アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : ざ・ちゅーいんがむ・ういーくえんど。

Reviewer:20th. 284-287 名無しのエリー2008.12.27.

1.エレキング ★★★★☆
おそらく代表曲。ミドルテンポのポップな曲。イントロのダイナミックなギターで掴みはOK。
シンプルなギターアレンジと微妙にひねったメロディに乗った、「マリーマリーこれがつまり」という韻を踏んだ歌詞が印象的。
ギターソロが曲と全くあっていない様な気がする。しかしこれがエモーショナルで唯一無二。
2.キリングポップ ★★★☆
軽快にテンポを刻むようなギターのイントロが前曲と併せて、アルバムの幕開けの感じ。
同じくミドルテンポのポップ。でもサビのギターはあまり好きじゃない。ちと前に出すぎな気が。
他に特に特徴は無いかなーと思ったところで意表を突く変拍子がいいね。
3.フランシス ★★★★
アナログ的なイントロから突然疾走感のある曲に切り替わる。
前二曲よりもさらにシンプルな、ほとんどコードストロークのみでごり押し。しかしメロディも歌詞もバランス良くいい。
ベースも良く頑張っている。やはり鈴木淳のベースはピロウズよりこのバンドのほうが絶対あってる。
4.キンキーダイヴ ★★★☆
ピクシーズ直系のオルタナティブ・ロックの醍醐味といえば、AメロBメロ静かにサビで爆発、と言うスタイルだが、この曲はその落差が相当。
テンションあがった。サビで一気に突き進む。ドラムも呼応するように壊れる。エフェクトかかった声も不気味さを引き立てる。
でもいろいろやってはいるが、軸となる曲自体がしっかりしてるのでぶれてない。
5.ベイビーバード ★★☆
ここでやや一休み。アルペジオが美しいがメロディがちょっとひねくれすぎ。
多分どうしてもこれくらいひねってしまうんだろうなぁ。歌詞もひねくれまくり。
6.ウォーターピストル ★★★★
これは掘り出し物な雰囲気がする。スピッツの愛のことば的な。いや、このバンド自体が掘り出し物か?
微妙にエフェクトかかったボーカルが不気味な雰囲気を演出。一歩間違えればgdgdになりそうな曲調。
しかしタイトで無駄の無いシャープな演奏、それにメロディが良いのでしっかりと緊張感は保てている。
7.エコー ★★★
もろマイブラなシューゲイザー。だがマイブラよりもぶっ壊れた印象。ドラムもやたら叩きまくる。
アルバム中盤の繋ぎ的な感じもあり。
8.アイス(album mix) ★★★★☆
シングル曲。シングルよりも音がスカスカで荒々しいミックスのよう。シングルより生々しい勢いが伝わってくるこちらの方が良い。
イントロでお腹いっぱい。そしてこのバンドを象徴するようにひたすらひねくれたメロディ。ささやくようなボーカルもなんだかこの冷たい雰囲気にあっているような。
サビではトリッキーなドラムに痺れる。全体的にドラム大活躍。アレンジも凝っていてほぼ隙が無い。
9.ロマンス ★★★★★
7分半にも及ぶ三拍子の大曲。
これは名曲。メロディ、アレンジどれも素晴らしいが特に素晴らしいのは歌詞。
「僕の病気は軽いものだけど 治る見込みは無いような気がしている 暗い話してる訳じゃないよ」(歌い出し)
虚無感を中心にした絶望や感謝、幸せ、全て込められた内容。しかし心理描写を過剰にしているわけでなく、情景描写とのバランスも良すぎ。
もう全部抜き出したいくらい。ここまで感動した歌詞はR.E.M.のNightswimming以来だ。見事。
そしてエフェクトがかかった声で前半が終了し、後半はストリングス。
しかもこのストリングスがスマイルの時代のブライアン・ウィルソンにも匹敵するほど美しく、また狂気も含んでいる感じも受ける。それこそsurf's up並の美しさ。
とりあえずびっくりするほど良かった。たくさんの人に聴いて貰いたい。
10.ハニーチェイン ★★★★
これまで以上にひねくれたリードギターと、乾いたサウンドのリズムギターに加え、「殺されたいくらいだ」という歌詞が異常な雰囲気を醸し出している。
言葉じゃ説明しづらいけど、アルバムの流れの中で良い位置。
11.サンダウナー ★★★★
そしてこのアルバムで唯一のピアノ中心の曲。5では裏目に出てたようなひねくれたメロディが、この曲では良い方向に作用している。
そしてこの曲調。世界が終わったような錯覚さえ覚える。しかし壮大さは全く無し。
総評.★★★★★
2ndシングル「アイス」のUKな曲調のオルタナティブ・ロック路線でついに音楽性を確立したチューインガム・ウィークエンドの2nd。
前作も聴いてみたが、余計な音や、やたらキラキラしたギター音がボーカルと合っていなかった。しかしかなり方向転換してアイデンティティーを確立。
このレビューでも何回言ったかわからないが、ひねくれたUK的なメロディライン、そしてどこか親しみやすい、後ろめたい歌詞が特徴的。
ややマイナーなバンドで歌詞を売りにできるのが少ない中、珍しい存在な気がする。そこにバラエティに富むギターアレンジが素晴らしい。
アルバムとしての流れも良い。特に「ロマンス」を中心とし、壊れていくような構成はほぼ文句なし。
これはまさに崩壊寸前の美学。邦楽のオルタナティブ・ロックのアルバムでも最高峰のアルバムだと思う。
あと、このバンドについてだけど地味にメンバーが豪華。
ベースはご存知、現the pillowsのサポート鈴木淳。ギターは現HERMITで、ピロウズ山中さわお、元ラフィン・ノーズYOSSYとバンドを組んでいた事もある岩田晃次。
ドラムはグランドファーザーズなどと親交のあった夏秋文尚。
ただ、フロントマンの橋本孝志のみこのバンド以外での活動は不明。「壊れた詩人」と呼ばれて才能もあるのに残念。
どのメンバーもうまくバンドの音の中で存在感があり、唯一無二のサウンドを作り出している。演奏力はまぁ普通くらいだが、バンドとしてのバランスが非常に良い。
鈴木淳がなぜピロウズの正式なメンバーにならないか、とはよく言われることだが、もしかするとこのバンドでの活動を引きずっていることもあるかもしれない。
それほど完成されたバンドだと言っていい。
残念なのがこのアルバムを残し、数枚のシングル(どれも名作!)を出すだけで解散してしまったこと。
特に「ノスタルジア」は「ロマンス」にも劣らない名曲。アルバムの流れで聴いてみたかった。
だが解散発表の時の橋本による「必ず帰ってきます」というコメントを信じているぞ。ガムとしては無理かも知れないけど。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)