アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : とうほうしんき。

Reviewer:23rd. 70-73 名無しのエリー2010.02.01.

1.TRICK ★☆
歌い手が変わる度に曲調もコロコロと変わる、色々な曲をペタペタ貼り合わせて作ったようなイントロダクション的な曲。
5人それぞれが得意(?)なスタイルを順番に披露するため無駄に展開が多く、長い。
半分の長さにスッキリとまとめればいいのに。
2.NO? ★★☆
メロウなミディアムR&B。
クールな「♪No~No~」というコーラスの後、メロウでもクールでもない頓狂なボーカルが飛び込んできて少し驚いた。
他のメンバーの声はそれなりに曲にハマっているのだが。何故彼が歌い出しを任されたのだろう。「カウンターかました者勝ち」みたいな発想だろうか。
でもこの異物感こそアイドルグループの醍醐味。ちなみにこの異物感溢れる声の主が一番明瞭な日本語で歌う。
3.Purple Line ★★★☆
シボレーのCMで垂れ流されていた彼らの代表曲。韓国のスタッフ主導で作られた曲なので、2008年当時のK-POPの最先端だったのかもしれない。
バスドラと高音シンセの音が突出したマイアミベースみたいなトラックにキャッチーなメロディーを乗せたアッパーな曲。
シンセがインドネシアのハウス並に過剰に鳴らされるブリッジ部分、奇妙な発音のラップ、終盤で連発される熱いシャウトでちょっと笑ってしまったが、
これらの部分はいかにもアジア人っぽくて良い味だしてるのではなかろうか。
4.Forever Love ★☆
EXILEの勝負バラードみたいな曲。
曲名通り恋人に永遠を誓うプロポーズ曲だが、歌声がやけに切なく女々しく濡れまくっている。失恋ソングじゃないんだからここまで歌い濡らさなくても。
個人的に、この曲名を持つ楽曲を良いと思ったことがあまりない。
5.Summer Dream ★★★
キラキラシンセとアコギ、可愛くうねりまくるベースを基調としたトラックの上で、
明るい夏の日差しが似合う爽やかなボーカル、暑苦しいボーカル、夏の開放感があまり似合わない硬いボーカルがはしゃぎながら入り乱れるサマーチューン。
色々なボーカルやラップが混ざり合うことで、結果夏らしいボーカル部分が引き立つ。
爽やかな声一本で歌われてたらおそらく印象に残らなかった曲。
イントロ聴いて何故かスーパーモンキーズ『ミスターUSA』を思い出してしまった。
6.Ride on ★★★☆
「Summer Dream」では異物だった暑苦しいボーカルが活躍する、熱っぽいダンスホールレゲエのような曲。
「片っぱしから女喰ってやんぞ」的な野性を感じる。誘うようなセクシーなボーカルや吐息、雄叫びが全編に渡って聴こえてくる。
濡れまくりバラードや爽やかサマーチューンよりも彼らのスタイルにハマっている。本性こっちでしょ。
7.DARKNESS EYES ★★★☆
USアイドル路線、マックスマーティン風味の大袈裟でシリアスなシンセが印象的なミディアムR&B。アッパーな曲が多いこのアルバムを一旦クールダウンさせる。
全員ウイスパー気味に声を出しているが、嫌でも溢れまくるパワーを必死で抑えながら歌ってるという感じ。
寸分の隙も無くじわっと展開していくコーラスが気持ち良い。
8.Lovin'you ★★
切ない歌声が持ち味のメンバーがここぞとばかりに歌い濡らす失恋バラード。
サビは全て一人のメンバーが主旋律を歌い切り、他はコーラスでメインを支える。
シングル曲だから顔の良い奴しかサビ歌わせて貰えなかった…なんてことは無いか、さすがに。
ちなみに作中で最も歌詞が聞き取り難かった。ブレス多すぎでは。
9.Rainbow ★★★☆
レトロなアメリカンポップスっぽいメロディーの、温もりのあるミディアム曲。ボーカルエディットが絶妙で、くすぐったくなるほど可愛く聴こえる。
虹は希望の象徴みたいに歌われることが多く、この曲の歌詞でもそうなのだが、本来あっという間に消える儚いもの。
それを思うと、明るくも陰りのある彼らのボーカルは、この曲にとてもマッチしていると思う。
10.SHINE ★★☆
「かけがえない大切な人 他の誰にも代われないよ」という定型文な歌詞が踊るポップス。
適度にキラキラなシンセと適度にキャッチーなメロディーにモータウン風のエレピが絡み、90年代後半のSMAPのヒット曲っぽさを感じる。
11.LAST ANGEL -TOHOSHINKI ver.  ★★★
倖田來未と共演した曲の自分達だけバージョン。
「倖田が東方神起とのコラボを熱望した」という体だったが、当時の状況を思うとどう見ても東方神起を売り込むためのコラボ。
故に倖田抜きで歌っても曲の印象は特に変わらず。ちょっと歌い方が倖田っぽくなってるメンバーも居て微笑ましい。
キーが高い曲なので高音がガンガン出るメンバーが引っ張り、低い声のメンバーはラップなどで異物感を残す。
12.CLAP! ★★
オリエンタルな金属楽器やら笛やらが賑やかす享楽的なダンス曲。
ガムランみたいな音がアジア人の血を騒がす。熱っぽいシャウトもなかなかの迫力。
爽やかなポップスでは目立たないメンバーが、ここぞとばかりに暴れる。
13.Love in the Ice ★★★★☆
クライマックスのバラード。作曲はGIRL NEXT DOORの鈴木大輔。
1番Aメロと違うラインが乗り、早くもドラマチックな展開を見せる2番の出だしが聞き所か。
各メンバーにまとまったソロパートが与えられており、それぞれの歌い方の特徴を掴みやすい。
コーラスが重なる部分や声を張り上げる部分に若く先走った熱さや、5人グループで歌うことの意味が存分に感じられ、
そこが今作収録の他のバラードとは違ってとても良いと思う。
結構な自信作なのか、後に韓国語バージョンも作られたとのこと。
14.Together ★☆
「みんなで楽しく歌おうよ」な曲でラストを締める。温かい雰囲気の歌詞のわりには歌の表情が硬い。
総評.★★★
韓国出身アイドル東方神起の3rd。
「あぁ、韓国人だなぁ…」という感じの感情込めまくり濡れまくり歌唱のバラード、J-POPに寄り添ったキラキラポップス、
若者ならではのイケイケダンス曲、異物感を放ちまくりの韓国曲、巧みなコーラスを熱く聴かせる曲など、特に捨て曲も無く、丁寧に作られた曲が並ぶ。
様々な曲のスタイルに器用に合わせられる表現力はこの国にアイドル界では貴重。
日本と韓国を行き来しながらそれぞれの国のリスナーの好みに合わせた曲を歌い続けてきたからこそ出来ることなのだろう。
歌やダンスのスキルよりも人を惹きつける魅力が必要な(ライムスター宇多丸の言葉を借りれば「魅力が実力に優越する」)日本のアイドル界ではなく、
表舞台で成功するためには相応の実力が必要な韓国アイドル界で頂点に立っただけある。
しかし彼らはパーフェクトなグループではなく、日本語の発音がぎこちないという隙がある。
その隙が日本のリスナーに受けた要因(小西康陽の言葉を借りれば「完成度の中のほつれ」)の一つだろう。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:21st. 344-347 名無しのエリー2009.04.26.

1.Secret Game ★★★☆
エイベックス系からジャニーズ、ハロプロまで幅広く活躍するR&Bプロデューサー、AKIRAがいきなり登場。
ゴージャスなピアノとスパイ映画のようなスリリングなホーンやベースが聴き手の心を躍らせるダンスチューン。
歌詞のコンセプトはルパン三世的な怪盗だろうか。
2.FORCE ★★★☆
マーチ風のトラックをフィーチャーしたダイナミックなR&B。フレーズの隙間を埋めるシンセやフィル、低音コーラスが耳に残る。
時折挿入される「♪ン~~~ン~~~」というハミングで少し笑ってしまったが結構可愛い。
韓国人ボーカリストお約束の舌足らずな日本語が上手いことビートに乗っていて絶妙な聴き心地。
この日本語の発音でEXILEとかと住み分けしてんだろうな。
3.どうして君を好きになってしまったんだろう? ★★★
StarGateとかがプロデュースしてそうなミディアムバラード。
メロディーやコーラスワークは美しいが、それよりも幻聴のように軽い上音と、地に足ついたバスドラの方が聴いてて気持ちが良い。
意外なほどあっさり終わる、曲名とは違ってコンパクトな尺に好感が持てる。
4.Nobody Knows ★★★
ニュージャックスイング風のクールな曲。弾けるピアノとベースが印象的なトラックをそつなく乗りこなす。
5.Beautiful you ★★☆
作中では数少ない、オケに生バンドを従えたミディアム曲。
やや地味で耳タコ気味なメロディーだが、黒いベースとタイトなドラム哀愁あるアコギが曲を切なく盛り上げる。
ちなみにベースを担当しているのは故hideとの仕事などで知られるChirolyn。彼のベースを東方神起のアルバムで聴けるとは…。
6.忘れないで ★★
タイトルからして女々しい、一時期日本のチャートを席巻した韓流スターによるベタな泣きのバラードみたいな曲。
未練タラタラな湿っぽい歌詞はメンバーが手掛けているそう。
7.9095 ★★
メンバーが単独で作曲・アレンジを担当した曲。
若気の至り的な冒険的なアレンジではなく、不穏だが美しいピアノの音がループするしっとり静かな王道R&B曲。
静かすぎて眠気を誘われるがクオリティは決して低くないと思う。なかなか多才なグループである。
8.呪文 -MIROTIC- ★★★★☆
低音もバッチリ拾えるスピーカーで聴きたいダンスチューン。
ここまで女々しい歌詞の曲が目立ったが一転、「俺に落とせない女は居ない」的なジゴロ節で、
彼らの母国では「歌詞がエロい」ということで有害曲指定を受けるという憂き目に。お堅いなぁ。
誘うようなウイスパー気味の声で聴き手の心をジワジワと掴もうとするも、中盤のヤンチャが過ぎるラップと素っ頓狂なシャウトで空気が一変、
ロック的な熱い歌唱のコーラスがかぶさり、クールに気取った歌詞とは正反対、どんどん曲が熱を帯びていく。
このちぐはぐな感じがなかなか美味。
9.TAXI ★★☆
ピアノやストリングスをフィーチャーした王道泣きのバラード。悪い曲ではないが正直女々しいバラードはもうお腹一杯。
「もっとアッパーで熱い曲で攻めてこんかい」という感じ。
10.Stand Up! ★★
USアイドルグループのヒット曲をそのまま日本語で歌ったようなミディアムR&B。
ゆったりとしたテンポの曲なのに歌詞は「とりあえずパーティしようぜ」みたいな能天気さ。
11.Survivor ★★★★
ダイナミックレンジの狭い流行りのバキバキなエレクトロ曲。ポジティブ一辺倒な歌詞で、Perfume「Dream Fighter」などを思い出す。
美しいコーラスワークが売りっぽい東方神起だが、彼らが最も映えるのはこの曲のようなテンションの高いダンスチューンだろう。
オートチューニングのかかったコーラスと生々しく熱を帯びたボーカルの絡みが良い。
12.Kiss The Baby Sky ★★★
メンバーの自作曲がまた登場。生バンドを従え、コーラスを生かしたクライマックスっぽいミディアムバラード。
おそらくメンバーの結束を示すような語りなどが入っており、終始温かな空気感が漂っているアットホームな曲で、彼らのファンにはたまらないのだろう。
それにしても、バリバリロック畑出身なのにこういう曲でもサラっと耳に残るフレーズ弾くChirolynってやっぱ凄い。
13.Bolero ★★★
ラストもやっぱりバラード。
「もうバラードいらんよ…」などと思いながら聴いていたが、壮大な盛り上がりを見せる後半のコーラスとストリングスの音色にうっかり感動してしまった。
ベタだけど真正面からこういうこと出来るのは素敵なことだろう。
総評.★★★
韓国出身アイドル・東方神起の4th。
バラード曲では巧さと若々しさの同居する達者なコーラスワークをサラっと披露して同世代のジャニーズ系との違いを見せつけ、
(もちろんジャニにはジャニの良さがあるが)
同じレーベルで音楽の方向性も似ているEXILEとは独特な日本語の発音で差別化を図るなど、J-POP界の隙間を巧いこと付いている。
舌足らずに発せられるタ行やザ行などは妙に耳に残り、これらの語を含む単語をハイトーンで熱唱する部分が個人的にはツボであった。
特に、終始高いテンションで、タ行ザ行を連発しながら駆け抜ける「Survivor」ではかなりの高揚感を味わった。
また、「呪文 -MIROTIC-」などのダンスチューンでたまに聴ける、
ロックバンドのボーカリストのような熱い歌唱は、ソツなく披露されてる(ように聞こえる)コーラスワークよりも血が通っているようで魅惑的。
エイベックスのR&B系レーベルRhythmeZoneから出てるだけあり手堅い曲が並び、特に冒頭4曲を聴いてかなり期待値が上がったのだが、
中盤~後半にかけてしっとりした曲が連発され、ややダレ気味に。
「もう少しバラード減らしてダンス曲が入ってれば…」「曲のバリエーションがもっと多ければ…」なんて思ったが、
彼らのコーラスワークを堪能したければたぶん問題なく楽しめる一枚。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)