Reviewer:24th. 80-83 名無しのエリー2010.09.15.
1.私は雨の日の夕暮れみたいだ ★★★
10年ほど前に書いたナンバーらしいが、既に安藤裕子らしいひねくれ具合が炸裂している。
激しいピアノとドラムで演出される彼女の凍てついた心。自嘲的で憂鬱なのに、楽曲から感じる色は鮮やか。
2.健忘症 ★★
ふわふわした音作りや歪んだギターが印象的なポップソング。
ファニーな世界観や詞は素晴らしいのに楽曲が冗長で退屈。
ただフランス語のポエトリーリーディングの部分は秀逸。
3.マミーオーケストラ ★★★★
イントロの旋律がゾクゾクするくらいに美しい。
その印象に比べたら楽曲は地味めなんけど、気恥ずかしくなるくらいの真っ直ぐな恋を描く愛らしい歌唱とメロディが素敵。
4.New World ★★☆
Benny Singsをアレンジャーに招いた一曲。
センスのいい詞が弾むシティポップ風味の一曲。ちょっと穏当かな。
5.Dreams in the dark ★★★☆
同じく編曲はBenny Sings担当。
静かな導入部分から、童謡のように明るい"Merry Merry"というサビに開ける瞬間はまさに暗闇の中の希望のよう。
6.アネモネ ★★★★
いくつも重ねたコーラス・幻想的なアレンジが危うさを、そしてそれが故の美しさを伝える極上のバラード。
官能的なボーカルといい、彼女の成長が感じられる優れた一曲。
7.court ★★★☆
演奏はシンプルにピアノのみで構成されたバラード。
「胸に過ぎる痛み 透き通っていける気がしてたのに...」と痛々しいまでのリグレットが胸に突き刺さる。
ボーカリストとしての表現力が遺憾なく発揮されている。
8.青い空 ★★★
シンプルな序盤から次第に壮大さを増していく大作バラード。
実直で普遍的なメッセージは感動をもたらす。
9.Sleep Tight Mr.Hollow ★★★☆
コーラスのみのアカペラだが侮ることなかれ。
荘厳な空気と儚さが共存する優れた楽曲で、インタールードの役割を上手く果たしている。
10.摩天楼トゥナイト ★★☆
シティポップ調のミドルチューン。可愛らしいんだけど印象に残りにくい...
11.問うてる ★★★★☆
「涙ってなにい?」ゲロルシュタイナーCMソングでお馴染みの一曲。
スケールの大きいテーマを掲げながら、R&B・ゴスペルのエッセンスも含んだグルーブ感満載の楽曲と可愛い歌唱で見事にポップソングに着地。
このバランス感覚こそ安藤裕子の真骨頂かも、お見事!
12.Paxmaveitiラフマベティ -君が僕にくれたもの- ★★★★
タイアップ(レイトンだっけ?)ありきな気はするものの、M8同様こちらもストレートに伝えたい言葉を届けるバラード。
歌唱力の向上が功を奏し、スケールの大きいこの楽曲も見事に歌いこなしている。
13.歩く ★★★★☆
彼女の作品からすれば何番煎じかも分からない自伝的なラストを締めくくるバラードなんだけど、このメロディと詞と歌唱を前にすれば何も言えなくなる。
M1では凍てついていた心が嘘のように、心に温かさが宿っている。ラストの情念的な歌唱にはただただ感動。
彼女もまた、今作をもって、アーティストとして歩き出すのだろう。
総評.★★★★
前作において確立させた"安藤裕子らしさ"を敢えて崩し、新しく音楽性を創り出そうとした意欲作。
Benny Singsや山本隆二や宮川弾を迎え、より楽曲は多彩になりました。
作風としては今までに以上にシティポップ色を強めた楽曲・バラード曲を中心とした仕上がり。
ジャケットも含め、より彼女の年齢に則した"大人っぽさ"や"女性らしさ"を伝える楽曲が多い。
作品を通して発信されるメッセージは力強く、非常に大きいテーマのものが大きい。
前作における「HAPPY」「パラレル」のような痛快な楽曲がなく作品全体として重たいといった惜しいところはあれど、
安藤裕子の音楽家としての挑戦を感じられる見事な作品です。
やはり彼女はシンガーソングライターとして孤高の道を歩む人だと再認識した次第。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)
Reviewer:24th. 248-251 名無しのエリー2010.11.03.
1.私は雨の日の夕暮れみたいだ ★★★
1曲目だからというのもあるけどテンポが歯切り良い。
叩くようなピアノ、分厚いベース、甘えた歌声などアレンジがかなり凝っていると思う。
2.健忘症 ★★★
ハ長調のポップバラードで安藤裕子らしいおしゃれ感が表れた曲。
間奏のフランス語と日本語の二ヵ国語の語りは小さな女の子が蜂の大群から逃げる内容?童話のようなまったり感があります。
3.マミーオーケストラ ★★★★
この曲は歌詞が深い。未来の約束や過去のノスタルジーが赤裸々に語られてて重いラブソングに仕上がっている。
曲調は西洋風のバラードで秋の夕暮れが似合いそう。
4.New World ★★★★
メロディーが非常に上手いと思う。「みるみるうちにふくらむ~」の歌い方が何気に可愛い。
深夜寝る前に薄暗い部屋の中で聞くのが心地良いのでは。
5.Dreams in the dark ★★
このアルバムの中では比較的地味な曲。イントロからサビまで静寂な流れが続いて、サビからは合唱っぽい。
懐メロ洋楽に有りがちな曲調のように感じる。
6.アネモネ ★★★★
歌い方が大貫妙子を彷彿とさせるウィスパーボイスになります。今までの流れから聞けば「違う人が歌ってる?」と勘違いしそうな変貌ぶり。
安藤裕子の歌唱法の幅広さを堪能できる異色な曲。
7.court ★★★
ほとんどピアノ+ボーカルのみの静かなバラード。
ここまでの寄り道から一休みしているような位置付けだと思えばイメージしやすいかも。
8.青い空 ★★★
タイトルの通りどこまでも続く快晴が似合いそうな爽やかなバラード。
前半は静かな流れだが後半にかけて盛り上がっていきます。意外と卒業式のBGMに合いそうかも。
9.Sleep Tight Mr.Hollow ★★
全てアカペラで構成されているシンプルな曲。秋の長い月夜を想像させる。
10.摩天楼トゥナイト ★★★★★
個人的にスルメソング。>>82(※管理人注:24th.80~83)の低評価が信じられないほど。
イントロ~Cメロまでのマイナーな流れから、大サビで転調して柔らかなアウトロで終わっていく起承転結の整った展開が耳から離れない。
バックサウンドに耳を傾けてみてもシンセサイザー、スティールギター、ベース、ドラムの音色一つ一つが作り込まれていて素晴らしい。
もう何十回もリピートしているが全く飽きを感じさせない不思議な名曲。
11.問うてる ★★★
飲料水のCMでお馴染みの曲。Tr.10でお腹いっぱいになったせいか、何度も繰り返し聞きたいとは思わない。
しかし、未知の疑問に問いかける歌詞内容は深いと思う。
12.Paxmaveiti ラフマベティ -君が僕にくれたもの- ★★★★
昨年「レイトン教授と魔神の笛」のCMに起用され、どちらかというとアニソンをイメージさせる曲。
アレンジがとても爽やかで鐘の音を取り入れたところが西洋っぽい。
13.歩く ★★★★
母親の死をテーマにした壮大なバラード。
曲調はshabon songs収録の「唄い前夜」を彷彿とさせるが、歌詞はこちらのほうがより深い。
思春期の反抗から成長して、失ってから思い知った母親の大切さが心に染みる。
総評.★★★★★
この人の良さは80~90年代邦楽の長所を取り入れながら独自の音楽性を築いているところだと思う。
それぞれの楽曲にストーリー性を持たせつつも、アルバム全体が安定していて繰り返し聞いても疲れない。
個人的にはやっぱりTr.10を聞くためにも手に取って損のない名盤だと推奨したい。眠れない夜長のBGMにもお勧め。
(★5個が満点。)