Reviewer:9th. 362-364 名無しのエリー2005.02.15.
1.ターボ意味なし ★★
1曲目から強烈に重たい音(ギター)。もっさりしたリズム。詩はいつものユニって感じで車のこと歌ってる。
2.黒い炎 ★★★
ホーンがせわしくも軽快に始まるアッパーソング。EBI版服部と言った印象。
3.ニッポンへ行くの巻 ★★★★
ニッポンに来た外人の気持ちを見事に歌ってる。全体的にゆったりまったり。
4.開店休業 ★★★★
オルガンメインのまったりしたスローラブバラード。詩の所々にある風景描写が巧い。
5.幸福 ★★★
アコギとパーカッションのみのこれまたまったりした曲。ドメスティックバイオレンスを子供目線で歌ってる。
淡々としたボーカルが逆に曲の痛々しさを増幅させる。
6.看護婦ロック ★
阿部Bのアホバカソング。アルバムの流れぶった切ってるのもらしい。
7.立秋 ★★★
前曲と同じ人が作ったとは思えない妙な薄い狂気と疾走感を併せ持ったバラード。
8.ザ・マン・アイ・ラヴ ★★★
アップテンポでノリやすいバンドセッションのロック。「おかしな2人」っぽいかも。
9.フリージャズ ★★
彼女と別れたから同棲してた部屋片付けて引越しするかって曲。和やかに歌うのが逆に切ない。
10.風 ★★★
「明日は朝8時に起きて公園をジョギングして部屋の掃除のあとは区役所にも行くもんね」これがこの曲の全詩。アコギ弾き語りまったり。
11.家 ★★
街の開発のために立ち退きを銘じられる歌。ディテールが細かい。中盤から一気に音が厚くなり重々しい。
12.Oh,What a Beautiful Morning ★★★★
こっちはお爺さんが自分の人生振り返ってる歌。途中水戸黄門のジャジャジャジャッみたいな音もある。
なぜか間奏と後奏がテンポアップでコミカルだったり激しいドラムソロで終わったり。
13.風II ★★★
M10で「明日の計画」を立てて寝た主人公。さて翌日は・・・ しっかりオチがついてて笑える。
14.車も電話も無いけれど ★★★★
江戸時代黒船に乗ってやってきた異国の美人に一目惚れして結婚する歌。ハイテンポで幸せな雰囲気の歌。元ネタはELO。
15.ヒゲとボイン ★★★★★
ユニの代表曲の中の1曲。会社の平の自分、ボイン、社長の三角関係。こっちも元ネタはELO。後のアジアの純真にも繋がる。
総評.★★★
GLAYのJIROも大好きと言うこのアルバムはかなりコアと言うかマニアックと言うか。
多分この時代にこんなアルバム作れんのはユニコーンぐらいと思うぐらい。それぞれの曲のディテールが細かく、漫画や映画になりそうなぐらい。
このアルバムはアルバム曲1つ1つを切り取ってどうと言うよりもフルで聞かなきゃ意味が無いと思う。
やはり全盛期のパニアタ服部ケダモノあたりと比べるととっつきづらいものがある
(★5個が満点。)
Reviewer:21st. 112-116 名無しのエリー2009.03.11.
1.ターボ意味無し ★★★
仮タイトルが『長髪黒人』だったのも頷ける、サバス的どっしりねっとりロックな曲。奥田(あえてこう書く)曲。
執拗なリフの繰り返しと、後のソロにそのまま直結する奥田のボーカル(実際セルフカバーしてるし)。
こんな曲でも逆回転を利用した先出しエコーなんかを使う辺り、バンドの積極的な実験性が伺われる。
車のことを歌ったとは思えない濃厚な緊張感、アルバム一曲目にこれで、いきなりライトリスナーを突き放す(笑)
ユニコーントリビュートではDOPING PANDAがカバー。リフはそのままなのに都会風ファンクに(笑)英詞まで用意して何やってんだ。
2.黒い炎 ★★☆
イントロの無茶苦茶なホーン連打からゴージャスなノリになだれ込む堀内(EBI)作ボーカル曲。アホ曲。
『服部』と似たような歌詞を持つが、こちらの方がゆとりの無さ、空虚さが前面に出ていてなんか哀愁。
時折聞こえる素っ頓狂なシャウトが笑える分、歌詞のかげりもまた増す。
3.ニッポンへ行くの巻 ★★★☆
何かの映画の引用っぽいイントロから始まる、異国情緒に溢れた奥田曲。
白人視点で日本の様子を歌ってるが曲調が中華風なのは、白人にとっちゃ日本人も中国人も同じという皮肉か。
歌詞の皮肉は冗談のつもりなんだろうが、内容は案外辛辣。他人行儀でバブル期の日本を斜めからざっくり。
ゆったりと滑らかなメロディを持つが、間奏の謎のおしゃべりタイムが不気味。
トリビュートではGRAPEVINEがカバー。アレンジで完全にバインの曲と化している(笑)これでこの曲の美メロに気づく人も多いはず。
4.開店休業 ★★★★☆
阿部作奥田ボーカルの、オルガンを中心としたゆったりクラシカルで美しいメロディを持った名曲。
レコーディング時の事故のせいでドラムが途中から入ってくるが、それが何とも格好いいのが素敵。
とても美しいメロディなのに歌ってる内容がどうしようもないヒモについて……。妙に思いやりとか風情とかがあるから余計悲しい。
「猫の手さえも貸したいくらい人は大変忙しいのに 僕のまわりは誘惑だらけ 嬉しいね」という一節が非常に心にクル。
トリビュートではフジファブリックがカバー。奥田を深く尊敬する彼等らしい素直なカバー。志村の歌い方に特に強くそれが現れている。
またこの曲はユニコーンの新しいベストにも収録された。ファン人気の高い曲のようだ。
5.幸福 ★★★
手島作の中期ビートルズのジョージハリスン的なエスニック風味の濃い楽曲。
歌詞は子供から見たドメスティックバイオレンス。このアルバム暗い……。
サウンドの世界観が広大で、しかもサビのメロディが優しく美しいだけに、より一層歌の中身が重く辛く聞こえる。
6.看護婦ロック ★★★
アルバム中二曲目のアホ曲。これは歌詞も重くないし(おバカでエロいけど)割と気楽に聴けるか。阿部作兼ボーカル。
チープなイントロからコンサート風に始まり、アホアホでエンターテイメントに身を捧げる阿部。「いいかー俺達はお前……俺達は俺達だ!」
『監獄ロック』のパロディだが、しかし実は演奏レベルが高い。間奏のギターとブルースハーブのバトルが熱い。
アウトロの無駄な熱さも良い。しんどいアルバム中の数少ない心休まる曲。
7.立秋 ★★★★
阿部作奥田ボーカルの、ゆったりからっぽアコースティックから急にアーバンジャズに移行するバラード。
抑制の利いたドラムと今聴いてもダサくないモダンソウルな感じ、そしてその隙間に入り込む空虚さと狂気が見事にマッチしてめっちゃシリアス。
繊細でシリアスで真摯な歌詞は後の阿部ソロの香りも。
8.ザ・マン・アイ・ラヴ ★☆
西川作奥田ボーカルの、シャッフル気味なノリのいいロックンロール。オカマが恋人と別れ話をする歌。
カウントから入るギターソロが格好いい。M6とこれとどっちが好きかは完全に趣味の問題。
パンを効かせてぐるぐると回るドラムソロが印象的。
9.フリージャズ ★★★★
阿部作の、僅か二分弱のノスタルジックなバラード。このアルバムの阿部は切ない美メロ連発である。
レコードのヒズノイズと、そのレコードが流れる古い映像を眺めているようなレトロな音処理があざとくも切ないセピア色の音色を作っている。
絶妙なサウンドの再現度に、阿部のサウンドプロデューサーとしての意地が伺える。
彼女が出て行って、同棲していた部屋を引き払う歌だが、多用される情景描写やアイテムの繊細さ、遠回しな感情描写が非常に切ない。
10.風 ★★
奥田曲で僅か38秒の爽やかなアコースティック曲。ビートルズの『Blackbird』が元ネタと思われる。
ご立派な明日の計画を立てる歌詞だが、いわゆる「明日こそ頑張る」的な思考を歌っている。しかしてそのオチは……。M13に続く。
11.家 ★★★
奥田作の、「またゆったりアコースティックかよー」と思っていたら突如ストリングスが入って壮大になる曲。
家の立ち退きの様子を子供目線で淡々と語っていく歌詞の、そのやるせなさがまた妙に重々しい。
ストリングスが入った瞬間の圧力、その壮大さの語るところがシュールだしなんか虚しいし、なんだこれは?
12.オー,ホワット・ア・ビューティフル・モーニング ★★★
西川作奥田ボーカルの、やっぱり穏やかな曲。穏やかな曲が多いことがこのアルバムが地味と言われる所以だが……。
人生の終わりを迎える老人がこれまでの中々に立派にやり遂げた人生を振り返る歌。「涙一粒」の重みよ。
何気にこのアルバム中でもとりわけ細かいアイディアが沢山詰め込まれた曲。
水戸黄門風だったり昭和歌謡風だったりラウンジ風だったり、様々なアレンジが一曲の中に、割と自然な形で注ぎ込まれている。
ラウンジ調の部分のオシャレさと歌詞とのギャップは何だ?狙ってるのか?
13.風II ★★
M10の翌日、オチはあえてここには書かない。が、嗚呼ダメ人間よ……。
奥田作で曲自体はM10と全く同じ。
14.車も電話もないけれど ★★★★☆
このアルバム中でも一番ポジティブで力強い内容、サウンドの曲か。奥田作でファン人気の高い曲。これも新しいベストに収録。
サウンド的にはELOの『Mr. Blue Sky』のパロディ。しかし全体的に切れの良い陽性の演奏はアルバム終盤で最後の元気を与えてくれる。
そして歌詞は、文明開化の時代に日本にやってきたアメリカ人女性に惚れた男について。何でそんな発想になる!?
奥田の歌は沢山あるけれど、これほどひねくれて、しかもロマンチックな歌詞は無い。
当時奥田は白人に強いコンプレックスを抱いていたとか。
15.ヒゲとボイン ★★★★
このアルバム発売後にアルバムから唯一シングルカットされた曲。奥田作で、ユニコーンの代表曲の一つか。
サウンドはまたしてもELOのパロディだが、分厚いシンセサウンドが時代を感じさせながらもそこまでダサく聞こえないのが素敵。
上司や仕事が平社員の自分のボインへの恋路を邪魔する歌だが、サウンドの妙な壮大さがもっと崇高なことを歌ってるように思わせる(笑)
歌の内容といい、割と溌剌としてポップな曲調といい、このアルバムより前のユニコーンのイメージが色濃い曲。
サビやアウトロのシンセによる激しい浮遊感が宇宙を思わせる。多分ジャケットなんかはそのイメージから作られている。
トリビュートではTRICERATOPSがカバー。うーん、この曲を3人でやるのはしんどいか……。スケール感がどうしても物足りない。
総評.★★★★☆
最近再結成したユニコーンの、これは91年作の5枚目のフルアルバム。
このアルバムの後、ユニコーンの活動は停滞し、解散に向かう。そういう流れを考えて聴くと、非常にシリアスな意味合いを持った作品となる。
そうでなくともやたら内容が重たい曲が多いのに。
このアルバムにまつわるイメージとして、当時からずっと「地味」「重い」「暗い」とあちこちで散々囁かれている。
少年性やアメリカコンプ、爛れゆく生活、そして激しい躁鬱といったテーマが幾重にも折り重なり、更にこれまでのパロディ的な演奏から踏み込んで、
アーティスティックな深みを目指した録音(河口湖畔で野外録音したらしい。あちこちでそんな音が入っている)など、
様々な要素が深みに向かい、それが人によっては「自家薬籠的」という印象さえ抱いてしまう作り込みを引き起こした。
しかし随所に見るマニアックなアイディアの挿入や、以前以上にセンチメンタルで自嘲的で乾いた詩情など、見るべきところは非常に多い。
ユニコーンのエンターテイメントとしてみるよりも、芸術性におけるユニコーンの頂点として評価した方が良いと思う。
特に、このアルバムでは奥田と阿部のアーティストとしての才能が拮抗し、名曲を連発している。やっぱりこの二人あってのユニコーンって感じがする。
また、トリビュートでのこのアルバムからの多くの選曲や、新旧ベストでのこのアルバムからの収録曲の増加など、
元々ファン人気は高かったらしいこのアルバムが、最近では純粋に名盤として再評価されているような気がして、なんか嬉しい。
再結成によってユニコーンがまた騒がれ出した今、まさに更なる再評価をなされるべき大傑作である。
本当に、あんな時代によくこんな怪作作り上げたなあと。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)