アルバム全曲レビュー * アーティスト名 : やぷーず(とがわじゅんとやぷーず)。

Reviewer:12th. 24-25 名無しのエリー2006.03.23.

1.バーバラ・セクサロイド ★★★★★
シングルカットしただけあってメロディー、歌詞、ボーカル等すべてにキレがある。
売春ロボットの描写はドロドロを通り越してさわやか。
2.キスを ★★★
ねっとりとしたバラード。濃いラブソング。歌詞も短く雰囲気重視の曲。
3.肉屋のように ★★★★☆
恋人をばらばらにして食べてしまう歌詞が印象的。曲調もそういうのを想像すればいいと思う。
人を選びそうだけど良い曲。
4.Daddy the heaven ★★★
かわいらしい感じのバラード。ボーカルの演技力が光っている。
5.ラブ・クローン ★★★☆
ナルシストがクローンを作って……という歌。ボーカルがとてもエロティックで気持ちいい。
ただ、メロディーや歌詞に新鮮味がない。作った当時は斬新なテーマだったかもしれない。
6.コレクター ★★★★
昆虫採集のノリで好きな男性を監禁する歌。#05とセットで中盤の盛り上げ役だが、こちらのほうが一枚上手。ボーカルが怖い。
曲の構成や英歌詞のテンポ(I get a cicada I must get you ~)はいいが、少しなじみにくいメロディー。
7.労働慰安唱歌 ★★
箸休めの曲。働けども働けども働けどもってずっと言ってる。
8.ロリータ108号 ★★★★
男性に抱かれると自爆するよう改造された少女の歌。
ロリータボイスが切ないムードを盛り上げている。アルバム中一番のバラード。
9.宇宙仕官候補生 ★★★★☆
さわやか歌謡曲。今までのエログロな雰囲気を吹き飛ばしている。
聴いたあとの感じが、これでよくなっている。
10.素敵な時間 ★★
これも箸休めな曲。歌詞は断片的な言葉をつないだだけ。
終わったなあーという感じが出ている。
総評.★★★★
なんといってもボーカルの演技力。
もともと女優だけあって、ロリータ少女から大人のおねえさんまで幅広い声が出せる。
歌詞も同様。テーマの重複はないし、適当にマニアックなのでそういうのが好きな人に向いてる。
バックの演奏は悪い意味で時代を感じさせる。特にシンセサイザー。聴きなれると味になるけど、最初はもっさいとしか思えなさそう。
アルバム全体のテーマは「エロ・グロ・イノセンス」らしい。じっさいそういう曲が多かった。
それでも軽く聴けるのは、あくまでポップに作ろうというメンバーの意思があったからだと思う。
メロディーもいたって耳になじむものだし、アレンジも歌謡曲風。
個人的には名盤だけど、本当にディープなのが好きな人は拍子抜けしそう。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

Reviewer:12th. 783-785 名無しのエリー2006.08.06.

1.ヒス ★★★
表題曲。耐え切れないほどのストレスを感じ、にもかかわらずなんの行動もできない自らの無力さを嘆いている。
これはずばり、このアルバムのテーマ。
抑圧されたアレンジ、メロディーが不気味。ボーカルも一本調子。そう思ってたら、突然曲調が豹変する。
歌詞には時事ネタが使われている。こういう手法は個人的に好かない。
普遍性に欠ける表現は、時間が経つと共感を呼べなくなる。好みがわかれそう。
2.本能の少女 ★★★
一転してゆるやかな曲調。中国風の優雅なアレンジと、機械音の対抗する曲。
テンポはあまりよくない。でも、体の中を熱風が駆け抜けたような感覚に陥る。
シングルカットされていて、なるほど、ほかの曲に比べればキャッチー。
いまとなっては新しくない本能肯定ソング。蝶を引き合いに出すのもありふれてる。
あと、このバンドは、曲の終わりにギターを持ってくる構成が好きだなと思った。
3.ラブ・バズーカ ★★★☆
思春期一直線の直情ラブソング。ただ、最近の流行歌みたく青春に明るくない。激しい自己嫌悪、自意識過剰に苛まれる少女の歌。
曲調はとても明るい。歌詞も完全に開き直っている。
でも、ギターの音が救急車のサイレンと同じ動きをしている。軍靴の音を挿入してみたり、なにかと気持ち悪い演出が目立つ。
それをどうとるかは人それぞれ。個人的にはいいと思う。
4.シャルロット・セクサロイドの憂鬱 ★★★
自由を手に入れたい売春ロボットの歌。
ロケットの中にひとり乗り込み、何千年かの時間を経て、たった一度の瞬間に賭ける……というなんとも気の長い歌詞が印象的。
詞のワンフレーズに「バーバラ」さんが出てくる。これはファンにしか分からないお遊び要素。良くない傾向だと思う。
メロディーは、とてもロボットっぽい。淡々としている。
言い換えると、曲に詞をつけたというより、詞のために曲があるといった感じ。
5.思春期病 ★★☆
アコースティックなギターで始まる。表題から予測できるとおり、ものすごーく暗いバラード。
クラスに必ずひとりはいる、影の薄い子のテーマソングみたい。その描写はとても的確。
「虚言癖」「気分屋」「楽しい・疲れた」「私は悪い子」…… 疲労した電子音と、抑揚のないメロディーが、それをしっかり支えている。
繰り返し聴きたい気分にはならない。不幸になりたい人はどうぞ。
6.少年A ★★☆
チャイムの音でとつぜん始まる。いままでの流れをぶちこわされたよう。
歌詞の内容も破壊的。学校に火を放つ少年のお話。テーマ的には、#05と表裏一体。
間奏のあいだに時間割表を朗読する演出があって、なかなかカッコいい。どんな性格の人でも、思春期に感じることはほとんど同じなんだと思った。
あいかわらずメロディーは歌詞に追従している。
7.いじめ ★★
2分弱の箸休め。バックの演奏はピアノのみ。
ボーカルの演技力が光っている。内容はタイトルのとおり。
8.それいけ! ロリータ危機一発 ★★★
「スパイ大作戦」っぽいイントロ。暗い流れを断ち切る、アップテンポの曲。
といっても、歌詞は被害妄想(と加害者意識)の連鎖になっていて、とても辛そう。
#03とは明らかに違っている。向こうがピンクなら、こっちは黒。安易な比喩だけど、本当にそんな感じ。
アルバム前半と後半の違いをはっきり見せつけられる。
ボーカルはロリータ少女の演技に徹していて、潔いと思った。
9.あたしもうぢき駄目になる ★★★☆
窓ガラスを叩き割る音で始まる。曲調や演奏、ボーカル、アレンジもろもろすべてから破壊衝動の高ぶりを感じる。
あつい血潮とか、血しぶきとか、そういう言葉のしっくりくる曲。
歌詞では、自己否定はするものの、自分を助けてくれる他者の存在が歌われている。
その点でいままでの曲とは違う。少し救いが見えている。同時に、アルバムの終わりも近づいてきた気分になる。
10.赤い花の満開の下 ★★☆
最後の曲は、いたってまともな失恋ソング。諦念とポジティブさが適当に入り混じっている。
ほんわかしていて、ミドルテンポ。また、気分をすっきりさせるために、中華風のアレンジがかけられている。
でも、あまりにメロディーがベタで気になる。機能的な面ばかりにとらわれすぎて、曲自体の出来がイマイチ。
ひとことで言えば、役不足。
総評.★★★
このアルバムはとにかく暗くて、青春まっさかりの曲ばかり並んでいる。
作られたのは90年代の中盤。むしろいまどきの中高生が好みそうで、時代を先取りしているように思う。
歌詞のセンスもなかなか良い。いままでの作品と違って、アレンジに幅が出ているのも◎。
ただ、内向性が強すぎて疲れる。聴き手の幅をかなり制限しそう。歌詞に重点を置きすぎるのも、ファンだけに焦点を当てている証拠。
そうなったら最後、発展性がなくなってしまう。
曲に関して言えば、どれも質は一定している。統一感もすごくある。最初から最後まで通しで聴いて、どういう感想を持つかで評価が決まると思う。
はっきり言って、内容が内容だけに、ものすごく主観的にしか見れない。
いま自分は不幸だと思ってる人にオススメします。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)