コミック


池田理代子    
  春日局〜けふぞ火宅を 大奥初代総取締(?)の「春日局」ことお福の生涯を描いた作品…ま、あまりにも有名なので今さらストーリーを説明するまでもないでしょう。テレビ放映された「大奥〜第一章」のダイジェスト版とでもいうか、3ヶ月かけて放送したのを2時間ドラマに編集し直したという程度。池田さんにしてはちょっと短すぎて正直ちょっと物足りない。あのドラマを見てなかったから、充分楽しめたと思うんだけどね。お万さまとの対決がないーっ。ドラマではあの対決にしびれさせてもらったのにぃ…あれはドラマの創作なのか???。あと、少女マンガの悲しい性…とでもいうのか、お福は「器量が良くない」らしいのだけれど、池田さんの絵を見て「どこが器量が良くないのよ?。めっちゃキレイやん」などと突っ込みまくり(笑)。けれど、やはり「春日局」「大奥」への入門書としては一読の価値はあるかと思います。それになにより、この時代…戦乱の世から太平へと向かう過渡期における女性(お福はもちろん、それ以外も含めて)の強さも垣間見ることが出来ます。
  おにいさまへ… 名門女子高に入学した奈々子は選ばれた者しか入れない「ソロリティ」なるグループのメンバーに思いがけず抜擢される。メンバーは他の生徒の憧れを一身に集めるが、これといったとりえの無い奈々子は他の生徒から嫉嫌がらせを受ける。悩む奈々子の相談相手は塾の講師の「おにいさま」。学校、ソロリティの中で次々に起こる愛憎劇の行く末は…?。
まず「おにいさま」って、なんだぁ?…という突っ込みはともかくとして、これは少女マンガとは思えないほどのドロドロの愛憎劇。若さゆえの残酷さと美しさに眩暈を起こしてしまった。このあたりは萩尾さんの「恐るべき子どもたち」に通じるものがあるのでは。こういうの結構、好きだったりする。「サン・ジュストさま」と「薫の君」には泣かされた〜。でもさぁ、名前もニックネームもあたしの想像する「昔のお嬢さま学校」なのよね。あるいは「宝塚チック」。タカラヅカで上演するといかにも〜という感じだろうなぁ。…はっ!、これは「ベルばら」と同じじゃないか???。
乾いた笑いをかみ殺しながらも、ラストはほろりとさせられるし、登場人物たちも数年後には「あぁ、そんなこともあったわね」なんて遠い目で振り返るんだろうな。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)
  オルフェウスの窓 ドイツ・レーゲンスブルクの音楽学校に伝わる「オルフェウスの窓」はギリシャ神話のオルフェウスとエウリディケの悲恋に因み、その窓にたち、見下ろしたときに最初に視界に入った異性と恋におちるが、やがて悲劇を迎えるといわれている。そんな「オルフェウスの窓」を介して出会った、ユリウス、クラウス、イザークの3人は伝説のとおり、恋に落ちるが、周囲の愛憎や「ロシア革命」「第一次世界大戦」など歴史的事件に翻弄され、やがて…。
まず読み始めてからビックリしたのはユリウスがあのオスカルさまと同じ「男装の麗人」だったこと!。これまたあたしが胸をときめかせるような人なのかと思いきや、ユリウスは完全に「恋する女」だったのでユリウスに熱をあげることなく、冷静に最後まで読みきれました(笑)。
しかし、不勉強なために「ロシア革命」がどういうものなのか、よくわからなかったのが悔やまれるところ。これから読んでみようと思ってる人は「ロシア革命」について少し予備知識を仕入れておいた方がいいかも…。
「ベルばら」もそうだけど、時代の波に巻き込まれながらも人は人を愛することはやめられないものなのだな…というか、そういうときだからこそ、人を愛さずにはいられないのだろうけど、この作品の中で成就した恋がほとんどないのが切ない。
それにしてもユリウス、クラウス、イザークの3人が主人公のはずなのに、イザークの影がちょっと薄いような気がするのは気のせい?。個人的にはユスーポフ候が好み♪、なんて思ってたりして。女性ではユリウスの姉のマリア・バルバラが好き。あと、ストーリー的に「おいしいな〜」と思ったのはダーヴィトだな(笑)。
この感想を書くために少しギリシャ神話を調べ、冒頭のギリシャ神話の話をもう一度、よく読むとこれはそのままユリウスとクラウスの話なんだよねぇ。オルフェウスはヘプロス川に投げ込まれたのに対し、クラウスは…だし、オルフェウスの「竪琴」の代わりに「ストラディバリ」があって…。見事に神話と融合させた池田さんの手腕に改めて「凄さ」を感じた作品だった。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

ベルサイユのばら この作品のすごいところはマリーアントワネットが「悲劇の王妃」として首尾一貫して書かれているところ。史実や他のフランス革命ものでは「おバカさんなお姫さま」として書かれていることが多いのに。それだけ作者のマリーに対する思いが深い、ってことなのでしょうか?。しかし、しかし!なんといってもこの作品はオスカルとアンドレでしょう!このオスカルとアンドレの「物語」と対比することでマリーとフェルゼンの「史実」がより悲劇的に見えるのかもしれない。
でも、あたしはそんなことよりも純粋にアンドレって男らしい!とかオスカルさま素敵!と楽しめました。いや〜、オスカルはホントに「男性」としても「女性」としても充分、魅力的!現実にあんな男の人がいたら完璧にメロメロです。逆にあたしが男だったらオスカルのような「強い女性」は敬遠しちゃうかもしれない。「女性」としてのオスカルに惹かれるのはあたしが同じ女性だからなのでしょう。
恋物語は恋物語として読んで、「フランス革命」を語る歴史書としても事実は事実として書かれているので「一冊で2度おいしい」本ですよ。
  ベルサイユのばら 外伝
 
ル・ルーと一緒に来た人形他
ご存知、オスカルの姪ル・ルーが活躍する短編集。
オスカルの姪…というと、どんなに可愛らしいレディなんだろう?、と想像してたら、ごめんなさい(笑)。とんでもないおてんば。しかしまぁ、オスカルの「二枚目」な部分を完全に取り除いて、「三枚目」を被せれば、ル・ルーになるかもしれないな…。はちゃめちゃなりに頭が良く、持ち前の行動力でいろんな事件を解決しちゃうのである。振り回されるオスカル&アンドレ、ロザリーはたまったもんじゃないだろうけどね(苦笑)。でも、革命の動乱期に恋に悩み、生き方に悩んだオスカルにとって、lこのル・ルーとのかかわりはある意味、息抜きになったことでしょう。疲れたあなたもチャーミングなル・ルーに癒されることでしょう。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

 

庄司陽子    
  ダーリン騎士団 蓬田林子は、同い年の従兄たちといたずら放題、元気ありすぎの中学生。
林子やその他従兄の名前にちなみ周り「ダーリン騎士団」といわれるように
なるが、林子もお年頃、そろそろ恋に目覚めたのはいいが、その相手が
同じ屋根の下に住むこれまた従兄の霖太郎…はてさて、どうなる?!。
わはは〜。こりゃ「生徒諸君!」の従兄編とでもいうか、「生徒〜」では
将来的に「家族」や「身内」になっていく「悪たれ団」に対し、こちら「ダーリン
騎士団」ははじめから親戚で結成されている。
「生徒〜」はシリアスな話も多かったけど、こちらはまるっきりコメディ。まぁ
多少、考えさせられることもあるけれど、特別出演でナッキーが出てくる
ところも含めて、気負わず「がはは!」と楽しめる作品。
「生徒諸君!」と同じ作者じゃなければ「パクリやん!」と突っ込んでしまい
そうなところが満載で面白かった!。庄司さんはきっと「生徒諸君!」をあん
な青春超大作ではなく、こんな風にラブコメっぽくしたかったんだろうけど、
マールと飛島さんのあたりから引くに引けなくなって、あの路線で走るしか
なくて、その苦しみから解放されて、「改めて書き直すべ!」と、思ったん
だろうなぁ…。ある意味、庄司さんのご苦労がしのばれる作品です。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)
  生徒諸君!
(全24巻・外伝1巻)
あまりにも有名で、あまりにも名作のマンガ。
ヒロインのナッキーが前向きに自分の夢をさがし、実現していくまでの過程を姉のマールの死や、恋愛、その他の出来事をからめ、岩崎君、沖田君、田村君、舞ちゃん、初音ちゃんたち友人と共に歩んで行く…。
何度読んでも泣けます。それも号泣!
ナッキー達が直面する問題は決して、簡単に済ませられるものではないけれど、こんな友人、家族、先生がいたからこそ、乗り越えられたんだな、と素直に思えます。
知ってる人にはわかってもらえると思うけど、特に中学の藤枝校長と高校の森下先生っていいキャラだよねぇ?
ボキャブラリー不足でこんなことしか書けないのが歯がゆいです。
ほんと、一度読んでください。読んだ人は是非、お話しましょう!
この作品はマンガを超えています!
そして、あなたは岩崎君派?それとも沖田君派?(笑)。
  聖域(サンクチュアリ) 岩城悟朗は赤ん坊の頃、実母殺害の場に居合わせ取り残された。担当の監察医に引き取られ成長し、やがて天才外科医の名を欲しいままにする。しかし、真の愛情を知らずに成長した悟朗は人を憎み、利用することで更に極みへと目指していくが…。
「聖域」というタイトルどおり、さまざまな聖域を侵していく悟朗の生き方とストーリーの濃いこと!。全5巻なので「こんなの一気読みだな、楽勝、楽勝♪」なんて思ってたのに、一日1巻を読むのがやっと…というくらい、濃厚なストーリー。レディコミ風(?・苦笑)描写も多く、そこは「あぁ、またか〜。ヒマだねぇ。ご苦労さま」という程度なのだが、ストーリーがあまりにも衝撃的すぎて3巻を読んだあと2〜3日空けずにはいられなかった。特に「産むわけにはいかない子」のくだりはどんな今まで読んだどんなコワ(怖)・グロ小説よりも、おぞましかった…。昼ドラにしたら絶対盛り上がると思うけど、倫理上の問題がありすぎるかな?(苦笑)。
いろいろショッキングなことの多い話だったけど、イチバンのオドロキはコレを「生徒諸君!」を描いたその人が描いたということかもしれない(笑)。
(ラムさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

岡野玲子    
  陰陽師(コミック)
夢枕獏の「陰陽師」が原作のコミック。最初の方は原作に忠実に進んでいたのが、最近はオリジナルな話になってきている。
マンガという視覚を利用している分、原作よりもわかりやすく、作者が「陰陽道」について勉強していることがよくわかります。
強いて言えば?博雅をもう少し男前にして欲しかった(笑)。(10巻まで読了)

その後、全巻読了いたしました。
もう途中から何がなにやらさっぱりわからなくなって、収拾つくんだろうか…?と、心配していたのだけれど、晴明がまさかあの人の転生(?!)だったとは……と絶句しつつもなんとか収まるところに収まり、ハッピーエンド(なんだよな?)に落ち着く。
岡野さんって物凄く研究熱心な方とお見受けいたしました。義理のお父さまである、手塚治虫氏に負けず劣らず。血は繋がってないものの、「手塚家」の家風をしっかりと受け継いでらっしゃいます。ダンナさまの真氏とともにこれからも上質な作品を期待してます。

 

大和和紀    

あさきゆめみし
(全13巻)
ご存知、紫式部の「源氏物語」のコミック版。
中学生の頃、円地文子の現代語訳「源氏」を桐壺帝と桐壺更衣の話の段階で挫折して以来、この歳になって改めて源氏を…と思い立って手にしたのがこの「あさきゆめみし」。
かなり割愛した部分が多いとは思うけれど、入門編にはぴったり。なにより、絵があるのがわかりやすい。『御簾』ってどんなもの?という余計な想像力がいらない(笑)。絢爛豪華な十二単を見るのも楽しいし。
お話については語るまでもなく、光源氏の女性遍歴のあれやこれや。ちょっと「いい男」に書きすぎじゃないか…と、思わないこともないけれど。女性としてはやっぱり紫の上のように愛されたいなんて、思ったりもするけれど、本当は彼女は以外と不幸だったのでは???そういう意味では明石の君がいいかなぁ…。
これを読んで思うのは「男は基本的にマザコンなのね」ってこと(笑)。紫式部は平安の時代にすでにそのことを見ぬいてたんですねぇ。さすが才女!
余談だけど、氷室冴子の平安物を読んだ人はお話の中に「あぁ、これは『源氏』からヒントを得たのね〜」ってことがわかって面白いかも。

 

手塚治虫    

火の鳥 3000年の寿命を持ち、地球上どころか宇宙空間までも縦横無尽に舞う火の鳥。その生き血を飲めば飲んだものも不老不死に近くなる(エピソードにより、若干異なる)という。そんな火の鳥を通して人間の存在意義や死生観、宗教観など広く大きな視点で描いている。
まず「黎明編」でおそらく作者自身であろうと思われる「猿田彦」を登場させ、その後「猿田彦」の子孫が時に善人、時に悪人になりながら、エピソードの重要な役割を果たしていく。…しかし、わたしには「猿田彦」と火の鳥は表裏一体(一心同体?)で、どちらもが作者自身ではないかと思えるのだ。「猿田彦」が語れないことは火の鳥が語り、火の鳥が出来ないことは「猿田彦」が行う…。一見、神のような存在の火の鳥だけれど、やってることは意外と人間らしいというか、時にあたたかく、時に冷酷…つまりとても「きまぐれ」で、火の鳥は決して「神」ではないということがわかる。これはマンガの神様…といわれる、作者の「抵抗」なのでは…と、思うのは飛躍しすぎ?。しかし、ひとつひとつのエピソードの完成度の高さはやはり「神わざ」だと思うし、全編を通して読めば「猿田彦」火の鳥=作者と思えてくるのだ。
しかし…人、特に権力者というのは昔も、そして未来も自らの命にあれほどまでに浅ましくなるのか…と、思うと平々凡々な自分がとてもいとおしく幸せに思える。人は不老不死になったからといって、永遠の幸せを得ることはできない。やはり、相応の苦労をしてこそ、得られるものなのだ。

 

萩尾望都    
  イグアナの娘 生まれてくることを待ち焦がれていた赤ん坊。しかし生まれてきた子は「イグアナ」の容姿をしていた…。わが子でありながらまるごとを受け入れることができない母。そんな母に受け入れてもらえない娘…。ドラマ化された「イグアナの娘」ほか、ちょっとしたコンプレックスや不満を抱えている人たちがそれをどう克服したり、乗り越えていくのか…を描いた5作の短編集。
母娘だからこそ容赦のない感情の迸りが傍観者(読者)の胸をもゆるがせる。娘として「こんな母親許せない」と思う反面、自分は母親として子どもたちに対してこういう行動をしていないだろうか…と、わが身を振り返って、ちょっと動揺したりして…。けれど、彼女たちは決して不幸な母娘ではない。「似ているから」こそ憎しみ嫌う…ということもあるけれど、最終的に「似ている」ことは「幸せ」なことなのだということに落ち着くラストに安堵した(「イグアナの娘」)。
コンプレックスや不安、不満をどう克服し、どう乗り越えていくか…これはもう人間として一生の課題ですな。特に子どもはいつか親を乗り越えていかねばならない。そのときが来た時、上手に親離れ&子離れが出来る人間になっていたいと強く思わされた。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

ポーの一族 「バンパネラ(バンパイア)」…なんて、魅力的な言葉(といっていいのか?)なんでしょう。怖いもの見たさ…っていうのかな、小野女史の「屍鬼」を読んで以来、どうにも惹かれる今日この頃。重い十字架を背負った者が「異端者」を認めない人間の世界で人知れず密かに生きていくことの哀しさと切なさに「人間」のあたしはとりつかれてしまったわけで(苦笑)。
で、往年の名作…といわれる本作を避けて通るわけには行かないでしょう…ってことで読んだのだけれど、期待を裏切らない「哀しさ」「切なさ」。それにプラスされる「美しさ」と「儚さ」。少女マンガの奥深さを感じる作品と言えるのでは。
主人公のエドガー。彼は永遠に少年のまま。だから傷つきやすく、また他者を傷つけることも多い。そんな彼を見ていると、このエドガーという人格をわたし自身、少女の頃に胸の奥に密かに住まわせていた時代があった…いや、今でも存在してるのでは…なんてことに気づき、驚愕し、バンパネラとは伝説の存在ではなく、人の心に住むものなのだ…と改めて思った。
永遠の少年、エドガーを貴方も胸に住まわせていませんか?。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)
  11人いる!
続・11人いる!
「ポー…」とは打って変わって、SFコメディ。これにはある意味やられました。…一言で言うとこういう話、大好きです!。面白かった〜!。「ポー…」を描いた人がコレを描いたの?!と、驚愕。「ポー・・・」の耽美な世界から一転、同じ人が書いたとは思えなかった。
ストーリーは未来の宇宙が舞台。宇宙大学への最終試験を受けるために集められた10人の精鋭たち。これから53日間をこのメンバーで宇宙船に乗り、様々な関門を突破していかなければならない。しかし、船に乗り込んでみると10人のはずが、11人いる!。一体誰が「11人目」なのか。そして試験は突破出来るのか…。状況としてはありがちなパターンかもしれないけれど、なにより登場人物のひとりひとりが魅力的。マンガという二次元に存在するはずの彼らが、三次元に飛び出し、今まさに自分の目の前にいるかのように活き活きと描かれているのだ。会話のひとつひとつに血が通っている。だから、面白い!。「ポー…」は読んだけどコレはまだ…という方、是非読んでみて!。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)
  恐るべき子どもたち 第一次世界大戦後のパリに住むエリザベートとポールの姉弟。無邪気な子ども時代が永遠に続けばこんな悲劇は起きなかったのに、無情にも時は二人を子どものままで留め置くことは許してくれなかった…。
いやまぁ…なんというか、いわゆる密室劇とでもいうのかな。濃密な空気を漂わせていて、読む側に息をすることすら許されないような重々しさに萩尾さんはやっぱり「ポー…」を描いた人なのだ…と、思い知らされた。
これはジャン・コクトーの同名小説を漫画化したものなのだが、原作を読んでいないあたしにはそんなことはどうでもよく、画力でその濃密さを描ききった萩尾さんにただ、敬服するのみなのだ。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

山岸凉子    

ヤマトタケル 梅原猛原作を独自の解釈を加え、コミック化したもの。
天皇(すめらみこと)の子である大碓命、小碓命兄弟。二人は双生児でありながら、日嗣の皇子は大碓。小碓は父である天皇や継母の皇后からも疎まれながらも誰よりも大碓を敬い、たてていた。しかし、そんなある日兄弟ゲンカから誤って兄を刺し殺してしまう…。天皇の怒りを買い、都を追放され熊襲討伐へ向かう…。
古事記で有名な(?)、ヤマトタケル。実在したのか、しなかったのか定かではないのだが、各地に伝説が残るので、「ヤマトタケル」とされる人物は何人か(?!)いたのではないかというのがあたしの思うところ。古事記はずーっと気になっているので、いつかは読んでみたいと思って「現代語訳」を持ってはいるのだが、なかなか手が出せないでいる。そんなときにこのコミックを手にしたのだが、面白かった〜っ!。昔、氷室冴子女史の「ヤマトタケル」は読んだんだけど、氷室タケルはとにかくどこまでもいっても「孤独の人」のままで、徹底して悲劇の人だったのに対し、山岸タケルは孤独感はあるものの、手を差し伸べてくれる人がいて、悲壮感がなく、またとても雄々しく描かれているのだ。山岸さんといえば「日出処の天子」の厩戸(聖徳太子)の姿があまりにも妖しくて(美しくもあったが)、本を開くまでは「あんなヤマトタケルだったらどうしよう…」と、心配していたのだが、男前なヤマトタケルでホッとした(笑)。古事記という神話を元にしたいろんな「神・ヤマトタケル」がいるが、山岸タケルはあたたかみのある「人間・ヤマトタケル」で好感が持てた。「ヤマトタケル」初心者にはオススメ!。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

あしべゆうほ    

悪魔(デイモス)の花嫁 妹「ヴィーナス」との許されない恋のために「悪魔」に身を陥とすことになった「デイモス」。ヴィーナスとの恋を成就させるためにヴィーナスそっくりの人間のなきがらを手に入れるために、美奈子に近づき、人間世界の醜さを見せ、絶望させようとするのだが…。
これ、子供の頃に流行ってました。だからタイトルだけは知ってたんだけど、例によって例の如く、今まで読んだことはなかったのだ。
デイモスのいかにも「悪魔」然とした冷酷さに最初は「なんてヤツだ」と思うものの、絵がだんだん男前になっていくにつれて、デイモスの性格も冷酷なだけでなく、絶望させるはずの美奈子を危険から救う場面も出てきて、ただの悪魔じゃなくなっていくところに、もし子どもの頃に読んでたら「デイモス好き♪」なんて、夢中になっただろうなぁ…と、思わせてくれました。
デイモスの背負ったモノはただでさえとても重いのに、危険に直面した美奈子を救ううちに美奈子のことを愛し始めたデイモスの苦悩はこの先どうなるのか気になるところ…。
しかし「人間世界の醜さ」ってキリがないのねぇ。「少女マンガ」なのにこれでもか!、とばかりに「欲」「エゴ」「憎しみ」を見せ付けてくれるのだ。「少女マンガ」の間口の広さに改めて驚かされた。
ところで17巻まで読んだのだけれど、これ、完結してるのかしら?。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

岩館真理子    
  うちのママが言うことには けいとと英太郎は結婚を約束しつつも、けいとの父の反対や兄の妨害に遭ってなかなか話が進まない。そうするうちに二人の結婚観の違いなども出てきて…。
20年くらい前に新井素子女史の「結婚物語」というフィクションかノンフィクションか定かではない(ご本人はフィクションだと言っていたが…)物語を読み、結婚って大変なのね〜…と、漠然とした感想を持ったのだけれど、このマンガも結婚前の女の子が読むときっとそう思うだろうな。「結婚物語」はどちらかといえば「結婚式」だの「新婚旅行」「新居」や「家具」といった物理的(?)な大変さを書いたものだったけれど、こちら「うちのママが言うことには」は精神的な大変さが描かれていて、その分、既婚者としては「リアルだな」と感じた。それに結婚前よりも結婚後のほうがずっと大変だし、しんどいよ…ということがキチンと描かれている。ぎっくり腰を患ったけいとに「実家にいていいよ」という英太郎はちょっとやましいことを思ってるし、そのことに薄々勘付いているけいとは実家に長居するんだけど、あたし自身も実はよく夫から「ちょっとは実家に帰ってきたら?」などと言われたりするのでちとドッキリ。まぁ、実際にはあたしが実家に帰ることはないし、夫も「ちょっとは一人の時間が欲しい」と思ってるくらいでやましいことはないんだけど。でもまぁ結婚してしまえば「釣った魚にえさはやらない」と無意識に考える夫は妻に対して段々「気遣い」をしなくなる(妻もだけど)。病気のとき、本当に頼りたいのは「実家」ではなく「夫」なのだ…ということを新妻のが思ってることに気づかず、「実家に帰ったら?」などと言ってしまう夫に思い当たるフシのある方はきっとけいとに共感しながら読むことでしょう(笑)。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

えんじぇる 失恋の勢いで、高校卒業後すぐにお見合いで出会った周作と結婚し、一人娘の「つくし」にも恵まれたスウ。しかし、お互いのことを理解しないままの結婚生活は破綻しようとしていた…。
これぞ、少女マンガの真髄!。恋愛モノですな。ちょっと違うのはヒロインがすでに結婚していること。…いやぁ、泣きました(笑)。こういうのを読んで泣いてしまう自分の年齢をふと顧みて笑っちゃったのだけれどハマってしまったのよ〜。
ネタばれになるかもしれないけれど、これはきちんと恋愛しないまま、結婚した二人がさまざまなわだかまりを乗り越えて、今からでも遅くはない、ちゃんと恋愛しましょう…という話なのだが、実はあたし自身、少し、思い当たるフシがある。といっても、別に失恋の勢いで結婚した…というのではなく(期待した方ごめんね・笑)、ポン太との結婚は「友達婚」のようなところがあって、「恋愛した!」という感じがない…というか、ずっと友達だったせいか「今さらね〜」というテレもあった。結婚して、今の生活には満足してるし、破綻なんてことは今のところ微塵もない…ハズ、なんだけど(笑)、もし普通に「恋愛」してたらどうだっただろう?、なんてことを考えて、知らず知らずにヒロインに自分を重ねてしまってたわけです。…で、このマンガはほんわかとしながらも見事に「結婚後の恋愛」を描き、めでたし、めでたし。とってもあったかい気持ちになったのでした。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

一条ゆかり    

デザイナー トップモデルの亜美が出生の秘密を知ったショックで事故に遭い、モデルを断念。さまざまな葛藤の末、若き実業家、結城朱鷺の力を得て、デザイナーとして華々しくデビューするが、デザイナー界には鳳麗香というトップデザイナーが君臨していた。やがて女性二人の愛憎とプライドのぶつかり合いは衝撃の結末を迎えることになる。
これもまたある意味、少女マンガの王道といっていい、きらびやかで華やかな世界の話。ただし、内容は非常に濃く、ドロドロ。少女マンガというよりは昼ドラ。これでもか!と、ばかりに次から次と起きる不幸や難題に自らのプライドをかけて闘う、二人の女性の強さや潔さに我を忘れてのめり込み、拍手喝さいしてしまったのだった。昭和49年の作品なのだが、コレだけ古いと話のどこかに「古臭さ」を感じてもおかしくはないのに、まったく色あせていないのがオドロキ。もちろん、デザイナーの世界を描いているので、数多くドレスも出てくるのだが、これにも古さを感じない…。むしろ今だからこそ、なのかもしれないけれど、斬新さを感じる。うーん、一条さんって凄いひとなのねぇ。
この作品を読んだあと、たまたま買った雑誌に一条ゆかりさんのインタビューが載っていたので、読んだのだが、この話の登場人物の亜美と麗香のプライドとハングリーさは一条さん自身が元々持っているものだったのだな…と、感心し、改めてこの作品を噛みしめたのだった。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

吉田秋生    
  きつねのよめいり 年に一度のお祭りを前にきつねのオジロは銀子に思いを寄せていながら、自分に自信が持てないせいで思いを伝えることが出来ない…悩むオジロは一体どのようにして自信を取り戻すのか?…「きつねのよめいり」他、動物たちが主役にしたもの(違うのもあるけど)を中心にちょっと不思議であったかい短編集。
よかったです、この短編集。胸の中の汚いものが洗い落とされてキレイに浄化されたような気分になります。動物たちが主役だけれど、「こういう人、いるよね」…と、身近にいるのに今までその人の良さに気づかずにただの通りすがりだった誰かをふと思い出させてくれる。そしてそのことにちゃんと気づいてそっと見守ってる人もいる…。きっと吉田さんはそういう人たちのことを「いつか周りの人たちに彼(彼女)たちのいいところを気づかせてやりたい」「そのことに気づいていてあったかく静かに見守ってる人たちがいるんだよ、ということを伝えたい」と思ってたんでしょうね。そんなやさしさいっぱいのストーリーが満載。「風の歌うたい」は切なくて、でもそれだけじゃない涙がツツツーっと頬を伝います。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)
  夢見る頃をすぎても 三流高校の生徒の黄菜子・恭一が成長していく姿を中心としたシリーズ他、これぞ青春…と言えるような全8作の短編集。
好きになった女の子が自分の友人とくっついて悶々としている男の子がいるかと思えば、好きな人と思いが通じているはずなのにどこか不安でゆらゆらしてる女の子がいる。…なんだろうな、懐かしいというか等身大というか。若かりし頃の中村雅俊が恭一役をやったら似合いそうな雰囲気のマンガ。だから決しておとぎ話のような恋愛話ではなく、もっと身近に感じて、登場人物たちの揺れ動く微妙な思いに共感しつつも、それでもやっぱりブラウン管の向こうであったり、マンガの世界の話だったりする。けれど、決して大げさではない。「隣のお兄ちゃんやお姉ちゃん」を見ているような雰囲気。自分たちもいつかあんな風に恋愛をしたり、友情を育んだり、笑ったり、悩んだりするんだろうか…と、ほのかに憧れる感じ。…気がついたら「夢見る頃」なんてとっくに過ぎて現実の生活にどっぷり浸かってるんだけれど、10代に戻ったらこんな風に過ごしてみたい…って、いまだに思ってしまう。この作品集は30過ぎた女性に改めて夢を見させてくれる効果があるらしい。…なんか作品の感想になってないです、すみません。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)
  桜の園 桜華学園高等部の演劇部は毎年創立記念日に「桜の園」を上演する。練習に励む部員たちの淡い恋心や友情、揺れ動く心の中を細やかに描いた作品…。
桜華学園という名のとおり、学校全体が桜の木に囲まれ、少女たちは淡い香りをふりまく。共学にしか通ったことのないわたしだけれど、この女子高特有の雰囲気を楽しませてもらった。大人へと成長してゆく過渡期の少女たちのなんと瑞々しいこと!。そして美しいこと!。コンプレックスすら輝いて見える。「女子高生」というものは過去も未来も本質は変わらないものなのかもしれない。…というより、変わって欲しくない。自分が女子高生だったころを懐かしく思い出し、慈しみ、改めて胸の奥の引き出しにそっとしまう…この作品を読んだ元女子高生はきっとそうしたに違いない。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)

河よりも長くゆるやかに バーでバイトしつつ、ヤバイ仕事にも手をだし、そうかと思えば頭の中ではHなことばかり考えて「はなぢ」を出したり、時には高校生らしく青春してみたり、そしてあるときにはちょっと真剣に悩んでみたり…。そんなトシを中心に深雪、秋男の3人は今日も女々しく、そして雄々しく生きている。
いやぁ、こういうのは感想を書いちゃいけないというか、感想を書くこと自体がナンセンスじゃないか…と、思う。一緒になって凹んだり、ばか笑いして、ちょっとだけしんみりして…それで充分なのだ…と、わかってても、こうして感想を書いている。うーん、男子高校生に一度でいいから、なってみたい。汗臭いというか、ちょっと酸っぱいような臭いをぷんぷん撒き散らし、女子高生に「くっさ〜い」なんて言われながら、そこら辺を歩いてみたい…なんて、書いてるあたしはヘン?(爆)。
けど、そこの貴女!。男の子になって、文化祭の劇で女装して馬鹿騒ぎしてみたい…なんて、思ったこと本当に一度もない?(謎)。
コレ読むと、きっと「あぁ、男子高生になってみたい」って思うんじゃないかしら。そして、男子高生も色々と大変なのね…って、ことに気づくかも。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

よしながふみ    
  愛すべき娘たち ある日突然、母親が自分よりも若い男と結婚した。娘として、女性として
母の幸せを願う気持ちはあるものの、何故か心は揺れ動き…。
そんな母娘を中心とした周囲の恋愛模様を描いた短編連作集。
これが全編秀逸、としか言いようのない完成度の高さ。人により、恋愛の
形や生き方は違うけれど、「こういうのもアリなんだな…」と納得させて
くれる。「西洋〜」を読んだときにも感じたけれど、よしながさんの人柄の
あたたかさが作品からにじみでてるような気がする。
「西洋〜」「こどもの体温」とあわせて3作しか読んでいないのだけれど、
よしながさんの作品は「マンガ」というジャンルを超えている。
コンプレックスや不満を抱えてこそ、「一人前の大人の女性」になれるも
のなのかもしれないな…。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)
  こどもの体温 とある父子家庭。父親は息子のことを我が子ながら上手く育ってくれた…
と思っていたところに当の息子が「彼女を妊娠させたかも…」と衝撃の
告白。さて、どうする…?というところから始まる酒井家とその周囲の
物語。
タイトルがいいですね〜。途中まで「こども」は紘一のことだと思ってたし、
これはこれで間違いはないのだろうけど、わたしは亡くなった奥さんの
お父さん…つまり酒井さんのお義父さんが娘の在りし日の姿を思い出す
ところに「こどもの体温」を感じて、ウルウル。でも中3にもなって父と息子
が手を繋ぐかどうか…ちょっと微妙。物語上、必要不可欠だしこの作品に
おける「象徴」的で素敵なシーンなので外せないけど現実だと「うーん…」
と、うなってしまうと思う。
願わくば、西園寺くんを主役にした作品が読みたい!(笑)。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)

西洋骨董洋菓子店 ケーキ屋「アンティーク」は旧財閥の流れをくむ御曹司、圭一郎がオーナー。天才パティシエにして「魔性のゲイ」の小野。元ボクサーでパティシエ見習いのエイジ。圭一郎の「影」…いや、ただのお荷物だが、どこか憎めないギャルソン千影。この個性ありすぎる4人が、ケーキを通してお客さんと読者にほんの少しの幸せをおすそ分けしてくれる…だけストーリーかと思ってたのだが、ところがどっこい。微妙にサスペンス風になっていて、作者が登場人物の心のひだをひとつずつ丁寧に開いて描いていることにビックリ。特にケーキを「砂糖の塊」と言う圭一郎が何故、ケーキ屋を開こうとしたのか理由が明らかになったとき、「これはただのコミックではない!」と思わされ、そう意識することで、より深い「人間ドラマ」としての読み方が出来る。千影が圭一郎に「もう大丈夫ですね」と言うあたりは泣かされたよ〜。
でもね、でもね。やっぱりこの本はいい男が4人も出てくるのがいい!。一人は「魔性のゲイ」だけどさ〜。そんなのどうでもいいのよ。いい男とケーキでお腹いっぱい、幸せいっぱい。1作品で何通りもの味わい方が出来る、バラエティに富んだ、まさに「西洋骨董洋菓子店」なのだった。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

成田美名子    

NATURAL ペルー人ミゲールは9歳のとき、自国で危ない目に遭っているところを日本人男性に助けられそのまま日本にやってくる。新しい家族は助けてくれた「父」と「母」そして「姉」の理子(あやこ)。そこで彼は成長し、高校生になり、かけがえのない友人たちと出会う…。
いやぁ、青春ですな〜。「河よりも長くゆるやかに」も高校生の男の子達が青春してたけれど、どっちかといえば「ドンくさくて、カッコ悪い」のに対し、こちらはあくまでも「まじめに(?)爽やか」。でもって、出てくる男の子達がみーーーんな、かわいい♪。みんながみんな「友達のためならエーンヤコラ!」ってな感じで必死になってミゲールのことをわかろうとするところが、いじらしいったら!。読んでて「がんばれ〜!」と黄色い声を出しそうになってしまった(笑)。
さてさて、かわいい男の子がいっぱいでまさに選り取りみどり…逆ハーレム状態だけれど、あたしが選ぶなら西門かJR…いや、じーさんかな?(爆)。
ところでミゲールと理子って…この先、どうなったんでしょう???。理子ってヒロインのはずなのに、えらく影が薄くて気の毒だったな〜(苦笑)。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

篠原千絵    

天は赤い河のほとり 高校入学を目前に控えた夕梨はある日、水の中に引き込まれ、異世界へ流される。流された先は古代ヒッタイト(トルコ)。ヒッタイトの皇位継承争いのなか、皇妃(タワナアンナ)・ナキアによる呪いのいけにえとして流されてきた夕梨は絶体絶命のところを謎の男、カイルに助けられるが、そのカイルこそ皇位継承のカギを握る皇子だった…。
おぉ、これぞファンタジー!。古代に流され、時の権力者?に助けられるなんて「王家の紋章」と同じシチュエーションじゃないのぉ〜。と、いいつつ、「王家の紋章」は初期の10数冊
(初期で10数冊…苦笑)までしか読んでいないので、ストーリーはすっかり忘れているのだが…。あと「12国記シリーズ」の陽子もさまざまな苦難を乗り越え、自分の進むべき道を進む…という点で同じようなストーリー。道理で「12国記シリーズ」が好きな人に「天河」を読んでる人が多いわけだ…と、納得しながら読み進めていくと、これが「12国記」に劣らないほど面白い。
夕梨(ユーリ)は作者の創作だが、他は調べてみると歴史にほぼ忠実。史実を踏まえたストーリー展開が、この時代のことを知らない読者に実にわかりやすく教えてくれるのだ。エジプトはピラミッドのおかげ(?)で、王の名前くらいは聞いたことあるけれど、ヒッタイトなんて高校時代に世界史を選択しなかったあたしには「へっ?」っていう感じ。ビザンチン帝国やオスマントルコ…という時代があった…くらいしか知らなかったのよ(カッパドキアは知ってるけど)。…製鉄の話のときにたぶんヒッタイトの話は聞いてるはずなんだけど、おぼえていない。夕梨もそんな状態で流されてきたのに、、ナキアに憎まれながらも、あっという間に「イシュタル」(戦い&愛の女神)として、ヒッタイト国民に慕われ、カイルとラブラブ(ラブラブしすぎ!・笑)でありながら、エジプトの将軍ラムセス(後の第19王朝ラムセス1世)に求愛されたり…と、波乱な中にも充実したラブストーリーも織り込まれ、面白くないわけない。それにカイル、ラムセスはもちろんいい男なんだけど、他にもイケメン、目白押し(笑)。あたしはカイルの弟、ザナンザがイチオシなんだけど…うぅぅっ(泣)。
泣いたといえば、一時は偽イシュタルとして夕梨を苦しめたウルスラ(これは女の子よ)にも泣かされた〜。
最後にひと言…ナキアのあの執念が別のことに活かされてたら、きっとタワナアンナとして国民から広く慕われる存在になっただろうに。…敵役の悲劇だわ〜。ナキアの悲恋には敵とはいえ、さすがに泣かされたのよ。
ともかく「ベルばら」同様、歴史の勉強のとっかかりにはもってこいの作品なので、これから世界史を習う中高生には特にオススメします。
(ラムさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

青池保子    

七つの海七つの空
エル・アルコン−鷹−
スペインとイギリスが海の覇権獲りに凌ぎを削っていた大航海時代…。イギリスオックスフォード大の元学生、レッドは、無実の罪で処刑された泣き父の汚名を晴らし、復讐を果たすため海賊となり、敵である海軍大佐ティリアンを海に追う。
一方、敵であるティリアンもイギリス軍人でありながら、スペイン人の血を引く己の野望…「七つの海と七つの空」を制するため、イギリス国家を何食わぬ顔で裏切り、スペイン無敵艦隊へ加わる。やがて出会った二人は激しい憎悪の渦まく海に自ら身を投じていく…。
海だねぇ。海といえばロマンだね〜(笑)。あたしにはレッドの復讐劇なんぞ目に入らなかった。広い広い海の上で復讐なんてちっぽけなことを考えちゃいかんよ。己の野望を果たすことしか頭にないティリアンとは器が違いすぎるよ。…といって、別にあたしはティリアンにも特別何の感情も湧かなかった。ふふん。ニコラスの可愛さにはティリアンもレッドも敵いませんって!(笑)。
しかし、作者は違った。ご自分でも相当、ティリアンがお気に召したらしくその続編…というか、話的には「七つの海…」以前の話になるのだが「エル・アルコン」で若きティリアンを描いたそうだ。ふむふむ。でもここでもやっぱりあたしはニコラスしか目に入らなかった(爆)。
あ、でも同録の「テンペスト」の女海賊ギルダは好きだし、ギルダに対するティリアンの「冷たい優しさ」にはジーンとしたのだった。
(ラムさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

くらもちふさこ    

いろはにこんぺいと チャコは同じアパートに住む同級生、達(とおる)が嫌い。…嫌いだけど好き。子供の頃から好きだけど素直になれないまま、いつしか口をきくこともなくなっていた。そんなある日、親友のおリョーちゃんが達を好きだと言い出し、二人は付き合うように。心中、複雑な思いのチャコ。いつ素直になれる日が来るのか、好きと言える日が来るのか…。
甘酸っぱい系少女コミックの王道ですな。幼なじみとの恋♪。読んでて何度となく、鼻の奥がツーンとして、しっかりチャコに感情移入してしまう三十路の女(爆)。いい年してても、こんな恋物語には弱いのさ。
アパートから引っ越す達に向かって「どんな女と付き合おうと、デートの最後にはあたしたちが住むこのアパートに帰ってくる。それだけで満足してた。だから行かないで」というようなことを言うシーンは年甲斐もなくウルウルしちゃってた(笑)。
くらもちさんってあたしが子供の頃、大人気だったと思うのだけれど、漫画音痴のあたしは名前はかろうじて聞いたことがある…という程度なので、今回は先入観なく読んだのだけれど、年頃の女の子の微妙な「オトメ心」を描写しきってるところに、当時の人気があったんだろうな…と、納得。
…少女マンガっていくつになってもハマれるものなのね〜。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)
  いつもポケットにショパン 麻子と季晋(きしん)ちゃんは大の仲良し。遊びはモチロン、ピアノも一緒。しかし、麻子は有名ピアニストの娘にも関わらず、自分の才能のなさに落ち込む一方、季晋ちゃんはドイツへ留学する。しかし列車事故に遭い音信不通になる。数年後、高校生になった二人は再会するが季晋ちゃんは何故か頑なに麻子を拒む…。
↑の「いろはにこんぺいと」と同じく幼なじみとの恋を描いた作品。ただし「いろはに…」とちがって、甘酸っぱさよりも、二人がもって生まれた運命の重さや苦さを感じさせる作品。しかし、それはあま〜いラストに至るまでのほんの「隠し味」。
ピアノの上達とともに、恋も成長させていく麻子がいじらしく可愛らしい。ラストはもちろん感動的だが、麻子の母親の愛子が公開レッスンでキャベツの千切りをしたことがない生徒とその母親に「ピアノの音だけでなく、まわりの音にも耳をすませることが大事」だと言い、「麻子はシチューが得意です」と言い切ったシーン。これは名セリフ。ピアニストだろうが、なんだろうが普通の生活こそが大切なのだ。どんなに不恰好でも麻子に自分の髪は自分で結わせていたことの回答をここで得た、と思ったときには震えが止まらなかった。
ピアノや音楽は頑なな人の心を解きほぐし、解きほぐされた心は新たな感動を生むものなんだな〜、音楽の力ってすごいな〜…ということを素直に思わせてくれる作品でした。
(K's Roomのkeiさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

岡崎京子    

ヘルタースケルター 手塚治虫賞受賞作。
人気モデルの「りりこ」の美しさは実は全身整形で得たもの。「りりこ」を育てた社長曰く「もとのままのもんは骨と目ん玉と髪と耳とアソコぐらいなもんでね あとは全部つくりもんなのさ」とキャシャーンもビックリの新造人間…いや、美のサイボーグ。ただし、その美しさは日を追うごとに衰えを見せ始め、「りりこ」の人格をも崩壊させていく…。
「痛い話」とひと言で片付けられない奥深い人間描写に釘付け。誰もが最初は「ちょっと」の幸せを求めてたはずなのに、だんだん飽き足らず、「もっと、もっと幸せになりたい」と、もがいて堕ちて行く様子がリアリティと悲哀感、それでいてどこかおかしさを感じさせるのだが、笑えない自分に少し安堵したり…。
人間、一度壊れはじめるとなかなか止まらないものだけど、壊れ方によっては救いがあるのかな…なんて思うラストシーン。「りりこ」はどっこい、しぶとく生きてます。
それにしても…「りりこ」と同じ「病院」で整形した「ある女」がどことなく「りりこ」に似ている…というのが怖かった。ふと、○子ちゃんカットブームやら一世を風靡したア○ラー現象を彷彿させて更に背筋が寒くなり、そして岡崎さんはただ者ではない、ということに気づいて改めて、ぞぞぞーっ(苦笑)。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

吉村明美    

薔薇のために 両親を幼い頃に亡くし、祖母と暮らすゆり。デブでブスの上、受験にも失敗。おばあちゃんもあっけなく亡くなり、天涯孤独の身となったゆりはおばあちゃんの遺言から「お母さん」が生きていることを知る。しかもそのお母さんは大女優、花井しょう子!。他に頼るところのないゆりはしょう子の家に行くが、そこには芙蓉(姉)、菫(兄)、葵(弟)と会ったことのない美しい兄弟たちがいた。妹(姉)兼家政婦としてそこに暮らし始めたゆりはやがて菫のことが好きになるが…。
コメディタッチながら、恋愛はもちろん家族愛や兄弟の葛藤が絡んだ複雑なストーリー。
朝の9時から昼の3時までの6時間で16巻一気読みしました。「みにくいアヒルの子」のゆりがまわりの人々の心をあったかくしていく様子や報われない恋に涙するところで、こちらも何度となくドバーッ!と涙しました。こんないい子の行く末が不幸だったら作者を許さないっ!とそれこそ姉のような…いや、母のような気持ちになって鼻息を荒くしながら読み進めていったのだけれど、読んでも読んでもけなげなゆりの姿に涙なみだ。でも決してイヤな涙ではない。涙を流せば流すほど、こちらの心は穢れが流され、ほんのりとあったかくなっていくのだ。
そして「みにくいアヒルの子」はやがて美しい白鳥になる「お約束」にこれまた安堵の涙を流したのであった…。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

槇村さとる    

愛のアランフェス フィギュアスケートのエキシビション会場に突然現われ、三回転ジャンプを軽々と飛び、華麗な演技を披露したにも関わらず、名も告げず去っていった高校生スケーター、亜季美。やがて彼女は男子トップスケーターの黒川と運命的な出会いをし、ペアを組み「アランフェス協奏曲」を舞うことになるが、黒川を愛しすぎたために自分のスケートスタイルと自分自身を見失うことになり…。
スポ根と恋愛を両立させようとすると展開に無理があったり、「エースをねらえ!」のように、ひとまず恋愛は置いといて、テニスに打ち込む…という展開になるんだろうけど、この「愛のアランフェス」は恋愛もスケートも、さらに友情や親子・兄弟の絆までも…という欲張りな展開。しかも、これがまた無理がないというか、登場人物たちは挫折しながらも見事に成立させてしまうのだから、少女マンガ好きにとって一粒で何度も「おいしい作品」。えぇ、どっぷり浸って泣かせていただきました。
本筋の亜季美&黒川の恋愛だけでなく、サイドストーリーの筒美がらみの話にもウルウル。しかし、この作品の中でイチバンおいしい役どころといえば、、亜季美の父ちゃん(笑)。ラストはこの人の術中に見事にはまって号泣しましたがな。演出と展開がわかってても「ニクすぎる!」。
↓にも書いてるようにこれはkeiさんからお借りしたものですが、実はこの漫画と一緒になんと「アランフェス協奏曲」のCDも送って下さって、読んだ後にじっくりと聴いたんだけど、これまた余韻どっぷり。第二楽章を聴きながら、またもウルウル…。元々、フィギュアスケートを見るのが大好きで、この曲がよく使われてることは知ってたんだけど、この作品を読み、曲を聴いたことで更にフィギュアを見るのが楽しくなりそうです。
(K's Roomのkeiさまからお借りしました・ありがとう♪)
  白のファルーカ フィギュアスケート男子シングルで圧倒的な強さをほこっていた恵だったが、試合中の事故によりシングルを断念し、アイスダンスへ転向する。パートナーに選ばれたのは恵に憧れていた樹里だった…。↑の「愛のアランフェス」に続く、フィギュア第2弾。
恵と樹里。最初はほんと心配しました。こんなにぶつかりあってて、アイスダンスが出来るのか?!…って。でも優雅に見えるアイスダンスもやっぱりスポーツなわけで。だからこそ、二人がぶつかりあい、傷つけあいながら成長していく過程にムリがない。特に樹里は「少女」から見事に「女性」になりましたねぇ。と、主人公二人だけの話ではなく、やはり「愛のアランフェス」と同じように周りの人たちの描写もよかった。樹里のおばあちゃんの厳しくやさしい視線や恩のやりきれない思いとか…。ドラマチックな「愛憎モノ」だけれど、ややミステリーというか、ドキドキハラハラに片寄ってしまった部分もあるような気がする。純粋にスケートまんがとしてなら「アランフェス」を、人間ドラマとしてなら「ファルーカ」をお勧めします。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

けらえいこ    

あたしンち(1〜9巻)
以下続刊
高校生、橘みかんの一家は九州出身の両親と弟のユズ彦の4人家族。強烈なキャラクターの持ち主の家族とその友人たち。しかし、これは日本のごくごく平凡な家族や普通の人間の1シーンなのだ。
もうまるで自分自身や自分の家族・友人を見てるようで「ある、ある!」「そうなのよ!」と納得しつつ、抱腹絶倒。
その中でもみかんの母!。例えば、母が作るみかんのお弁当のおかずがシャケ一切れだけ、というのを読んで思い出したのが、わが夫の母、つまりわたしの義母のエピソード。その昔、夫がお弁当に入ってた「玉子焼きが美味しかった」というと、次の日から延々と玉子焼きばかり続き、ゆで卵だの他のたまご料理が登場するどころか、他のおかずすらお目にかかることはなくなった、(ごねん、お義母さん)とか、捨てようと思った靴下を洗ってしまい、もったいないのでまた履く、そしてまたまた洗濯して、またまたまた履く…というのはあたし自身とかぶる!。…と、この本に描かれてるエピソードのひとつひとつが身につまされるというか「あぁ、こんなことするのはウチだけだと思ってたけど、案外どこも同じなのかも」と、ちょっと安心しつつ心の底から笑うのであった。
(ラムさまからお借りしました・ありがとう♪)
  あたしンち(10巻) 今作も「うわ〜ぁ、わかるわ〜」のシーン続出。特に激しく首を縦に振ったのは、みかんがしみちゃんと学校をエスケープするくだりと日記。あとはお母さんがタイミングの悪さに怒り心頭…ってヤツ。みかんが学校をエスケープしたにも関わらず、学校のことが気になって気になって、せっかくのエスケープを楽しめない…というあたり、小心者ぶりに笑えましたねぇ。日記はいわずもがな(笑)。まぁ、あたしは過去、7年ほど実際に日記をつけてたし、今でもサイトの日記はほぼ毎日書いてますがね。人ってああいうつまらないことがきっかけで挫折しちゃうもんなんだなぁ…。みんな同じだ…ってことに、今回も安堵させていただきました。
(ラムさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

里中満智子    

長屋王残照記 天武天皇の孫で高市皇子の息子、長屋王。彼は正直で裏が無く、民からは慕われ、血筋も良い。まさに非の打ち所の無い「皇太子(ひつぎのみこ)候補」。しかしそんな彼を良く思わない藤原一族の陰謀がやがて彼を陥れる…。
いわゆる「長屋王の変」の真相は実はこうだったのではないか…という作者の想像の話なのだが、読むものに「絶対そうに違いない!」と思わせる力強い説得力はさすが。
長屋王は「政治家」にしては清廉すぎたのかもしれない。もちろん汚職や裏切りにまみれた政治家がいいとは言わない。しかし、清廉すぎると他の政治家からは嫌われる。ほどほどに「抜け道」を作っていたほうが、政治家としては大成するのかもしれない。でも、自分の信じる道を歩くことをまっとうした一生に彼自身はきっと満足しているに違いない。
里中さんの歴史モノはきちんと歴史上の出来事に沿って描かれているのが魅力。本作だと和同開珎や平城京の造営・遷都が詳しい。これから日本史を勉強する子供たちがこれを読んだらきっと歴史が好きになると思うし、そういう子供たちがうらやましい。
それにしても…これはおそらく「天上の虹」のサイドストーリーだと思うのだけれど、肝心の本編はまだ完結しないのかなぁ。全部揃ったらもう一度最初から読み直して感想を書こうと思ってるのに、サイドストーリーの方が先になってしまった。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)
  女帝の手記
〜孝謙・称徳天皇物語
上記と同じく「天上の虹」のサイドストーリー。長屋王亡き後、圧倒的政治権力を掌中に納めたものの、権力をより強固にするために「天皇(すめらみこと)」を自分の血筋から出そうと画策する藤原一族。藤原不比等は現天皇の聖武天皇とわが娘・安宿(あすかい)の間に生まれた基(もとい)親王をわずか生後1ヶ月で立太子させるが、ほどなく死亡。その後、阿倍内親王を立太子させるが、彼女は所詮「飾り物」に過ぎず…。
自ら望んだわけではないのに皇太子・天皇となり、一生結婚することができなくなった阿倍が心のよりどころにしたのは皮肉にも「恋愛」だった。初めての相手が藤原仲麻呂…。これがもうどうしようもないプレイボーイというか、畏れ多くも天皇を手玉にとって、政治の実権を握ってしまうんだけど、そのことに気づかない阿倍は仲麻呂しか目に入らない。ほとんどビョーキ。長屋王のストイックな清廉ぶりを読んだ後にこれかい!…とずっこけ、腹が立った。この人、歴史上では「恋狂い末に国を傾けた悪名高い女帝」らしいけど、さもありなん…という感じ。結局、長い長い苦悩の後にようやく目を覚ましたところで仲麻呂はじめ藤原一族を失脚させるのだけれど、目を覚まさせてくれた相手というのがまた「オトコ」なんだよな〜。内親王として生まれてしまったこと自体が不幸だったとしか言いようがない。でも道鏡との関係はこの漫画のとおりであってくれたら、阿倍も歴史も救われるんだけど…と、思わずにはいられない。
ちなみに本作では「奈良の大仏」がどのようにして作られたかが、垣間見ることが出来る。聖武天皇がどれほど望み、人々がどれほど心血を注いだか…。今度大仏を観に行くときにはそんな人々の思いを静かに噛み締めて合掌したい。
それにしても。阿倍が失脚させたはずの藤原氏はこのあと盛り返し、平安時代まで権力に君臨するあたり、史実はなんとも皮肉なのよねぇ…。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

山本鈴美香    

エースをねらえ! 岡ひろみはテニスの名門西高校に入学するし、もちろんテニス部に入部。お蝶夫人に可愛がられるが、テニスの腕はとほほ…。そんなひろみの前に現われた宗方コーチ。彼はひろみを次の大会の正選手に選ぶ…。
もう今さらストーリーを書くまでもない、アニメ&ドラマでおなじみの超有名漫画。あたしが見たアニメやドラマはひろみがお蝶夫人に勝ち、海外遠征へ向かう飛行機の中にいる頃、病床の宗方コーチが「岡、エースをねらえ!」と書き残して絶命する…というところで完結してたので、でっきりこれで物語が終わるんだと思ってたら、ドラマのスペシャルが放送されて新たに桂コーチが登場する…ということをはじめて知って、続きがあるのなら読みたい!…と、熱望してた次第。
宗方コーチ亡き後、茫然自失状態のひろみを立ち直らせたのはお蝶夫人や藤堂さんをはじめとするテニス仲間や新聞部の千葉さん、そして桂コーチ。これらの人や他のさまざまな人たちが「岡ひろみ」というテニスプレーヤーを一流に育てあげていく連係プレーは見事としか言いようがない。確かにひろみの天性や努力も見捨てることは出来ないけれども、周りの人間あってこその「岡ひろみ」なんだよ〜。そんな人たちの気持ちを無にしないひろみの頑張りは今も変わらず、感動を与えてくれる。宗方コーチの死までの前半しか知らない人たちすべてにこの続きを読んでもらいたい。アニメやドラマも良かったけれど、「その後」の展開は前半以上に濃密で感動的。…ま、それも宗方コーチのお膳立てがあってこそ、なんだけれど。個人的には宗方コーチよりも桂コーチの方が趣味(笑)。ああいう「動」よりも「静」の人って好きなんだよな〜。あと、千葉さんってあんなに男前だったのね、知らなかった…。
単なるスポ根漫画ではなく、人間愛を描いた名作です!。
(ラムさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

小栗 左多里    

ダーリンは外国人1,2 国際結婚をした著者、小栗さん自身のダーリンとの日常生活を赤裸々に描いた作品。ダーリンことトニーは語学マニア(おたく?)で、日本語のことわざや慣用句もなかなか詳しいけれど、やはり時々はとんちんかんなことを言い、日本人であるあたしたちも知らないような質問をして小栗さんを困らせてみたかと思えば、外国人らしい繊細かつ豪放磊落、天真爛漫な性格で小栗さんのお母さんや読者を和ませてくれるのだ。しかし、外国人との生活はさぞやカルチャーショックの連続では…?、と想像しながら読んではみたけれど、案外そうでもない。ドメスティック結婚(?)の我が家だっていまだに夫や夫の実家に驚かされることが多々あるし、夫もきっとあたしに対してそう感じているだろう。いまや国際結婚は珍しくないんだから、特別視することなく「隣のご夫婦」がどんな暮らしをしてるんだろう…という軽い覗き見気分で読めば「あぁ、どこも同じなのね」と納得。とはいっても、わが夫は語学マニアでもなければ、トニーほど面白くはないけど、ね。
特別視はしなかったけれど、外国人だからこそナルホド…と、思わされたこともやっぱりあった。その中でも、トニーの素朴な疑問…「日本のテレビの語学講座は日本語で説明する部分が多い。これでは上達しない」…ごもっとも!(笑)。
あと、トニーが好きな漢字は「華」。…そんなあなたが好きです!(爆)。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

名香 智子    

名香智子ミステリー名作選集 男と女にまつわるちょっと怖くてちょっと不思議なミステリー選。
ごめんなさいっ。小説を読む合間合間にチマチマ長い時間をかけて読んでたうえに、読んでからずいぶん時間がたってしまったので細かい話はわすれてしまいました(苦笑)。
でもね、恋愛にまつわる未練・怨念はおそろしいですよ〜〜〜という話。背筋がぞぞっ…なんてくらいじゃ済みません。お子さまにはおススメできない話が多くて、義理の息子とあれこれ(?)してしまう継母や邪魔者を消してしまう「悪女」、「悪男」(?)がこれでもか!と出てくるんだけど、自分の身に火の粉が降りかかってこない限りは大人なら「家政婦は見た!」的なおもしろさが味わえるのではないかと思います。最近「悪女」役が多い、米倉涼子でドラマ化したら…なんて想像するだけでも十分楽しいかと(笑)。あ、中にはくすっと笑える話もあって、これはこれで面白かったです。
「翡翠の森」「霞網」「孔雀草」等々、タイトルの美しさと絵の豪華さ(?)がまた楽しめます。
(はなさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

佐藤 秀峰    

海猿 仙崎大輔は巡視艇「ながれ」に配属されたばかりの新人海上保安官。海難事故、密航、密輸など常に死と隣り合わせの日々を送りながら、潜水士、保安官として、そして人間として成長していく…。
涙あり、笑いあり、友情あり、恋愛ありのいろんなエピソードを交え、人の命の尊さや重みを感じさせてくれる。圧巻なのは11巻〜12巻。操縦不能になった飛行機が海上着水するというストーリー。「なんとしても乗客を救う」…この飛行機の機長と大輔たち海上保安官の思いが手に汗を握らせ、号泣を誘う。
大輔のひたむきさももちろんいいけど、「ながれ」の船長がまさに「海の男」!。おやじなんだけどかっこいい(笑)。
伊藤英明が主演した映画&ドラマでおなじみになったマンガだけど、実は数年前に某民放ではない局(苦笑)で国分太一主演でドラマ化されていた。わたしは伊藤版よりも国分版のほうが好きだし、改めて原作を読んでみて、国分版の方が原作に近いような気がした。
(ポン太の会社の方にお借りしました・夫婦で楽しませていただき、ありがとうございました…って、見てないだろうけど)

 

太刀掛 秀子    
  花ぶらんこゆれて… るりは日本人の父とフランス人の母との間に生まれたハーフ。しかし、母はホームシックのあまり、幼いるりを置いてフランスへ帰ってしまう。残されたるりの元へ父と再婚した継母と「兄」真幸がやってくる。しかし「妹」の唯が生まれ、継母は夫の前妻にそっくりなるりを疎ましく思い、病弱な唯を溺愛する…。真幸と「花ぶらんこ」の少年が孤独なるりの心を慰める。やがて成長したるりの前に唯の家庭教師として惣一郎が現れる…。
読んでからずいぶん経ってしまったので細かいことは忘却のかなた…なんだけど、かなり号泣しました。ちょっとしたミステリー仕立てにもなっていて、まぁこのあたりのネタはなんとなくわかるんだけれど、それにしても昼ドラにしたらいいんじゃないか…と、思うほど次から次と波乱がるりを襲う。けなげに立ち向かうるりの姿に涙し、紆余曲折の末に迎えたハッピーエンドにも号泣した。絵は「少女マンガ」の王道…ってな感じのふわふわキラキラ。そこにやさしいお兄さんと家庭教師…憧れるわぁ(笑)。
(shortさまからお借りしました・ありがとう♪)

 

ほしの ゆみ    
  奥さまはマリナーゼ マリナーゼ?、それって何?。シロガネーゼでもなく、アシヤレーヌでもない。一体、どこに住む人なのさ…?。どっちにしろ、お金持ちで優雅な生活をしてる人に違いない!…なーんて思ってたら、大間違い。ごくごく普通の主婦の作者(といっても、こうしてマンガ描いたり、イラストを描いたりしてる人が普通…?)が、日常の平々凡々な生活を絵日記としてHPで公開してたものを単行本化したもの。
いやいや、これがなんともほのぼのとおかしかった。マリナーゼ自慢なんてまったくなく、というか、マリナーゼって単に千葉の海の近くに住んでるから…というだけらしいのだけれど、日常が本当に平凡で、なんだこれはウチのことじゃないか…と、思うようなことが多々ある。でも、わたしのような凡人ではそこをちゃんと切り取って日記にしたり、絵を描いたりが出来ないのよね。それに、ダンナさまとのほのぼのラブラブしてるところが、我が家とはずいぶん違うんだけどねぇ。いや、でも主婦としてのちょこっとお役立ち情報なんかもあり、楽しみました。癒し系のイラストもいい♪。…というわけで、サイトの「
絵日記でもかいてみようか」をお気に入りに入れましたとさ。(K's Roomのkeiさまからお借りしました・ありがとう♪)