アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : つるのたけし。

Reviewer:22nd. 203-207 名無しのエリー2009.09.24.

1.未来予想図II ★★
ドリカムのカバー。女性視点の恋の歌を漢らしく歌いあげるのは彼の不器用さのあらわれか。
新解釈として受け入れようにも、詞の内容が微笑ましい未来を無邪気に信じる感じなので、高音になるにつれて乱暴で捨て鉢になる彼の歌唱は理解に苦しむ。
高音は高音で声色を持ってるというより、単純に型崩れしてる。カラオケでネタ的に歌ってるノリをCDにパッケージする意図か。
吉田が特に作曲に長けておらず、これも名曲というより吉田の歌ありきの人気曲という印象なので、つるのでは厳しいのでは。
2.ラヴ・イズ・オーヴァー ★
欧陽菲菲の有名曲のカバー。Aメロは雰囲気が出てる。というか似せてる。
あんまりカバーの意味が無い気がする。ていうかカバーの意味が分かってない気がする。
しかしちゃっかり有名曲入れるあたりは売れ高を計算してるので、
「だって俺、馬鹿なんだもん!みんな知ってるでしょ!?」みたいにキャラを活用した言い訳も苦しくなりそう。
3.HOWEVER ★
GLAYのカバー。後半でバテて、ただ声量だけを維持しようとがなり倒す感じになる。
意図的に必死な感じを演出しようとしてると言えなくも無いが、
単に歌い終えた後「ちょっと後半荒れてるけど、つるの君のキャラが出てていいんじゃないかな」とかいう話になって、
きれいに歌えるまで録り直す労力を惜しんだような気もする。このテイクではこう、という問題じゃなく根本的に歌えなさそう。
サビですら何言ってんだか分からないほど回りくどいこの曲の詞は完全にナルシスト向けで、つるののキャラに全く合ってないのでは。
4.レイニーブルー ★
徳永英明のカバー。つるのの選曲は徳永が発表したカバー作品とも数曲被ってるが、ここでそんな徳永の曲までもカバー。
つるのがカバー作品を製作するにあたっては徳永の一連のカバー作品のヒットが動機づけになってると思われるが、
どうもつるのは徳永の成功を歌手として云々より「オリジナルより手間もかからない上に売れる」という視点で見てる気がする。
カバー作品を連続リリースしたことを叩かれだしたつるのが「徳永兄さんを悪く言うな!」とか言い出しそうで、何だか徳永を人質に取られた気分になる。
選曲も恐らく徳永作品中最も大勢にカバーされたこの曲を持ってくる抜かりのなさ。
批判されたら「カバーの何が悪いんですか!?ねえ皆さん?」とカバー者全員巻き添えにして誰かに守ってもらう魂胆が見える。
カバーは悪くないが、さっきの曲と違うこの途切れ途切れな歌い方は徳永独特の音価感覚を真似ようとしてるだけなのでは。
5.君となら ★
TUBEのカバー。元曲を知らないが、歌い方で多分TUBEの曲なんだろうなとは思った。
しかも高音で前田の特徴を誇張しすぎて本当にB級物真似になってる。何だろうコレ。
色んな歌い方が出来るといえばそうなのかもしれないが、歌の幅というより芸の幅だし、菲菲の歌い方でTUBEはどうせ歌えないんだろうし…。
中川翔子もスゲエ物真似入ってる時があるが、真似はつるのより上手いし…。
6.愛をくれよ ★★
福山憲三のカバー。誰だ…。と思ったら、つるのが初出演したドラマの主題歌だったらしい。
何だろうコレ。何かの記念? 自主制作でやったらいいのでは。
曲も普通のミドルテンポの歌ものロック。
2番のサビで「誰か汗をくれよ」と熱唱してるので、自分で苦労して出すほうが美しいのでは、と思ったが、「明日をくれよ」だった。
きっと元曲の人の発音の癖を真似たのだろう。聴いたこと無いけど。
本人のオリジナルのように違和感なく聴けるし、ネームバリューにすがってない分だけ今までより健全な印象。
7.さよならの向う側 ★
山口百恵のカバー。ラストシングルだったという事で、詞もそれに沿って、周囲への感謝を歌に託した内容になっている。
一方つるのの歌は今までの流れ通り、Aメロは抑え目で盛り上がってからは強引にがなる感じで、曲ごとに表情を変える気配がない。
明らかに今までと毛色の違う曲だと思うが。
全て不器用さの演出だ、世間がつるのに望むキャラを全うするための判断だと言われれば、つるのに興味もない自分が何か言う筋でもないが。
取り敢えずがなるしか能がないことは確定してるなら、そういう選曲をすれば良かったのでは。
ミッシェルのラストシングルの「エレクトリック・サーカス」とか。アベに呪われそうだけど。
8.ビューティフル・ネーム ★★
ゴダイゴのカバー。曲名は知らなくても大半の人は聴いたことのある有名曲。つるののパパキャラを活用し、子供達と楽しく歌う。
つるのが音程の上下についていけてない感じで、たどたどしいが、それも含めて普通に微笑ましい。
選曲的にも金の匂いが薄めで、モー娘の童謡カバーのような健全な印象。
まあパパキャラを持ち出したこと自体あざといと言えばあざといけど。
9.君だけを守りたい ★★★
中島文明のカバー。だから誰なんだ…。と思ったら、つるのが初主演したウルトラマンダイナの主題歌だったらしい。ええええ…。
まあつるのファンにはたまらない選曲なんだろうけど。
曲は特撮ヒーロー主題歌のイメージ通りといった感じで、特別に名曲とも思えないが、つるのの熱い歌い方には今作中最も合ってる選曲。
まあ元曲知らないからこそ自然に聴けてるのかもしれないけど。
10.翳りゆく部屋 ★★
荒井由美のカバー。これも時代を超えて多くの歌手にカバーされている曲で、今作収録の曲中では個人的に最も原曲が好きな曲。
つるのはこれを今まで以上に直線的で男らしい歌い方で仕上げており、
「輝きは戻らない 私が今死んでも」という身も蓋もない詞との相乗効果でいい迫力を出している。
と思ったら、どうもエレカシのカバー版を土台にしているようで、そっち聴いてしまうと例によって変な物真似にしか聞こえなくなる。
またデスカ~~~モーウやめて下サ~~イやめ……やめろ!!!
11.夢 ★★
ウルフルズのカバー。
聴くとああ向いてるなウルフルズ、と思うのだが、さっきまでとアタックの強調のしかたを変えてたり、
今まで抑えて歌ってたAメロから早くもがなり声になったり、それっぽい巻き舌を交えてたりで、明らかにトータス補正が入ってる。
カラオケで歌ったらみんなに上手いと褒められて、その通りに受け止めて自分の歌が上手いつもりで収録した感じ。ていうか全部…。
12.笑顔のまんま ★★
BEGINのカバー。作詞は明石家さんま。何となく紳助への反目が感じられるこのチョイスは面白いかも。
よくCMで耳にするが、ずっとウルフルズが歌ってると思ってた。色んな歌真似のレパートリーからここでトータスを選んだセンスは良いのでは。
総評.★
俳優、お馬鹿系タレントとして活躍するつるの剛士が発表したカバー集の2枚目。
歌は全くの素人に混ざれば上手いほうとは思うが、完全な素人として歌手オーディションを受けたら一次落選レベルという印象。
声に特徴はあるので、あんまり元の歌い手に釣られずに自分の好きなように歌ったら良かったんじゃないかと思う。
あんなふうに歌いたい、という目標として真似てみるのは誰もがすることとは思うが、それを自分名義でCDにする人は少ないと思う。
しかもカバーで。年齢の割に妥協点が低すぎる。
一度本格的に歌手活動をしてみたかった、とかいう夢は、ある程度歌の上手いタレントなら誰もが持つものなのかもしれないが、
一回やったんだから充分堪能しただろうし、もう一回やるならプロとして要求されるレベルがあることも分かるもんなのでは。
カバーが多作の歌手って徳永とか佐藤竹善とかのレベルになるが。
名曲を次の世代へ語り継ぐ役割はある程度担ってるかもしれないが、本人の思い入れが強いだけで特に名曲でもないものが混ざってたり、
最も頭の痛い問題として名曲が名曲に聞こえてないので、どっちでもいいけど無ければ無いほうが良かった作品という印象。
昔アニメ主題歌のテープとかで、TVと違う全然知らない人が代わりに似せて歌ってるやつが普通に出回ってたが、あれが好きな人にお薦め。
(★5個が満点。)