Reviewer:12th. 107-111 名無しのエリー2006.04.05.
(Disc.1)
1.LOVE WAY ★★★★
切迫感のあるギターと打ち込み音から始まる、尾崎版「氷の世界」。2chで単独スレが立っているという意味では名曲。
歌詞の内容からして、哲学書を読みかじった事が伺える。独特な歌詞とリズムがツボに嵌ればとにかく衝撃を受けると思う。
2.KISS ★★★☆
サラリーマンの一日を描いたコミカルな曲。曲名がなぜ「KISS」なのかは、3番を聴いて初めて分かる。
歌詞の役割分担がきちんとされていて、1番で通勤ラッシュ(朝)、2番で仕事中(昼)、3番でアフターファイブ(夜)を歌う。
3.黄昏ゆく街で ★★☆
冴え冴えとしたアコギソロから始まるシティポップ。夕暮れどきの哀愁感たっぷりな演奏が素敵。
サビがなくダラダラ感のあるメロディで、好みが分かれそう。人によってはボーカルがない方がいい曲に思えるかもしれない。
4.ロザーナ ★★★
ロザーナという女性に語りかける様にして歌われる。熱くもあり冷たくもあり、人肌ぬくさが心地よい。
歌詞の内容からすると、後悔する曲……かな? 後奏でロザーナが野沢菜に聴こえるところが惜しい。
5.RED SHOES STORY ★★
再生時間が7分と長めの、ライブ栄えしそうな曲。長さが気にならなければ★一つ二つ追加してお勧めしたい曲。
この曲の歌詞には、尾崎と過去の事務所との関係について歌われていると思われる部分がある。深く突っ込むと長くなるので割愛。
6.銃声の証明 ★★☆
テロリストとして育てられた少年が主人公の、物語風の歌詞になっている。
生きるために罪を犯さざるを得ない人々について、いろいろと考えさせられる部分があり。
7.LONELY ROSE ★★
エスプレッソのコーヒーに砂糖を13杯入れたような、甘いのか苦いのかよく分からない曲になっている。
弱い男とそれをひたすら盛り上げる音。そのせいで聴く人を選びそう。美しくも情熱的なCメロが最強。
8.置き去りの愛 ☆
異常に暗いお別れソング。歌にも演奏にも生気を感じられない。
正直言って、本当に捨て曲かと思えたのはこの曲ぐらい。
9.COOKIE ★★★★
アマチュア時代か初期の尾崎を彷彿とさせる、フォーク風のおいらソング。曲も軽めで聴きやすい。
尾崎の曲の中では(初期の一部の曲を除いて)一番一般受けのいいアルバム曲と思う。割と歌いやすいし。
10.永遠の胸 ★★★★★
ヘヴィなアレンジに美しいメロディラインが光る、尾崎屈指の名曲。Disc2に収録されている「誕生」とよく比較される。
「誕生」が現実世界を赤裸々に描いた曲ならば、こちらは尾崎の精神世界を描いた曲と言える。
「断崖の絶壁に立つように夜空を見上げ…」で始まる語りから、最後のサビへの流れはまさに圧巻。
(Disc.1)評.★★★
全体的に暗くて重たい調子の曲が選びぬかれている感がある。
中だるみはあるものの、捨て曲が少なくアルバムの流れも割と自然。
M2やM9のような軽い調子の曲がもう一曲あれば、もう少しスムーズに聴けたと思う。
(Disc.2)
1.FIRE ★★
ワイルドな歌い方の、ある意味では正統派ロックンロール。歴代1曲目の中でもとりわけ相応しいと思う。
1番と2番で歌詞の雰囲気ががらりと変わる。1番では車を乗り回し、2番では正義を語る。
2.レガリテート ★
イントロがフェードして始まる不思議系の曲。歌詞は尾崎の曲の中でも特に意味不明。曲も単調でイマイチ。
とあるプロレスラーがテーマソングに使ったので、聴いたことのある人は結構いると思う。
3.虹 ★☆
6分強という、バラードにしては長い曲。長い割には特に見せ場が無く、後奏が1分40秒とこれまた長い。
正直言って聴いていて退屈。心に余裕の無い人にはお勧めできない。
4.禁猟区 ★★
コカインマリファナLSDって……よく発売禁止にならなかったなと思わされる。とにかく歌詞が危険(笑)。
1番でSexを歌い、2番でDrugを歌い、最後にSex and drug and Rock'n'Rollと歌う辺り、曲の構成としては綺麗と思う。
5.COLD JAIL NIGHT ★★
ドラムが力強くカッコいい、尾崎版「監獄ロック」。メロディは以前の作品「愛の消えた街」を使い回している感が強い。
監獄での暮らしを歌う歌詞は、ひたすら自己否定的で夢も未来も持てない。
6.音のない部屋 ★★★★
ニューミュージックか歌謡曲風のしっとりとしたバラード。詞世界が素晴らしく、隠れた名曲としても名高い。
曲に応じてピッタリな歌い方に変えている。これまでのロックンロールな曲を聴いた後だと、別人と感じてしまうかも。
7.風の迷路 ★★☆
キミョウキテレツな歌詞を軽い調子で歌う様子は、以前の作品「誰かのクラクション」を彷彿とさせる。
爽やかなアレンジと町支さんのコーラスが伸びやかで素敵だけど、今ひとつ心に引っかかるものがない。
8.きっと忘れない ★★★★
バースデイイベントでも多くの人に歌われる、尾崎の誕生日ソング。このアルバムの中では一番ポップな曲。
尾崎に対して若者のロックンロールを歌うイメージを持っている人は、こんな曲もあるのかと意外に思うかもしれない。
9.MARRIAGE ★
誕生日ソングの次は結婚ソングか……。歌詞は使い古された言葉のつぎはぎ感が否めず、今一つ泣けない。
10.誕生 ★★★★☆
再生時間が10分弱という、異常に長い曲。
パンク風のサウンドに乗せて自己の半生を語り、7分間を一気に駆け抜ける。最後の3分間は泣いちゃうかも知れない。
前にも書いたとおり歌詞は私小説的な内容で、聴き終わった後には読後感のようなものを感じると思う。
(Disc.2)評.★★★
こちらはM2やM4のような、強烈な個性を放つ曲が積極的に選びぬかれている感がある。
中だるみはあまり無いのだけれど、捨て曲はこちら側に多いかもしれない。
アルバムの特色を後半に出している、日本では割とオーソドックスな構成のアルバムと言える。
総評.★★★☆
覚醒剤事件で服役し、出所後の休暇を経て発表された、これまでの尾崎の集大成ともいえるオリジナル5作目のアルバム。
1枚目は精神世界を表現したヘヴィな曲が多く、2枚目は新しい家族と共に生きていく優しい曲が多い。
これまでの尾崎の持ち味だったストレートな歌詞は影を潜め、全体的にナルシシズムの立ち込める内容となっている。
尾崎を初めて聴く人には、1枚目から素直に聴くのでなく、気まぐれに2枚目から聴いてみる方がお勧めかもしれない。
尾崎の他のアルバムと一線を画すのは、2枚組みであるのももちろんのことだが、
海外の演奏家を多数起用し、分厚く緊張感のある演奏でもって表現されている点。
演奏家の凄腕をフルに活用しようという意図があってか、全体的に後奏が長すぎる傾向にある。
曲によりまちまちだが、平均して1分は後奏に費やす。
そのため一曲一曲の再生時間が長く、2枚組み20曲で約2時間と全体としても相当長い。
音を楽しみたい人にはいいかも知れないけれど、音で楽しめない人には後奏を聴くだけで相当苦痛かと思われる。
個人的には、Disc1のM2・M9やDisc2のM8のような一般受けのいい軽い調子の曲が、もう少しあればよかったと思う。
いい作品とは思うのだが、2枚組みで価格も高く、購入するには相当覚悟がいる。
歌詞カードには尾崎の描いた絵や尾崎の写真が多数掲載されていて、これはこれで作品として楽しめるのだが。
先ほど書いた点(歌詞、後奏)が気にならなければ、レンタル代の元は十分に取れると思う。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)