Reviewer:18th. 267-269 名無しのエリー2008.07.01.
1.おはようまだやろう ★★★★
ディレイギターのずっと反復するフレーズ、坂本の淡々としたボーカル、繰り返されるリズムパターン、全てが作用して物凄い浮遊感を生みしてる。
途中で入るムーディなサックスと女性のコーラスが上手い具合にアクセントとなっていて、聴いているとどこかへつれてかれそう。
この1曲目からアルバムの世界へどっぷりと引きずり込まれる筈
2.できない ★★★★
これまたずっと同じフレーズを繰り返すギターと淡々とリズムを刻むリズム隊がアシッド的な効果を生みだして、異様な陶酔感を与えてくれる。
アップテンポで踊れるんだけど、これで踊ってると気が狂いそうだ。「笑顔で最高って言えるか」このフレーズが好き
3.あえて抵抗しない ★★★★
坂本の「ホウッ!」ってかけ声から前曲と同じようなアップテンポのサイケデリックな音が続く。聴いてるとここら辺で完璧に音の中へと堕ちていく。
構成は殆ど前曲と一緒なのにマンネリ感を与えないのは完璧な流れのなせる業か。歌詞も退廃的で面白い、言葉の使い方が天才的
4.やさしい動物 ★★
ここにきてスローな曲。前曲までで高まった陶酔感がここで覚めてしまうような気がする。これまたひたすらミニマルなサウンドとへんてこな歌詞。
前作の『タコ物語』のような精神がイっちゃった雰囲気の曲だが、インパクトはあっちほど強くない。
二重ボーカルとか結構雰囲気でてるけどね
5.まだ生きている ★★★☆
いきなり始まる「ドゥーン ハァーン」というコーラスの繰り返しからして、何となく前時代的なブギ調の曲。メロディも昔のミュージカルみたい。
前曲までは音響派的な響きを重視する音作りになっていたが、この曲はどっちかというと初期ゆら帝的なソリッドサウンド。ギターも生きてる感じ。
しかし相変わらずミニマルな作りになっていて、その点では決して生な感じでは無い。異空間
6.なんとなく夢を(Album Version) ★★
先行シングルのカップリング。シングルを聴いてないから何がアルバムverなのかわからないが、構成が今までの曲と違って分かりやすい印象を受ける。
1に似ていて独特な浮遊感を漂わしているが、どこか退屈な印象を受けるのはその所為かもしれない。アウトロ繰り返しも上手く活かせてないような
7.美しい(Album Version) ★★☆
先行シングル。何がアルバムverかはわからない。今までと変わらず繰り返されるギターのフレーズに乗せて坂本の理不尽な詞が流れるという構成。
ベースの休符の取り方が上手い具合に弛緩させてて、音の緊張感とは裏腹にゆったりとした空気を作り出してる。ただちょっと地味な曲
8.学校へ行ってきます ★★★★☆
前曲のギターフレーズを引き継いだまま始まり、能に使われるような和風な効果音と大きなノイズが流れる中で坂本の朗読が流れる曲。
その朗読が凄い、「森の中は危険がいっぱい でも僕は大丈夫 学校へ行ってきます」童話のようだけど、ノイズと相まって物凄いことになってく。
完璧に異次元、ボアダムスがもっと文系になった感じ。例えは悪いけど
9.ひとりぼっちの人工衛星 ★★★★
このアルバムでは一番メロディアスな曲。でも音は相変わらずミニマルだし、音響派的なアプローチなのでそんな聴きやすいかといったら微妙かも。
役目を終えた人工衛星が、宇宙の彼方へと流れていくのを歌った歌詞がまたいい。聴いてて宇宙に漂う人工衛星の気持ちがわかるような。
「静まれ嵐 静まれ暴力 静まれ意味のない争い」ここまでまっすぐなメッセージも珍しいんじゃないかな
10.空洞です ★★★★★
これは良い。イントロの不穏なギターも、民族音楽っぽい打楽器も、うねるベースも、メロディアスなボーカルも、古臭いコーラスも全てが良い。
言葉の選び方がまた上手いんだな、普通の言葉を使ってるんだけど独特な雰囲気を作り出すセンスにかけては右に出るものはいない。
「僕のこころをあなたは奪い去った 俺は空洞 でかい空洞」まさに『空洞です』というアルバムのラストを飾るに相応しい曲
総評.★★★★☆
ゆらゆら帝国の8thアルバムにして。去年の発売以来さまざまなメディアで絶賛されてるので、今更僕なんかが評価するのもあれだが、素晴らしいアルバム。
前作『Sweet Spot』で大きく飛躍を遂げた『しびれ』以来の音響派的なアプローチを今作によって完成させたと言っても過言では無いだろう。
徹底的に選び抜かれた音によって構成された音は、コーネリアスの『Point』、『SEASONS』を彷彿とさせるし、
ミニマルなフレーズによって生み出される陶酔感は、ボアダムスなんかにも共通するものを感じさせる。
歌詞もますます磨きがかかり、文学とかそういう範疇では捉えられない独特な世界観を作り出している。
これを最高傑作と呼んでも過言ではないのではないでしょうか
(★:2点,☆:1点の計10点満点。)