングル曲だそうですが、もうちょい捻りが欲しい。タイトル負け。
4.人の住む場所 ★★★ 普通にいい曲でありながら、この人特有の「日常に潜む嫌な感じ」が出せていて良い。
5.夕食の後 ★★★ 聴き終えて嫌な気分になる(褒め言葉)佳曲。
6.女ごころ ★★★★ 歌詞がお上手。じんわり来る。
7.チャイナカフェ ★★★★ シングル曲。これも歌詞がお上手。くだらないんだけれど、面白すぎる。
8.いつだってさよなら ★★★ しんみり来る佳曲。
9.新しい世界 ★★★★★
もの凄くキャッチーで聴き易いのに、よくよく聴くともの凄く狂った歌詞!!8分を超えるシングル曲だそうですが、これは傑作!!
10.夜に生きるもの ★★ 落ちとしては弱いかも。正直蛇足か?
総評.★★★★
90年代後半の埋もれた佳作。もう廃盤だけれど、是非探して欲しい。
(★5個が満点。)

Reviewer:22nd. 406-411 名無しのエリー2009.11.17.

1.真っ赤な車 ★★★★★
シンプルかつ豪快なギターストロークで、4分半ぐいぐい引っ張っていくロックナンバー。
ちょっぴりひねくれた、それでいて聴いた瞬間から口ずさめるキャッチーなメロディーがとにかく極上だし、
ダサ格好良いアナログシンセ、切れの良いダイナミックなドラム、メロディアスにうねるベースなどの演奏もドライヴ感があって良い。
サビでの「先まわりしたのは君の方なんだろ」というくだり以降の、演奏と歌が一緒になったときの高揚感は感涙もの。
初っ端から星五つ付けるのは気が引けるけど、アルバムのオープニングとしても曲単体としても最高の一品。
2.ナイトクラブ ★★★★☆
前曲から一転、体中にまとわりつくような重苦しい演奏が印象的なダークなジャズ。
光が差し込む気配さえ見せない暗いメロディーと、日常の中に潜む気持ち悪さを描いた歌詞とで構築される閉塞的な世界観で
とことん鬱な気持ちに引きずり込まれていき、それが逆に気持ち良いほど。
途中「ナイトクラブ」という2音のヴォーカルラインを転機に転調を繰り返してコードと演奏とで表情を変えていくんだけど、
ライヴでステージの電飾がカメレオンのように次々と色が変わっていくような不思議な恍惚感に満ちていてたまらない。
いびつなメロディーを取り入れながらも、最終的に綺麗にまとめあげた彼のソングライティング能力に感服。
3.鏡の前に立って自分を眺める時は出来るだけ暗い方が都合がいいんだ ★★
寝起きの低体温なテンションで書き上げたような気だるいメロディーが、ディスコティックな演奏に乗って歌われる気持ち悪い曲。
まずイントロのギターが気持ち悪い。音色は全然普通だけど、フレーズがどこかしら気持ち悪い。
ディスコの能天気なビートとのミスマッチしているが故のマッチ具合が気持ち悪い。
後半のサックスソロなんかやばい。気持ち悪いを通り過ぎて三次元を突き抜けて四次元に到達したかのよう。狂気すら感じる。
まぁこれはかなり誇張かもしれないけど、普通シングル曲にはあり得ない気持ち悪い要素がたくさん入ったシングル曲。
でもなんだかんだ書いたけど、インパクトはあるけど全体的にこれっていう部分がない感じで物足りない。一曲としてはやや弱いかな。
ちなみにこの長いタイトルはサビ全部を引用している。大してキャッチーでもないこの文章をタイトルに付けたセンスがすげえw
4.人の住む場所 ★★★★
前作の路線の楽曲を、このアルバムの気分で演奏したらこうなりましたって感じのポップナンバーで、ファンからの人気も高い一曲。
基本的にオーソドックスな仕上がりだけど、ところどころ予想を裏切りながら展開していくメロディーラインはまさに高橋徹也節。
1stアルバムみたいなちょっとすましたような渋谷系臭さのあるポップな、饒舌なアレンジではなくて、
このアルバムの楽曲に共通している若干荒々しさのあるバンドサウンドにのることで、逆にメロディーの良さが引き立ってる感じ。
この人の持つポップセンスが一番素直な形で出ている曲かな。
5.夕食の後 ★★★☆
転調しまくるねじれたメロディーを、さらっと小気味良く展開していく攻撃的なジャズロック。
慣れないままアカペラで歌ったら、確実に音をはずしそうなほど音がとりにくい性格の悪いメロディーを結構強引に展開させていて、
いびつに感じるといえば感じるんだけど、なぜかスタイリッシュに聴こえる不思議。
とげとげしい歌唱や生々しいアレンジからは何か怒りのような苛立ちのような感情を感じ、それがまた歌詞とシンクロしていて良い。
絶妙に旋律に絡んでいるような、無関心に好き勝手演奏しているような菊地成孔のサックスが素敵だ。
6.女ごころ ★★☆
サイケデリックなギターサウンドの上を揺らめく、不安定なメロディーが印象的なナンバー。
意味深な歌詞とメロウなメロディーで、心地良いような気持ち悪いような不思議な感覚が味わえる。
この気持ち良さと不安定さを揺れ動くこの人の曲独自の感覚が良いんだよね。
これまでの曲と比べると薄味な感じで正直インパクトには欠けるけど、じわじわと心が不安に侵食されていく一曲。
7.チャイナ・カフェ ★★★★☆
彼の一つの転機となったであろう似非中華風ひねくれディスコナンバー。スペースシャワーTVのPOWER PUSHにもなった恐らく代表曲。
決して尻尾をつかませようとしない予測を裏切るメロディー展開で、一歩間違えれば小難しい面倒くさい曲になってしまいそうだけど、
適度に軽さのある演奏と遊び心のある歌詞のおかげで大衆性もある曲に仕上がっている。
ヴォーカルラインはコンパクトにまとまっているけど、間奏やアウトロでの展開の多彩さでなかなか飽きさせない。
この"なんちゃって中華風"のいかがわしさ溢れる雰囲気と、中毒性の高いメロディーが癖になる小粋な傑作。
8.いつだってさよなら ★★★
流麗なピアノ一本にのせて歌われる、このアルバム内で唯一のバラード。
メロディー、歌詞、アレンジなど、どの要素にもこれまでの曲のようにいたるところに引っかかりがあるような曲ではないため、
このアルバム内で一番まともな曲になっている。
それでも珠玉のソングライティング力は健在で、まとまりのよい感傷的なメロディーが胸を打つ。
9.新しい世界 ★★★★★
高橋徹也の病んだ世界観と極上のポップセンスが全開になった、8分に渡る大作。スカパラがホーンでゲスト参加。
メロではシャッフルのリズムでうきうき感に満ちたメロディーと彼女との楽しげな日々を描いた歌詞で、
"なんちゃって小沢健二"な展開を聴かせてくれるが、サビになった瞬間マイナーに転調。
「強い力で俺を導く世界なんてどこにもないのさ」と歌いあげ、それまでの世界観を自ら壊しにかかってくる。アバンギャルド!
そして何と言っても聴き所は、間奏の本人による女性のようなファルセットの後。
続くサビでは1コーラスごとに半音ずつキーをあげていき、最終的にはなんとそれを4回も繰り返す。
それからアウトロのスキャットまでの尋常じゃないテンションは圧巻。
このアルバム内のハイライトであり、間違いなく彼の最高傑作の一つに入るであろう一曲。
10.夜に生きるもの ★★★☆
やばいくらいの狂気に支配された、暗くブルージーなジャズ。
鬱な気分のときに聴いたら深く深く沈んでいって戻ってこれなくなりそうな、そんな不安さえ抱かせる。
この曲の、アルバムの狂気を端的にあらわしているような歪んだギターサウンドが良い。
アウトロで延々と繰り返されるノイジーなギターのリフレインが恐ろしくも恍惚感に浸れる。意外とライヴ映えしそう。
ぷっつり事切れたように音が切れて終わるラストは、アルバムのジャケット写真を模したようで良い演出。
総評.★★★★☆
高橋徹也、メジャー時代2枚目のアルバムで彼の最高傑作の一つ。
狂気や焦燥が日常に密接した形で語られる歌詞、二転三転とひねりを加えながらもキャッチーに仕上げられたメロディーなどの彼の持ち味はそのまま、
遅れて出てきた渋谷系といった趣だった前作から一転した、荒々しい変化を遂げたサウンドが印象的。
全体的にくすんだ色彩のジャズ、ロックテイストにまとめられています。
饒舌すぎてメロディーがやや殺されていたアレンジの前作と比べ、この作風のおかげでこの人のメロディーが最良の形で表現されている。
この人の最高傑作といったらこれか3rdアルバムだと思うんだけど、これは一曲一曲の濃度を濃くした作品集といった趣。
彼の病んだ音楽センスが、語弊があるかもしれないけど最高にポップに響いているアルバム。
どの曲も何かしら「おっ!」と感心したり「ん?」と引っかかる部分があって、きちんとキャラが立っている。
特にメロディーに関しては曲のレビュー内で何度も触れたけど、さらっと聞き流せない強い個性があります。
メロディーにしても歌詞にしてもアレンジにしても、全体的にマニアックだけど決して衒学的だったり独り善がりじゃなく、
ポップスとしての機能性も兼ね備えていて聴きやすいんだよね。意外と音楽命!っていう人以外にも受け入れられるところがあるんじゃないかな。
個人的には岡村靖幸「家庭教師」、椎名林檎「無罪モラトリアム」、小沢健二「LIFE」、スピッツ「ハチミツ」 などと
同列に語られても良いくらいの90年代の名盤だと思ってます。
彼の音楽性を端的に、分かりやすく示しているアルバムがこれだと思うので入門盤としてもお勧め。
廃盤なのが残念すぎるけど、興味がある人はオークションや中古ショップで探してみてください。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:10th. 9-10 名無しのエリー2005.05.17.

1.テーマ ★★★ じんわりとしたアルバム幕開けの曲
2.後ろ向きに走れ ★★★★★
最初は笑いながら聴けていたけれど、聴き込むうちにマジで気持ち悪くなってくる。この人特有の「キチガイが感染するだろ止めてくれ」ソング
3.悲しみのテーマ ★★★★ 地味だけれど、これも歌詞がよく聴くと狂っている。ヤヴァイ。
4.シーラカンス ★★★★ シングル曲。心地よく聴ける気持ち悪い曲。
5.かっこいい車 ★★★★ 静かな怒りを感じる曲。他にはない味わい。
6.世界はまわる ★★★★ アレンジの面で特有のオリジナリティを感じる。
7.笑わない男 ★★★★
サビメロが前作の「チャイナフェ」の使いまわしで、最初は何気なく聴ける曲だが、
「後ろ向きに走れ」同様、聴きこむうちにキチガイが感染して気持ち悪くなって来る。
8.ベッドタウン ★★★ 地味なタイトル曲。結構染みる曲。ラストへの伏線的意味合いが強い。聴く時の気分によってはなぜか気持ち悪くなる。
9.犬と老人 ★★★★ アルバム最後の曲。ここまで追い詰められていた気分が一気に浄化される。地味だが歌詞が深い。名曲。
総評.★★★★★
もの凄く地味だが、90年代でも5本の指に入る名盤だと思っている。
廃盤なのがもったいなくてならない。
(★5個が満点。)

Reviewer:23rd. 183-186 名無しのエリー2010.03.10.

1.テーマ ★★★
弾き語り調で始まる良メロディーでごくごく普通のバラード。夜明けっぽい雰囲気。
あまりにも普通すぎるせいでかなり印象が薄い。ピアノの入れ方もなんだか古いフォークロックみたい。
リードギターはペダルスチールみたいな音、フレーズで、ホーンのアレンジもフォークっぽい。癖が無くて普遍的な曲。
一度このアルバムを通して聴いたあとに聴き返すとこんなにまともな曲があったのか、と思ってしまう。
2.後ろ向きに走れ ★★★★
出だしは普通なミドルテンポなかっこいい曲。演奏もとてもかっこいい。
しかしサビが何か変。何か気持ち悪い。ベースもぐにゃぐにゃしてるし、ハモリもおかしいし気持ち悪い。
そしてアウトロの歌詞が完全に狂っちゃってる。このアルバムに何かしらの違和感を抱くには十分すぎるやばさ。
3.悲しみのテーマ ★★★★
前曲の雰囲気を引き継いだ曲。この曲もかなり気持ち悪い。
少し歪んだギターが明らかに浮いてる。ガガッガガッという抜けの悪さが印象的。
またサビでパーカッションが有効に使われ、踊れる気持ち悪い曲になっている。
4.シーラカンス ★★★★★
疾走感のあるボサノバ。たまに出てくる不気味なコーラスや狂った歌詞で気持ち悪さは最高潮。
軽快なガットギターから急にドスンと来る楽器勢への切り替わりもスムーズ。全体的に重いがサビで軽快に加速するイメージ。
といっても加速は加速でも、沈む速度の加速の感じ。最初から最後までダウナーで、この沈み込むような様はまさに「シーラカンス」。
5.かっこいい車 ★★★
ここで一休みの軽めのポップス。
だが明らかにおかしい。ボーカルのテンションが狂ってる。完全に何かのネジがすっ飛んでる。
曲調はほのぼのしてるので気味悪さ倍増。もしかしたらこのアルバムで一番性質が悪いかも。
6.世界はまわる ★★★★
ファンキーなアコギと不思議な音色のサックスが印象的でアダルトな雰囲気。
アルバムに綺麗に溶け込んでるので最初は気づかなかったが、気持ち悪さの無い様に感じる。いやもしかしたら感覚が麻痺してるだけかも。
しかしアウトロでまさにタカテツ節とも言える明らかに気持ち悪いフレーズが復活。ちょっと似たフレーズでも不思議と飽きが来ない。
7.笑わない男 ★★★☆
ダンディーなベースリフを軸に前作収録の「チャイナ・カフェ」の延長線上にあると思われる曲。
チャイナカフェのようなユーモアな雰囲気はほとんど皆無で、歌詞もそれ以上に狂気じみている。
やたら長ったらしい間奏の焦らしといい、それほど印象的な曲ではないが大して明るくも暗くも無い気持ち悪さ。
8.ベッドタウン ★★★★★
前半は歌詞の通り不気味なくらい静か。徐々に音が重なり盛り上がる展開のバラード。
全編を通してアレンジが非常にシンプルで地味ながら、広い音楽性を吸収したこのアルバムの中で異質の存在感を放っている。
日常に潜む狂気を描いた歌詞もピークを見せ、繊細な世界観を提示。後半のシンセの質感が生々しく迫力満点。
イントロの静かなドラムからアウトロの美しい余韻を残すピアノまで素晴らしい構成。
9.犬と老人 ★★★★★
これは何というジャンルの曲なんだろう。
とりあえず英語が似合うメロディーではないので、洋楽っぽい曲ではない。かといって邦楽っぽいわけでもない。
アルペジオのギター、ベース、ドラムのみの地味な編成で異常な緊張感。歌い方も神経質な雰囲気が漂う。
そして歌詞がやばいくらい狂気じみてる。
奇跡だとか運命の出会いとかを痛烈に皮肉ったかなり深い歌詞だと解釈しているが、言葉の選び方、「犬と老人」という比喩、どこを切っても狂ってる。
それに歌詞とメロディーの相性がかなり良い。個人的に是非とも聞いて欲しい曲。
総評.★★★★★
高橋徹也メジャー時代の三枚目。前作「夜に生きるもの」からわずか5ヶ月程でリリースされた。
前作はかなり吹っ切れた作品で、彼の持ち味が十二分に発揮され、おそらくはどの層が聞いても受け入れられそうな仕上がりだったが今作は違う。
一曲目以外ほぼ全方向で狂った音楽性が剥き出しで、深く暗い内省的な内容。
救いが無いというよりは、ただ自分にとっての日常を歌ったらこうなった、みたいな感じ。
さらに全体的に地味。
前作は「真っ赤な車」、「チャイナ・カフェ」、「新しい世界」など核となる曲が目白押しだったが、目立つような曲はない(強いて言うならラスト2曲)。
また気持ち悪さがアップした分、オザケンっぽさがほとんど無くなったので、オザケンというキーワードに惹かれた人は間違いなく後悔する。
そもそもオザケンとタカテツは音楽の感覚が近いだけで表現しようとしてるものが全然違うんだけどね。
歌詞は「~だが、~でも無い」といった内容が多く、彼の日常に対する違和感が聴いて取れる。特に「犬と老人」の歌詞は是非とも触れてみるべし。哲学的で深い。
結局前作よりも統一感があり、かなりの傑作であるのは間違い無いと思う。ただし、試しに聴いてみたいという人には間違ってもオススメできない。
前作のほうが名盤らしいし、個人的には支離滅裂ではなくこれほど狂ったアルバムには出会ったことことは無いです。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:24th. 88-91 名無しのエリー2010.09.18.

1.テーマ ★★★
歌詞にも登場してくる"朝日"を思わせる穏やかなスローナンバー。
メロディーは誠実なシンガーソングライターっぽくて普通に美しく、1st期の小沢健二が歌ってもおかしくない感じ。
曲が進むにつれて音が増えていき、曲調としては一応開放的になっていくけれど、歌詞は閉塞的というか軽く絶望的というか、
何かしら心にわだかまりが残るような内容のため、心地良いんだか悪いんだか分からない妙な曲。
2.後ろ向きに走れ ★★★★☆
這いまわるようなベースとドラムから生み出される重たいビートに乗せて歌われる、ブルースっぽいロック。
イントロのブルースハープのフレーズや、メロは普通に格好良いんだけど、
うねうねしたギターは薄気味悪いし、サビに入ったとたん妙な転調、展開を聴かせるメロディーは純粋に気持ち悪い。
メジャー期のこの人の持ち味である"日常の中の狂気"が最も色濃く、分かりやすく出ている曲じゃないかな。
3.悲しみのテーマ ★★★★
閉鎖的な曲調だったころのスガシカオを思わせるダウナーなファンク。
スリリングに展開されるメロディーは、それだけで評価すれば今作でもトップクラスの出来かと。
滑らかな展開に聴こえるけど、どこかいびつなサビは地味に狂っていて良い。
ベースのフレーズやエレピ、アウトロでの演奏は、追い詰められている歌詞の世界観にマッチしていて好アレンジ。地味だけど。
4.シーラカンス ★★★★★
オルタナロックとボサノバを融合させた、ダークな疾走感が溢れる一曲。個人的にこの人の音楽的な才能の頂点的な曲だと思う。
「お前とりあえずそれがやりたかっただけだろ」と感じるような、頭でっかちの印象がぬぐえない曲ではなく、
このアレンジ、歌詞、メロディーである必然性がしっかりと感じられるのがグッド。
終盤、歌詞中で"君"と"僕"の視点が交錯して、コーラスが徐々に重なりたたみかけるように歌われる様は何度聴いても圧倒される。
ある程度キャッチーではあるけど、これがアルバム唯一のシングルっていうのも凄いな…w
5.かっこいい車 ★☆
どこかファニーというか、間の抜けたメロディーや演奏が印象的。
個人的に曲名のせいで、前作収録の「真っ赤な車」みたいのを想像してただけに肩透かしな印象。
にしてもこの曲も、なかなか気持ち悪いメロディー展開になってます。これを音外さずに歌えたら結構凄いと思う。
6.世界はまわる ★★★
生々しいアコギのストロークと即興的なサックスの演奏にのせて、独り言を吐き出すように歌われる一曲。
疲れ切ったというか、いらだったというか、なんというか負の感情をまっすぐ生でぶつけられているようで嫌な気分になる。良い意味で。
「この素晴らしい世界へ旅立とう君を残して」という歌詞は、この人が歌うからか、この曲調のせいか分からないけど物凄く怖い。
そういえばこの曲ってジャンルで言うとなんなんだろう?誰か詳しい人教えてください。
7.笑わない男 ★★★☆
骨太なベースのリフを軸に展開される、重いファンクロック調のダンスナンバー。
なかなか新しい展開を見せないメロディー、演奏が曲調とともに聴き手の苛立ち、不快感をあおる。良い意味で。
"ダンスパーティーで一度も笑ってない地味な男"を他者の目線でつづる歌詞はこの人ならでは。
それを語る人も"爆弾を片手にチークダンスを踊る男"だったりして、この人なりのユーモアに溢れている。
"些細なことだけど、どこか気になる日常の違和感"が上手い具合に表現されていて嫌な感じ。良い意味で。
8.ベッドタウン ★★★
このアルバム全体のテーマである"ベッドタウン(日常)"を主題に置いたスローテンポの曲。
ピアノ主体のバンドサウンドで、不気味なくらいにきれいなメロディーが印象的。
彼の淀みのない声と、素直な歌唱が最も映えているのがこの曲かな。
右チャンネルでせわしなく昇降を繰り返すギターや終盤登場するシンセが、曲に"美しい"という印象だけでなく、
サイケデリックな空気を添えていて良い味を出している。
9.犬と老人 ★★★★★
高橋徹也自身が最高傑作と自称する一曲がこれ。実際名曲だと思う。
UKっぽいというかサイケっぽいというか、非日常的な空気を醸し出しているギターサウンドが美しい。
相変わらず歌詞は主観的かつ閉塞的、加えて微妙に精神状態の危ういものになっているけど、
日常の中の狂気、閉塞をひたすら歌い続けたこのアルバムの中で、
唯一この曲だけがそういったものを全て受け止めているというか、許しているというか、そんな領域に達している気がする。
このアルバムの結末としてはこれ以上ない一曲。
総評.★★★★★
高橋徹也の3rdアルバムで、メジャー時代最後のアルバム。
前作は一曲一曲の濃度をとろっとろに煮詰めた最高の猟奇的ポップアルバムの名盤だったけど、
難癖をつけるとしたらアルバム全体としての統一感に若干欠けていた。
このアルバムはその逆で、曲単体よりも全体としての完成度を追求したアルバム。
とにかく流れが良いし、全曲の根底に"日常の中の狂気"が貫かれているので、アルバムのカラーがしっかり出ている。
レビュー中で触れなかったけど、03、04では同じような高音コーラスが効果音的に使われていたりと、
歌詞だけではなく、アレンジの世界観においてもある程度共通点があることも、統一感をもたらしている。
だから個人的にそれ単体ではしっくりこない05も、このアルバム内で聴くと流れとして存在の必然性を感じる。
iPodでシャッフルしたりせずに最初から最後まで聴いてほしい作品。
で、彼の最高傑作は前作とこれのどちらかっていう話になるんだけど、やっぱりアルバム全体として作品をとらえたらこっちが最高傑作ってことになるのかな。
ただ、さっき触れたアルバム全体の統一感やカラーっていうのが、テーマが重い、暗いものだからどうしても印象はすっごく地味なんだよね。
だから凄くお勧めなんだけど、この人を最初に聴くならやっぱり2ndをお勧めします。
重いのが好きな人、この人の世界観に慣れている人はぜひ聴いてください。90年代の作品でトップクラスの名盤だと思います。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:10th. 11-12 名無しのエリー2005.05.17.

1.One Light ★★★ アルバム幕開けのインスト曲。
2.SUMMER SOFT SOUL ★★★★ 子気味のいい曲。歌詞も他にはなくてユニーク! この人特有の世界。
3.もういいかい ★★ 地味な曲。まぁゆったりと聴く曲かな?
4.憧れモンスター ★★★ 少し村上春樹を感じさせるユニークな曲。
5.ストレンジャー ★★★★ この人特有のやばい感じの世界がこの辺から出てくる。村上龍が好きそうな、キューバ音楽好きにはお薦め。
6.夜の亡霊、夜の国境 ★★★ 子気味が良くてかっこいい曲。
7.声の波紋 ★★★★ エロティックで独特の歌詞。曲も良い。
8.SUNSET ★★★ あんまり印象にないな。まぁ悪くはない。
9.ユニバース ★★★★★ 名曲!言う事なし!
10.流星群 ★★★★ キーボードの使い方がこの人特有。個人的にちょっと他に聴いた事がない感じの曲。
総評.★★★
なかなかの佳作だが90年代の名盤には及ばないな。どんどん洗礼されてはきているんだけれど…。
(★5個が満点。)

Reviewer:10th. 555, 557-558 名無しのエリー2005.09.02.

1.5分前のダンス ★★★★
一曲目からアクティブ且つジャジィな曲。
歌詞もユニーク。唄い方も高橋徹也の音感の良さを思い知らせてくれる。
2.惑星 ★★★★
長いイントロから続けて本編を聴いていると、どこかへ持っていかれそうになる曲。
3.夢の中へ、霧の中へ ★★
まだあんまり聴き込んでいない曲です。そんなに印象が無いな。
4.Blue Song ★★★
イントロからかっこいい。 あのベースはイカシテイル。
5.夜明け前のブルース ★★★★
キューンソニー時代から時々演奏されていたらしい曲。曲も歌詞もいかにも高橋徹也って感じだ。
6.5minutes ★★★
しっとりと入り込んでくる小品。
本当に素晴らしいのだが、何とはなしに村上龍の「ジャズは諦めの音楽」という言葉を思い出させる曲。
高橋徹也にはまだ達観してもらいたくないので会えて★3つ^^。
7.La Fiesta ★★★
オサレな曲。
8.ホテル・スターダスト ★★★
途中にはいる語りがTokyo no1 soul setみたい
9.夏の出口 ★★★
前曲から世界観が繋がっている。
洗礼されているような達観してしまっているような、、点数つけづらい。
10.赤いカーテン ★★★★
前作『リフレクションズ』のおまけCDに、スモールサークルオブフレンズとのコラボレーションで入っていた曲の、ソロヴァージョン。
普通にかっこいい。長い長いアウトロも苦痛にならない。
11.Open End ★
ラストへのインスト曲。
12.夜のとばりで会いましょう ★★★
最後は綺麗にしっとりと締めてくれている。これもある種の達観が伺える歌詞。
総評.★★★☆
なんかどんどん音楽的洗礼されてきているぶん、ある種の諦めも含んだ歌詞が多くなっている気もする。
それでいながらもこの人のワンアンドオンリーな世界観は確かに有るんだよね。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:17th. 305-307 名無しのエリー2008.03.24.

1.5分前のダンス ★★
早いジャズ。
2.惑星 ★★★★★
スピリチュアル・ジャズな歌モノ、スケールの大きい曲。Maccoy TynerにJ-POPを書かせたらこんな曲になるのかもw
「思考の砂漠へ」導かれます。
3.夢の中へ、霧の中へ ★★★
フルートが響く霧の深い森の中へ迷い込んで行く感じ。
4.Blue Song ★★★★★
コード進行や音作りいかにもオザケンの「犬」に入ってそうな曲ですが、完成度高いです。
間奏部分にだけ鳴るアナログシンセの音色フレーズが完璧。そこだけでご飯3杯いけます。
5.夜明け前のブルース ★★
荒々しいジャズブルース、暴れ回るバリトンサックスがかっこいい。
6.5minutes ★
ピアノと歌(というか呟き)の短い曲。歌詞が救いがなさすぎる。。。
7.La Fiesta ★★★★★
夏の海を感じさせる爽やかな曲。
ガットギター弾き語りの静かなイントロから、だんだんとエレピやフルートが入り盛り上がってくるアレンジが素晴らしい。
公式ページの本人のレビューにもあるようにチック・コリア(return to forever)風です。エレピのフレーズ、音の定位が心地よい。
8.ホテル・スターダスト ★★★★★
海辺の寂れたホテルに、追い詰められた男や冷め切った新婚夫婦や疲れた家族連れなどが集まってくるという歌。
途中で語りが入る部分は、まるで夜中のFMラジオドラマのようだ。本当に夜中にFMでこの曲かかったらものすごい気分になるだろうw
9.夏の出口 ★★★★
これも夏の海の爽やかな曲。70年代のかっこいいフュージョンみたいな、高音が篭った感じの心地良い音とアレンジ。
10.赤いカーテン ★★★
早いボッサ。
11.Open End ★
インスト。
12.夜のとばりで会いましょう ★★★★★
歌詞も音もとにかくせつない曲。夜中に聴くと何とも言えない気分になります。
エンディングのアナログシンセの音色フレーズが本当に素晴らしい。
総評.★★★★☆
『ある種の熱』これは本当に名盤だと思います。現在ほぼ活動休止中なのが残念です。
dry&heavyの内田さんの録音が素晴らしくて、音が近くて臨場感があります。
声や音楽性はやはり小沢健二に似ていることは否めません。個人的にはこのアルバムは2000年代の『犬は吠えるがキャラバンは進む』なのでは、と思っています。
小沢健二が好きだった→ジャズも好きになった→現在のインスト・環境活動家?のオザケンにはウンザリ。。。
というような方には絶対オススメです!
(★:2点,☆:1点の計10点満点。試聴URLは省略しました)