アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : ういーばー。

Reviewer:避1st. 154~156 名無しさん2010.08.31.

1.心の中まで ★★★
流暢なピアノが頭一つ飛び出たハイテンションさで全体を牽引するポップス。
ロックバンドのキーボード奏者にうさんくさいのが多いせいか、杉本のピアノはすごい正統派で上手く感じる。ピアノロックを自称するだけのことはある。
つかみということで意図的に派手なピアノにしたのだろうが、確かに充分弾けてるし説得力がある。
ピアノの猛攻に隠れがちだが、リズム体もAメロでのタイトなプレイなど見せ場がある。
Bメロくらいまですごい良質な曲だが、サビでアレンジもメロも一気にありがちな感じになる。こんな弾けるのに何故こうなる。
結局フランプールの二匹目のドジョウというか、今度はピアノロック版作りました的な感じになっちゃってて勿体無い。
勿体無いというか同じ事務所ですか。しかも同じようなタイアップもなさってらっしゃる。何故そうなる。実力で頑張れるバンドでは。
2.Hard to say I love you ~言い出せなくて~ ★
え~~もう来た…。少年隊とかそんな時代の香りがするド歌謡路線のマイナー調ポップス。ていうかフランプールだろコレ。
昼ドラみたいな歌詞といい、汗臭さがなくて微妙に線の細いボーカルといい、同じ客層を狙ったとしか思えない。
演奏はフランプールより上手いが、前曲のように引きの部分がなく、ひたすら隙間を埋め立てるピアノが息苦しさを感じさせる。
運指的には優等生なピアニストだし、すごい練習してる感じなのだが、聴いた印象は「売れたいんだろうな…」になってしまう。
アミューズもどうかと思うが、その口車に乗ったWEAVERも被害者面はできないというか、自分の実力をもうちょい信じられなかったのかと思う。
ところでギターレスが売りかと思ったのだが、もう登場させちゃってよかったんだろうか。
3.僕らの永遠 ~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~ ★★
スキマスイッチを真似し損ねた感じのポップス。auのLISMOタイアップ。捕まりました。
ピアノに引っ張られ上手いこといってる演奏がサビ前のドラムで突然ショボくなる。
間奏の変拍子のとこも、変にドラムの刻みが大柄で何だか間延びしており、緊張感がない。
1曲目と違うドラマーみたい。最初もっと上手い人達かと思ったんだが。なんか他にもあったな、2曲目以降は別物みたいになるバンド。
伏字にするとflump○○lみたいな感じの人達。
4.やさしい詩 ★★
だんだんキーボードがミュンミュン鳴り出し、ピアノロックというか普通のポップスになってくる曲。完全3ピースでもやれそうなバンドだと思うが。
といってもピアノ以外は最初に思ったほどでもないのかも。
ドラムはただでさえピースが少ないバンドでドスドスと地味な4つ打ちに逃げがちだし、
ベースはその4つ打ちを盛り上げる手段として、全部16分音符で埋めるというよく分からないビリビリベースを繰り出す。
確かに1小節に16分音符を16個並べるプレイ自体はアリだと思う。昔X-JAPANのTAIJIがやってた。何故ならYOSHIKIが1小節に16個キック入れてたから。
でもそのくらい特殊なケースでない限りやっぱり何か変というか、あんまアイデアのない人の苦し紛れみたいに感じてしまう。
サビの締めのメロディも、なんか恋しちゃったから指先でキミへのメッセージを送ってそうな感じ。折角ならこっちをLISMOにすりゃいいのに。
5.君と僕のテーマソング ★★
ピアノ弾き語りで始まるミドルテンポの曲。しかしどうにもメロディが安っぽい。変なV系のラブソングって感じ。
だいたい2曲目頃からいつ触れようかと思ってはいたが、どういうつもりの曲名なんだ。特に3曲目。
何となく曲中のフレーズから付けた感じでは全くない。すごい考えた末に付けた曲名だろうとは思う。だからこそ「何故そうなる」って感じ。
だいたいピアノロックを名乗ってる割にまたもやギター加わってるんだが、普通のロックバンドと何が違うんだろう。
キーボードやシンセストリングスをなんぼ足そうとも、せめてギターレスの一線だけは越えるべきでなかったのでは。
6.つよがりバンビ ★★★
意表をつくボサノバ風ポップス。
最初はベースだけ普通のロックっぽい感じで浮いてるが、Bメロでアホっぽいテク無駄遣いアレンジが来て一瞬最初の勢いを取り戻す。
やっぱり技術はある。多分。流れもキレイだし、他の曲のようにサビでいきなり大衆に媚びて迎合する感じがない。
他の曲もサビで売れ線狙い過ぎなけりゃ普通にいい出来になってそうだけど。詞はどっちにしろなりきりイケメンって感じだが。
7.ティンカーベル ★★
ピアノの出番が減り、変にディレイが効いたキーボードがメインを預かる曲。例によって古臭い。言い方を変えればフランプール臭い。
もう同じようなメロディばっかで飽きた。フルアルバムじゃなくて良かった。
またも4つ打ちドラムに8分弾きベースというアレンジが登場するが、やっぱり歌がもっと上手いかメロが強いかどちらかでないと寂しく聞こえる。
盛り上げる時も3ピースにこだわらなさ過ぎるので、ピアノロックと聞いてベン・フォールズ・ファイヴみたいなのを思い浮かべる人には納得いかない感じかも。
それでもKEANEみたいなのを期待するよりダメージは少ないと思うけど。何故ならメロディこそフランプールと何ら変わらないようなつまらない出来だから。
中盤からのディレイ祭りとそこから持ち直す時の4つ打ちはまずまずのカッコ悪さ。
いくら杉本が一人で頑張ってもなあ、という感じ。でもメンバーも何もしない訳ではない。
作詞は全てドラムの河邊。何故そうなる。悪いこと言わないからいっぺん他の人にも作詞させてみたほうが。
総評.★★
ほぼ全ての作曲を担当するピアノボーカル・杉本を中心とした3ピース、WEAVERの2nd。
杉本の繊細で手数の多いプレイに全体が押し上げられる形で、年齢以上に上手いバンドという印象は受ける。
しかし恐らく杉本がアドリブでガンガン弾けるであろうことが影響し、フレーズが流動的すぎて印象的なリフが無い。
リフとメロを両立させるよりもとにかくメロを立てたいという事なのかもしれんが、そうすると今度は月並みの域を出ないメロに疑問符が付く。
奇をてらわず常識的な範囲で作曲してると言えば聞こえはいいが、まさに当たり前の、日常のあいさつレベルの頻出メロが並んでる印象。
いっぱいメロディ動かしていっぱいピアノ弾いてるのに、どちらからもこれといった個性を感じない。努力が空回ってる感じがする。
楽器が下手でも超シンプルな演奏を「これが絶対カッコイイ」と自信満々にぶつけてくるタイプのミュージシャンもいるが、
杉本は間逆で、「これ1本でOK!」という芯を見出せないからいっぱい弾いて保険をかけ、曲のインパクトを弱めてる印象。
まあ有り得る感じのメロディが並んでいるということは一般受けはいいだろうし、これで狙い通りなのかも。
詞は何故こうなったのか分からない。かませ犬的ナルシストキャラというか、ノンスタイルのツッコミの方みたいなイメージの詞。
久々にすごい詩人ぶるタイプ出現。実際ノンスタイルに歌わしたらしっくり来ると思う。売れるかどうかは別問題だけど。
アルバムタイトルの煽りがデカイ割に中身は大方ラブソングという作りも、もう既に後半への間違った期待感を持たせてくれる。
そりゃ最初は「曲名がすごい浅そうな感じなのにどんな風に新世界創造記を綴るんだろう」とちゃんと期待したが、数曲も聴けば変な目で見たくもなる。
別に聞き流せば違和感ないんだろうけど、執拗にどっかで聴いたようなフレーズを繰り返しながらも
「君と僕のテーマソング」とかオリジナルっぽい曲名つけたりされると、さすがに「君と僕の…?」と首を捻りたくはなる。
何はともあれ、一言で言えばフランプールのピアノロック版で片付くバンド。
建て前的な差別化として楽器が達者な人が入ってるが、歌い方は区別がつかないほど似てるし、
作曲にしても本当に個性が無いというよりある程度彼らをトレースする器用さを発揮した結果のように思える。
多分アミューズはこういうバンドを沢山作って、そんなのばかりを集めたイケメンフェスとかやりたいんだろう。
正直ちゃんと聴く前と聴いた後でバンドへのイメージが大きく変わった一枚。フランプールが好きな人なら。
(★5個が満点。)

Reviewer:24th. 142-149 名無しのエリー2010.10.14.

1.愛のカタチ ★★
ベタではあるが安定したメロを派手なピアノと一緒に速いテンポで押し流すオープニングナンバー。
杉本のピアノは意外性は無いが演奏にそつがなく、ギターレスのこのバンドの屋台骨となっている。
ベースは何だか初心者みたいなフレーズをポンと出してきたりして意味不明。
サビ後の繋ぎフレーズとか自信満々に弾くようなもんなんだろうか。それでいてリズムキープは初心者の域を軽く脱したレベルだったりで胡散臭い。
ドラムの河邊による詞も前作同様荒れている。「僕の愛のカタチを君に見せたいから世界中探しにいくよ、でも愛のカタチはここにあったと気付いたんだ」
というのが大まかな流れで、この時点で個人的にはどうなんだろうと思ってしまうが、実際にはそういう話としてすらも成立していない。
まず最初のサビでフリとして愛のカタチを世界中探しに行くと歌った直後に、同じサビ中にもう「僕の胸透明だったら見えるのかなあ」と詞が入ってしまう。
早くない?お前の胸にあるのに世界中探すのか。ラスサビで愛のカタチはすぐ身近にあることにやっと気付くような描写があるんだが。台無しでは。
しかも彼の愛のカタチは「それは宇宙のようで まるで分子のようで そして空気にだって形をかえてゆける」らしいのだが、
どれも実際には形があるけど見ても大概その形を認識できないものな気がする。大体彼は宇宙の形のほうはどういうもんだと認識してるんだろうか。
そこが曖昧なまま「僕の愛は宇宙のような形さ」的に言ってる気がしてならない。「きっとこの地球からはみ出す程誰にも負けない想いだから」もどうかと思う。
相手も取り敢えず地球から出ないと形を認識できないし、そんな巨大な想いだという自信があるのに「きっと」とか付ける意味が分からない。
緻密な計算の結果ギリギリ地球からはみ出すかはみ出さないか位の体積だったって意味の「きっと」か。
この人に限らないが、やたら世界とか地球とか宇宙とか言う人は大事なとこを「きっと」で誤魔化す傾向があるように感じる。
ていうか詞がキモすぎてこれだけ書いても書き足りない。恐るべし河邊。
2.新世界 ★★
低めのボーカルで入る構成やサビメロの作り、そして特にサビへの繋ぎのメロにサウンドスケジュールの「アンサー」の雰囲気を感じさせるミドルテンポの曲。
悪くない曲だが、アレンジも取って付けたようなインスタントな感じだし、アンサーと聴き比べてこっちの方がいい曲だと言う人はあんま多くない気がする。
さてここから全部河邊の詞の話です。
曲名を見た時は、いかにもコンセプトアルバムっぽい名を冠しておきながら新世界の創造に全く触れなかった前編の反動で、
恐らく今作のこの曲で新世界の創造についてたっぷり語られる気がしていたがそんなことは無かったぜ。
この曲に出てくるのは新世界では断じてないし、実は新世界という言葉も曲中に登場しない。タイトルだけ「新世界」にして体裁を整えたようにしか思えない。
詞の内容だが、「夢の中なら空も飛べるけど、例え飛べなくても今自分が立っている美しい世界を受け入れるよ」というのが大まかな流れで、
この時点で個人的にはどうかと思ってしまうが、それ以上にとにかくわざとらしい表現の数々に閉口させられる。
出だしから「ずっと不思議だった 心に描く世界は果てしないけれど なぜだか胸に納まるんだ」ほんとにずっと不思議だったんだろうか。作詞用に最近思いついたのでは。
前曲では「愛にカタチはないから見えないけど、僕の愛はカタチにしたら地球からはみ出す程だ」的なことを言ってたが、
それは胸に納まってると言っていいんだろうか。
「愛」は納まらないけど「心に描く世界」は納まってるという設定です、とでも言い逃れるんだろうか。
「ずっと長い間 自分で自分の体 背負ってどうにかやっと ここまでやって来たんだ」もわざとらしい。
ずっと昔から日常的に「自分の体を背負ってる」なんていう特別な負荷を意識してたのだろうか。
試しにライブの後にでも「自分の体を背負いながらもドラムを叩く河邊さんに感動しました」とか本人に言ったら、多分「???」なのでは。
さらに肝心のサビだが、「目の前広がる大地に 輝く夜空の世界 今ならきっと抱き締められる」という詞から察するところ、
夜なのに目の前に広がる大地に感動してるように思える。
わざわざそんな暗いとこで地面見なくても。青空と大地の組合せにしといたらよかったのでは。
3.最終バス ★★
今までに比べ曲が退屈になった印象のミドルテンポ曲。
サビメロが聞き覚えある気がしてたが、GReeeeNの塩コショウの1曲目に似てる。「GReeeeNの曲に似てる」って感覚初めてかも。
「GReeeeNの曲が似てる」は散々あったけど。どっちにしろそこイジって字数を割く気にならない。何故なら今作の主役は河邊の作詞だから。
さてこの曲の詞はほぼ曲名から連想される通りで、最終バスで「君」とお別れするという内容。
基本的に普通の詞だがオチはヒドイ。
「一人になったベンチの前で涙の大洪水」とか言うほど悲しい別れだったはずなのに、
最後にあっさり「今度の休みは僕が行こう 最終バスで君の街まで」と出てくる。近くない?なぜ涙の大洪水。
電車じゃなくてバスって時点で距離感が怪しいとは思ったけど。
あとこっちから行く場合は最終バスにする意味なくない?彼女が最終バスに乗ったのは名残を惜しむためなのでは。行ったはいいが帰りのバス無いよ?
4.旅立ちの唄 ★★★
今作中では突出して丁寧な作りのスローテンポ曲。
歌謡曲テイストのメロ長めのサビを有するが、ダレてしまわないように途中で音数をかなり絞って上手くメリハリをつけている。Dメロの転調も心地良い。
杉本のボーカルも他曲との歌い分けが感じられる。歌はflumpoolより上手そう。
ドラムもさりげなく良いプレイ。バンドが脇役っぽすぎて何だか杉本のソロ作みたいな雰囲気になってるが。
大まかな詞の内容は「彼女との思い出も全部カバンに詰め込んでさあ出かけようか新しい世界へ」という感じで、今までで最もアルバムタイトルの煽りに近い。
しかし細かく詞を見ていくと、やっぱり別れの辛さの表現手法とかはウザイ。
中でも「今不安だよ」のライブ感は弱音の吐き方として新しい。不安なう。
全体の流れとしては彼女と会うことは二度となさそうな感じだが、
なぜかDメロで「ただいま言う時は腕いっぱいの感謝の気持ち伝えたいんだ」と出てきて、すぐにまた永久の別れ路線に戻る。出たなお家芸ブレブレ。
正直Dメロの一節を除けば彼女死んだくらいの状況に思えるが、ブレてない可能性もまだある。
河邊は次の休みに会いにいけるくらいの距離に相手が引っ越しただけで涙の大洪水になるほど淋しがり屋なのだから、彼女との別れが一時のものであっても
「君がいない場所を 今はまだ想像できない」「忘れようとするほど鮮明に焼きつけられるけど さあ出かけようか 未来だけを見据えて進むんだ」
位のことは言ってもおかしくない気がする。
そしてこんな風に河邊の気持ちになって聴く努力をしている自分がなんか河邊のファンのようでキモくなってくる。
5.Blue ★★
音数を絞ったAメロが印象的なミドルテンポ。
特にベースはかなり特殊なフレージング。ほとんど弾かずにたまに短く「ドゥドゥッ」とだけ挟む感じが妙に心地良い。
アレンジは今作中でもかなり良い方に入るのでは。
一方でメロディはすごいどっかで聴いたことある感じで肩透かし。誰の曲だっけ。flumpoolだったかな…。
でもソレを出すとそもそも両バンドが近すぎて訳わからなくなるしいいやもう。
詞は今までに比べ詩情を重視した感じで、あまり整合性とかを気にせずに済む分だけすんなり聴けそうな気がしたがそんなことは無かったぜ。
その詩情の部分がそもそもキモイので、結局言い回しの一つ一つに引いてしまう結果に。
「君の手が僕に触れるそれだけで世界を救えるような気がした」
もう世界と関連づけるのはやめろ…。大体これお前の世界が救われるって話のつもりじゃないの?お前が世界を救うの?世界が何に苦しめられてる設定なの?
6.管制塔 ★★
バンプの「カルマ」を色々フィルター通してWEAVER名義で出せるようにした感じのアップテンポ曲。サビの途中から割とメロが似てくる。
詞の世界観も今までのヌルいラブソングから一転、孤独とか存在云々の重い感じになる。言い回しも「~すんの」とか今まで出てきてない感じに。
サビ頭で「応答を願う」とか出てくるとこもバンプの何かの曲を思い出させる。ベースも派手に動き回る。そこへもってギターも登場。
同じような曲が世の中にゴマンとあるとはいえ、そういうケースの合流点はもっと手前で、例えばいきものがかりとかの周辺にあるもんだと思う。
あまり特徴が揃ってくるとある程度テンプレに沿って作業してる感が出てしまうように感じる。演奏技術的には悪くないのが救いか。
もっともそこに最もいやらしい魂胆があるようにも思えるが。
詞は言いたいことは何となく分かるが、管制塔から通信が入らなくて孤独なのかと思ったら実は管制塔からの声はキャッチできていて、
こちらの返事が届かなくて孤独にさまようとかいう設定だった。
管制塔が無視を決め込んでるならともかく、この状況ならこちらの通信設備の点検不足が根本の問題な気がする。
それを「誰もが孤独で~」みたいな話にするから一人で浸っててキモイ感じになるのでは。
7.She ~キミが最初でよかった~ ★★
まず曲名が気持ち悪すぎる。そういう歌じゃないけど敢えてそういう見せ方をしてるのかな、とも思ったが、そういう歌でした。
様々な角度から不愉快な詞を綴ってきた河邊だが、最も直接的にキモイのはやはりこの曲か。
せめて副題を外してあれば普通に聴けたような気がしたがそんなことは無かったぜ。
キミが最初でよかったとか男が言うこと自体キモイ気がするが、今まさに別れ際とかなら有り得ないことはないと思う。
でもこの曲の場合「キミ」は遠くの街で新しい恋をしてることを知りながらもなお、「いつか会えたらありがとうって言いたい」などとおっしゃる。
言うか…?もう終わってて、相手は意中の人がいるのに今更「ありがとう。キミが最初でよかった」言われる方も大概気持ち悪いし、怖いと思うんだが。
お前が己の美意識に基いて言いたいだけだろコレ。凄まじい自分本位。ナルシストの真髄を見た気がする。河邊が歌うべき。杉本が可哀想。
そして実在するであろう河邊の初めての相手もとんだ災難。こんな詞を書いて欲しくて初めての相手になった訳でもあるまいに。
ていうか実在するんだろうか。今作全般で河邊の詞はチェリー妄想臭がするが、ここで童貞喪失済みをアピールしてきたのはその予防線では。
いやでもさすがに童貞隠蔽ソングってことは無いか。そういう体裁に必死になるタイプだとしたら本当にキモすぎる。
あと曲はコブクロの「蒼く優しく」みたいな感じです。
総評.★★
ドラムの河邊が全曲を作詞し、あとピアノボーカルとベースがいる3ピース、WEAVERの2nd。
曲はありがちでピアノが技術的には上手いけどお役所仕事的でベースとドラムはそれなり。
さてここから全部河邊の詞の話です。
個人的感情に大きく干渉されて冷静な目で見られないが、邦楽の作詞家のなかでもこの人が暫定的にワースト1と言ってもいいのでは。
こんなところに逸材が。
多分本人は「ちょっとありがちな詞かな?」くらいに思ってるんだろうし、テーマとかフレーズの断片だけ見れば確かにありふれたものが多いのだが、
天才的に整合性が無い。ベタで退屈な詞にもなれない。ここまで突っ込みどころの多い詞に連続で遭遇したことはかつてなかったと思う。
随分スペースを割いたつもりだが、まだまだ書き切れていない。
詞がおかしいというケースで、韻踏みを優先して意味が軽くなっている、無意味を目的化しているというケースは作り手の意図が出たまでのことだと思う。
詞と実態が噛み合わないケース(詞では善人で実態は悪人、詞では前向きな努力家で実態は歌も演奏も下手、等)も
作り手側の努力で本人が詞に近づけば整合性が生まれることになる。
詞が曖昧すぎて作り手の意図が絞り込めないケースでも、解釈の幅が広いおかげで聞き手が自発的に辻褄の合う解釈を見出せる余地がある。
イェーとかウォーとかばかりの詞も韻踏み同様に曲のノリを重視したものと見なせる。
河邊の詞はどれにも当てはまらない。意味が通りそうで通らない。
シチュエーション的にも、妄想でももうちょっと現実的なことが書けるのではってくらい現実味が無い。
それでいて「主張してる感」に浸りたがってる面が強く、
ちょっといいこと言った風フレーズを曲に詰め込みすぎて場面設定や細やかな心理描写が飛ばされ、「僕はこう思うんだ」みたいな詞ばかりになっている。
地球からはみ出す想いとか世界さえ救えるとか色々大袈裟に思いのたけを綴ってる割に、相手のどこが好きとかをほとんど描写しないのもいかがわしい。
特に顔とかスタイルとかに惹かれる描写が一切ない。そういう所だけ一貫性があると、なんか全方位にモテるように気を遣ったように思えてしまう。
総じて河邊の詞は現実的に一番引ける詞に思える。アルバムタイトルの煽りも驚くほど放ったらかし。個別の詞で異常なのにまとまるはずもないけど。
個人的にはこの作品に出会ったおかげでどういう詞が本当に引けるのか考える機会が持てた。身を挺して周囲に自発的思考を促す、素晴らしい反面教師。
実は詞はそれほど聴き取り易くないので、詞を調べずにいれば普通に聴ける一枚。
(★5個が満点。)