Reviewer:17th. 282-285 名無しのエリー2008.03.23.
1.BE A SUPERMAN ★★★
当時の最新アルバム「TECHNODON」の1曲目からスタートするのだがいきなり静かな曲で開始するのはどうなのかと…
坂本龍一&高橋幸宏が作曲したのも頷けるような綺麗で冷たくシンプルなトラックの中、若い女性とYMOのメンバーが互いに歌う(語る?)のだが、
若い女性の元気な声とメンバーの枯れた声の対比が面白い。そんなアンビエントな曲。
途中で幸宏さんが生ドラムを披露してこのまま行くのかな…と思ったらまた打ち込み音主体の演奏になる…とじれったい。
2.NANGA DEF? ★★☆
こちらもアルバム通りの2曲目。段々場内が静まり返り音が東京ドーム内で反響するところまで録音されている。
若干、ドイツらしい硬派な音作りになっていてなんか気持ち悪いもこもこした効果音が印象的。
こちらも盛り上がり場もなくただ、流れているという感じ。途中の歌うところでも不気味なくらい静まり返ってる…。
3.FLOATING AWAY ★★★
前曲の雰囲気にブルージーなギターとコンガっぽい民族楽器の音が混ざっている感じで若干おカルトな雰囲気。
ウィリアムギブソン氏の語りが入ってきてなんとなく哲学的な雰囲気でもある。…でも、ライブでやるような曲ではないな…
後半でまた幸宏さんのドラムが入ってきて若干の盛り上がりを見せる。やっぱこの人の歯切れのいいドラムは個人的に好きです。
さらに、細野さんのベースソロも入ってきてセッション風のアレンジとなり原曲よりはグルーブ感が増している。
4.DOLPHINICITY ★★☆
細野さん作曲の曲でイルカの鳴き声っぽいSEが所々に入ってきて、
内省的なトラックとともに聴いていると深海でうろうろしているような感じになっていく。
無駄な音を使わずに最小限の音色で骨格を形成していてこちらも硬派。
一応まだ踊れる曲ではあるが、ドーム級のところで演奏するような曲ではないよなぁ…。
いかに再生プロジェクトが複雑なものがこのCDを聴いてても感じることができる。
5.I TRE MERLI ★★★
前曲まで「TECHNODON」の曲順どおりに演奏されていてこの曲と次の曲はなぜか位置を交換させている。
じりじりと進んでじりじりと盛り上がるような曲調でなんとなく90年代の雰囲気が流れているような…静かな曲。
坂本さんが弾く綺麗なピアノの音色が曲をさらに繊細な雰囲気にさせている。…場内はすっかり静かに……。
6.HI-TECH HIPPIES ★★★
ここで、初めて踊れそうな曲が演奏される。でも、ピコピコサウンドを期待していた人が拒絶反応起こしそうな音…。
当時のハウスミュージックを取り入れて、それをYMO流に解釈したような下半身にジンジン来るような感じになっているが、
やっぱり、過去の曲と比べると大人しい曲に聞こえるのか、反応は薄目でいまいち盛り上がらない。
7.CASTALIA ★★★
ここで初めて過去の曲が演奏されちょっと盛り上がる。原曲通りにほんわかに演奏されている。
ここで、リズム隊の細野さん&幸宏さんも生演奏にシフトしたようで、
いかにリズム隊のグルーヴ感がきっちりしているかを証明してくれるような演奏を聞かせてくれる。
そこに、坂本さんの綺麗なピアノ音が重なってYMOらしい感じになってきた。
8.BEHIND THE MASK ★★★
7,8,9はどうも懐メロ大会のようで過去の曲が続く。
しかし、この曲は前曲みたいにそのまま演奏されてるわけではなく、ハウスの要素を絡めたアレンジとなっており決して古臭さもない。
客もイントロだけでは何の曲が分からずに坂本さんが原曲のメロディーを弾き始めてから曲がわかったようでそこで初めて歓声がわく。
やっぱり客は過去の曲を求めてたのか…
とはいっても、曲の内容はまるで別の曲にはなっているがこれはこれでいい感じ。
9.中国女 ★★★
これも代表曲で原曲は道中を走って行くような軽快な感じがあったが、
こちらは前曲と同じようにハウスの要素が混ぜっていてリズムが細かくなっていて大人しくなっている。
途中で坂本さんが「コスミックサーフィン」のメロディーを弾いて遊んでるところが面白い。
今(1993年)の空気を含ませつつ枯れた雰囲気もだしていてなんか独特。
10.WATERFORD ★★☆
と、ここで「TECHNODON」の曲を演奏してまた客は静まり返る…。そんなもんか…。
オリエンタルなヘンタイフュージョンサウンドの中、メンバーが「あぁー」と風呂に入って昇天しそうな感じの声で唸るだけと言うしかないのだが、
それでも、なんか不思議な魅力があって癖になるような…。
坂本さん?のギターをひずませたような強烈なキーボードソロがいい感じ。
11.CHANCE~RYDEEN ENDING ★★★
本編最後の曲らしく何かに向かっていくような勢いを感じる。「BGM」の「LOOM」という曲でも印象出来だった。
だんだんと迫ってくるような効果音が曲の緊迫感を高めている。
ズンズンと刻む打ち込み音をバックに幸宏さんのドラムが重なりさらにグルーヴ感を増している。
途中でテンポが遅くなり唐突にまた最初のテンポで再開する箇所があるのだが、
そこで見事に三人寸分の狂いもなく演奏を再開するところはさすがだなぁと思う。
最後に坂本さんが壮大な音色でライディーンのメロディを一部分弾いて本編を何とか終了させる。
12.東風 ★★★★
坂本さんが作曲した曲らしく全体的にここで~とかかきちっと構成されている代表曲。
原曲どおりに演奏されているのだが散開ライブみたいに無駄な音を削除してきっちり音を絞って構成されていてライブVerの中ではこの演奏が一番好き。
あと坂本さんが弾くシンセがいかにもバブル90年代な音色で個人的には懐かしい感じがしてそれが自分の中でこのテイクの価値を高めてるのだと思う。
なんか聞いててしみじみしちゃう…。
展開の仕方も歌謡曲ぽくてはじめて聞く人が一番親しみを持つのはこの曲だと思う。
13.FIRECRACKER ★★★☆
珍しく坂本さんが「ワン!、ツー、スリー!」とカウントしていて貴重なテイクを録れたもの感心する。
こちらも90年代風のピコピコサウンドで最小限の音色で演奏されていてファンをがっかりさせない出来となっている。
やはりこの曲で一番印象的なのは坂本さんが弾く綺麗なピアノのフレーズでこれが入っているか入っていないかでこの曲の完成度を左右していたと思う。
オリエンタルな雰囲気もいい感じ。
最後は曲名通りに特効花火を入れてなんとか再生YMOの最後を飾る。
総評.★★★
93年の再生YMOが東京ドームで二日間行われた公演の模様を収録されたCDなのだが、
その後完全収録のVHSが出てしまい再生ライブについてはVHSのほうが詳しく記録(このアルバムは3、4曲カットされている)されているため影が薄くなり、
99年にはYMO関連のCDが再発されたのだが、その時にも再発されないまま廃盤のまま今に至るという不遇のアルバム。
「TECHNODON」自体が静かなアルバムでライブには向いてない曲ばかりでそれを東京ドームというキャバでやること自体が無謀で、
さらにライブの客は過去のピコピコ音を期待している人ばかりなのでそこら辺の食い違いがあの聴いてても分る。
東京ドームで客もかなり入っているのに無反応で静かという異常な環境を作ってしまってる所が再生YMOの黒歴史を象徴している。
でも、演奏自体は結構しっかりとしているし過去の曲のアレンジも当時の最新の空気を取り入れて上手い具合いに消化されていて、
ライブのパフォーマンスの面としては満足できる内容ではある。
あと、個人的に自分はYMO散開以後に生まれていて散開ライブなんか聞いてても当時の空気感を知らないために生の空気はつかめれないのだが、
1993年に演奏されたこのテイクで聞こえる90年代の音色など聞いてると当時の空気なんかを思い出して懐かしいとしみじみとして、
YMO当時の世代の人が散開ライブを聴いてたらこういうしみじみとした思いになるのかなぁと…このCD聞いてを疑似体験できるような。
あと、このCD聞いて思ったのだが再生YMOというのはまるでバブルみたいな現象だったのかなぁとも思ったり。
莫大な金額のお金を掛けてビッグプロジェクトを起こしたものもなぜか最後は虚しさが残るという…そんな感じもこのライブを聴いてて思ったり。
とりあえず、83年以前に生まれた人でYMO好きな人がいたらこのCDを中古屋で買っても損はないと思います。
バブルという社会現象を疑似体験できます。
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)