アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : とみー・ふぇぶらりー/とみー・へぶんりー(かわせともこ)。

Reviewer:14th. 471-473 名無しのエリー2007.04.23.

1.T.O.M.M.Y ★★★
80年代へのタイムスリップに向けたイントロダクション。シンセの手拍子音がいかにもな感じ。
2.EVERYDAY AT THE BUSSTOP ★★★★★
いかにもベストヒット・USAな曲。シンプルで大味なリズムトラックはまさに80年代。
リズムトラックそのものの出来でノせてくるのではなく、懐かしさに聴き手側のテンションのほうが上がってノッてしまうのかも。
きらびやかでキャッチ-な曲。
実際たいして高度な事はしてないといえばそうだが、
このベタな状態で「これで行こう。しかもシングル切ろう」と決断するにはかなりの確信が必要だったはず。
3.トミーフェブラッテ、マカロン。 ★★★
いかにもなシンセドラムでスタート。
メロディ自体は歌謡曲チックだが、それをアレンジでアメリカナイズするのがトミーの手腕。
4.Bloomin'! ★★★★★
キラキラしたシンセの音で歌メロをなぞる等、コテコテの味付けのポップチューン。
タムやスネアの音も、バンドものを聴きなれてると「何だこりゃ」と思ってしまうが、この場合、コレしかないという位の正解。
転調前のベース抜き個所もポップ。何より、堂々としていて迷いがない。
5.HEY BAD BOY ★★★
ビブラートもなく、無機質にリズムに乗ってカクカク歌うサビが印象的。
歌は生き物、という概念をうっちゃり、歌をそういう音色の楽器と割り切って、キーボードの鍵盤を押すようにカッチリ歌っている。
Perfume等も稀にこのスタイルを使う。
6.KISS ONE MORE TIME ★★
さすがに似た曲調が続いて飽きてきたな、と思うタイミングで巡ってくる、印象の弱い曲。
捨て曲なしとはいかなかった。
7.WHERE ARE YOU? MY "HERO" ★★★
笑ってしまうほどコテコテな80'sマイナー調ポップ。イントロからAメロと思いっきりベタに来て、サビもほぼ予想通りの展開。
これほどコテコテなのに聴けてしまう。
8.WALK AWAY FROM YOU MY BABE ★
一転してダンサブルな曲。あくまで80's HIT的な。
ファンキーにはほど遠いチープなシンセベースとチープな歌唱力。
さすがにこれは歌唱力のなさが前面に出すぎて失敗か。音の隙間が耳についてしまう。
9.恋は眠らない ★★★★
やはり来た三連系。トミーも水を得た魚のよう。
絶対どこかで聴いたことがあるようなノスタルジックなメロディが心に響く。
10.Can't take my eyes off of you ★★★★★
ごく自然に自分のものとして消化してしまったカバー曲。邦題「君の瞳に恋してる」。
作りが大味だとか、歌がショボイとかよりも、トミーの曲に聞こえる仕上がりに出来ていることが大きい。
狙ったものを射止めた確信が伝わる曲。
11.I'LL BE YOUR ANGEL ★★★
シンセベースの音が印象的なミディアムスロー曲。
12.★CANDY POP IN LOVE★ ★★★★★
CDであることを大前提に輝きを放つ曲。生歌、生バンドで再現してもショボイ。
初めて聴く曲なのに何となく口ずさめてしまう、恐ろしくキャッチ-な曲。アメリカ人でも口ずさめてしまう可能性もあるからなお恐ろしい。
総評.★★★★
抜群にキャラの立った、ブリグリ川瀬のソロ。
小山田のコーネリも車谷のAIRも剛のケリーも名義を変えてるだけ感があるが、川瀬のトミーと綾小路のOZMAは別人格を確立している。
とにかく80年代的。フェードアウトで終わる曲がやたら多いのも狙いか。
音量が徐々に小さくなるタイミングでDJが「トミー・フェブラリーでBloomin'!をお送りしました。さて…」とか切り出すイメージなのかも。
奇をてらったメロディが無く、聴き手によっては退屈しそう。しかしハズレのメロディもまるで無く、丁寧かつ異常にキャッチ-にまとまっている。
トミーはアイドルだからアーティスト的な小難しい曲は歌わない、という設定なのだろうか。
聴き手の音楽遍歴次第では好みにカスリもしない単なる甘々POP。というか事実として単なる甘々POPだし、焼き直しにすぎないのだが、
これを確信的にやってのける企画力は見事。
やりやがった、と思わせる痛快な一枚。
(★5個が満点。)

Reviewer:15th. 3-5 名無しのエリー2007.06.01.

1.T.O.M.M.Y
次の曲に繋げる為のインスト。ファーストシングルのイントロをいじっているだけ。
ないと寂しい程よい慣らし。そういう曲なので評価外。
2.EVERYDAY AT THE BUS STOP ★★★★★
ファーストシングル。80年代のカイリー・ミノーグやマドンナを想像してもらえれば、分かる。
純情な歌詞がメロディとマッチし胸にジンと来る。メロディ自体は普遍なもの。
3.トミーフェブラッテ、マカロン ★★★★
さっきとは打って変わりダークな曲調。歌詞内容やメロはなかなか暗いのに後味がそんなに悪くない。
4.Bloomin! ★★★★★
アルバム先行サードシングル。明るい曲だが切ない。
サビはそれほど盛り上がらないが、最後の繰り返しでジワジワと来る、やや新鮮な曲調。
5.HEY BAD BOY ★★★★☆
気だるく歌う英歌詞の部分から必死に歌う日本語歌詞部分の豹変ぶりが素晴らしい。
こんなこと、なかなかできないよなぁと実感。
6.KISS ONE MORE TIME ★★★★★
セカンドシングル。シングル曲の割には特に盛り上がるわけでもない、普通だったらアルバムの中盤あたりに収録されそうな曲。
ではあるがあえて盛り上がりを見せず、暗さを重視したメロディは個人的には大好き。
7.WHERE ARE YOU? "MY HERO" ★★★★
とても可愛らしい楽曲。着飾ってなく自分の思いの丈をずっと歌っている。
暗めの楽曲が続く中にこのような明るい曲をポンと入れてくるところが上手い。
8.WALK AWAY FROM YOU MY BABE ★★★
日常生活に飽き飽きとして考え込んでいるのか知らないが、これも非常に暗い。
自分は別に良いが、途中のラップ風アレンジが賛否分かれるか。
9.恋は眠らない ★★★☆
これも歌詞が飾っていない爽やかな楽曲。珍しく日本語歌詞が多い。聴いたあとの余韻も爽やか。
10.Can't take my eyes off of you ★★★★★
フランキー・ヴァリの名曲をカバー。
ダイハツのCMで何度も流れていたのでサビ前のメロディが刷り込まれ知らず知らず口ずさんでしまう。
それを除いて考えても、原曲の良さを残しながらトランス風に見事にアレンジ。
カバー曲の中では名曲の部類に入ると思う。
11.I'll be your angel ★★★★☆
歌い方があまりに切なく、気分次第では泣いてしまうかも。
スローテンポなので退屈になるかもしれない。
12.★CANDY POP IN LOVE★ ★★★★☆
シメに明るい楽曲。先ほどが暗いメロなのでより一層明るく思える。
この曲を聴くと明日学校で女子と話せるのかな?なんて甘酸っぱいこと考えたり(笑)。
総評.★★★★
大ファンなので盲目的になっていると思います。印象としては80年代のUSの商業音楽の再現盤。
日本語と英語が混ざっているので聴きづらい部分はあると思うがメロディ自体は非常に耳なじみが良いし、どの曲もTommyの声にうまく合っている。
曲順も飽きさせないよう暗め明るめがうまく混ざって緩急がついている。フェードアウトで終わる曲が多いのも特徴。
普遍的なので個性がないと言えばそうかもしれないが、ちょっと青春や懐かしい気分に浸りたいときに丁度良いのでは。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。tr.1は星評価なし。)

Reviewer:15th. 494-496 名無しのエリー2007.08.25.

1.AttenTion pLEasE
次の曲につなげるインスト。Tommyが客室乗務員風に説明している。
最後の「アテンションプリーズ」からの持って行き方は流石だなと。
2.Je t'aime★Je t'aime ★★★
シングル。暗い感じがするが、歌詞のセンスが良すぎる。
曲が小細工がないベタなJ-POPなのでより歌詞が光る。
3.sEpia memory ★★★
歌詞が某テレビ局制作の昼ドラの展開のように生々しい。
まくし立てて歌う上に、メロディも耳にガンガン来るので3曲目にはややきついか。
4.ふたりのシーサイド ★★★★
打って変わってスローナンバー。
のんびりゆったりした心地よいリズムに、Tommyの甘い声がうまく合っており、眠くなっちゃいそう。
5.CAndY EyEs doLLS ★★★☆
可愛らしい歌詞と歌唱にトランス特有のふわんふわんしたメロディがうまくマッチしている。
ずーと一本調子なので中盤あたりが妥当なところか。
6.ChOOSe mE or Die ★★★★
独特すぎる世界観にやや引いてしまうアメリカ映画のシチュエーションでありそうなストーカーの曲。
「細い路地へと追い込んだ chance chance」ってこれは問題だろ。
7.daNCin' bABY ★★★
ディスコを意識したのか。
年下の男性に話しかけるように上から目線で非常に攻撃的で、歌唱もところどころ刺々しく感じられる。
8.SwEEt dREAM ★★★★
幻想的なイントロから始まるスローナンバー。
呪文を唱えるように歌い、歌詞もメルヘンな曲でありながら、彼氏に全てを捧ぐと言う内容のドロドロさが怖い相反する魅力のある曲。
9.ThE RoSe fraGranCe ★★★☆
急に現実的になって大人の女性の嫉妬の曲。
執念からか最後は繰り返し繰り返し・・・そしてフェードアウト。
10.MaGic in youR Eyes ★★★★
シングル。売れ線を狙ったみたいだけど後半のサビの繰り返しがちょっとくどいか。
でも「奥様は魔女」の主題歌と言うこともあってか飾り気の無い純粋な恋愛の曲なので
個性が強すぎる曲がいくつも続いた後に聴くと精神的に楽になる。
11.I still love you boy ★★★★★
これまでにないTommyの力強い歌声で説得力は抜群。
曲としてはベタなバラードだがこれまでになかったのでTommyが歌うと新鮮に聞こえる。
12.Love is forever ★★★★
これも10曲目と同じコンセプトだが、10曲目以上にかわいらしく、爽やかなので耳なじみが非常に良い。
これで締めてくれるのは嬉しい。
総評.★★★★
前作は初回限定版が早々に売切れるなど驚異的な売り上げを誇り、
もともとファーストアルバムで切り上げるはずだったソロプロジェクトをファンからの強い要望や本人の希望で存続させたわけだが、
曲自体は前作とあまり変わらぬ80年代USAポップ。
むしろ前作より勢いが落ちたかと思わせるが、それを補ってか曲1曲の歌詞の表現にバリエーションが増えた。
その歌詞にうまく曲のメロディやリズムも合わさっているので、Tommyが大人なのか子供なのかキャリアウーマンか女子高生か分からなくなってしまう。
地球の中にある国全てが文化がそれぞれ違うように、このアルバムの中の曲全てもコンセプトがそれぞれが違う。
まるで飛行機で世界一周旅行をしているよう。そんな一筋縄では行かない妖艶の魅力をこのアルバムは放っている。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。tr.1は星評価なし。)

Reviewer:14th. 705-708 名無しのエリー2007.05.19.

1.2Bfree ★★★☆
1曲目にしては重々しいイントロ。サビは歌っているというより嘆きに近い?
アルバムから入る方はTommy february6のコンセプトの違いを端的に表しているので、どんなもんかこの曲で分かるはず。
まあ個人的には最初は勢いのあるほうが好きなのでやや低め。
2.Ready? ★★★★☆
アルバム先行シングル。打って変わってアップチューン。曲短い分駆け抜ける勢いで小細工なし。
3.Wait till I can dream ★★★★★
ファーストシングル。最初はこんなキャラクターが出てくるとはとびっくりした。フェブと180度変わって戸惑った。
一見楽曲は普遍なものであるがギターの音がいい具合に重くTommyのけだるい歌い方とマッチ。
4.fell in love with you ★★★★
こっから徐々に暗くなる。満たされない思いを歌わせたらお手の物。
5.■Wanna be your idol■ ★★★★
ちょっとやんちゃな曲。一途な女の子の感じが出てて、何だか応援したくなる。微笑ましい。
6.+gothic Pink+ ★★★★★
幻想的かつ力強く思春期の女の子の思いを吐露。
満たされない思いという点では4曲目に似ているがよりメロディに緩急がついている。
7.Swear ★★★★★
先程より淡々としてどこか大人びている。個人的に寂しい気持ちになる。
8.Lost my pieces ★★★★★
4曲目や6曲目など比にならないほどどん底に突き落とされ、耳をつんざく叫び、Tommyの沸き上がる感情に締め付けられる。
9.GIMME ALL OF YOUR LOVE!! ★★★★★
メロが軽くなり疾走感が戻る。ライヴハウスにいる気分になれる。
あと、「GIMME ALL OF YOUR LOVE!!」と間髪いれず連続して歌う部分があります。カラオケで歌う場合十分息吸ってください。
10.LCDD ★★★★★
爽快なメロと歌詞でまた明日も頑張ろうと思えるアップチューン。辛いときにどうぞ。
11.Hey my friend ★★★★★
セカンドシングル。友情が何かを考えさせる歌詞は切なくもどこか希望に満ちている。
シメにもってこいの曲。
総評.★★★★★
Tommy節炸裂。全体として曲は緩急自在で骨太のギターサウンドや90年代のオルタナロックのようなメロディといろいろ楽しめる。
歌詞は女子の気持ちが細部まで表れていて、この人30歳超えているのに若々しいなと。
メッセージ性豊富。どれをとっても素晴らしいアルバム。これで結構励まされた。
ただ、日本語と英語ごちゃ混ぜになっているのでそれを嫌っている人には向かないかもしれない。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:21st. 477-480 名無しのエリー2009.06.21.

1.Wait For Me There ★★★★
オープニングは鈍くて重い、グランジとHRの中間みたいな曲。
低音域を出ずに行き場無くのたうつようなギターはグランジっぽいが、
なまじ曲としてきっちりメロディアスに仕上がったため歌メロ強めのハードロックという感じも出てるのかも。
何曲かのシングル曲で知る限りの彼女は、何が悪いでもないけど聴いても聴かなくてもどっちでもいいような
売れ線ビートロックという感じだったが、今こんな感じになってるとは意外。
女の子が浸って酔う程度の軽めのネガティヴ詞と、暗鬱だけど歌モノとしてしっかり作り込まれた曲。
聴く前の予想以上にいい感じ。この感じを何と形容したらいいだろう。そうだ、ポップなニルヴァーナというのはどうだろう。
どうだろうじゃねえよって言われそうなのでガーリーオルタナくらいにしときます。
2.Leaving You ★★★★
引き続きタイミング重めのギターと音符を長く取る気だるいベースで固めた曲。
ドラムの音がわざとらしくないというか、クラッシュシンバルが遠めで鳴ってる自然な感じが心地良い。
前曲よりメロディを絞ったためグランジ寄りに。曲も音も良い。
3.Do You Know My Heart? ★★★★★
暗雲を抜け、カラッとポップなオルタナになる。しかしBメロ途中から雲行きが怪しくなり、サビはいつの間にか鈍いリフが乗るハードな展開に。
こっから向こうはサビです的な前触れもなくサラッと切り替える。しかし無理矢理な感じはしない。なんか自然。いい曲書くなChiffon Brownie。
と思ったら正体はブリグリのべーシスト、奥田俊作らしい。ギターも弾く人らしく、べーシストの割にリフものが妙に達者。
ところでこのトミー・へヴンリーはトミー・フェブラリーのダークサイド人格という設定らしいが、
川瀬本人の性格が明るいせいなのか、作詞でもどうも悲観が小粒。
しかし「蒼い草原 君に並び寝転んでみたら 思うより背中が痛い」は妙にリアルで、普通の詞として面白い。
今日はずっと機嫌が良かったのにいつの間にキレ気味!?みたいなことは日常の人付き合いでもあるが、
そんな時相手が不機嫌になったきっかけはこういう些細なことなのかも。
4.Sad End To A Fairy Tale ★★★★
やはりミドルテンポのオルタナポップ。リムショットとハイハットがカシュカシュ鳴る感じが古い機械の駆動音みたいで心地良い。
なんか大して変わり映えのない曲調が続くが、良曲揃いで意外と飽きない。奥田自身短調のリフものが得意なんだろうか。
と思ったらフェブラリーの曲もほとんど奥田作らしい。全然知らなかった。と思ったら2年くらい前まで明かされてなかったらしい。
実は奥田スゲエ。でもそんな長い期間その実力をトミーのためだけに使ってきたのは間違いな気がする。
さて詞のほうは曲名負けで、重いこと言ってるが説得力が無くこけおどしな感じに聞こえる。
dieとかkillとか言ってる世界観で「消えたい 逃げたい 楽しくない」とかの浅いネガティヴ発言は違和感が。
5.Shut Up ★★★★
相変わらずマイナー続きだが、頭打ちのスネアと変拍子で変化をつけてきた曲。
実験的な要素を入れてはいるが、遊びすぎずに歌が立つ形に仕上げており、自然に聴ける出来。
ほとんどの若手を寄せ付けないほどの熟練した作曲ぶり。奥田スゲエ。ギターよりむしろドラムが目立って聞こえるバランスにしたのも格好いい。
さて、曲に不満は無いが、そろそろトミーの声の甘ったるさが気になってくる。
詞の内容も「そんなにわたしってダメなの?勝手に決めつけないで」とかの安い感じ。しかも意外にポジティヴ。
6.Flower Crown ★★★★
今作中でもかなりテンポの遅い、おどろおどろしいグランジ。トミーの影も薄め。
ギターが結構攻めているので、ついに収集つかずに終わる曲登場かと思うが、結局そつなくまとまる。
オルタナと聞くと暴走気味の実験性がまず思い浮かぶ人には今作は向かないかも。オルタナの音作りが好きな人には薦めやすいが。
曲名に反してこんな暗い歌なのよ、と裏をかく意図は汲み取れるが、
詞のほうは相変わらずリアリティのない失望というか、綺麗な作り物の絶望という感じで、一部のV系に通じる印象。
7.Surely ★★★★
M3のような明るいイントロで入り、ほぼ明るいムードを貫いて終わる、今作中では珍しくポップな曲。バインの中継ぎ曲といった印象。
他曲に比べ引っ掛かりのない曲だが、単純にトミーの声が明るい曲向けなので結構いい感じ。
マイナーまみれの今作の中央にこれを配置したのは正解では。
8.Gonna Change My Way of Life ★★★★
バリバリした音のベースが格好いいオルタナ。
今作のベースは歯切れ良くハキハキ弾く感じではなく、出来るだけ音を切らないようにして隙間を埋めるギター的な役割が多いが、この曲は典型例か。
全体がビタっと止まるようなキメは多分ほとんど無いので、そういうのが多いビート系が好きな人には今作はダラダラして聞こえるかも。
個人的には奥田の作る音像は好きなのでプロデューサーとしての今後に期待したい。
9.Playground ★★★★
イントロなしで間髪入れず始まるグランジ。妙にスタンダードなギターソロが意外。
余分な肉付きの無いシンプルな曲で、テンポよく展開して潔くスパッと終わる。
それにしても似たような曲ばかりのはずだが何故か飽きない。単体の曲が短くて全体のテンポが良いせいか。
というより単に自分が元々こういうの好きなせいかも。
10.Things I Can Do ★★★★★
今作で最もテンポの速い曲。しかし気構える素振りもなく、ここまでの流れ通りこもり気味の音でドラムが入る。
Bメロとか今作で何度も聞いたようなメロディなのだが、
サビ前のキメのローファイな感じが格好良いので、かえってマンネリからの脱却的な爽快感の布石として効果を発揮している。
ドラムが結構派手だが、テンションのピークはきちんと終盤まで取ってあり、最後まで聞かせる出来に。
「何者でもない自分が 目指すべき事は何か」の一節は川瀬がトミーから脱却する前兆か。
11.You Should Live In The Sunny Light ★★★★
オチらしいタイトルの付いたラストナンバー。歪んだギターのみの伴奏で完走する。
無駄なくコンパクトにまとまった曲が多い今作中では最もメロディに重点を置いた曲か。
奥田は美メロ曲もスラスラこなし(考えてみればブリグリから始まった人なので当然かもしれないが)、結局駄作は出ずじまい。抜群の安定感。
トミーの歌はAメロの低音ビブラートの不安定な感じが絶妙に不気味でムードがある。
川瀬本人はトミーを演じこなして歌っているつもりかと思うので、そういう天然なところをいじられるのは不本意かもしれないが。
愛する「君」を陽の光の下に残し、「It's not a Bad ending」と歌いながらトミーが再び元来た闇の中へ回帰してお終い。
総評.★★★★
the brilliant greenのボーカル川瀬智子の別人格としてスタートしたトミー・フェブラリーの、さらに第二人格という設定のトミー・へヴンリーの3rd。
人格がらみの設定は結構細かく、
ヘヴンリーはフェブラリーを前から知っていたがフェブラリーは当初ヘヴンリーの存在を知らず、知り始めてからは敵視しているらしい。
そして2人とも自分達が「川瀬智子」という同一人物だと知らないらしい。
そういうのを考えるのは一向に構わないのだが、ここで問題となってくるのは、
この三者は割り当てられる曲調こそ違えど、いざ歌うと同じ歌い方にしか聞こえないという点だろう。
多分ヘヴンリーっぽいファッションとか、フェブラリーっぽい仕草とかの設定は川瀬の中で細かいのだろうが、
判別の決め手が見た目というのはプロのシンガーとして寂しい。キャラを憑依させるのではなく歌を憑依させるべきなのでは。
作詞を見ても、おままごと的な絶望感に所々キャンディーピンクとか少女趣味な言葉を散りばめた感じで、大元の本人から分けるほど人格に差が出てない気が。
ダークサイドで単体人格なら、もっとグリム童話並にエグイ詞を書いてもよさそうだが。
逆に可愛いと言わせる狙いのダークさ、という印象。せいぜいバスター君という感じ。
声質には恵まれているものの歌は特に上達してないというのもネック。
といった具合に主役のトミーは半端だが、奥田の仕事ぶりが秀逸なので、作品としては1度かけたら最後まで放っておける上に
途中のどこからでも入れる、デリコの1stみたいな感じになっている。ダントツに目新しい要素とかは無いが、とにかく出来にムラが無い。
早めに才能を使い果たして消えたのかと思いきや、実はずっと一線に踏みとどまって着々と実力をつけていた。
コンポーザーとしてかなり期待できる人なので、川瀬の専属にするのは勿体無い(ちなみに川瀬は奥田の嫁)。
川瀬がこだわりたいのは最終的には見た目とかパフォーマンスかと思われるので、
もうトミーの曲は他の人に任せて奥田は色んな人の楽曲提供やプロデュースやって欲しい気がする。
そしたらトミーはもう聴かないと思うけど。
とにかくブリグリの底力を感じた1枚。衝動より理性のオルタナが好きな人なら。
(★5個が満点。)